ネクソンのPC用オンラインFPSゲーム『サドンアタック』。本タイトルでは年4回のステージに分けて公式大会が開催されており、2017年最後を飾る“SAJCL 2017 Final Stage”のオフライン決勝大会が、12月24日に開催された。

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 『サドンアタック』は日本でのサービスインから10年が経過したFPSだ。アップデートが続いているとはいえ、ここまで歴史が長いと、プレイヤー間の“硬化(年齢層の上昇など)”ともいうべき現象が起きてもおかしくはない。だが、本作においては心配無用。プレイヤーたちの腕前と研究成果は磨き上げられ続けている。

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来場者にも若い層が多く、試合中やプレゼント争奪じゃんけん大会の最中には、大きな歓声や応援の声、楽しそうなリアクションが始終絶えることがなかった。この10年で、つねに新たに若い血が入り続けているタイトルでもあるのだ。
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当日の司会進行と実況・解説を務めたのは、ゲームアナウンサーOooDa氏(左写真)と、かつては今回の決勝ステージに進出しているクランNabDに所属し、さまざまな大会で活躍したVader氏(右写真)。
『サドンアタック』日本運営チームの竹本氏。氏自身も、本作のトッププレイヤーとして活躍した経歴を持つ。

 『サドンアタック』日本運営チームの竹本氏もステージに登壇。試合の幕間には、直近のアップデート予定についてプレゼンした。

 発表されたアップデート内容は、新マップの実装、ならびに新規ゲームモードの実装。新マップは名称未定のものと“Hawkeye”のふたつ。新規ゲームモードについては“Death Room”と“Some Body to Kill”という名前のみ公開された。

 なお、2018年のアップデートはこれだけでは終わらず、ほかにもさらなる新規モードなどの要素を追加できないかと、開発元と調整中とのことだ。

 また、システム面での改善として、従来の動作不安定化などの問題があった不正監視用のゲームセキュリティーソフト“COD3MON”を、ネクソン公式の“NGS”に変更することも発表された。

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名称未定の新マップは画像で紹介された。“プロバンス”に近い中央部分が激戦区になる構造のようだが、高低差があり、なおかつAポイントとBポイントの両方とも、2ヵ所の侵入口がある。2018年上期には爆破モードをメインとしたマップとして実装し、大会への採用は状況を見て判断するとのこと。
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まだ名称のみとはいえ、期待は高まるばかり。こうして新しい遊びを提供し続けているのも、本作が10年間も愛されている理由のひとつだ。
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同社の他タイトルで動作改善の実績が多いソフトなだけに、動作安定に期待したいところ。

 このように、アップデートも含め、新しさをつねに取り入れている『サドンアタック』では、選手層の方もかなり若い層が多くなっている。

 若いからといって、選手たちは未熟というわけではない。若くして本作を長年プレイしてきた、歴戦の猛者ばかりを擁する4つのクランが、この決勝ステージに立つこととなった。

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若さと熟練の技、両方を兼ねそろえたプレイヤーがずらりと並ぶ。練習量と熱心な研究がこれに合わさることで、本作の大会では読みからの置き撃ちやヘッドショットの成功率も非常に高くなっており、一瞬たりとも目が離せない。
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クラン“Ziele”。長らくの雌伏の時代を経て、2017年の3rd Stageでついに優勝を果たした。王者として勢いに乗り、2連続ステージ優勝を狙う。
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クラン“Lythronax”。コミカルな恐竜マークから受ける印象とは異なり、決勝ステージに幾度も進出してきた強豪。オフライン大会ではほぼ無冠という、ジンクスの打開を目指す。
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クラン“WyVerN”。チーム力の高さに定評のあるベテラン。大舞台でもパフォーマンスを忘れない、その余裕も武器か。
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クラン“NabD”。多くの大会で優勝経験を持ち、オフライン大会の経験数も桁違いのクランだ。新メンバーがひとり入ったばかりだが、それでも余裕は変わらない?

準決勝戦ダイジェスト! 大会の魔物が牙を剥く!?

 大会の内容について、まずは準決勝戦2試合の模様をダイジェストで紹介していこう。なお、今大会のルールは予選までと同じく、くじ引きで決まった3つのマップのうち、2マップを制したクランが勝利となる。

 1マップ内では10ラウンドの爆破ルールの試合(第6ラウンドから陣営交代)を行ない、先に勝ち星を6つ獲得したほうが勝者となる。10ラウンド終えた時点で5勝5敗の場合は、そのままの陣営で行なわれる延長戦で勝ったクランが勝者だ。

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竹本氏のくじ引きにより、準決勝で使用されるマップは“第5補給倉庫”、“ドラゴンロード”、“シティキャット”に決定。試合前に代表者同士でナイフ戦を行ない、勝った方が第1、第3マップの陣営選択権を得る。

準決勝第1試合 NabD vs WyVerN

 最初の試合から、これまでの各大会で何度も観てきたベテラン同士の戦いとなった。

 第1マップの第5補給倉庫は、ナイフ戦で勝利したNabD側が青(防衛)側を選んでスタート。赤(攻撃)側のWyVerNは時間を使った攻めや、Bポイントへのフェイクなどを駆使して揺さぶっていくが、NabD側も適切に対応し、お互いキル数、ラウンド数ともに1本取られては1本取り返すという接戦を続ける。

 だが、陣営交代後の第7ラウンド。均衡していたバランスを、NabDのAttun選手が開幕一発のグレネードで2キルを取ったことで大きく崩す。ここからラウンド連取を続け、NabDが6本先取を達成した。

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ファーストダブルキルで試合が動いた。マップを研究し尽くしたプレイヤー同士の対戦では、予測で投げたグレネードがこうした戦果を生むことも珍しくはないが、それだけに警戒すべきでもある。大会で決まったときの高揚、決められてしまったときの動揺は、ともに非常に大きい。

 第2マップのドラゴンロードでもNavDの勢いは止まらなかった。第1マップ同様に撃ち合いでは互角の展開が続くものの、そこにA、Bポイントの攻めの読み勝ちが続いたことで優位を保つ。青陣営スタートのNabD側が前半に相手の位置を読んでからの飛び出し決め撃ちなどを見事に決め、ストレートで5ラウンドを連続先取した。

 陣営交代後の第6ラウンドでは、WyVerNもJINTK選手が強気なプレイングによるファーストキルでチームメイトをけん引し、圧勝で1本を取り返す。逆転の流れとなるかと迎えた第7ラウンド、JINTK選手が開幕ダブルキルを決めたものの、NabDのAttun選手とAreshii選手が少人数での読み合いの強さを発揮し、見事な連携で逆転を決める。第2マップもNabDが勝利し、決勝戦に進出した。

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ドラゴンロードでは青陣営側だと難しいファーストキルを果敢に取ってパーフェクトゲームを決めるなど、底力を見せたWyVerN。NabD側にはそれまでの貯金を余裕に変えたかのような落ち着いた戦いを見せ、勝利。

準決勝第2試合 Lythronax vs Ziele

 第2試合はおもしろいカードとなった。3rd Stageの王者Zieleに対して、ほぼ即興で揃えたメンバー構成のLythronaxの対戦だ。Lythronaxのメンバーは大会古参のプレイヤーばかりのオールスター状態。個々の実力は圧倒的に高い。

 第1マップ・第5補給倉庫は予想外の展開からスタート。第1ラウンドで、Ziele(赤陣営)がC4爆弾の設置に成功。Lythronax側が爆弾解除しているところを余裕を持って狙撃したはずがキルにならず、爆弾解除を許してしまったのだ。

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誰もが「解除中にやられて終わり」と思ったそのシーンで、まさかの体力ミリ残りが発生。大会には魔物が住んでいる。

 ミスプレイの動揺が残ったのか、序盤はやや押され気味となったZiele。それでも時間を使った攻めやフェイントで徐々にラウンドを取り返し、4-4まで押し返した。

 第9、第10ラウンドではLythronaxのグレネード投擲が光った。グレネードで牽制したうえでの猛ラッシュやスナイピングが決定打を生み出し、第1マップはLythronaxの勝利となった。

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その位置は読めているとばかりに突き刺さり、一撃でふたりを葬ったグレネード。準決勝第1試合と同じく、グレネードの読み合いが大きな波紋を起こした。

 続く第2マップのドラゴンロードでは、Lythronaxの勢いをZieleが緩急のある攻防でいなし、さらにすさまじいラッシュを展開。アサルター陣が要所を押さえ、Lythronax側のやりたいことを潰していく展開となった。それでも食い下がるLythronaxとのシーソーゲームが続いた結果、延長戦にもつれこんだものの、Zieleがこのマップを制する。

 第3マップのシティキャットでは、引き続きZieleがアサルターを中心に火消しのようなプレイを続けた。Lythronax側は落ち着いてきたのか、時間をかけた攻めや定番を外すBポイント攻めなどを巧みに使って1対1の状況を生み出し、個々の選手の技量で形勢を覆していく。

 4-4で迎えた第9ラウンド、慎重に動いていたLythronaxがいきなりNucleus-Siam選手を軸とした猛ラッシュに転じる揺さぶりをかけ、一気にキルをもぎ取って勝利。続く第10ラウンドもLythronax側が爆弾設置を活かした立ち回りで人数差をひっくり返し、前ステージ王者を破って決勝進出を決めた。

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グレネードを投げて突入し、3キル取るまでにかかった時間はおよそ2秒。Nucleus-Siam選手の破壊神とも呼ぶべきラッシュ力と、それをフォローするいずれもエース級のメンバー。もはや止めようがない。

決勝戦はベテラン同士の激突! その接戦に涙も

 決勝戦に進出したのはNabDとLythronax。以前から幾度も大会で見られていた対戦カードだ。最近は新進気鋭のチームが勝ち上がることが増え、観る機会が減っていたものの、これまではつねにNabDがLythronaxの上を行き、優勝をさらっていた。

 安定の強さを見せるNabDに対し、即興のオールスター構成というLythronax。Lythronaxリーダーの敵強すぎ!!選手自ら「練習があまりできていない」と公言するも、準決勝ではすさまじい個人技を見せつけた。勝敗はまったくもって読めない。

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『サドンアタック』ユーザーたちは、この対戦カードを過去に何度も見てきたはず。
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決勝戦の使用マップは、準決勝で選択されなかったマップの中から竹本氏がくじ引きで順番を決定し、クロスポート、プロバンス、第3補給倉庫となった。運命の第3マップに、青側が圧倒的有利とされるマップが来るとは……。

第1マップ クロスポート

 クロスポートでは、Aポイントへスモークグレネードを投げてからのラッシュが定番となっている。Aポイント付近とダクト部屋で起こるアサルター同士の撃ち合いも大きな特徴だ。

 試合の出だしは赤陣営スタートのNabDが優勢に運んだ。第1ラウンドはダクトへ素早く仕掛け、しっかり包囲しつつuNiteD`選手の3人抜きで勝利。続く第2ラウンドも、A、B、ダクトのすべてにプレッシャーをかけ、包囲網を完成させて奪取した。

 続く第3ラウンド。Lythronaxは布陣が整う前のNabDを強襲し、1on5の状況を生み出した。だが、ひとり残ったNabDのAttun選手が、ここでまさかの4人抜きを達成。あわや逆転かと思われたが、最後の1on1をLythronaxのArch[NG]選手がしっかりと制する。もし逆転が成立していたら、流れは完全にNabDに傾いていただろう。

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1on5の状況から、ハンドガンどころかナイフまで使って突撃し、4人抜きを達成したAttun選手。だれもが目を疑う、鬼神のごとき奮戦だった。冷静さを失わず止めきった、Lythronax側も見事。

 第4ラウンドはNabDが、第5ラウンドはLythronaxがそれぞれ理想的な動きを実現して制し、NabDが3本、Lythronaxが2本取った状態で折り返しを迎える。ここまでは赤陣営のNabDが毎ラウンドのように爆弾設置までの流れを作り出せており、やや流れを掌握しているように見られた。

 第6ラウンドと第7ラウンドは、青陣営側に転じたNabDがグレネードでの見事なカバーや、Areshii選手の素早い裏取りなどで制す。これでNabDは5本目を奪取し、リーチをかけた。

 続く第8ラウンドは、最後の1on1の状況でNabD側がやや焦り、際どいところでLythronaxが制した。第9ラウンドは開幕の狙撃でLythronax主軸のI'm.Ibrahimovic選手をキルしたNabDが要所をしっかりと守り、0on5で圧勝。第1マップを制した。

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NabD側はA、B、ダクトの守りがとくに際立っており、Lythronaxの攻めをしっかりと止める展開が多く見られた。広く薄く守って情報収集をしながらも各方面にプレッシャーをかけて相手の進軍を遅らせ、戦力の配置を的確かつ迅速に行なう、まさにチームプレーの鑑だ。

第2マップ プロバンス

 プロバンスは数々のドラマを生み出してきた最古参マップだ。中央部分を超えるグレネード遠投や壁抜き射撃によってほぼ安全地帯がなく、読みが的中すれば相手の姿を一切見ずにせん滅することすら可能となっている。

 第1ラウンドは、赤陣営NabD側の突入にLythronaxの足並みが揃わなかった。あわや全滅かと思われたが、I'm.Ibrahimovic選手がいち早く反応して、辛くもラウンドを制する。それに負けじと、第2ラウンドではNabDがAttun選手による1on3からの3人抜きで逆転を決めた。

 第3ラウンドでもNabDのAttun選手は止まらず、トリプルキルを決めてラウンドを奪取した。しかし、第4ラウンドはファーストキルで人数優位を生んだNabDの慎重な攻めに対し、素早い回り込みで虚を突いたLythronaxが勝利。第5ラウンドではLythronaxの敵強すぎ!!選手による的確なグレネードキルから、人数優位を押し付けての勝利を収めた。NabDが2本、Lythronaxが3本のラウンドを取って折り返した。

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ここまではまさに互角のシーソーゲーム。だからこそ、グレネードなどでのファーストキルで生み出された最初の差が大きく響いてくる。

 第6ラウンドは先制2キルを取った赤陣営のLythronaxが有利かと思われたが、Bを制圧しながらあえて戻ったところをNabD側に強襲され、NabDがラウンドを制した。続く第7ラウンドは、今度はNabD側が人数優位を奪われても引かずに突撃したところを抑えられ、Lythronaxが奪取。どちらも作戦ミスかとも思われたが、結果的に新パターンの動きでゆさぶりをかけ合う形となった。

 第8ラウンドをNabD側が落ち着いて制し、4-4で迎えた第9ラウンド。足音でグレネードを相手の誘うなどして、NabDはここぞという場面で人数差を作った。だが、LythronaxのI'm.Ibrahimovic選手がその差を取り返すという、これまでの試合でも多く見られた展開で逆転勝利を収める。第10ラウンドもI'm.Ibrahimovic選手がヘッドショットを連発して制し、第2マップの勝利へとクランを導いた。

 これで第1マップをNabD、第2マップをLythronaxが制して、1-1の状態となった。勝敗は最後の第3マップに委ねられることとなった。

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実況のOooDa氏が「ここでIbrahimovic!」と何度も連呼するほど活躍が光る。スナイパーとアサルター、両方を試合ごとに変幻自在に変えるI'm.Ibrahimovic選手は、どちらのときでもクランの危機を救うストッパーとなっていた。

第3マップ 第3補給倉庫

 第3補給倉庫は見晴らしのいいロングレンジの場所が多く、爆破ポイントの位置関係からも、青陣営側が守りやすく有利とされるマップ。陣営選択権を持つLythronaxは、無難に青陣営スタートを選択した。青陣営を選ぶことで、場合によっては先に4、5ラウンドほど先取し、折り返し後に余裕をもって戦える可能性もあるわけだ。

 第1ラウンドはLythronax側の読みがしっかり噛み合い、さらにArch[NG]選手が4人抜きを達成する盤石の守りを見せ、Lythronaxが勝利した。第2ラウンドでは、NabDのAreshii選手が赤陣営側に生まれやすい布陣の穴をフォローする活躍を見せ、1本を取り返す。

 さらに第3ラウンドでも、NabDがファーストダブルキルを達成し、ラウンドを連取。手薄になって危ういかと思われた部分を、Areshii選手がしっかりと見張って押さえていく、完璧なフォローだ。

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このマップの赤陣営でまさかの2本連取。Areshii選手による、キャットウォーク侵攻を見切ってからの2連続キルは見事だった。

 第4ラウンドでは、NabDに傾く流れを断ち切るがごとく、Lythronaxの敵強すぎ!!選手がグレネードでの2キルを叩き出して逆転勝利へとつなげた。第5ラウンドは青陣営の有利を活かしつつ、引き続き敵強すぎ!!選手がダブルキルを出すなどして、Lythronax側が安定の勝利を収める。

 これで前半戦の獲得ラウンド数は、NabD側が2本、Lythronax側が3本。NabDは本数でこそ負けているものの、このマップの赤陣営で2本取るという難しい成果を出せた。

 陣営交代を挟み、続く第6ラウンド。青陣営に回ったNabDが有利かと思われたが、Lythronax側はアサルターのNucleus-Siam選手がトリプルキルを叩き出す。Aポイント前のロングレンジの場面でも、赤側の不利を感じさせないラッシュが決まり、ラウンドを制した。

 第7ラウンドではI'm.Ibrahimovic選手が、赤陣営では難しいファーストキルを奪取し、勢いをさらにつなげていく。第7ラウンドもLythronaxが制し、第8ラウンドもNucleus-Siam選手のファーストキルから始まり、Aポイントのロングレンジでの攻防でLythronax側がすさまじい強さを見せて勝利した。

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どちらのクランも研究の成果か、不利なはずの赤陣営でのラッシュが仕上がっていた。とくにNucleus-Siam選手の突破力には驚かされるばかり。

 第8ラウンドはLythronaxがリーチをかけた状態で迎えた。5on3の有利な状況で、時間をかけてAポイントロングレンジを軸に攻め上がる赤陣営のLythronaxに対し、NabDが意地を見せた。不利な状況からのダブルキルで形勢を覆し、ラウンドを取り返したのだ。

 さらに第9ラウンドでは、ファーストキルをNabDのAttun選手が決め、Lythronaxのラッシュを止めてラウンドを奪取。なんとしても5-5まで持ち込みたいNabD側が、Lythronaxの強烈な攻めに対応できるようになってきていた。

 NabDが4本、Lythronaxが5本ラウンドを取った状態で迎えた第10ラウンド。NabDはファーストキルを決められたものの、遭遇戦の撃ち合いで一気に優位に立った。

 だが、まさにその直後、LythronaxのArch[NG]選手の投げたグレネードが、狙い違わずNabDのAreshii選手とLionel選手を捕らえてダブルキルを達成。NabD側はuNiteD`選手ひとりを残すのみとなり、そのままの流れで決着。6本先取で第3マップを制したLythronaxが、2017年Final Stageの覇者となった。

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実況・解説陣、ならびに観客も、NabDが引き分けに持ち込むことを疑わなくなったその瞬間に突き刺さったグレネード。接戦が続いて息を飲んでいたこともあり、会場からは爆発的に驚きの声が上がった。
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優勝した直後、喜ぶというよりは「終わった……」とばかりに息をついたLythronaxの面々。それも納得の、精神力を極限まで注ぎ込む接戦だった。

 Lythronaxは急造チームということを感じさせない見事なフォローなどの連携を始終見せてくれたが、それも各人の高い実力がなせる業。それぞれの役割を完璧に理解していたからこそ、フォローすべき場面が分かっていたのだろう。個々の力を最大まで高めるとチーム力も自然と生まれるという実例を見せてくれた。

 MVP選手はLythronaxのI'm.Ibrahimovic選手。アサルターとスナイパーをどちらも完璧にこなし、チームの危機を何度も救った。クランマークの恐竜の進撃を思わせる活躍ぶりから、納得の受賞だったと言える。

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3位のWyVerNとZieleには賞金10万円、2位のNabDには賞金20万円と副賞、そして1位のLythronaxには賞金50万円と副賞が贈られた。
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2位となったNabDの選手が表彰式で涙を見せる場面も。会場の誰もがその涙に納得し、惜しみない拍手を送った。要素がひとつずれたらNabDが勝てていたであろう接戦だったのだ。
MVP副賞のゲーミングチェアに腰掛けたI'm.Ibrahimovic選手。「メンバー変更の都合で急遽スナイパーをやってみたんですが、案外いけそうっすね!」とのこと。

 今回のオフライン決勝大会では、圧倒的な技量がぶつかり合う接戦、予想しえなかった展開や感涙と、今年のシーズンを統括するかのような名勝負が観られた。

 2018年の4シーズンも、年明けからすぐさま始動していく。『サドンアタック』プレイヤーの皆さんには今回の大会の余韻も消えないうちからの戦いとなるが、さらに切磋琢磨して、今回の感動すらも上回る試合を見せてほしいところだ。

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最後に記念写真を撮影。この大会は終わったが、つぎの戦いはすぐに始まる! 詳細は『サドンアタック』公式サイトで確認していただきたい。