10周年を迎えたインディーゲーム発掘イベント

気になるあのゲームの作者の肉声を聞きたい! センス・オブ・ワンダーナイト2017リポート【TGS2017】_01

 2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。開催2日目の9月22日、ひと目見たりコンセプトを聞いた瞬間にハッとし、世界が変わったような感覚を体験できるゲームを発掘するコンテスト“センス・オブ・ワンダーナイト2017”が、ホール11のe-sportsステージにて行われた。

 今年で10周年を迎えたこのイベント。過去の開催でノミネート・受賞した作品のいくつかが、製品化されて好調なセールスを記録したり、ノミネートを機にさまざまな場で注目を集めるようになったりと、インディーゲーム・シーンの中で一定の役割を担ってきたことは間違いない。

 今回は、300以上の応募作品から選出された66作品がTGS会場のインディゲームコーナーに招待出展され、その中から審査員によって厳選された最終ノミネート8作品が、それぞれの開発者自身によってレゼンテーションされた。

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小さなレストランを会場に始まったこのイベントも、年々規模が拡大し、TGS恒例のイベントとしてすっかり定着。さらに今回は、インディーゲームコーナーとの連携関係が強化され、多くの開発者にとって意義深いものとなった。

最終エントリー8作品ダイジェスト

29 / Humble Grove

公式サイト

 開発者自身の大学時代の体験をもとにしたストーリーが展開するノベルゲーム。場面転換時の演出技法は、開発者の舞台演劇経験を生かした大胆なものとなっている。『No Longer Home』というシリーズの第1エピソードにあたる本作は、2017年11月29日に、Steamとitch.ioにてリリース予定。

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Blink / nextReality Games

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 “光の残像”をギミックとして利用したパズルアクション。目を閉じる寸前に光が強烈に反射していた部分を足場などに利用し、本来のフィールドとタイミングよく切り替えながら、通常では進めないルートを開拓していく。「目を閉じた時の残像をギミックとして使えないか」というアイデアありきで、おおいに悩みながらシステムを構築していったとのこと。

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Old Man's Journey / Broken Rules

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 閃きや発想の転換がものをいうパズルパートと、主人公の老人男性の人生の思い出が綴られるストーリーパートを交互に楽しめる、今年5月にリリースされたiOS/Android用ゲーム。Broken Rulesを創業した5人のメンバー全員に子供ができたことで、“家族とキャリアと夢の追及”について向き合った結果、人生をテーマにした作品が生まれたとのこと。

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シュココーココ / 宮澤 卓宏

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 ソープボトルをコントロールデバイスとして使用した、イベント展示専用のシューティングゲーム。ソープボトルを傾けてプレイヤーキャラを移動、ヘッドを押して弾を発射……という操作を体験することで、すべてのプレイヤーや笑顔になれることを、プレゼンで強調した。

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StrangeTelephone / HZ3 Software

公式サイト

 特定の番号に電話を掛けると怪しげな音声が聴こえてくる……といった都市伝説をもとに開発された、摩訶不思議なムードの脱出ゲーム。プレゼンでは、電話をかけるごとに新たなワールドが自動生成される仕組みを丁寧に説明した。

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エントリータイトル/デベロッパー
EARTH DEFENSE SATELLITE / ニカイドウレンジ

公式サイト

 宇宙空間に浮かぶ地球を操作して、その衛星である月の軌道を制御し、地球に攻撃を仕掛けてくる敵に月をぶつける……という斬新な設定が特徴のアクションゲーム。プレゼンでは、イベント用特別バージョンを実際にプレイ。華麗さと危なっかしさが混在する絶妙な腕前によって、観客を大いに沸かせた。

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エントリータイトル/デベロッパー
Conga Master / Undercoders

公式サイト

 列を作って行進しながら踊る“コンガ”をテーマにしたアクションゲーム。コンガの真髄を探るため、実際にさまざまな場所でコンガダンスを経験して得た知見の数々をユーモラスに発表した。印象的だったのは、“不機嫌なマッチョや豚は、美しいコンガ・ライン形成の邪魔をする”という豆知識(?)。

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エントリータイトル/デベロッパー
ACE OF SEAFOOD / Nussoft

公式サイト

 オープンワールドの海洋を舞台した、2015年リリースのアクションシューティング。「食物連鎖の下位に甘んじる小魚が大型の海洋生物と渡り合うにはビームを発射するしかない」という発想のもと、海洋生物の生態の虚実をないまぜにした諸システムが導入されている。

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開発者たちの“リアル”がクローズアップされたイベント

 全プレゼン終了後に審査・発表された受賞タイトルは、以下の通り。

●Best Experimental GameAward
StrangeTelephone

●Best Technological GameAward
ACE OF SEAFOOD

●Best Game Design Award
Conga Master

●Best Arts Award
Old Man's Journey

●Best Presentation Award
EARTH DEFENSE SATELLITE

●Audience Award
ACE OF SEAFOOD

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 今回は、従来の選考基準に加えて「作った本人の話を直接聞いてみたい」という要素を重視したとのことで、ノミネート作品群のインパクトは、例年よりもやや控えめに。そのぶん、インディペンデントなゲームの開発者たちの実情が、さまざまな切り口のプレゼンテーションによってクローズアップされる形となった。

 イベント自体の印象としては、“新規性のあるゲームの発掘”というミッションと、“一夜の華やかなお祭り”としての側面が、ややかみ合っていないようにも感じた。 10周年という節目を迎え、新たな一歩を踏み出すことになる次回開催では、イベントの構成そのものでも“センス・オブ・ワンダー”を感じさせるものになっていることを期待したい。

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