日本一ソフトウェアによるプレイステーションVita、プレイステーション4用ソフト『追放選挙』を原作とする舞台の公演が、2017年8月23日から2017年8月27日まで行われている。その模様をリポート!

●復讐のデスゲームが“2.5次元”舞台化!

 日本一ソフトウェアによるプレイステーションVita、プレイステーション4用アドベンチャーゲーム『追放選挙』。2017年4月27日に発売され、閉鎖された遊園地で少年少女たちがデスゲームをくり広げるという、ハードな内容が話題を呼んだ。

 同作を原作とする舞台が、2017年8月23日から2017年8月27日まで、東京・新宿村LIVEにて公演中。本稿ではその模様を、インプレッションを交えつつリポートする。

●一条要たちが舞台上で躍動する! 謎の新キャラクターも登場

 物語は、主人公の一条要を始めとする登場人物たちが、閉ざされた遊園地に連れてこられるという、ゲームと同様の流れから開幕する。遊園地の外には人間を食らう正体不明の化物が闊歩しており、管理者を名乗るアリスに従わなければ命の保証はないという設定もゲームと同様。管理者を名乗るアリスは、彼らに“追放選挙”を行うように強いる。

 演者たちはゲームキャラクターの衣装や性格を反映し、ゲームのファンなら思わず唸ってしまう程の完成度。双子キャラクターの蓼宮アーシャ、カーシャ姉妹は、実際に双子の俳優であるららぴさん、るるぴさんが演じている点にも注目だ。

 原作のゲームとは異なる部分もある。ゲームでは、最序盤に要が最愛の妹である一条美彩を失い、妹を追放したほかの人々に復讐を誓い、追放選挙を利用していくという流れになるのだが、舞台ではまた違った展開を見せる。物語のネタバレになるので詳細は伏せるが、陰鬱さのあるゲームのシナリオとはまたひと味違ったストーリーは、本舞台の見どころだろう。(とくにクライマックスは驚きの展開!)

 さらに、原作にはいなかった新キャラクターも登場する。彼らの立ち位置、くり広げる会話は、原作ゲームと本舞台との違いをさらに際立たせつつ、ゲームの世界観を広げるような提案で、興味深い内容だった。

 また、何より驚きのポイントというか、舞台ならではの魅力という点では、演者たちによるダンス(群舞)も見逃せない。クールな要も、愛くるしい姫野勇璃も、謎めいた忍頂寺一政も、オラついている絢雷雷神も、突如としてキレッキレのダンスを踊りだすのだ。“2.5次元”舞台ではよく演出に取り入れられるダンスだが、本舞台はとくに個性的なキャラクターが並ぶだけに、その人物たちが一糸乱れぬダンスを踊るさまを観ていると、背筋がゾクゾクとするような、不思議な感動がある。

 また、ゲームのBGM、効果音やゲーム主題歌の『Melody and Flower』(歌・遠藤ゆりか)がところどころで効果的に使用されたり、“共感覚”を持ち発言者のウソが赤い字で見えるという要の能力は赤いライトで表現されたり、選挙のシーンでは、ゲーム同様に発言者が伏せられる演出が入ったりと、さまざまな工夫が凝らされていて、「ああ、確かにこれは『追放選挙』だ」と感じさせられる。

●アリスどうするんだろうと思っていたら

▲原作ゲーム中に登場するアリス(声:五十嵐裕美)。

 原作ゲームでは、“追放選挙”と呼ばれるデスゲームの司会役として、アリスというキャラクターが用意されていた。アリスは自律する高性能AIであり、ホログラフによって主人公たちの前に現れている……という設定だったのだ。本作が舞台化されると聞き、あのキャラクターは、どう処理するんだろうと、素朴な疑問を持ちながら観劇した。2次元だからこそ表現できるキャラクターは、どうするのだろう、と。

 その答えは意外にも正攻法で、人間が演じているのだ。

 このアリス役を演じる橋本瑠果さんが非常にかわいらしく、また素晴らしい演技で、いきいきと舞台を動き回る。生身の人間なのにゲームのアリスを思い出させる動きやセリフ、しゃべりかたは、とくに印象に残った。もとは2次元のはずなのに、3次元の人間が演じてここまでしっくりくるものなのか! まさに“2.5次元”舞台という言葉通りの出来栄えだった。

▲AIのわりに感情豊かな原作ゲーム中のアリス。こういうアリスの感じが、すごくよく出ていたんです。人間なのに。

●原作ゲームのシナリオライター&イラストレーターにも直撃!

 この日、原作ゲームのシナリオを担当した西川真音氏と、イラストレーターの生煮え氏が観劇していたところを会場で発見! せっかくなので両者に直撃し、特別に本舞台の感想を語ってもらった。

――舞台をご覧になって、率直にいかがでしたか?

西川 要がいつ記憶を思い出すのか、注視しながら観ていたのですが……まさか、あそこでああなるとは!(笑) チェックさせていただいた段階の脚本からも大きく変わっていて、私自身も驚きながらの観劇でした。要が記憶をなかなか思い出さないことで、同じ場面を描いていても、ゲームでの見えかたとはまた異なり、群像劇の要素が前面に出ていて、新鮮な気持ちで楽しめましたね。

生煮え 開発している側の発想だとなかなか出てこない形の脚本になっていて、舞台が終わったあと、要はどうなっちゃうんだろう……と気になるところが、すごくおもしろかったです。自分がデザインしたキャラクターが舞台になり、生身の方に演じていただけるというのは、いいものですね。あと、アリスの方が、かわいかったですね(笑)。人間版もアリだなと!(笑) アーシャとカーシャを演じられているふたりの、双子ならではの息の合った感じも、さすがだなと感動しました。

 ……と、原作ゲームに深く関わったふたりも大満足の様子。本舞台は、2017年8月27日まで公演中。チケットは当日券も発売されるので、『追放選挙』ファンはぜひ足を運んでみよう。

 舞台『追放選挙』公式サイト