コミュニティーとのつながりがゲームをさらにおもしろくする
2017年8月22日~26日(現地時間)、ドイツ・ケルンメッセにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2017が開催。会期中に、『Destiny 2』の開発を手掛けるバンジー コミュニティーマネージャー、デイビット・ディージ氏にインタビューする機会をいただいた。いよいよ9月6日に発売される『Destiny 2』だが、同作に対する思いなどを聞いた。
gamescom 2017に合わせて解禁された、ヨーロピアン・デッドゾーンの新素材と合わせてご紹介する。
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――まずは、コミュニティーマネージャーとしてのお仕事の内容を教えてください。
デイビット コミュニティーとクリエイターのあいだをつなぐ役割を果たしています。バンジーはユーザーさんの声をものすごく大事にしているので、プレイヤーの方のサポートもこちらから密接に行っています。私たちでは、プレイヤーさんがゲームに触って、どういう印象をお持ちになったのかを聞いて、それをデベロッパーの方につなげていきます。もちろん、インターネットやTwitter、ストリーミングなど、コミュニティーの方が発信していることは全部チェックしています。そのことに対して100%の力を注げるスタッフがいることは、バンジーのユニークなところだと思っています。コミュニティーがどう思っているかを、スタジオとしてお互いにシェアして、コミュニティーの言っていることがゲームに活かされるようにしています。
――『Halo』のときからそうだったのですが、バンジーはそれだけコミュニティーを大切にしているということですね?
デイビット 1991年に設立されたバンジーは、『Marathon』シリーズや『Myth』シリーズを作っていたのですが、その時代からコミュニティーとは有効な関係を築いていて、プレイヤーだった人がそのままバンジーに入社というケースもけっこう多いんです。じつは私も、もともとは『Marathon』シリーズや『Myth』シリーズのプレイヤーでした。
――あら、そうなのですね。20年以上に渡るコミュニティーとの友好な関係があるといことですね?
デイビット ゲームのコミュニティーは、それぞれ個性的だと思うのですが、ゲーム経験を共有する人たちは、豊かなコミュニティーを作りやすいのではないかと思っています。プレイヤーさんはゲームの中でヒーローになるわけですが、たとえば『Destiny』では“悪”に対してみんなで戦うことになります。お互いにソーシャルスペースで会ったときも、お互いを“チームメイト”として捉えているし、“いっしょに悪と戦う”という共通意識があるので、つながりが深くなる。みんなで“コミュニティーが関わる世界をよくしよう”という協力のしかたをするので、ゲームと離れてチャリティーをやってみたりということもしています。『Destiny』のコミュニティーは、非常にすばらしい共同体だと思っています。
――そんなコミュニティーの前作に対する意見を聞いて、『Destiny 2』に活かしていると思うのですが、どんなフィードバックを反映したのですか?
デイビッド 『Destiny 2』を開発するにあたっては、もちろんファンの方からいろいろなインスピレーションをいただきました。「いままでバンジーがやってきたことは正しかったよ」といううれしい意見もいただきます。それらのコミュニティーに対して私たちに何ができるかを考えたときに発想したのが、 “もっともっとやりがいのあるゲームにしたい”との思いでした。本作ではキャラクターをパワフルにしたりしているわけですが、私の立場から言わせていただくと、“ソーシャルなゲーム”として充実したものにしたいと思っていました。ほかのチームと協力したり、会ったことのない人と出会うチャンスを与えたり……。“クラン”でお互いをサポートしてもらうということにも取り組みました。ファイアチームでミッションをこなすときに、どなたかに参加してもらってサポートするという“ガイデッドゲームス”というシステムも搭載しています。そういったことを通して、みんなで同じゲームを楽しめる。それにより、ストーリーもさらに充実したものになるわけです。
――ソーシャルスペースの“奥地”も、ユーザー相互のコミュニケーションを充実させる場として設置したものなのですね?
デイビッド “奥地”は“ハブ”として機能しています。“奥地”は旅をしていくなかで度々立ち寄るところなのですが、もらった“リワード”を使ってアイテムなどを入手して、自分を強力にしていきます。ほかのプレイヤーとのインタラクションがあって、サッカーをプレイするということも可能です。自分がガーディアンとしてどれだけ強くなったかを見せる場でもあるんです。
――先日オープンベータテストが実施されましたが、ユーザーさんの反応はいかがでしたか?
デイビッド 「ストーリーについてもっと知りたい」という声が多かったですね。「この先が知りたい」というご意見もいただきました。あと、競うという意味で意見がありましたので、そこは微調整する予定でいます。
――どういうところなのですか?
デイビッド “スーパーアビリティ”の強化などです。「武器を増やしてほしい」という要望もありました。“ヒーロー”としてもっとパワフルにしてほしいという声は多かったですね。そのへんもできるだけ調整しています。PC版のオープンベータテストが8月29日から行われますので、そこでも引き続き意見を聞いていく予定でいます。
――今回、“カウントダウン”というモードが搭載されましたね。
デイビッド “カウントダウン”は、敵拠点にチャージ(爆弾)を仕掛ける攻撃側と、チャージを処理する防御側が、1ラウンドごとに入れ替わるというモードです。PvPのひとつの形として、攻撃側と防御側に分かれて、話し合いながら戦うという状況を作りたかったんです。チャージを置くのにふたつの拠点があるので、チークワークが問われる。それだけやることが複雑になるわけです。
――『Halo』のときから、バンジーではマルチプレイに注力してきましたが、『Destiny 2』ではそのバンジーらしさが遺憾なく発揮されている感じですね。
デイビッド バンジーはいろいろな意味で、マルチプレイをゲームに取り入れることを愛してきました。それは“競う”という面においてだけではなくて、協力プレイやソーシャル要素においてもそうです。戦略を練っていっしょに遊ぶ場合もそう。ひとりでプレイしていても、まわりにはほかのプレイヤーがいる。つねに何らかの形で、ほかのプレイヤーといっしょに遊んで、経験を“共有する”ことを大事にしてきました。『Destiny 2』には、それが最先端の形として、盛り込まれているとは言えるでしょうね。
――昨今eスポーツが盛んですが、お話を聞いていると、バンジーの方向性としては、そこまでeスポーツに注力するといったことにはならなさそうですね。
デイビッド もちろんeスポーツに興味はあります。ただ、すべてのプレイヤーがヒーローになって、すべての人たちがインタラクションするというのが、『Destiny 2』でのおもな目的なので……。
――それにしても、『Halo』にしても『Destiny』にしても、世界観の作り込みが半端ないですね。
デイビッド そうですね。『Halo』と『Destiny』の共通点としては、バンジーがやっていることは、プレイヤーを“ヒーロー”としてキャストするわけですが、ヒーローが信じられない逆境に立たされながら、勇気を持って越えていくというすばらしいストーリーが展開されます。最後にプレイヤーが世界を変える。そこが同じです。そのための世界観の構築ということはあるのかもしれません。
――最後に、『Destiny 2』を楽しみにしている日本のファンに向けてひと言お願いします。
デイビッド 『Destiny』というゲームは、もちろんメインキャラクターがいて、プレイヤーがガーディアンを育てていくわけですが、そこには個人個人のパーソナリティーが入ってきます。コミュニティーとして、世界中も人たちが世界中の文化を持って、『Destiny』の世界に来てくれていることにすごく感謝しています。日本の皆さんもぜひ、この世界に参加してください。