現実を受け入れることを拒否した精神に、彼女との思い出と異星の花が咲き誇る。各種VRにも対応する『Anamorphine』【IndieCade 2017】

Artifact5が海外で2017年配信予定の『Anamorphine』を紹介。病んだ男の精神世界を歩んでいく、セリフ等一切なしの一人称視点アドベンチャーゲーム。

 アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで現地10月6日から8日にかけて行われたインディーゲームイベント“IndieCade”で取材した中から、Artifact 5の『Anamorphine』を紹介しよう。

 本作は、海外では2017年にプレイステーション4/PCでリリース予定。今回プレイできたのは普通のモニターでプレイする通常版だがVR版も存在し、PSVR/Oculus Rift/HTC Viveに対応予定。また上記ローンチ後にXbox Oneでのリリースも予告されている。

 『Anamorphine』は、セリフなし、ボイスやカットシーンなし、ユーザーインターフェースなし、移動以外のアクションボタンなし、という削ぎ落とした構成でのストーリーテリングを試みる、一種の一人称視点アドベンチャーゲーム。

 物語は、フリーランスの自然写真家タイラーの視点から描かれる。彼とチェロ演奏家の妻エレナはアメリカに住んでいたが、エレナが高名なカルテットに加わるためにモントリオールに移住することに。

 が、とあるアクシデントによりエレナがうつ病を発症。それまでの生活や感情表現、そして情熱などを失ってしまう。そして何もしてやれない無力感や罪悪感から、タイラーの精神は現実を受け入れることを拒否し、彼の潜在意識は分断された過去の記憶と超現実的光景が混在する、不思議な世界へと歩み出す……。

 この壊れた精神の旅は、エレナの過去の姿が時折登場する思い出が詰まった部屋をはじめ、どう考えても地球上ではない異星の花が怪しく咲き誇る環境や、恐らくエレナが出演したのであろう劇場など、さまざまな場所に飛んでいく。

 進行は、すでに述べたようにアクションや謎解きなどはほぼないので、トリガーとなるポイントにたどり着くと、世界が溶け合わさって次のシーンになるという形。もちろん、その中に登場するエレナの姿や、起こっている事象から、過去に何があったのかを察していくことができる(察しなくてもいいのだが、多分はっきり伝えて欲しいタイプの人には向いていないソフトだ)。

どうやらこの精神の迷宮のハブになっているらしき場所。旅が進むに連れ、新たな扉が徐々に開いていく。

 そしてこれは精神世界で起こっていることだから、現実では不可能なことが起こる。物理法則はねじ曲がっており、大地がゆっくりとうねっていたり、部屋の接続が突然変化したり、別の空間が侵食し始めたり。

 また『サイコブレイク』シリーズや『Layers of Fear』などのホラーゲームに見られるような、「後ろを向いてみたらさっきはなかったものが突然登場している」とか、「見慣れた部屋の構造が盛大にバグった感じに出てくる」といった視覚ギミックもいろいろ用意されており、あくまでホラーではないのだが、なかなか精神的にクるものがある。

 果たしてこの荒涼とした精神の彷徨の果てに、タイラーとエレナに救いはあるのだろうか? コンソール版が国内で配信されるかについては不明だが、言語要素がほぼないので、少なくともPC版については海外版をプレイしても支障はあまりないはず(ただ記者が体験していないVR版では、空間が歪む演出で酔う可能性があるのを指摘していおく)。気になる人、かつタイラーの世界に引きずり込まれない程度には精神的に健康な人は、海外リリースの際にトライしてみてはどうだろうか。