“エムツー ショット トリガーズ”第2弾『弾銃フィーバロン』発売記念ロングインタビュー ダンスエナジー全開で制作された熱い情熱を、開発スタッフに聞く

“エムツー ショット トリガーズ”第2弾『弾銃フィーバロン』が2017年4月28日に配信開始! ここでは、エムツーのスタッフによるインタビューをお届けする。

●シューティングゲームを愛する皆さんに贈る!

 往年の名作ゲームを完全復刻+αの形で現代に蘇らせる“エムツー ショット トリガーズ”。その第2弾として2017年4月28日に配信となったのが、現在も人気シューティングを作り続けるケイブが、1998年にアーケードにリリースした縦スクロールシューティング『弾銃フィーバロン』だ。ゲームスピードを追求した爽快感の高さと、ダンサーやミラーボールが唐突に出現するダンサブルな演出が特徴的な本作は、いかにして19年の年月を経て、初の家庭用への展開がなされたか。開発を担当したエムツーのスタッフに集まってもらい、たっぷりとお話しを伺った。今回もボリューム多めではあるが、ゲームをバラバラにして作り直した人だからこそ語れる貴重なエピソードが満載なので、じっくりと読んでいただきたい。

※一部情報に間違いがあったため、修正いたしました。読者の皆様および関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたことを、心よりお詫び申し上げます。

▲今回インタビューに参加いただいた開発メンバー。(前列左から)サウンド春日達彦氏、ディレクター久保田和樹氏、(後列左から)ビジュアル担当の冬野灰馬氏、シリーズディレクターの長野敦也氏、プログラマー福井将之氏、プロデューサー堀井直樹氏。ご覧の通り、ダンスエナジーは最高潮に達している。

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■エムツー ショットトリガーズは予想外の反響の大きさに

――本題に入る前に、前作『バトルガレッガ Rev.2016』の反響をお聞かせください。

▲プロデューサー堀井直樹氏。

堀井 僕が想定していた2倍くらいの反響がありました! 最初はひっそり続けようと思っていたプロジェクトでしたが、若干人を増やしたりしても大丈夫なくらいになったのは、皆さんの“遊びたかった”という気持ちをぶつけていただいたおかげです。これはぜひ書いていただきたいのですが、限定版『プレミアムエディション』を買ってくださった方のけっこうな割合が、プレイステーション4本体を持っていないんですよ。Twitterのアンケート機能と販売データから「買ったけど、まだ遊んでいない」という層がけっこういるんです。そういった層にプレイステーション4を購入していただくべく、この先もショットトリガーズをがんばります。

――出してみていかがでしたか?

堀井 「自分たちが遊びたいものを(納得する形で)出す」という目標からスタートしたショットトリガーズですが、その思いはしっかりと皆さんに伝わったと思っています。いまのところは。ここからは、それを継続できるかが鍵だと思っていて、ちゃんと定期的に“遊びたい”と思っていただけるシューティングゲームが世の中にリリースされていくことを重要視したいと思っています。

――開発は『バトルガレッガ Rev.2016』の最中から進んでいたんですよね。じつは以前(2016年10月)の取材のときに『弾銃フィーバロン』もプレイさせてもらっていました。

堀井 そうですね。じつは同時リリースを狙っていたくらいなので。その時点でかなり移植は進んでいたのですが、2017年が『バトルガレッガ Rev.2016』発売20周年ということで、年を超えてしまうといろんな方々にブッコロされてしまう(笑)。そのため、まず『バトルガレッガ Rev.2016』に集中しました。

――『バトルガレッガ Rev.2016』は無事に発売されましたが、その後は?

堀井 そこに気合を入れてしまったので仕様が膨らんだんです(苦笑)。しかもあとから出すものに第1弾より物足りない状態で出すのはなあ……、ということもあって、当初考えていなかったところまで物量が増えた結果、このタイミングになりました。

――かなり余計なお世話ですが、正直なところ、知名度でいったら『弾銃フィーバロン』は『バトルガレッガ Rev.2016』より劣るじゃないですか。そこで前作より内容が劣っていると、ユーザー心理としては「ああやっぱりな」となってしまいそうだと心配していたんです。でも、お話を聞く限りでは大丈夫そうですね。

堀井 『弾銃フィーバロン』は元々僕がプレイしたくて始めたわけで、最初はケイブさんの『虫姫さま ふたり』をXbox 360に移植していたときに「ケイブさんとおつきあいができたから、『弾銃フィーバロン』も移植できるじゃん!」と思って。

――その思考パターンもどうかと思いますが(笑)。

堀井 (聞かずに)それで勝手に移植を始めたのがそもそもの始まりで、当時のプロデューサーにお見せしたうえで、当時のケイブ祭りで「機種はわからないけど、エムツーが移植をしています!」と一度発表していて、それがようやく日の目を見たという形です。ですので、「『バトルガレッガ Rev.2016』と比べて知名度が低い? んなこたぁ関係ねえよ、俺が好きだから!」という意識はあります。

――おお、力強い!

堀井 そもそもなんでそんなに家庭用で遊びたかったかというと、当時ゲームセンター仲間だったスコアラーが、胃をキリキリさせながら攻略をしている姿を見て「遊びたいけど、これをゲーセンで遊んだら(胃が)終わるな」と思ったのがきっかけなんです。でも社内でも「こんなに入れ込んでいいのか?」という声はシリーズディレクターの長野を中心にぶっちゃけありました(笑)。「そこは「社長に好き勝手にやらせたらマズイよね」と言われないように、皆さんよろしくお願いします。

――それだけ『バトルガレッガ Rev.2016』で得た信頼は大きかったということでもありますよね。

■勝手移植から19年越しで復刻が実現。プログラマーが複数存在する罠とは!?

――ここからは『弾銃フィーバロン』について具体的に聞いていきます。勝手移植版が動いたのはいつくらいだったのでしょう。

堀井 かれこれ2009年くらいですね。大まかに実機と同じだねというラフな段階までは作っていました。少なくとも僕が遊ぶ分にはホンモノと変わらないくらいまで。最終的にはディレクターの久保田がオリジナルと1コマ1コマ見比べて調整をしていきました。

――制作の流れとしては『バトルガレッガ Rev.2016』のときと大体同じに?

▲ディレクター久保田和樹氏。

久保田 そうですね。ユーザーインターフェース周りは基本的に『バトルガレッガ Rev.2016』を踏襲しつつもパワーアップしています。

長野 再現度のブラッシュアップも『バトルガレッガ Rev.2016』同様に行っています。

――『バトルガレッガ Rev.2016』のときはソースプログラムが入手できたことで“答え合わせ”ができたとおっしゃっていましたが、今回は?

久保田 それがなかったんですよ。ケイブさんに資料を掘り起こしてもらったのですが、ソースコードだけは出てこずで。ですので、今回は実機以外の手掛かりは福井の解析がすべてでした。ガレッガと比較してどちらの作業がたいへんというより、たいへんの度合いが違った感じです。

福井 作業の大きな柱としては、エミュレーションの再現度を上げるのと、解析して新しいものを作るのふたつがあります。前者は1コマ1コマをオリジナルと比較していったことで、再現性を上げる部分が見つかっていきました。そこを弊社プログラマーがまた苦闘を重ねながら乗り越えていったということですね。今回は『バトルガレッガ Rev.2016』よりも低く57fpsです。そのため、調整をせずにプレイステーション4で動作させると、オリジナルよりもかなり速くなっていました。ただでさえ速い『弾銃フィーバロン』だというのに(笑)。

堀井 まともにプレイできなかったよね(笑)。

久保田 そのため、今回もフレームレート合わせはやっています。アーケードゲーム基板って、それひとつが専用ハードみたいなものなので、タイトルによってはもちろん基板そのものでfpsが違うんです。まずはスピードをあわせる作業を私と弊社プログラマーのほうで進めつつ、福井に中身を改造するための解析を進めてもらいました。

――解析を行ったことで生まれた、追加モードはどのようになっているのでしょうか?

堀井 オリジナルを復刻した“アーケード”、誰でも簡単に遊べる“スーパーイージー”、景気よくガンガン稼げるようアレンジを加えた“フィーバーモード”モード、そして自由に設定が変更できる“カスタムモード”があります。アーケードモードに関しては、ひとつだけオリジナルからの修正点があります。これは光過敏(光の明滅によって発作を引き起こす可能性)に関する部分で、当時のままだといまのレギュレーションはクリアーできず、発売ができません。そのため、ボンバーの輝度をレギュレーションをクリアーできる範囲まで下げるといった変更を加えています。原作からの変更はとても残念なことではあるのですが、健康に関わる部分なので重要な問題です。何かをお約束できる状態にはまったくないのですが、表現方法は頭をひねればひねった分だけ思いつくと信じています。『弾銃フィーバロン』に限らず本件はこれから先リリースするすべてのゲームにも絡んでくる部分なので、あらゆる手段を模索し、ノウハウを積んで違和感が少ない方法でリリースできるよう研鑽してまいります。諦めてはいないヨ。 

久保田 カスタムモードは元々のゲーム基板にあったディップスイッチの設定に加えて、福井の改造によって設定項目が変えられるようになっています。よくネタになっている“グラッチェ提督戦でのダンスエナジー”ですとか(笑)。

――ノーミスで最後までいくと出現する隠しボスとの戦いで、バグで自機が無敵になってしまうというアレですね(笑)。

久保田 そうです。そのバグをなくして、いきなりガチで戦ってもらうこともできます。加えて、グラッチェ提督をつねに出現させることもできます。ほかにも(得点源である)サイボーグ兵士の動きをゆっくりにしたり、取りこぼし時のペナルティーを減らしたりとか、『弾銃フィーバロン』システムに関わる項目がたくさんあります。

福井 今回も山盛りです(笑)。

堀井 グラッチェ提督について補足すると、ケイブの方にお話を伺うと、少なくとも自分でクリアーできるものを世に出しているっぽいので、たぶんやっているんですよね。

長野 すでに4面のボスとかからして、頭のおかしい攻撃をしてくるよね。

久保田 『バトルガレッガ Rev.2016』のときはテストプレイでオールクリアーするのが僕の目標でしたが、『弾銃フィーバロン』は5面が精一杯でした。

福井 『バトルガレッガ Rev.2016』よりムズいです(苦笑)。

久保田 外部から1コインクリアーをしたことのあるテストプレイヤーの方をお呼びしたのですが、アーケードは誰もクリアーできませんでした。

福井 テストプレイヤーの方ですら「弾が速くて見えない!」とおっしゃっていたので。

――初見ではないはずなのに見えない(笑)。ゲームとしては、覚えの要素が強いですよね。

久保田 そうですね。まずは敵の出現パターンを覚えて出てくる先から倒していく。そこから先は、ハイスコアーを目指してフィーバーしていく……覚えてからが楽しくなるという意味ではダンスと同じですね(笑)。

(一同笑い)

――うまいな、どうも(笑)。話しをモード調整に戻しますが、久保田さんとの相談で決めていったのですか?

福井 そうですね。あとはテストプレイヤーさんの声を参考に。

――福井さんも苦労があったのでは?

▲プログラマー福井将之氏。

福井 どういうゲーム内容にするかという話としては、ソースがなかったということもですが、プログラムの違いにも手こずらされました。基板に乗っているCPUは同じ68000なのですが、会社の色やプログラマーによる違いに「これまでのノウハウが通用しない!」と頭を抱えたこともありました。そういう予想外の部分をどう覆していくかがポイントでした。

――プログラマーによって作りかたに違いがでてくる?

福井 かなりあります。

長野 しかも『弾銃フィーバロン』はプログラマーがひとりじゃないんですよ。

――ええーっ!

福井 『バトルガレッガ Rev.2016』のときは原作はプログラマの矢川忍さんひとりでプログラムを担当されていたのですが、『弾銃フィーバロン』は複数人の合作なんです。解析を進めていくと、どうもステージを作っている人が複数人いるようだと。

――ということは、ステージごとにプログラムのクセが変わっていた?

福井 クセというと語弊があるかもしれません。ステージの要素って、おもに敵の配置と動かしかたなんですけど、ステージごとに違いがあるんですね。外側の仕様は同じなんだけど、中身は根っこのほうまでけっこう違っているという例ですかね。

久保田 それが改造のときに牙を剥いてきたわけです(笑)。

――なるほど、1ステージ1の解析が済んで「あとは応用でいけるだろう」と思ったら……。

福井 1から解析し直しです(苦笑)。2P時でもまた違うプログラムがあったりと、多々ありましたね。

堀井 昔のアセンブラ言語って、命令を全部覚えなくてもプログラミングができてしまうので、人によって覚えていたり、好む命令が違っていたりするんです。同じ処理をするにしても過程が違ったりして、それがクセになって出てくる。

――エピソードとしては非常に興味深くておもしろいですが、実作業をするほうとしては、たまったものではないですね(笑)。

福井 そうですね(しみじみ)。『弾銃フィーバロン』って弾の速さが特徴的なので、そこの解析を優先して進めていったのですが、そこもまた手強くて。先程のプログラマーが複数人というところにも関わるのですが、弾を撃つためのルーチンが共通化されておらず、敵ごとに個別のルーチンで動いているんです。『バトルガレッガ Rev.2016』が前者であったのに対して、『弾銃フィーバロン』が後者であったというだけで、どちらが正解というわけではないのですが。ただ作業中は、それを全部直していけるのかという不安はありました。

――最終的にはどうなったのでしょう?

福井 弾については、共通の処理をなんとか探して、そうでない部分については力技を使って強引に共通化することで、コントロールしています。弾の速さは共通の処理がありました。一方、複数方向に弾を放つ“ウェイ弾”と呼ばれる処理。そこはもう完全に個別処理で、どうしようもなかったんですけど、強引にねじ伏せて弾数を減らすことを実現しました。

――オリジナルと同じ動作をさせるためには、ソースコードはいじれないじゃないですか。ということは、オリジナルのプログラムとは別のレイヤーで、カスタム動作用の処理が動いている、と。

福井 そういうことになります。その結果、スーパーイージーでは5ウェイが3ウェイに減ったりしているので、ぜひ確認してください。