『ファイプロ』ガチ勢女子が会場に集結!?

 2017年6月21日、東京・ロフト9渋谷にて、『ファイヤープロレスリング』(以下、『ファイプロ』)シリーズの最新作となる『FIRE PROWRESTLING WORLD(ファイヤープロレスリング ワールド)』(以下、『ファイプロ ワールド』)の発売を記念したトークライブが開催された。“待っていてくれて本当にありがとう!ファイプロ復活祭!”と題された本イベントでは、飯伏幸太選手、スーパー・ササダンゴ・マシン選手による『ファイプロ』トークや、『ファイプロ ワールド』ディレクターの松本朋幸氏による『ファイプロ』復活にまつわるエピソード、さらにはイベント来場者を交えた『ファイプロ ワールド』による対決、そしてアーリーアクセス版に関する驚きの発表など、内容も盛りだくさんとなった。本記事では、『ファイプロ』愛が飛び交った本イベントの様子をリポートしていく。

『ファイプロ ワールド』Steam版アーリーアクセスの詳細も発表! 『ファイプロ』トークライブリポート_01
▲写真左がスーパー・ササダンゴ・マシン選手、右が飯伏幸太選手。

 イベント第1部は、スーパー・ササダンゴ・マシン選手、飯伏選手によるトークセッション。両選手が登場すると、会場に集まった多くの女性からは黄色い声援が飛び交った。

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▲最近は合同練習をすることも多いという両選手は、イベントの翌日も朝7時から練習を行うというハードスケジュールだ。

 トークが始まると、スーパー・ササダンゴ・マシン選手は「試合よりも飯伏選手との練習のほうが楽しい」と語りつつ、新日本プロレスが主催する日本最大級のシングルリーグ戦“G1 CLIMX”への出場が決まった飯伏選手にエールを送った。「また出るのかよ、と思われないか不安」と語る飯伏選手を「それを言ったらほかの選手もそうだ(笑)」と明るく励ますスーパー・ササダンゴ・マシン選手だったが、G1 CLIMAX開催中は飯伏選手との合同練習ができなくなると聞いて「俺と石川さん(石川修司選手のことか?)はどうしたらいいんだ……」と沈む場面もあった。

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▲飯伏選手のオリジナルトレーニングは総合格闘技などの要素も取り入れており、「2分半程度で10分の試合にも相当する練習量になる」と語ったスーパー・ササダンゴ・マシン選手。

 リアルプロレス談義がひと段落すると、トークは『ファイプロ』の振り返りに移行。じつはそもそもプロレスを見始めたのが遅かったと語るスーパー・ササダンゴ・マシン選手は、『ファイプロ』を遊び始めたのも、1999年にプレイステーションでリリースされた『ファイヤープロレスリングG』からだという。それに対し、10歳ごろから初代『ファイプロ』を遊んでいたという飯伏選手は、“サムライ・ジロー”(越中詩郎選手にそっくりな『ファイプロ』キャラクター)が使う必殺技“サムライパワーボム”の爽快感に魅せられ、その体験が自身が使うパワーボムにも影響を与えたそうだ。

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▲『ファイプロ』を遊んだことがない友だちとプレイして、圧倒的に勝利するのが好きだった、と意外な一面ものぞかせた飯伏選手。

 「当時どんなレスラーをエディットしていたか?」という話題では、飯伏選手が作っていた“最強の選手”が注目を浴びた。打撃、投げ技、飛び技どれも最強に設定されたというそのレスラーの外見は、ボディサイズを最大級にしたまさかの力士風で、しかも太ももの筋肉を強調するために脚にはレガースを装着していたという。これを聞いたスーパー・ササダンゴ・マシン選手に「自分の名前付けてたでしょ? 英語も入れてたんじゃない? “フェニックス・コウタ”とか(笑)」と怒涛の質問ラッシュを浴びせられ、「名前は入れていたかも」と答えた飯伏選手だったが、正確な名前はさすがに覚えていないとのことだった。

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▲「恥ずかしくて言えないだけじゃないの?」と問い詰めるスーパー・ササダンゴ・マシン選手。もしかしたら一理ある……?

 飯伏選手が12年前に『ファイプロ』の記事で男色ディーノ選手と共演した雑誌を持参して当時を振り返ったり、スーパー・ササダンゴ・マシン選手が会場に集まった飯伏選手ファンと思われる多くの女性に対し、「じつは飯伏選手のファンを装ったガチの『ファイプロ』勢だ」という鋭い(?)予想を立てたりするなど、ふたりの『ファイプロ』談義は終始盛り上がりを見せた。

『ファイプロ』復活の経緯を松本Dが語る!

 続く第2部では『ファイプロ ワールド』ディレクターの松本朋幸氏が加わり、最新作に関する質問に答えていった。

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▲松本氏は「『ファイプロ』を作るためにゲーム業界に入った」と語るほどの『ファイプロ』狂だ。

 まず、多くの人が思ったであろう「なぜ復活に12年もかかったのか」という質問に対し、松本氏は「売れなかったから」ときっぱり答えた。前作にあたる『ファイプロ・リターンズ』(2005年)は売上が4万本程度。当時でもゲームの開発には最低でも1億円がかかっており、開発費を回収するには5万本は売れる必要があったため、会社では『ファイプロ』の“ファ”の字も出せないような空気になっていたという。海外ではスーパーファミコン時代のように10万本以上を売り上げていたが、「『ファイプロ』は日本の文化じゃないですか」と松本氏は語り、『ファイプロ』シリーズではあくまでも日本を主軸にしたいという思いを露わにした。

 『喧嘩番長』シリーズを作りながら『ファイプロ』シリーズの企画を長年にわたって7回もプレゼンし続けた結果、Steamの市場が大きくなってきていることもあって、ついに新たな『ファイプロ』を始動させることができた、と松本氏は語る。

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▲じつは『喧嘩番長』シリーズもプレイしていたという飯伏選手。松本氏からは「じゃあいままでの『喧嘩番長』を全部お送りしますよ!」という太っ腹な提案も。

 『ファイプロ ワールド』でこだわった部分や、作品のポイントを聞かれると、松本氏は「『ファイプロ』が『ファイプロ』であることをいちばん大事にした」とコメント。3Dが当然どころか、VRなどの最新技術が飛び交うこの時代だが、「『ファイプロ』はやはり2Dであってこそ」と、“『ファイプロ』らしさ”へのこだわりをアツく語った。
 また、本作でシリーズに初めて実装されたオンラインモードについて、「『ファイプロ』ユーザーはみんな“自分がいちばん強い”と思っているけど、上には上がいることを教えたい」と、オンライン対戦によって世界中の強者と戦ってほしいとの思いを強調した。「対戦がガチすぎると遊んでいて疲れるのでは?」とスーパー・ササダンゴ・マシン選手が危惧すると、松本氏は「プロレスとして対戦をする遊びかたもある」としたうえで、コンピューターどうしの戦いを観戦するモードも搭載されていることを紹介。観戦モードではいっさいのラグが発生せず、試合をスムーズに楽しむことができるとのことだ。

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▲トーク中に来場者からの差し入れとして出されたアイスクリームを食べるスーパー・ササダンゴ・マシン選手。ただの食事ひとつとってもこのインパクトである。

 続いて、「昔の『ファイプロ』で“冴刃明”(前田日明選手にそっくりな『ファイプロ』キャラクター)がやたら強かったのは、開発者の個人的な思い入れがあったのか?」という質問に対しては、『スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL』(1994年)まで制作に関わっていた須田剛一氏が前田選手のファンだったという事実が明かされ、「やっぱりか」という声が上がった。それ以降のシリーズでは、『ファイプロ ワールド』の開発にも参加している田村季章氏が作成した膨大なデータをもとに選手が作られており、田村氏は選手のパラメータ設定については公平になるように努めているという。スーパー・ササダンゴ・マシン選手が「開発中に選手が初めてベルトを獲った場合にはパラメータも調整されるの?」という興味深い質問をすると、回答はイエス。選手の活躍などに応じてゲーム内設定の見直しも行っているとのことだ。
 また、「新技を追加する場合、どれくらいの期間で実装できるのか」という質問に対しては、およそ2週間もあれば大丈夫という驚きの回答が得られた。Steamでのアーリーアクセス版に実装してほしい技があれば、TwitterなどのSNSで“#ファイプロ”、“#firepro”のハッシュタグを使ってどんどん投稿してほしいということなので、「あの技は外せない!」という人は積極的にリクエストを投稿しよう。もっとも、松本氏は「投稿される技の大部分はすでに実装されている」と豪語しており、技の豊富さにも期待が高まる。

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▲飯伏選手がG1 CLIMAXに向けて開発している技を実装しよう、という話題で「マジで作りましょうよ!」とテンションが上がる松本氏。ぜひとも実現してほしいが、果たして……?

 そして、『ファイプロ』ユーザーならば誰もが気になる、収録キャラクターについてだが、『ファイプロ ワールド』は大人の事情で“サムライ・ジロー”や“冴刃明”のような実在の選手にそっくりなキャラクターは収録されていないとのこと。「実在の選手を育成するために団体も手間やお金をかけているのだから、それを横取りするのはよくない」と語りつつも、そのぶんエディット面がかなり強化されているので、そこに期待してほしいというのが松本氏の意見だ。顔や髪型からマスクの装飾など、かなり多様なパーツを駆使することができるので、プロレスラーに限らず「再現できない人はいない」という。

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▲オリジナルレスラーだけだと味気ないか、と思いきや力士ルックで強烈なインパクトを与えた“暁富士”。レガースを装着すれば飯伏選手が昔作った最強レスラーにうりふたつ?

 また、Steamのワークショップを使うことで、エディットしたレスラーのアップロードやダウンロードができるため、自分で作るのが苦手という人もエディット職人の作ったレスラーたちで遊ぶことが可能だ。レフェリーやリングなどのエディットも可能となっており、今後も細かい部分のエディット機能を実装していきたいとのことなので、アーリーアクセス版リリース後の動向にも注目したい。

 松本氏への質問が終わると、実際にスーパー・ササダンゴ・マシン選手や飯伏選手、さらには松本氏を再現したレスラーを使ったエキシビションマッチが行われた。大技が決まるたびに歓声が沸くなど、まるで実際のプロレスを観ているかのような盛り上がりを見せた。

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▲試合は登壇者5名によるバトルロイヤル形式。ひと目でそれと分かる再現レスラーのクオリティの高さはさすがだ。
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▲試合が始まると全員がプレイに集中してほぼトークがなくなるという珍事も。リングの上ではいつでも真剣勝負なのでしかたない。
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▲凶器攻撃や急所攻撃といった極悪戦法で暴れまわる松本氏の再現レスラー。暁富士やスーパー・ササダンゴ・マシン選手の顔面も血に染め上げられた。
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▲5人の猛者による激闘は、飯伏選手がジャーマンスープレックスホールドで暁富士を沈めて決着。飯伏選手は実際の試合に勝利したかのような喜びよう。