『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』発売記念ライブ“LiveWanderer Ver1.00 -ふし幻TODR 1st anniversary-”開催 「2018年はさらに進化したライブコンサートを!」

2017年12月28日、東京・WATERRAS COMMON(ワテラス コモン)にて、『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』のプレイステーション4およびプレイステーション Vita版の発売1周年と、Nintendo Switch版の発売を記念しての、“LiveWanderer Ver1.00 -ふし幻TODR 1st anniversary-”が行われた。ここでは、その模様をお伝えしよう。

 同人サークルAQUA STYLE開発による『東方Project』の二次創作ゲーム『不思議の幻想郷』シリーズ(ファンのあいだでは『ふし幻』と略称されているそうです)。『東方Project』ファンゲームを中心に、さまざまな同人ゲームを家庭用ゲーム機向けに展開することを目的としたプロジェクト“Play,Doujin!”として、プレイステーション4、プレイステーション Vita向け『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』が2016年12月にリリースされていることもあり、同シリーズのことをご存じの方も多いことと思われるが、年の瀬も押し迫った2017年12月28日、東京・WATERRAS COMMON(ワテラス コモン)にて、『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』のプレイステーション4およびプレイステーション Vita版の発売1周年と、Nintendo Switch版の発売を記念しての、“LiveWanderer Ver1.00 -ふし幻TODR 1st anniversary-”が行われた。

 『不思議の幻想郷』シリーズ初のライブコンサートとなる本公演は、AQUA STYLEの代表であるJYUNYA氏を始めとしたスタッフの、「『不思議の幻想郷』のライブをやりたい!」という熱意により実現したもの。ライブコンサートは、第1部(昼公演)“昼下がりの不思議”、第2部(夜公演)“夜行の探索者”という“思い余って”の2部構成で行われた。披露された楽曲は50曲(!)+α。昼は、“アコースティック中心のダンジョン道中をエレガントに振り返る楽しいライブ”、夜は“ドラムやギターも加わり難敵との激闘が熱く蘇るライブ”がテーマになっているようだ。ここでは、ふらりと立ち寄って取材させていただいた、昼公演の模様をリポートさせていただこう。

 文字通り、お昼のさなかの午後1時から開演となった第1部“昼下がりの不思議”。演奏の編成はギター、ピアノ、パーカッション、ヴァイオリン、チェロ、カマンチャ&二胡、カーヌーンにボーカルというもの。カマンチャとカーヌーンという楽器は聞き慣れないかもしれないが、カマンチャはアゼルバイジャンの、カーヌーンは中東の伝統楽器。『不思議の幻想郷』シリーズの楽曲を担当する豊田竜行氏が、もともと民族楽器を好きで、楽曲に取り入れていたことから、今回のライブコンサートでも、「ぜひに!」ということで実現したもの。演奏者のお名前は以下の通り。

ギター:矢萩暁さん
ピアノ:川村健さん
パーカッション:見谷聡一さん
ヴァイオリン:澤田昭子さん
チェロ:Ayakoさん
ベース:江川綾さん
カマンチャ&二胡:丸小野智子さん
カーヌーン:鈴木未知子さん
ボーカル:西川珠香子さん

 ライブコンサートは、『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』のタイトル楽曲“運命の邂逅 (Ver.noon)”からスタート。ボーカルを担当する西川珠香子さんの凛とした声が会場に響き渡る。そこでボーカルの西川さんは編成から外れ、豊田氏が自身の楽曲の中心に据えているというヴァイオリンとカマンチャなどを主旋律に、“キングオブフェアリーズ”から“その名はフェアリーキングダム”を、そのあとは“ミラクル★アンビジョンズ”から、“守矢神社から始まる物語”、“それは妖怪の山から”、“立ち入り無用の天狗街道”、“活気あふれる人の里”の5曲を演奏した。

豊田竜行氏

 と、都合6曲演奏したところで、袖に姿を見せたのは『不思議の幻想郷』シリーズの作曲を担当する豊田竜行氏。まず豊田氏が口にしたのは、『不思議の幻想郷』シリーズとの“出会い”。2011年にリリースされた『もっと!?不思議の幻想郷plus』から楽曲を担当することになったという豊田氏は、当時ゲームのことはあまり詳しくなかったため、「的はずれなアレンジがあった」という。その最たるものが“百鬼夜行”で、JYUNYA氏から「これだとボス戦の曲では?」とダメ出しをされて、3~4回修正したらしい。ところがあとから振り返ると、その的外れだと思われたアレンジがいちばんよく、それがその後の『不思議の幻想郷』シリーズの音楽の流れを作ったというのだから、そこは豊田氏のすぐれたセンスの賜物というべきなのであろう。

 以降6年にわたって『不思議の幻想郷』シリーズの音楽を手掛け、ファンのあいだで絶大な人気を誇る豊田氏の楽曲だが、過去にコンサートの話がなかったわけではない。2012年に一度ライブコンサートの話が持ち上がったという。そこで喜び勇んで見積もりを取ったところ、諸経費は軽く数百万ほどになったという、当時としてはあまりに手が届かない金額に、一瞬してコンサートの夢は萎んでしまったのだとか。それが今回、縁あってコンサートが実現。「コンシューマに進出してファンが増えて皆さんから頂いた開発費(売上)で挑戦できることになりました。皆さんがゲームを買ってくれたおかげです」と豊田氏は言う。

 とはいえ、豊田氏の夢は始まったばかり。なにしろ『不思議の幻想郷』の楽曲を再現しようとするとオーケストラの編成が100人は必要になるとのことで、「今後徐々にバージョンを上げていきたい」(豊田氏)というから楽しみだ。今回“Ver1.00”と銘打たれているのはそれがためだ。

 豊田氏のトークのあとはふたたび演奏に。奏でられたのは、『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』からの楽曲、“羽化登仙”、“日々、休暇”“道士の談笑”、“少女と動物たちの憩い”4曲だ。

ギター:矢萩暁さん

ピアノ:川村健さん

パーカッション:見谷聡一さん

ヴァイオリン:澤田昭子さん

チェロ:Ayakoさん

カマンチャ&二胡:丸小野智子さん

カーヌーン:鈴木未知子さん

ボーカル:西川珠香子さん

ソニー・ミュージックエンタテインメントのUNTIES(アンティーズ)の伊東章成氏。

 そこで登壇したのが、Nintendo Switch版『不思議の幻想郷TOD-RELOADED-』のパブリッシャーであるソニー・ミュージックエンタテインメントのUNTIES(アンティーズ)の伊東章成氏。実力派によるライブコンサートの演奏に感動した面持ちの伊東氏は、「引き続き、『東方Project』とファンゲーム、“Play,Doujin!”を盛り上げていきます!」とコメントした。

 そして、『クロックリメインズ』より、“時の遺跡”、“迷宮への誘い”、“緩やかな時間”、“流れゆく刻”、“完全で瀟洒な回答は?”と人気楽曲5曲が演奏。10分の休憩を挟んで後半は、“明け方の雲を見上げて”に始まる『不思議の幻想郷 -THE TOWER OF DESIRE-』の楽曲、“博麗神社の日常”、“梅雨晴れの空の下で”、“瘴気漂う魔法の森へ”、“万屋たんざぶ屋”、“妖怪の里へようこそ”、“田圃道は変わらない”、“野原を往く少女”と立て続けに8曲が会場に響き渡った。そして最後に、ボーカルの西川珠香子さんが加わって“アンダー・ザ・ムーンライト”が演奏され、感動的なフィナーレに。会場は大きな拍手に包まれた。ちなみに、“野原を往く少女”から“アンダー・ザ・ムーンライト”という流れで曲が演奏されたのは、ゲームでもっともよく聴くであろう楽曲から大団円を迎えることで、「ゲームユーザーに感動をしてもらいたい」というJYUNYA氏の演出によるもののようだ。

AQUA STYLE 代表 JYUNYA氏。

 最後に袖でマイクを握ったのは、AQUA STYLEの代表であるJYUNYA氏。「道楽で作っているゲームですが、コンサートができてよかったです。この日が見たくて、ゲームを作っていたのかな……というくらい」と、彼らしいコメントを発したJYUNYA氏は、全部で200曲にも及ぶ『不思議の幻想郷』の楽曲からコンサート曲をセレクトするのはたいへんだったと心情を吐露。さらに、ライブコンサート中は、スクリーンで表示される楽曲の曲名表示をみずから切り替えていたと暴露しつつ、楽曲が変わるたびに「この曲を作るときは難航したなあ」や「この曲のシーンはバグがひどかったなあ」など、ゲームを開発していた際の記憶が走馬灯のように蘇ってきたことを明らかにしてくれた。