広大な銀世界のオープンワールドで、スノーボード、スキー、ウィングスーツ、パラグライダーの4種類のエクストリームスポーツを楽しめる『STEEP』。本作が持つ魅力や開発の経緯などを、クリエイティブディレクターのIgor Manceau氏らにうかがった。

●情熱あふれるAnnecy Studioのスタッフを直撃

 広大な銀世界のオープンワールドで、スノーボード、スキー、ウィングスーツ、パラグライダーの4種類のエクストリームスポーツを楽しめる『STEEP』。本作が持つ魅力や開発の経緯などを、クリエイティブディレクターのIgor Manceau氏らにうかがった。

【関連記事】
そうだ アラスカ、行こう。『STEEP』新マップ“アラスカ”を紹介、制作スタジオUBI Annecy Stuidoにも潜入取材

▲ワールドディレクター Renaud Person氏(右)、クリエイティブディレクター Igor Manceau氏(左)

――オープンワールドを採用した理由を教えてください。

Igor Manceau氏(文中はイゴール) 前提としてあったのが、「ユービーアイソフトで、またウインタースポーツを作りたい」という思いです。その際“新鮮で、まったく新しい経験を提供できるものを作りたい”と考えたときに、オープンワールドを発想しました。プレイヤーが滑りかたや滑る場所を選択できるようにしたいというのは、最初から考えていましたね。『STEEP』の世界には山があり、山に入ると好きなところに行けて遠くが見られます。「自分は自由だ」と感じていただけると思います。もちろんゲーム内なので限界があるのですが、基本どこへでも行けます。自由に滑る感覚は、プレイしたときに新鮮に感じていただけると思います。

――この企画を会社に通すのはたいへんだったのではないですか?

イゴール この分野のゲームにふたたびトライすることは、クリエイティブ上でもビジネス上でもリスクが伴います。新しいものを提供できることを証明するのは難しかったですね。対象となるプレイヤーを見つけて、ビジネスとして成立するかどうかも証明しなければなりませんでした。結果として、会社は受け入れてくれただけではなくて、積極的にプッシュしてくれました。まずは、山に関するクリエイティビティー、つまりどこにでも行けて、好きなスポーツを選べて、プレイヤーが自己表現できるところが評価されたんです。そして、つぎにチームの情熱が認められました。この情熱は、とても重要なポイントだったようです。

――ちなみに、情熱を維持する秘訣は?

イゴール 難しい質問ですね(笑)。ひとつには、自分たちを信じることです。スキーやスノーボードはもちろんのこと、私たちスタッフのほとんどが山が好きなので、それが大きな動機づけになっています。あとは、スタジオヘッドが話していたとおり、本作は自分たちだけで作る初めての作品なので、“自分たちのもの”という意識も大きなモチベーションになりました。新しいIPを作るというのはたいへんな仕事で、すべてを作らなくてはいけませんが、一方でワクワクすることでもあります。『STEEP』は、まずは小さなプロジェクトとしてスタートしましたが、経営陣の判断により、ある時期からより大きなプロジェクトになったこともあり、私たちもモチベーションと情熱を持ち続けることができたという一面はあるかもしれません。ゲームをリリースするのはとてもたいへんですが、ルノーはとてもがんばりました。(『STEEP』が発売されたあとも)情熱はまだ維持していると思います。

Renaud Person氏(文中はルノー) “仕事”であることは間違いないですが、ユニークなものを作る一端を担う絶好の機会でもあり、そのためには自分の持っているものをすべて注ぎ込みました。まあ、ときに辛抱も必要になりますが(笑)。

イゴール 開発当初に経営陣にプレゼンして、とても評判がよかったことで力づけられましたね。その後、E3 2016でプレスカンファレンスに出ましたが、あんな華やかな場所で発表できるなんて、当初はまったく想像もしていませんでした。そういったことでもテンションが上がりました。

――E3で発表すると注目度も高まりますしね。

イゴール ああ、そうだ! ゲームをプレゼンするのがたいへんだったというお話をしましたが、追加させてください。10年ほど前に、アメリカのESPNでスノーボードを放送していましたが、まだ小さい市場でした。しかしいまは、Redbullチャンネル(Redbull TVのことかなあ)などが、スノーボードなどのスポーツコンテンツに力を入れていて、多くの視聴者を獲得しています。GoProでの配信も大人気です。それを見て、ゲームを出すいい機会だと思ったということはありますね。コンテンツがたくさんあるにも関わらずゲームがなかったので。

――GoProはゲーム中にも取り入れられていますね。

イゴール クリエイティブ面からも、GoProやRedbullに、ゲームの一部になってもらいたいと思ったんです。いまやGoProやRedbullは、ウインタースポーツの一部になっているからです。GoProなどを導入したのは、リアリティーのためもありますが、マーケティングにも役立っています。私たちはもちろんですが、彼らもソーシャルメディアに力を入れているので、お互い協力してさらに大きな波を起こしたかったんです。

――プロアスリートや企業と協力して制作したようですが、彼らからはどのようなフィードバックをもらっているのですか?

イゴール 3社とパートナーシップを結んでいます。そのうちの1社がここからほど近いところにオフィスを構えるSalomon社です。スノーボードやスキーのフィジックス(物理演算)についての知識を共有してもらいました。

――そのほかのメーカーとのコラボは?

イゴール スキーやスノーボードのメーカーとパートナーシップを組んでいます。ゲームの中で商品を使用するというパートナーもいますが、マーケティングや開発にも協力してもらったパートナーもいます。Salomon社とは、より密接にデザインやテクノロジーについても協力してもらっていますよ。

――発売されて数ヵ月経ちますが、ユーザーからの反響を教えてください。

イゴール とてもよい反応をもらっていてうれしいです。プレイヤーが違う遊びかたをしているのに驚いています。私たちが想像したものとは、異なる行動をしていますね。

ルノー たしかに! 想像していた以上に、クリエイティブな動きをすることに驚きました。

――わたしは実際にスノーボードをよくするので、ゲームでも最初はスノーボードでひたすらトリックをキメて遊んでいましたが、いまはのんびりと登山ごっこをして遊んでいますね。

イゴール 想像してた以上でしたね。チャレンジをし続けてうまくなる人もいますが、山を探索して新しい道を発見する人が予想以上に多かった。まさに、ひとりで山やマップに立ち向かうという感じです。

ルノー そういう方たちのために、オープンワールドにはいろいろなものを隠しています。歩いたり、飛行したりして、いろいろなところに行けるんです。

――ところで、4つのスポーツでいちばん人気があるのは?

イゴール ダントツで遊ばれているのがスノーボードですね。つぎにスキー、ウイングスーツ、パラグライダーの順ですね。

――ほかのスポーツを追加する予定はありますか?

イゴール “シーズンパス”の発表時に“ソリ”の追加を発表しています。ウィンターフェストパックの中にも勿論ソリは入っています。日本ではどうなのか分らないのですが、ヨーロッパでは好きなコスチュームを着て、おもしろいレースやイベントに参加するウインターフェスティバルがあって、“ウインターフェスト”ではそのイベントをフィーチャーしています。

ルノー つぎのダウンロードコンテンツは、“エクストリームパック”で、ロケットウイングとベースジャンプ、スピードパラグライディングの3つが追加されます。スピードパラグライディングはウイングが小さいので、ウイングスーツと同等のスピードが出せます。スキーも付けているので低空では雪面にタッチします。

イゴール ちなみに、“エクストリームパック”には“チェーンアビリティ”というものがあります。最初はスキーで滑り、スピードパラグライディングで崖から飛び降りて飛行、その後着地してスキーでそのまま滑るんです。つまり、崖が邪魔をして行けなかったところもスムーズに探索できるようになります。山の中に新しいルートを発見できるんですね。“チェーンアビリティ”は、この機能をサポートしているチャレンジでのみ使用可能です。“エクストリームパック”の配信日は未発表ですが、ぜひ楽しみにしていてください。

――『STEEP』では、モンブランやマッキンレーなどの名峰が収録されていますが、山の自動生成などは検討していないのでしょうか?

イゴール 自動生成ではありませんが、実はオリジナルの山はアルプスの中の南西部にあるんですよ。ある条件を満たさないとアンロックできない、“秘密の山”ですね。巨大なうさぎやアイスマンモスがいます。

――隠し要素みたいなものですかね。

ルノー とはいえ、基本は実在の山をモチーフにしています。私たちのDNAにあるのは、実在するもっとも美しい山々から刺激をもらって山を作ることです。実在の山からインスピレーションを感じて作る。それが山への情熱ですね。実際にある山から何かを感じて、それを超えるものをプレイヤーのために形作ることがおもしろいんです。

――山が生き生きとしているので、動物がいたらさらにリアリティーが増しそうですが……。

イゴール その通りです。いつかは追加したいと思っているのですが、いまはまだできていません。

――では、Nintendo Switchでの発売が発表されましたが、ふたつのJoy-Conでの操作方法はどうなるのでしょう。

イゴール 操作方法はJoy-Conに合わせて調整しますが、詳しくはお話しできません。モーションセンサーについても言えないです。もちろん、“TVモード”、“テーブルモード”、“携帯モード”でプレイできるようにサポートしますよ。オンラインについては……まだ何も言えません(笑)。

――わかりました。ちなみに、個人的にはどんなウインタースポーツを楽しんでいますか?

イゴール 私はおもにスノーボードですね。まれに山岳スキーをやります。あと、パラグライドやっていたこともあり、それを通じてガールフレンドと出会いました(笑)。

ルノー 基本は、スノーボードですが、たまにスキーもやりますよ。スノーボードでスピードを出すのが大好きなんです。

――最後に、日本のファンにひと言お願いします。

イゴール 『STEEP』では、プレイヤーがそれぞれ違うものを発見できます。チャレンジでもトリックでも好きなことができるんです。何を見つけるかは、プレイヤー次第です!

ルノー 私たちがあちこちに散りばめた“愛”を見つけて楽しんでください。