河野一聡氏(こうのかずとき)

『エースコンバット』ブランドプロデューサー

“VRのバリュー”をひとつひとつ考える

 2017年9月21日(木)から9月24日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2017(21日・22日はビジネスデイ)。ファミ通ブースでは、“TGSスペシャル生放送”に『エースコンバット』ブランドプロデューサーである河野一聡氏が登壇した。

・ニコニコ生放送
ファミ通 TGSスペシャル生放送(9/21)【TGS2017】

・YouTube
【TGS2017】ファミ通特設ブース スペシャル生放送 【1日目(9/21木)】

 生放送では、“クルビット”や“コブラ”といった高度な空戦機動を再現した、いわゆるマニアックな人向けの内容のほか、PS VRコンテンツの一部として、ハンガー内に格納された戦闘機を鑑賞するプレイシーンも動画公開し、視聴者コメントが大いに盛り上がっていた。生放送後、河野氏にいまの手応えを語っていただいた。

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『エースコンバット』ブランドプロデューサー・河野一聡氏。

「ACE COMBAT(TM) 7: SKIES UNKNOWN」Game Feature Briefing Post Stall Maneuver

――生放送はとても盛り上がっていましたね。手応えとしてはいかがでしたか?

河野 まだTGSは開幕したばかりですからね(編集部註:インタビューはビジネスデイ初日の午前中に実施)。正直、生放送中は緊張していたため、コメントをしっかり見られていないのです。ユーザーの皆さんからの声はSNSなどでもチェックしていますが、海外のファンの応援メッセージなども多く、ワールドワイドなタイトルであることを実感しています。

――なるほど。空戦機動も、ファンのあいだで話題になりそうですね。

河野 実際に映像としてお見せするのは、このTGS期間中に公開したものが初めてです。これまでも、何度も強調していますが、これらの機動はワンボタンで出せる必殺技ではないんです。成功すればプレイが楽になるものでもないし、条件が揃わなければ失敗もしますし。

――上級者向けのお遊び的な要素なんですね。

河野 はい。実際の戦闘機の操縦に基づいた入力でできるようにしています。

――いまは誰でもプレイ動画の配信ができる時代ですし、見せプレイに走る方も多そうですね。

河野 ロマンが感じられるといいですね。うまく使っていただきたいです。

――もうひとつ、PS VRコンテンツの映像も生放送中に初公開しましたが、あちらも反響がすごそうですね。

河野 VR視点で、ハンガーの機体を鑑賞しているシーンですね。

――「こういうVRの使いかたもあるのか!」と、正直驚きました。

河野 昨日も社内で会議をしていて、“VRのバリュー(価値)”が話題になったんですよ。コックピットからの視点でドッグファイトを体験することはもちろん、ほかには、たとえばハンガーで愛機を下から眺めたり、ベイルアウトの瞬間をVRで体験したらどうなのか……とか。ひとつひとつの要素に“VRバリュー点”をつけていったら、それぞれ何点になるんだ? といったことを話し合っています。

――バリュー点ですか。ベイルアウトをVRはどうなんでしょう?(笑)

河野 先ほど挙げたのは、あくまでたとえばの話ですよ。弊社で玉置(玉置絢氏。『サマーレッスン』のプロデューサーであり、『エースコンバット7』のVRコンテンツの開発にも関わる)が担当しているタイトルの場合、“女の子とイヤホンをひとつずつつけて音楽を聴く”といったものも、VRのバリューになるじゃないですか。これを戦闘機好きな方に向けたものへと置き換えると、ノズルを覗き込んだり、ミサイルを間近で観察したりといったことになっていきます。とにかく、本作の開発では、ミッションを作る以外にも、さまざまな要素を突き詰めているというわけです。

――VRでのハンガー体験は個人的にも楽しみです。アヴェンジャーを下から見上げたら、どのように見えるのか気になります。

河野 生放送中にお見せしたのは映像ですが、実際にVR機器をかぶると本物の大きさを実感できて、ものすごく迫力があるんですよ。“そこに戦闘機が存在している”といったことが感じられる要素を、大事にしたいなと思います。

――TGS会場ではプレイアブル出展もされていますから、これから多くのファンが訪れそうですね。

河野 本日お見せした通り、開発は一歩ずつ進んでいます。こだわりすぎてゴールが遠のいて感じることもありますが。とにかく皆さんに応援していただけていることが、とてもありがたく、励みになっております。TGS会場に足を運ばれる方は、ぜひ試遊して忌憚のないご意見をお聞かせください。