サッカーゲーム『FIFA 18』インタビュー。より危険なクロス、トッププレイヤーの個性を活かしたムーブ、ライブ感の増したスタジアムでさらに進化【E3 2017】

エレクトロニック・アーツのサッカーゲームシリーズ最新作『FIFA 18』についてインタビューを行った。

●収録リーグなどは今後発表予定

 エレクトロニック・アーツのサッカーゲームシリーズ“FIFA”。その最新作となる『FIFA 18』は、日本でも2017年9月29日にプレイステーション4/Xbox One/PC/Switchで発売予定。E3の開催前に行われた同社の独自イベント“EA PLAY”で、本作のNarrative Director(ストーリーモードを主に担当)するMatt Turner(マット・ターナー)氏に話を聞いた。


――『FIFA 18』のデモを遊んで面白かったんですけど、動きに関しては前作より少し重めの調整と感じることもありました、実際どうなんでしょう。
Matt うーん、そう感じるシチュエーションがあったのかもしれないけど、基本的に遅くなってはいないはず。むしろ爆発力という点では増している。リアルプレイヤー・エモーション・テクノロジーという新しいアニメーションシステムが、よりプレイヤーにコントロールの幅を与える土台ともなっていて、特にドリブルでの反応性も向上させている。動きと動きの繋がりがこれまでになくスムーズになっているから、そこで違和感を感じたのかもしれないね。

――となると、使ったチームや何かのシチュエーションによる問題だったかもしれませんね。
Matt それとトッププレイヤーについては、それが本当にトッププレイヤーのドリブルなんだという感じが得られるはずだ。どんな場面、どんな方向にでも反応よく爆発的にボールを切り返していける。トッププレイヤーのスキルレベルの違いがわかることは重要だ。ボールさばきには自信がある。
 またプレイヤー・ポジショニング・システムにより、攻撃している時に周囲の選手がサポートしてくれるのでフィールドで直感的に動ける。ファイナルサード(※ゴール前のエリア)にズムーズに行ける。これも重要だ。今作のAIはデフォルトとしてそれぞれのチーム・スタイルに従って動くので、レアル・マドリーならレアル・マドリーのチームとしてプレイしているように感じる。これも大きな特徴。

――FIFAの新作が出ると毎度のように“ティキ・タカ”(※バルセロナやスペイン代表の細かいパス交換とポジションチェンジをくり返しながらゴールに迫るスタイル)や、“ゲーゲンプレス”(※相手ボールになった瞬間からプレスをかけ、高い位置で奪い返してショートカウンターを狙う戦術)なんかを再現しようとしてあれこれ試すことが多かったので、最初から設定が作り込んであるのはうれしいですね。
Matt そう、今回はチームスタイルがもっとそこを考慮しているので、そのままプレイしても周囲がちゃんとそう動いてくれて、そのチームのスタイルを描いてくれるはずだ。

――昨年、初めてJリーグが入りましたが、今年はどうでしょうか。
Matt 収録リーグについては自分の専門じゃないので回答できないんだ。(※広報担当から「収録リーグは今後発表する形になります」とフォロー)

――今回、トッププレイヤーをキャプチャーして個性を反映しているとのことですが、どのようにカバーしているんでしょうか。例えばリーガ・エスパニョーラの全選手にそのレベルのキャプチャーを行うことは難しいですよね。
Matt そう、全員は難しい。6種類の原型があって、それを基礎にして身体能力や技術などのパラメーターを設定していくというやり方が基本だ。その上で、例えばグリーズマン(アトレティコ・マドリー)なら、テクニカルなスキルが特徴的なので、キャプチャーを元に彼らしい部分を再現する。ソフトなボールタッチやフリックオン(※パスをすらして別の選手やスペースに流すプレイ)などで彼固有の部分を実感できると思う。あるいはクリスティアーノ・ロナウドなら、彼がスプリントしている時の特徴的な腕の振り方は彼固有のものとして入っている。ロッベンも腕の振り方が固有モーションになっているね。一方でスターリングについてはターンする時に彼専用の動きをするんだ。

――いくつかの固有モーションは見かけ上のもので、いくつかはプレイにも影響してくるということでいいですか?
Matt そうだね。ドリブルなんかはリアルプレイヤー・エモーション・テクノロジーの一部になっている。ガッとカットインした時も足元にボールがちゃんとあって、そこからスムーズに切り込んでいけるといった感じだ。

――『PES 2017』(ウイニングイレブン2017)についての感想はいかがですか。個人的に去年はかなりいい仕上がりだったと感じているんですが。
Matt いいゲームだったね。ファンタスティックだったと思う。僕らはPESを体験できる機会があればいつも遊ぶようにしているんだけど、いい感じになっていた。我々には我々のこだわりがあって、我々のやりたいこと、我々の実現したいフットボールをゲームにしているわけだけど。

――今年のカンファレンスでは先端研究チームのSeedについて発表されました。グラフィックは当然のこと、スポーツゲームでもディープラーニングなどを応用したAIなどの進化が非常に役に立つと思うのですが、いかがでしょうか。
Matt 自分はFIFAチームに属していてSeedのメンバーとは直接やり取りしていないけれども、そういった領域には夢があると思う。あのチームはゲームを進化させる新しい方法を専門に模索していくわけで、それがいつになるかわからないけども、近い将来すごいコラボレーションができるんじゃないかと感じているよ。

――ひとつ確認したいんですけど、Switch版はFrostbiteエンジンを使っているわけではないんですよね?
Matt それは僕よりもアンドレイの方が詳しいね。(※Switch版担当プロデューサーのAndrei Lazaresco氏を呼んでくれた)
Andrei Lazaresco氏 そうですね。Frostbiteではなくて、Switch用にカスタムしたエンジンを使っています。結構いいでしょう?

――はい。ちゃんと現行のFIFAとして遊べました。というのも、過去にも携帯ゲーム機版などで機種特化したFIFAがありましたけど、ちょっと手触りは違う感じだったので。PS3/Xbox 360版のエンジンの移植かなんかですか?
Andrei Lazaresco氏 移植ではなくて、あくまでSwitch用にカスタマイズして作った独自のものになります。

▲既にお伝えしたように、Switch版はJoy-Conひとつずつでの対戦プレイも可能。

――これは個人的な質問ですが、あなたのチームに遅いディフェンダーがいる時、速いドリブラーにどう対処しますか?
Matt 難しいね! 実際それはプロの監督が実際に頭を悩ます問題だから。すでに話したように、プレイヤーが意図したようにプレイできるよう操作性を上げているから、オバメヤン(ドルトムント)やディバラ(ユベントス)やグリーズマンにスピードに乗られると危険だ。まずは自分のチームに彼らを抑えるための何があるかを把握することだと思う。それによってパスの出しどころを抑えていくとか、一気にスピードに乗らせないようにするとか……。それ以上の完璧な答えを見つけたら、多分僕はどこかに監督として雇われるだろうね(笑)。

――スタジアムの雰囲気について改善したそうですが、その点について詳しく教えてください。
Matt もちろん! できるだけ多くのスタジアムから本物のフットボールのエッセンスを取り込むのは、我々としても重要だったポイントなんだ。スタジアムに出ているバナーなんかも異なるし、南米のスタジアムはピッチにゴミが落ちていたりする。それは現地でのリアルさの一部だからね。また観客もよりダイナミックになって、ピッチで展開されている試合ともっと連動するようになった。

――前作のスタジアムもそれ以前と比べて進化してはいたんですが、まだプログラムでコントロールされている感じがしました。確かに今年のデモはもっとライブな感じになりましたね。
Matt そう、場所が違えばスタジアムの雰囲気もファンのノリも違う。まさに実際のスタジアムのライブな感じを目指した。

▲熱狂的なサポーターで知られるアルゼンチンの雄、ボカ・ジュニオルスのメインスタジアム“ラ・ボンボネーラ”もこの通り。

――新しいクロスボールのシステムのコンセプトについて話してください。
Matt 基本的にクロスボールをもっと危険なものにしたかったんだ。ウィンガーからシュッと巻いてゴール前に入ってくる危険なクロスを目にして息を呑むことがあると思うけども、ああいう怖さを出したかった。依然としてコントロールの幅は用意しているけども、デフォルトのクロスとしてはそこを目指している。

――ストーリーモードでは、「(主人公の)アレックス・ハンターが移籍するらしい」という設定のデモが遊べて、その噂を追う体裁の映像も公開されました。彼はどうなるんでしょうか?
Matt ハハハ、まさにそれがテーマのひとつだからネタバレはできないけども、今回の彼の物語はグローバルなものになる。フットボールは世界中で行われているスポーツだからね。それをアレックス・ハンターという架空の選手を通じて体験することになる。ブラジルで休暇を過ごしたかと思えば、プレシーズンではここロサンゼルスに遠征して、そして(※これまでの舞台だったイングランドの外の)ヨーロッパでも話が進む。

――ということは、プレミアリーグ以外に移籍する可能性も? 前作では僕は自分が好きなサンダーランドに彼を入団させたのですが、あんまりうまくプレイできなかったので、よりによってライバルチームのニューカッスルにレンタルで出されてしまうというハメになりました。
Matt そうかもしれないし……もしかするとそうじゃないかも。後は遊んでみて、という感じだね。

▲記者の『FIFA 17』のアレックス君は伸び悩み、チャンピオンシップ(2部)かつ最大のライバルチームにレンタルされてしまったが、公式には順調にワールドスターへの道を歩んでいるようだ。

――アレックス・ハンターとしてうまくプレイするアドバイスはありますか?
Matt アレックス・ハンター個人のみを使って通しでプレイする以外に、通常のゲームのようにチームの全員を使ってプレイするオプションもあるので、合う方で遊んでもらうというのもいいと思う。実際に、どちらを好むかは半々に分かれている。より主人公の気分になるためにハンター個人としてプレイしたい人もいるし、やっぱり全員を使ったチームとしてのプレイを好む人もいる。ちなみにオプションという点ではハンターのカスタマイズが可能になっていて、彼の髪型やタトゥー、服なんかを選べるようにもなった。

▲専門はストーリーモードとのことなのだが、当然関係してくるプレイ面の改善点なども詳しいので、全般について答えてもらった。