『Quake Champions』初の世界大会は19歳の俊英が1on1とチーム戦とのダブル優勝。開発ミニインタビューとまとめてお届け【QuakeCon】

QuakeConで行われた『Quake Champions』のトーナメントは、なんと10年ぶりにデュエル(1on1)部門で新チャンピオンが誕生。その模様と、開発を率いるティム・ウィリッツ氏へのインタビューをお届けする。

●久しぶりに新たなチャンピオンが誕生

 アメリカのテキサス州ダラスで、8月24日から27日にかけて行われたゲームイベント“QuakeCon”。『Doom』や『Quake』といったタイトルによりFPSジャンルを確立したゲームスタジオid Softwareのファン向けイベントで、今年が22回目となる。
 そのQuakeConで毎年最終日のハイライトとして用意されているのが、世界のトッププレイヤーによる『Quake』シリーズの対戦トーナメント決勝戦。そこで新たな時代の始まりを垣間見ることができた。

 というのも2008年以降、大会のメイン種目であるデュエル(1対1)には『Quake Live』が使われ、なんと2016年までの実に9年間、ベラルーシのCypher選手とアメリカのRapha選手のどちらかが優勝するという形が続いていた。
 しかし今年は『Quake Live』から、先日PC版のアーリーアクセスが開始されたシリーズ最新作Quake Champions』に採用ゲームが世代交代。Cypher選手がヨーロッパ予選を勝ち抜いたもののビザを確保できずに出場を断念する一方(代わりに2回の優勝経験がある大ベテランToxjq選手が繰り上げ出場)、2連覇中だったRapha選手は決勝トーナメントにこそ残ったものの、準々決勝で強豪DaHanG選手に敗退してしまう。

 かくして「10年ぶりにQuakeConでCypherとRapha以外のデュエルチャンピオンを目にする」ことが確定となった決勝戦は、対照的なふたりの選手によって争われた。
 まずclawz選手は、Cypher選手と同じベラルーシ出身で、19歳の若き俊英。デュエルでは、予選トーナメントでRapha選手に土をつけたことで優勝候補に挙げる人も多かったロシアのCooller選手を倒しているほか、この直前にはTeam 2zのひとりとして4対4のチーム戦“サクリファイス”の決勝を戦い、優勝を決めている。
 一方オランダ出身のVo0選手は、なんと32歳。2005年にもはや伝説的プレイヤーのFatal1tyを相手にCPLワールドツアーの決勝を戦っているなど(結果は2位)、10年以上のキャリアがある大ベテランだ。高速な反応と正確なマウス捌きが要求されるアリーナタイプのFPSで、この年齢にして決勝に残っているだけでも驚異的。

 若く勢いに乗るclawz選手か、それとも12年前の忘れ物を取りに来た古豪Vo0選手か……そんな見立ての中で行われた戦いを制したのはclawz選手。取得マップ数3-0でサクリファイスとのダブル優勝を果たし、デュエルの優勝賞金10万ドル(約1100万円)を手に入れた。
 試合はclawz選手が終始優勢な余裕の試合運び。Vo0選手もいくつかラウンドを取ったものの、clawz選手を倒した際もなかなか相手を支配して連続キルするような流れに持ち込めず、一方でNyxのスキルである“Ghost Walk”で逃げようとした所をミスってキッチリ仕留められるなど、序盤からの苦しい流れを切り替えることができなかった。
 オッサン勢の記者としては試合終了後に立ち尽くしたまま勝利者インタビューを呆然と眺めているVo0選手に思わず涙が出そうだったが、新たな時代の始まりとベテランの奮闘に力いっぱいの拍手を送りたい。

▲果たして『Quake』シーンは新作とともに新たな流れを生み出せるのか? ひとまず新チャンピオンの誕生だ。

●Botを使ったモードや、Modサポートなども今後検討

 さて、競技シーンに新しい流れを感じさせた『Quake Champions』について、QuakeCon会場でid Softwareを率いるティム・ウィリッツ氏に少し話を聞けたので、その模様もお届けしよう。

――今回のQuakeConは、『Quake Champions』がアーリーアクセスで公開されてから最初のQuakeConとなります。最も熱心なファンからの反応はどうですか?
ティム・ウィリッツ(以下、ティム) とてもありがたいことに、みんなすごい楽しんでくれている。チャンピオン(キャラ)も愛されてるしね。ここで大会を戦っているプロプレイヤーが使っているチャンピオンにも(※特定のキャラクターにあまり固まらずに)多様性を見て取ることができると思う。作戦もいろいろ見受けられるしね。改善していくことはたくさんあるけども、現状については大いに満足している。

――Steamでのレビューなどもなかなか好調ですが、ネットワーク周りについて不満を述べている意見も見かけました。
ティム 実際もうこの時点でアップデートは用意してあるんだ。なぜリリースしていないのかと言えば、進行中のトーナメントが壊れてしまうのを避けるためで、大会が終わりしだい早々にアップデートすることになると思う。それでいろいろと修正・改善が行われるはずだ。(※パッチノートでは触れられていないためネットコードの改善については不明だが、実際、大会終了翌日にアップデートが配信された)

――これは前にも聞いた質問なのですが、再度確認させてください。『リーグ・オブ・レジェンド』のようなローテーションされる無料チャンピオン制度はないですか?(※ここでは、基本プレイ無料なゲームにおける、一定の期間ごとに無料で使用可能なキャラがローテーションで交代していく制度を指す)
ティム それは今のところないんだけども、『Quake Champions』の正式リリース時の仕様を改めて説明させて欲しい。まず誰でも使えるチャンピオンはレンジャーだ。そしてプレイするとFavorを稼げる。稼いだFavorを使えばレンジャー以外のチャンピオンの一時使用権が得られる。(ゲームのプレイを通じて手に入る)ルートボックスから特定のチャンピオンの使用権を得られることもある。それ以外に、チャンピオン単体で購入したり、あるいはいま販売している“チャンピオンパック”を購入することもできるという形だ。

――オフラインモードやBot対戦を追加する予定は?
ティム Botを使ったモードを来年発表しようと思っているけども、オフラインモードの予定はないね。オンラインには繋がっていないといけない。実装を予定しているのはフルなBot対戦とはまたちょっと違うんだけども、Botと戦うプレイを求めている人に向けたものになる。

――Mod(※ユーザー作成による拡張)についての予定はどうでしょう?
ティム 2017年のあいだはない。でも僕らは、それがファンにとって大事なものだというのをよーく知っている。だからまずはゲームを安定させて、来年には何ができそうか模索していくことになると思う。というのも、これは運営型のゲーム(Game as a Service)だし、それを導入してゲームが壊れちゃいましたということは避けたいからね。どういう形になるかは僕らもわからないけど、ニーズについては確かに認識しているよ。

――今回のQuakeConでは、『Quake Live』から『Quake Champions』に完全にシフトしつつある感じがしますね(※『Quake Live』の大会自体はあったが、メインのイベントは『Quake Champions』になった)。
ティム その通り。我々としては『Quake Champions』を遊んでほしい。もう『Quake Live』じゃなくてね。(直球すぎる発言に記者爆笑)いやまぁ、もう交代の時期なわけだよ。“バス”が動き始めたんだから乗らなきゃ。

▲会場内にはベセスダ・ソフトワークスやスポンサー企業のブースに試遊台が設置されており、ファンがチェックしていた。中には超絶若いプレイヤーも。それでもキルを取りまくるんだから、テキサスってぇのは怖い所です。

――バスに乗って、フィードバックしてくれと。
ティム そうそう。チャンピオンパックはアーリーアクセス期間中は正式ローンチ時より安いし、将来提供されるものもふくめて全部のチャンピオンがついてくる。「俺はF2Pは嫌いだぜ」って言うんならチャンピオンパックを買えばいいし、「俺は何十ドルも払いたくないぜ」ってんならレンジャーからスタートして、Favorやルートボックスでその他のチャンピオンを使ったり、あとは安い値段で単体のチャンピオンを購入するんでもいい。どっちもできるようにしてあるから。

――そもそもアリーナシューターというスタイルを確立した『Quake III Arena』当時はパッケージを買って遊んでたわけですしね。いくらだったか忘れちゃいましたけど。
ティム 確かあれは40ドルとかそんなものだったよね(※プレスリリースを確認する限り、1999年当時の正式な定価は59.99ドル)。ってことはだよ、約20年前より安いんだってば!