“WAR STORIES”は基本を学ぶのに最適なモード
2017年8月22日~26日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2017が開催。本記事では、Wargamingがサービス中のオンラインタンクバトル『World of Tanks Console』のPlayer Experience Specialistを務めるArlette E. Resendiz氏に、先日追加された“WAR STORIES”を始めとするコンソール版オリジナル要素について聞いたインタビューの模様をお届けする。
――8月22日に新コンテンツ“WAR STORIES”が実装されましたが、こちらはどのようなモードなのでしょうか?
Arlette まず、以前から多くのプレイヤーの方の意見として、「ゲームにも慣れていないにも関わらず、いきなりオンライン対戦に出るというのは敷居が高い」というご意見をいただいていました。ですので、私たちが最初に行ったのは、そういった方々のために、いきなりプレイヤーと直接戦うのではなく、AIを相手に練習ができるということをコンセプトにPVEモードをゲームに導入しました。こちらを導入したときには、新規のプレイヤーの方々だけではなく、既存のプレイヤーの方々にも大好評でして、そういったものを求めている方が多いということに気付いたんです。それ以降は、クリスマスや夏に合わせたコープ戦など、さまざまなテーマを持ったPVEを提供して、多くの方から「またやりたい!」と好評いただいたのですが、私たちとしては期間限定で出すのではなく、作るならしっかりしたものを作りたいという思いがあったので、今回はストーリーや目的がちゃんとあり、また新規の方々にもゲームに慣れていただけるような“WAR STORIES”を開発しました。
――開発にはそういった経緯があったのですね。では、具体的にどのような内容なのか教えてください。
Arlette “WAR STORIES”はその名の通り、ストーリーをベースにしたモードになっています。各キャンペーンは3つのストーリーで構成されていまして、今回実装されたキャンペーンは、“Brothers in Armor”と“Flashpoint Berlin”の2種類です。“Brothers in Armor”は、導入として新規の方に向けたチュートリアになっています。そして、“Flashpoint Berlin”は、よりゲームに慣れた方に向けたバランスに調整してあります。物語については、ゲームが史実の兵器に沿っているので、ストーリーもあまり史実から離れ過ぎたものばかりを出さないようにしたいと思っていて、“Brothers in Armor”は史実にあったストーリーに私たちが味付けをストーリーを拡大させたものでもあります。また、“Flashpoint Berlin”は史実にあったものとは違うのですが、もし、歴史の中でこういうIFがあった場合、どのようになるのだろうかというような、歴史から離れすぎないものにしました。ただ、そういうものばかりでは、逆にストーリーが限定的になってしまいますので、合間合間でファンタジー的なものも入れていきたいと考えています。
――“Brothers in Armor”は、新規の方のチュートリアルとのことですが、“WAR STORIES”は初心者向けのモードということでしょうか?
Arlette いえ、そんなことはありません。“WAR STORIES”はよくできたモードになっていまして、新規の方だけではなく、既存の方も楽しんでいただけます。たとえば、“Brothers in Armor”の目的の中のひとつに“味方を生存させる”という項目があるのですが、こちらは導入編なので、あまり活躍できなくてもクリアーはできようになっています。しかし、目的を達成するほど、報酬がよりよいものになっていくので、すべての目的を達成できるようにチャレンジしてみてください。また、“WAR STORIES”は、何度も楽しめるように、1度クリアーしたチャプターでは目的が変更されることもあります。そのほかにも、ストーリーモードをクリアーするとチャレンジモードが解放されます。チャレンジモードは、でこれまで自分がオンラインモードで開発してきた車両を使用して、ストーリーモードをプレイできるというモードです。ですので、本来、ストーリーモードでセットされている車両以外でもプレイできますし、高いTierの車両を使用した場合は、それに比例する形で難易度も上昇します。
――なるほど。
Arlette “WAR STORIES”でもクリアーで、車両を獲得できるます。その車両もしっかりとカスタマイズが行えるので、“WAR STORIES”を進めることによって獲得したアイテムや乗員を乗せ替えなど、さまざまなカスタマイズが可能です。また、マルチプレイモードで獲得したアイテムを“WAR STORIES”で使用することもできますし、その逆もできるようになっています。
――“WAR STORIES”とマルチプレイモードでは、どのような違いがあるのでしょうか?
Arlette ユーザーインターフェースにつきましては、基本的にはマルチプレイヤーと同じものになっていますが、マップ内で獲得できるアイテムがあったり、画面左上に目的が表示されていたり少し異なっています。また、当然ながら“WAR STORIES”はストーリーを楽しむモードでもあるので、マルチプレイモードのようにつねにどこかで戦闘が行われているわけではなく、特定のエリアに行くことで、それがトリガーとなって、そこから戦闘が始まるようになっています。敵のAIもただ走り回るだけではなく、できるだけプレイヤーに近い動きにしていますので、どのように立ち回ればいいのか、しっかりと学びながら練習することができます。
――各ストーリーは、コミック調のムービーで描かれますが、こちらを採用した理由を教えてください。
Arlette じつは、過去にアメリカで『World of Tanks』のコミックを出していまして、そのコミックが好評だったので、それをゲーム内で再現したいという思いがあり、今回はこの形を取らさせていただきました。
――“WAR STORIES”の開発中にあったおもしろい出来事などがあれば聞かせてください。
Arlette “WAR STORIES”の開発中の出来事ではないのですが、じつはサーバー側の情報として、各プレイヤーが戦闘中に倒した木の数を記録していて、過去にその木を倒した数に応じて勲章を与えようという案が出たのですが、それを入れてしまうと、プレイヤーが戦うことよりも木を倒すことに集中してしまう可能性があったので見送りました(笑)。
――“WAR STORIES”モードがコンソール版専用のモードであるように、『World of Tanks』では、PC版とコンソール版でゲーム内容の一部が異なっています。これにはどのような意図や狙いがあるのでしょうか?
Arlette 私たちは、PCゲーマーとコンソールのゲーマーというのは、同じゲーマーだとしても、まったくジャンルの違う方々だとしっかり理解しています。ですので、ただ単純にPCのゲームをコンソールに移植するだけでは、コンソールゲームのファンの方にはそぐわない形になってしまうと考えています。そういった考えから“WAR STORIES”はもちろんのこと、コンソール版専用のマップやゲームのバランス調整というのは、すべてコンソールのプレイヤーに向けた設定になっています。
――開発はたいへんではないですか?
Arlette 確かに、開発はゼロから作っているのと同じですので、非常にたいへんではありますが、そこがよいところでもあります。ゼロから作ることができるので、PC版では導入されていないコンテンツであったり、実装されていない車両というのを作るチャンスがあるわけです。たとえば、先日、ミンスクのチームから届いた車両で、Grizzly M4というものがあったのですが、そのデザインや塗装などをコンソールオリジナルものを作ることもできました。開発はたいへんなこともありますが、私たちのプレイヤーに向けた専用のものを提供できるという意味では、非常にメリットのあることだと考えています。また、私は会社としてもメリットが大きいと考えています。その理由としましては、私たちの部署で特別な何かを作ることによって、それがすばらしければPCで導入することができるからです。過去の例でいいますと、コンソール専用のマップとして、パシフィックアイランドというマップが、プレイヤーの方に好評でPC版に移植されました。開発チームが違うので、ライバル意識も生まれますし、すばらしいコンテンツを作ることで、資源の共有も行えます。そういうように、よりよいゲームをどんどん作っていけるような環境というのは、非常にすばらしいことだと思います。
――“WAR STORIES”の今後について教えていただけますか? 2017年の後半には新たにふたつのキャンペーンの追加が発表されていますが。
Arlette もちろん、今度どんどんストーリーを増やしていく予定です。“WAR STORIES”の内容を発表した後、多くの方から、「●●のようなストーリーを入れてほしい」というご要望をいただいております。その中でも以前からコラボレーションしている映画『フューリー』のキャンペーンを導入するのはどうかという声も上がっていて、私たちとしてもすばらしいアイデアだと考えております。
――最後に日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
Arlette ぜひ、“WAR STORIES”を楽しんでいきたいと思います。また、今後も多くのアップデートを実施していきますので、期待して待っていてください。