『Lone Light』プレイヤーは孤独な“光源”。影を頼りに自分の位置を認識しながら進む激ムズパズルゲーム【GDC 2017】

Hessamoddin Sharifpour氏によるパズルゲーム『Lone Light』を紹介する。

●他者(障害物と影)を通じて自己(光源)を認識するという哲学的テーマ

 本日よりアメリカのサンフランシスコで開幕した、ゲーム開発者向けの国際カンファレンスGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)。その会期中は世界中から開発者やメディアが集まることもあり、関係者のネットワーキングイベントやプレス向けの展示なども行われる。

 そんな中、大手インディーパブリッシャーのDevolver Digitalは、GDC会場近くのシェアオフィスの一角を借り、インディーゲーム開発者やメディアが集まるパーティー会場を設置。ゲームのデモなども行っていた。

 ここでは、そこで遊んだパズルゲーム『Lone Light』を紹介しよう。本作のプラットフォームはSteam(PC/Mac/Linux)とXbox Oneで、発売日等は未定。プレイヤーキャラクターは、パズル宇宙を孤独に旅する“光源”だ。基本的にはその“光源”を操作して障害物を避けつつゴールに導けばいいのだが、問題は本当に概念的な“光源”なので、チュートリアル面以降、自分の姿が見えないこと。光の当たった障害物が生み出す影のでき方・動き方を見ながら、自分の位置を推測しつつ操作していくしかないのだ。

 実際遊んでみると、これが説明や見た目以上になかなかハードなのがわかってくる。とくに障害物が動くステージでは、それが動いていることが由来の影の動きと、プレイヤーが動かしていることが由来の影の動きを直感的に判断しながら動かしていかなければならない。
 一方で、静かなドローン系の音楽や幾何学的なアートスタイルは美しく、じっくりと遊んでいるうちに、本作のゲームデザインの奥底に隠された「他者(障害物)を通じて自己認識する」という哲学的なテーマが静かに浮かび上がってくる。

▲影のでき方・動き方を見ながら自分の居場所を推測して、壁や画面のフチにぶつからないように進んでゴールを目指す。

▲幾何学模様がグリグリと動く美しい風景。しかしゲームはハード。

 なお製品版では100面+隠しステージを収録予定。ステージが進むとギミックも増えて、プレイヤーに向けて弾を放ってくる砲台のような存在が出てきたり(もちろんその射出角もヒントのひとつではある)、ゴール以外に触らなければいけないスイッチ的な存在が出てきたり、悩みのタネが増えていく。会場には業界関係者しかいなかったのだが、みんな「いや、わかってんだよ!」とか言いながら死にまくっていた。

▲ステージが進むとギミックが増え、弾を放ってくる砲台なども出現。

●開発者はあの大統領令の対象者

 なお本作、会場に出展されていたのは、実はDevolver Digitalがパブリッシング契約しているからというわけではない。作者のHessamoddin Sharifpour氏は現在トロント大学に通う学生だが、元々はイラン出身(ちなみに本作はイランで高校生だった頃に作ったプロトタイプが元となっている)。つまり、アメリカのトランプ新政権で発令されたイランを含む7カ国からの入国を一時的に禁止する大統領令の対象者であり、GDCのための入国を断念したのだ。
 Devolver Digitalは2月2日に大統領令のために出展を断念せざるをえなくなった開発者のデモをDevolverが代わりに展示することを発表しており、同氏がこのプログラムに乗ったことでこの度遊ぶことができたというわけだ。
 記者は一介のゲーム媒体記者に過ぎず、国際的な安全保障はまったくもって専門外だが、できれば同氏のような優れたゲーム開発者が、より優れたゲームを生み出すために、かつてと同じように自由にカンファレンスへの出席目的で渡航したり、イベントに出展してフィードバックを得られるようになるのを願いたい。