劇中曲は、ニコニコ動画で人気の楽曲「吉原ラメント」

 2017年4月29日~4月30日、千葉・幕張メッセにて開催されている、ニコニコ最大のイベント“ニコニコ超会議2017”。本記事では、このニコニコ超会議2017の目玉のひとつ、超歌舞伎“花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)”をリポートする。

中村獅童、初音ミク主演の“超歌舞伎”が再び! 伝統文化と最新技術がさらに融合した演出に驚嘆【超会議2017】_02

 昨年の“今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)”に続き、2回目の登場となる超歌舞伎は、日本の伝統文化と最新テクノロジーを融合させた新しいエンターテインメント。今回も、歌舞伎役者の中村獅童さんと、電子の歌姫・初音ミクさんが主演を務める。描かれるのは、町人社会を題材にして展開する“世話物”で、獅童さん演じる伊達男・八重垣紋三に、ミクさん演じる未来/花魁・初音太夫が恋をすることで物語が動いていく。

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 今回のポイントとしては、ニコニコユーザーにはおなじみの“重音テト”の曲「吉原ラメント」が劇中曲として使用されていること(アレンジがカッコいい)、重音テトさんが仲居・重音として出演することが挙げられる。「吉原ラメント」は、花魁の心情を歌った曲。劇中の初音太夫のセリフには、「吉原ラメント」の歌詞をモチーフにしたものもあり、ファンなら「おっ」と思うことだろう。

 さて物語は、前回の“今昔饗宴千本桜”で、獅童さん&ミクさんが演じた千本桜の守り手に敗れた青龍が、再びこの世に蘇るため、澤村國矢さん演じる蔭山新右衛門を呼び寄せることから始まる。青龍は蔭山新右衛門に乗り移り、新右衛門は不思議な力を得る……。

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 と、物語の発端となるシーンが終わったところで、口上(役者による冒頭のあいさつ)がスタート。獅童さんとミクさんが舞台に登場し、屋号(歌舞伎では、舞台上の俳優を褒める意味合いで、その屋号で呼びかける習慣がある)の説明などをしてくれた。

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▲ステージ上のスクリーンに映し出されるミクさん。獅童さんとの共演は2回目ともあって、息もぴったり。

 ここで記者が感じたのは、屋号をかける人が格段に増えたということ。昨年は、超歌舞伎が初の試みということもあってか、とくに初回公演ではかけ声も控えめだったが、今回は序盤から「紀伊国屋!」(國矢さんの屋号)、「萬屋!」(獅童さんの屋号)、「初音屋!」(ミクさんの屋号)と叫ぶ人が多く、超歌舞伎がユーザーに浸透したのだとしみじみと感じた。

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▲前回同様、ニコニコ生放送での中継では、AR技術を使用。ミクさんが本当に舞台の上にいるかのように見える。
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 口上の後は、町娘だった未来が、いかにして初音太夫になったかが語られるプロローグが展開。中村蝶紫さん演じる葛城太夫の花魁道中を見て、花魁に憧れた未来は、成長し、初音太夫として廓で随一の花魁になる。

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▲中村蝶紫さん演じる葛城太夫。彼女の花魁道中を見たことがきっかけで、未来は初音太夫に。
▲CGシーンの演出も、昨年の超歌舞伎からパワーアップしていると感じた。衣装の刺繍の質感は見事。

 そしてある日、初音太夫は、道で出会った八重垣紋三に一目惚れ。初音太夫に思いを寄せていた新右衛門は、それがおもしろくなく、紋三に喧嘩をしかけるが、仲居の重音に仲裁される。そして重音は、初音太夫からの恋文を紋三に渡し、新右衛門には、初音太夫が彼の思いを断る手紙を渡す。

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▲電話屋さんとは、超特別協賛/技術協力のNTTのこと。屋号も「電話屋」です!
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▲禿に手を引かれて、初音太夫のもとへ向かう紋三。禿の愛らしさに、「かわいい!」というコメント多数。
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 再会を果たす紋三と初音太夫。しかしそこに、新右衛門の手先が現れて……。ここからは怒涛の展開! 激しい戦いが始まる。超歌舞伎の特徴である、役者の演技とCGが合わさった演出がたっぷりと楽しめる。

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▲新右衛門と紋三。新右衛門が持っているのは錫杖という道具なのだが、前回の超歌舞伎で「自撮り棒に見える」と話題になり、今回もコメントで「自撮り棒キター!」と大盛況。
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 NTTのイマーシブテレプレゼンス技術“Kirari!”を使用した、役者の分身をスクリーンに映し出す演出も健在で、その見事さに記者は思わず「おおおっ」と声を出してしまった。資料によれば、画像処理のアルゴリズムの高度化により、細部まできれいに抽出して映像化できるようになったとのこと。

中村獅童、初音ミク主演の“超歌舞伎”が再び! 伝統文化と最新技術がさらに融合した演出に驚嘆【超会議2017】_18

 そして炎に包まれる廓。初音太夫が炎を鎮めるために取った行動とは? 超歌舞伎ならではの、まるでライブ会場のように盛り上がるクライマックスの流れは必見!

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 昨年も同じことを書いたのだが、「こんなすばらしいエンターテインメントを、ニコニコ超会議の入場料(※アリーナ前方席は、“指定席付入場券”(4000円)購入者専用の席)だけで観ることができてしまっていいのだろうか」と思ってしまう。ニコニコ生放送にいたっては無料だし……。何度見ても楽しく、会場とネット配信、それぞれにおもしろさがあるので、ぜひ体感してみてほしい。

・超歌舞伎 supported by NTT「花街詞合鏡」13時の部@ニコニコ超会議2017[DAY1](リンクは→こちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293011846

・超歌舞伎 supported by NTT「花街詞合鏡」16時の部@ニコニコ超会議2017[DAY1](リンクは→こちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293012046

・超歌舞伎 supported by NTT「花街詞合鏡」13時の部@ニコニコ超会議2017[DAY2](リンクは→こちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293012429

・超歌舞伎 supported by NTT「花街詞合鏡」16時の部@ニコニコ超会議2017[DAY2](リンクは→こちら
http://live.nicovideo.jp/watch/lv293012429