ローンチ期待の1作

 セガゲームスより2017年3月3日に発売されたNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)用ソフト『ぷよぷよテトリスS』。同作のメディア向け先行試遊会が開催された。試遊会では、『ぷよぷよ』シリーズ総合プロデューサーの細山田水紀氏らが、記者陣に向けて『ぷよぷよテトリスS』の魅力を実際のゲームを使ってプレゼンテーション。プレイ後の囲み取材にて判明した新情報とあわせて、お届けしよう。

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 最初に挨拶に立った細山田氏は「『ぷよぷよテトリス』の発売は7ハード目になるのですが、今回は全世界での発売を予定しており、日本では本体と同時発売となります」と、世界のパズルゲームファンに届けられる喜びを語った。ゲームそのものはすでに他機種で発売されているものを踏襲している形だが、新たにインターネット対戦“全世界パズルリーグ”を搭載。世界中のプレイヤーと対戦をすることが可能となる。また、Joy-ConのHD振動に対応したことで、本作特有の細かなディテールが味わえるのも特徴であるという。

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▲プレゼンテーションを行う『ぷよぷよ』シリーズ総合プロデューサーの細山田水紀氏。

 すでに公式サイトなどで公開されているが、本作のプロモーション映像として、9人の凄腕プレイヤーたちによる“『ぷよぷよテトリスS』発売決定記念カップ”が制作されている。ゲームの魅力がよくわかる内容となっているうえに、上級プレイヤーたちの腕前を見られる熱い内容となっているので、ぜひ視聴してみよう。

 続いて、細山田氏による実機デモンストレーションが行われた。『ぷよぷよ』と『テトリス』両方(あるいはミックスして)のルールで楽しめるといった基本情報に加え、Nintendo Switchの3種類の動作モードを披露。電源を切ることなく、TVモード、テーブルモード、携帯モードで、同じ内容のゲームが楽しめることを説明した。

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▲ドックから本体を取り外して左右にJoy-Conをセット。携帯モードにスイッチできる。
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▲本体背面のスタンドを立ててテーブルモードに。Joy-Conを左右を使えば、すぐにふたり対戦が楽しめる。
▲再びドックにセットしてTVモードに。Joy-Conを4つ用意すれば、その場での4人対戦も楽しめる。

プロデューサー陣と一問一答

 続いて細山田氏と、『ぷよぷよテトリスS』開発プロデューサーの片野徹氏を加えての囲み取材が行われた。開発の経緯や本作ならではの特徴などを、より詳しい話しを聞くことができたのでお届けしよう。

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▲細山田氏と、『ぷよぷよテトリスS』開発プロデューサーの片野徹氏(右)。

――開発の経緯は?

片野 任天堂さんから新ハードを出すという話を聞き、どのタイトルが適しているかを考えていたところ、ハードのコンセプトからして「みんなで遊べるゲーム」を持ってくるのが一番いいのでは、と『ぷよぷよテトリス』に白羽の矢が立ちました。

細山田 任天堂さん、そして(『テトリス』権利元の)テトリスカンパニーさんも乗り気になってくださって。『ぷよぷよテトリス』はすべてのハードに出していこうという方針でしたので……(本体発売日に)間に合ってよかったです(笑)。

――本作のセールスポイントは?

片野 王道のパズルゲームが揃い踏みというのがいちばんのウリではあるのですが、それをTVモードやテーブルモード、持ち寄っての携帯モードという形で対戦できるのが特徴です。対戦に重きを置いているタイトルでもあるので、全世界との対戦を全面に押し出せればと思っています。

細山田  最初の発売から3年以上経っているタイトルなのですが、海外からも発売してほしいという声が大きく、さらにNintendo Switch本体の発売日のタイミングで応えられたことがタイミングがよかったです。触ってもらうとわかるのですが、HD振動の違いを体感してもらえたらと思います。

――オススメのプレイモードは?

片野 テーブルモードですかね。

細山田 たとえば、片野といっしょに新幹線で大阪に出張しているときにやってみたいですね(笑)。コントローラーを手渡して気軽に誘えるというのは、携帯できるゲーム機としてはマッチしていると思います。

――どのように遊んでもらいたいですか?

片野 世界で発売されるので、『ぷよぷよテトリス』の上手なプレイヤーが日本にはたくさんいることを発信していってほしいですね。海外のプレイヤーはまだまだ伸びる余地がありますので、“うまさの感動”をいろんな人に知ってもらいたいと思います。

細山田 インターネット対戦はより熱くなりそうですね。それと、ホテルのテレビにHDMI端子が付いていることが多くなったので、ドックを持っていって旅行先で楽しんでもらえてもうれしいです。

――Nintendo Switchというハードに触れてみてどうでしたか?

片野 画面が大きめでキレイなので、これまで据え置き機でしか遊べなかった高画質のゲームを持ち歩いて遊べるのはひとつのウリかなと。弊社でも今後もなにかできればと、つねに考えています。

細山田 まずは本体がたくさん売れてくれるといいですね! 本体の機能としてはJoy-Conが分割できるということで、あくまで個人の要望としては、いろんなペリフェラルにくっつけて遊ぶことができたらいいですね。会社がオーケーを出すかはわかりませんが(笑)。

――Nintendo Switchでの開発はどうでしたか?

片野 任天堂さんの開発環境としては、Wii Uよりも開発しやすかったです。ちょっと気になるのはドックに刺したTVモードと携帯モードとで若干動作が違うので、そこでの調整が必要になるのかなと。

細山田 なんとしても本体同発でということだったので、ひとことでいうと大変でした(笑)。ほかのプロジェクトから敏腕プログラマーやデザイナーなどの開発者を借りての全力投球だったので、本当に間に合ってよかったです。

――開発期間は?

細山田 開発が始まったのは、2016年の夏くらいでしたっけ?

片野 そうですね。元々いろいろなハードに出していたタイトルだったので移植しやすいということでチョイスしたのですが、新ハードなので開発環境が揃っていなかったり、グラフィック周りがDirect X11世代から12世代になったりで、内部的な対応が必要だった分、ちょっとたいへんでした。

――ダウンロードプレイには対応するのでしょうか?

片野  Nintendo Switch本体の機能として用意されていません。この機能のゲーム機になると、ダウンロードするプログラムのサイズが大きくなってしまうので、難しいのではないでしょうか。

――『ぷよぷよテトリスS』を使った大会の予定は?

片野 やってみたいですね!

細山田 昨年のセガフェスで『ぷよぷよテトリス』の大会を開催して盛り上がったので、会社との相談でありますが、やっていきたいなとは思っています。レッドブルさんのゲーム大会“Red Bull 5G”でも5年連続で『ぷよぷよ』が選ばれていたり、いろいろと案件は進んでいるので、予算がつき次第やってみたいです(笑)。

――体験版の予定は?

片野 現在制作中です。準備が整い次第の配信なので、本体発売日には間に合うかな? という状況です。

――HD振動はどのようになっているのでしょう?

細山田 HD振動でなにかできないかなと。まだまだ細かな調整はできていないんですけど、最低限ほかの機種とは違う振動にはなっているので、ぜひ触っていただきたいです。サウンド担当者のほうで、開発期間ギリギリまで調整をしていましたので。

片野 最後の最後まで調整していましたよね。振動のためのデータはサウンドデータと近いんですけど、最初はSEとまったく同じデータを突っ込んでみたところ、「音と同じ振動になるけど触覚としては違うよね」と、新たに振動用のデータを制作しました。

――ゲームバランスはどのような調整を?

細山田 基本的にはPS4版相当で、そこからバランスは変更していません。ぷよぷよが弾けるときのエフェクトを手直ししているのですが、おそらくほとんどわからないと思います(笑)。

――タイトルの『S』はSwichの頭文字?

片野 ユーザーさんに想像してほしい……と思いつつ、SwichのSですよね(笑)。

細山田 今回は、まだ本作を知らない人向けにパッケージデザインを変えたので、それとあわせてタイトルもちょっと変えました。

――最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします。

片野 Nintendo Switch本体と同時発売で皆さんにお届けできることになりました。たくさんプレイできるいいソフトなので、たくさんご購入いただけたら幸いです。

細山田 これを機会に、さらに『ぷよぷよ』と『テトリス』の輪を広げていきたいですね。スマホ版『ぷよぷよクエスト』とのコラボなども考えていますので、続編が作れるくらい世界に大きくアプローチしていけたらと思います。『テトリス』のファンが『ぷよぷよ』のコミュニティーと交わることでさらにファンが広がっているという話も聞きます。個人的な野望としては『テトリス』を単体で作ってみたいとか思っていますが、ともかく今後もパズルゲームを盛り上げていきたいと思います。

“ぷにょっ”と“コツッ”の違いがわかるHD振動を体験

 最後に、記者向けに行われた、実機を使っての試遊の感想をお届けする。なんといっても気になるのは、Nintendo SwitchならではのHD振動だが、Joy-Conのいずれの形態でも違いが感じられた。触覚を言葉で表現するのは難しいが、テトリミノをドロップさせたときは“コツッ”と硬い手応えがあり、ぷよを落下させたときは“ぷにゅっ”とやわらかい感触……といった具合。ゲームに直接影響を与えるものではないが、新鮮さはバツグン。『ぷよぷよ』と『テトリス』の好きなルールを選んで対戦できる(両方のルールが一定時間で入れ替わるミックスもあり)だけに、その違いが手元でもわかるというのはナイスな仕掛けであるに違いない。

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▲テーブルモードでのプレイ。Joy-ConをLとRに分割しても、ちゃんとHD振動による違いが味わえたのにはオドロキ。

 TV、携帯、テーブル、各モードでの試遊も行えた。それぞれ、TVモードでは鮮明な画面でじっくりと遊べる、携帯モードでは目の前の画面に集中できる、テーブルモードでは画面とJoy-Conをシェアしてふたりで楽しめる、というNintendo Switchならではの利点を味わうことができた。とくに、ルールがシンプルで1回のプレイ時間の短い『ぷよぷよテトリスS』なら、ちょっとでも触れば、ハードの特徴をすぐにでも味わうことができるだろう。

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▲外出先でも楽しめる携帯モード(左)と、テレビの前でわいわいと楽しめるTVモード(右)。どんなシチュエーションでも『ぷよぷよテトリス』が楽しめる。