体験するならいま
ストリーミングゲームサービスの“PlayStation Now(以下、PS Now)”をご存知だろうか? このサービスは、クラウドサーバーに格納された幅広いジャンルのプレイステーション4(以下、PS4)とプレイステーション3(以下、PS3)のタイトルを、対応したデバイスからストリーミング経由で遊ぶことができるというシロモノで、定額制の料金で好きなとき好きなだけゲームが楽しめるのが最大の売りとなっている。
筆者の場合、存在は知っていたものの全容を理解するにはいたらず、いまいちピンときていなかったというのが正直な感想だ。先日(2017年7月20日)、このPS NowにPS4のタイトル30本が一挙に追加され、幸いにもそのタイミングで本サービスを体験する機会を得ることができた。本記事では、実際に体験したPS Nowがどんな感触だったのかお伝えしていきたいと思う。
結論を先に言ってしまうと、超便利でかなりおいしい思いができたと言っていい。サービスにマッチする人は利用しないともったいないと思うので、損をしたくない人はぜひ読んでみてほしい。
そもそもストリーミングゲームサービスとは?
筆者は「ストリーミングとは何ぞや?」というところからのスタートだったのだが、ストリーミング技術をざっくり表現すると「おもに動画や音声データを見たり聴いたりする際に利用することになる技術のひとつで、最大の特徴はデータを丸ごとダウンロードせずに済む」ということらしい。その技術をPS Nowでも利用しているというわけだ。
PS4のゲームデータとなると数十ギガが当たり前の世界なので、これをタイトルごとにダウンロードせずとも取っ替え引っ替え遊べてしまうというのは非常に便利。いまは外付けハードディスクにも保存できるようになったとは言え、容量の確保は地味にたいへんだからありがたい。
しかも遊ぼうと思い立ってから約30秒後にはもう起動できてしまうというのだから驚いた。PS4のゲームがダウンロード途中で遊べたときも衝撃だったが、これもかなりの衝撃かもしれない。
それにしても起動が速いと感心したが、そもそもすべてのデータを落とさないのだから速いのは当然なのかもしれない。もはや通常のゲームを起動するのとあまり変わらない感覚と言えよう。なお、快適にプレイするには12Mbps以上の回線速度推奨とのこと。試してみたいけど速度が心配な場合は、接続テストができるのでそこで判定してもらえばオーケーだ。
ストリーミングゲームのデメリットを敢えて挙げるとすればオフラインでのプレイが不可能だというところだろうか。これに関しては致しかたない。
いま遊べるPS4タイトルは30本
2017年7月20日から、PS NowにてPS4タイトルの提供が開始された。『GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動』や『ウルトラストリートファイターIV』、『魔界戦記ディスガイア5』など、有名どころのタイトルもズラリ。詳しいラインアップは下記の関連記事を見てもらったほうが早いだろう。もちろん、今後も順次いろいろなタイトルが追加される予定だ。
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“PlayStation Now”に『ウルトラストリートファイターIV』、『EVOLVE』など30タイトルが追加
個人的にうれしかったのは『HEAVY RAIN -心の軋むとき- 』と『√Letter ルートレター』の追加。アドベンチャーゲームで遊びたい気分だったのでこれはラッキーだった。PS Nowでは『BEYOND:Two Souls』も遊べるが、こちらは現状PS3版のみ。ぜひともPS4版をラインアップに追加してもらいたいところ。
もちろん、PS3のタイトルも忘れてはいけない。PS Nowは200以上のタイトルが遊び放題と謳っているだけあって、ラインアップが非常に充実している。とくにPS3についてはまさに選び放題といった印象だ。地味にうれしいのは、PS4で、PS3のゲームを遊べるという点。ハードによる制限がないので、気になったタイトルをすぐ遊べるのは最高なんじゃなかろうか。
また個人的な話をさせてもらうと、PS3タイトルで遊び尽くしたいのは『アンチャーテッド』シリーズ、『バイオハザード』シリーズ、『無双』シリーズ、『アトリエ』シリーズ、『TOKYO JUNGLE(トーキョー ジャングル)』などなど。あとはシリーズで唯一トロフィーがコンプリートできていない『デモンズソウル』、ちょっと買うのが恥ずかしかった『夏色ハイスクル★青春白書(略)』もプレイする!
PCでのプレイは本体が不要!
何気にスゴイのが“PS Now for PC”のアプリを落とせば、PS3とPS4のタイトルがPCでも遊べてしまうところ。コントローラ(DUALSHOCK 4)は必要になるが(※PS3タイトルならDUALSHOCK 3でも遊べる)、本体は不要というのはかなり思い切ったことをしていると思う。いや、これめっちゃスゴくないか? 無知を晒して恥ずかしいのだが、本当にビックリしてしまった。
PS Now for PCは、基本的にPS4で立ち上げたときと同様のUI。プレイ履歴などもそのまま表示されるので、PS4で遊んだ後、続きはPCで遊ぶなんてときもスムーズに移行ができる。「セーブデータはどうするんだ?」と思うかもしれないが、セーブデータはどうやらサーバー上で管理されるらしく、ふつうに続きが楽しめてしまった。じつにすばらしい(なお、PlayStation Plus加入者であれば、PS NowのストレージからPS Plusのオンラインストレージへとデータを移行できるという)。操作にはDUALSHOCK 4を使用するため、操作感覚などに違いもないから安心だ。
また、PC版はウインドウモードでのプレイが可能なため、ほかのアプリを立ち上げた状態でもまったく問題ない。攻略情報を見つつ、ゲームを進めるなんてことも簡単に可能だ。格闘ゲームなどをプレイする際は技表を見ながら動かせるので重宝しそうだ。
購入を諦めたタイトルを遊び尽くす
言うなれば、PS Plusのフリープレイに未体験ゲームがきたときのうれしさみたいなものが、PS Nowにはごまんとあると言っても過言ではない。
遊びたかったタイトルを遊び尽くすのは当然だが、遊び尽くしたその後はさまざまな理由で“購入にいたらなかったタイトル”を見つけて遊んでみるのもおもしろい。ラインアップを眺めていれば、当時泣く泣く諦めたタイトルがつぎからつぎへと見つかるはずだ。そういったタイトルは微妙な心残りになっていたりもするので、そんな思いを払拭すべく遊び倒してやろう。
ブームに乗り損ねてプレイできなかったタイトルや、シリーズがたくさんあり過ぎて入りにくかったタイトル、高難度が売りで自分に合うかどうか自信がなかったタイトルでも、理由は何でもオーケーだ。筆者の場合は『英雄伝説 軌跡』シリーズ、『みんなのGOLF』シリーズ、『ラチェット&クランク』シリーズ、『AFRIKA』、『地球防衛軍4』などがその代表格といったところか。ぶっちゃけ枚挙にいとまがないほどの数があって、どれから手をつけようか悩んでしまっている。
見放題動画サービスと同じ感覚
ストリーミングゲームサービスを初めて体験したわけだが、最初は「手元にゲームが残らないのはどうなの?」なんて思いもあった。しかし、実際に触れてみると何てことはなく、dTVやHulu、Netflixなどの見放題の動画サービスを利用するような感覚で楽しめてしまった。そう考えるとまったく抵抗を感じないばかりか、急にお得に感じられてこのサービスがもっともっと充実してほしいとさえ思ってしまった。ハードを問わず、遊びたいときに好きなだけ遊べるって本当に便利だ。
ゲームを遊ぶ際、必ずしも最新作に飛びつかないユーザーであればPS Nowは絶対体験したほうがいい。筆者は最新ゲームもかなりの頻度で購入するが、1年のうちにちょこちょこと遊ぶゲームがない期間が存在する。そんなときだけでもPS Nowを利用するのはアリじゃないだろうか。月額制でちょっと敬遠しているだけなら、なおさらもったいない。
まあ、見放題動画サービスと比べるとちょっとお高いのは事実だが、同じ感覚でゲームが楽しめるのだからかなりお得じゃないか(※)? ゲームファンとしては1度体験してみてもらいたいところだ。
※1ヵ月利用権は2500円[税込]。3ヵ月利用権は、いまなら期間限定価格2950円[税込]で楽しめる(2017年8月31日まで。以降は通常価格5900円[税込])