『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』発売の10日前となる2017年2月13日、東京都新宿歌舞伎町にある新宿ロフトプラスワンにて、“PlayStation祭 Presents 『NieR: Automata』スペシャルトークライブ”が行われた。
出演者は、『NieR:Automata』プロデューサーの齊藤陽介氏、ディレクターのヨコオタロウ氏、ゲームデザイナーの田浦貴久氏(プラチナゲームズ)、MCは松嶋初音さん。
新宿ロフトプラスワンのイベントでは、お酒を飲みながらラフなスタイルでトークが行われるため、シラフでもいつもギリギリ、というかむしろアウトな発言が多いヨコオ氏、お酒好きの齊藤氏から、どんな話が飛び出すのか、田浦氏(イケメン)は脱ぐのか、という期待と不安が高まるなか、齊藤プロデューサーの「今晩の出会いに!」という乾杯の挨拶でイベントがスタート。
「『NieR』はトップビューやサイドビューが本体で、3Dビューはサービスです」(ヨコオ氏)
まずは前半、MCの松嶋さんからの質問に答えていく、というトークセッションから。
――前作『NieR Replicant』から7年振りの新作となる『NieR:Automata』でしたけど、コンセプトは何だったんですか?
ヨコオ コンセプトは何でしたっけ……あ、スクエニがプラチナゲームズを使って、ひと儲けする、というのが最初のコンセプトでした。
齊藤 ヨコオさんが無職だ無職だって言ってるので仕事をあげようかと。というか、みんなもヨコオタロウのゲームをやりたいだろうな、と思ってプロジェクトを立ち上げました。
ちなみに、シラフのおふたりが受け答えしている、コンセプトらしきものが読める約2年前のインタビューは下記です。
[関連記事]
『NieR New Project(仮題)』の気になる世界観、あの女性キャラについて豪華スタッフに直撃
――『NieR』の名を冠してることについて、どんな意味が?
ヨコオ それをここで言うと、「勘弁してくれよ~」ってみんながソフトの購入をキャンセルしかねないので、発売後に聞かれれば答えるかもしれません。
――こだわったポイントは?
田浦 前作があまりにも素晴らしすぎたので、その雰囲気を壊してはいけないな、というところはかなり気をつけました。
――体験版をプレイすると、カメラワークとか前作のいいところを引き継がれているのがわかります。
田浦 作り始めたときは、ただのアクションゲームという印象だったんですが、敵が出してくるイクラ弾や、カメラをトップビューにするだけで『NieR』になりました(笑)。なんかチョロいな、と思いましたね(笑)。
ファジー・ネーブルで口も滑らかになったこの田浦氏の発言には会場も大爆笑。ちなみに、開発初期のプリプロダクション(本格的な開発に進むかどうかを審査するためにラフに作ったもの)用に作ったステージは、田浦氏がほぼひとりで作成。しかも、ステージ構成、バトルの仕組みなど、製品版とほとんど変わっていない、完成度の高いものだった。そのステージは体験版で配信されたステージでもある。ただ、不安もあったという。
田浦 正直に言えば本当に怖かったです。『NieR』のファンの方々って愛があるので、愛は裏返すとヤバイことになりますから。
と、愛の怖さを語ったイケメン田浦氏。
ヨコオ でも、正直、『NieR』ファンの方は弾幕とかあんまり好きじゃないと思う(笑)。
齊藤 体験版を配信後、ちょっとおもしろかったのは、『NieR:Automata』を初めてプレイした人が、サイドビューやトップビューについて「キャラ小さぇよ」って意見をしていて、それに対して前作からのファンの人が「それを外したら『NieR』じゃねえだろ」って反論して、ちょっとした論争になってて(笑)。
ヨコオ 『NieR』はトップビューやサイドビューが本体で、3Dビューはサービスですから。
以上のやり取りからも感じられるように、「ヨコオさんは、まわりからイヤだイヤだと言われるものほど入れたがるんです」と齊藤氏も苦笑い。その話を受け、ヨコオ氏は「前作『NieR』で、海外で1週間くらい前にフラゲしたユーザーの方がいて、しかもその人がストリームで配信していたんです。僕もその配信を見ていただんですけど、その方はサウンドノベルが嫌いだったみいで、そこで「F●●K、F●●K」って言い出したので、ざまあみろと思って(会場爆笑)。また入れてやる!」と決意したという。 『NieR:Automata』にもサウンドノベルが入ってるのかは、プレイして確かめていただきたい。
田浦氏、自分がデザインしたボスに蹂躙される
トークセッションに続いては、この時点ではまだ公開されていなかった、海外のプロモーション用映像がお披露目。それが下の動画。
そんな動画がすでに12万回転(2月20日現在)しているという驚き。ちなみに、この動画はロンドンで撮影されたとのこと。
齊藤 田浦さんのTシャツを脱がせるシーンは、あのあと4倍くらいの尺があったんですけど。リクエストがあればノーカットバージョンを公開しましょうか?(会場から拍手)
映像に続いては、本イベントのために、初公開となる工場廃墟でのボス戦を田浦氏がプレイ。これまでイベントや配信番組などで、華麗なデモプレイの数々を披露してきた田浦氏は、今回も順調にボスの体力を削っていたが……まさかの死亡! と、同時に、ファジーネーブルを入ったグラスを倒して、テーブルにブチまける失態!! すかさず、ヨコオ氏が「このボスは田浦氏自身がデザインしたボスなので、自分がデザインしたボスに殺されたということなんです!」と追い打ち。だが、田浦氏の「やっちゃった」的な表情に、客席の女性からは「カワイイ」の声が。ヨコオ氏、歯ぎしり。
イベント中盤では夕食として、『NieR』にちなみ、イクラ丼が来場者に振る舞われた。
イベントの途中では、観覧に来ていたSIXの本山敬一氏が急遽ステージに招かれ、同氏が手掛けた『命にふさわしい』(amazarashiと『NieR:Automata』の共創プロジェクトから生まれたamazarashiのNEWシングル)のMVの制作秘話が披露された。
本山氏は、『ドラッグ オン ドラグーン』からのヨコオ作品ファンということで、前作『NieR Replicant』も発売日に購入してプレイ。『NieR Replicant』に惹かれたもっとも大きなポイントとして、「周回するごとに感じかたが変わるシナリオ」を挙げた。好きなイベントを問われ「手紙を待っているおばあちゃんの話し」を挙げると、会場からは「ああぁ~(なるほど、わかるわぁ)」と共感の声が。同様の質問をされた田浦氏は、ヨコオ氏を見ながら「ヨコオさんが作ったものはすべて好きです」と、ニッコリ。このヨコオ氏を逆撫でする発言に、ヨコオ氏は「田浦さん、この一年で本当にクソ野郎になりましたね(笑)」と、田浦氏の成長を喜んだ。
※ちなみに、田浦氏が好きなのは「もう遅ェンだよッ! 何もかもッ!」というくだりだそうです。
『NieR:Automata』とamazarashiのコラボのキッカケを作ったのはamazarashiのMVも担当していた本山氏。ヨコオ氏、齊藤氏、岡部氏(岡部啓一氏。ご存じ『NieR』シリーズの音楽を担当)をライブに招待。そのライブに感銘を受けたヨコオ氏は、その日のうちに企画書を書き、その企画が絵本の内容に反映されているという。「その絵本をもとに、本山さんが(『NieR』とamazarashiの共創プロジェクトから生まれたNEWシングル)『命にふさわしい』の人形を叩き壊すPVを作ってくれました」(ヨコオ氏)
人形を壊す、というアイデアは、本山氏から提案した複数のアイデアの中のひとつ。「(過激なので)選ばれないだろうな、でもヨコオさんなら(選ぶかもしれない)」という読み通り、ヨコオ氏はそれをチョイス。こうして、あのMVは誕生したという。MVの映像は『NieR:Automata』のテレビCMに使われているが、表現的にテレビ局などからNGを食らうなど問題が発生したという……(無規制版が下の動画)。
齊藤P、ヨコオDと同じ1970年生まれの外山氏が降臨
トークライブ後半には、『NieR:Automata』発売のお祝いに『GRAVITY DAZE 2/重力的眩暈完結編:上層への帰還の果て、彼女の内宇宙に収斂した選択』のディレクターの外山圭一郎氏と宣伝担当の北尾泰大氏が登場。
お酒に関するエピソードでは、さまざまな伝説を持つ外山氏。今回のイベントでも「今日ぉ、あのぉ~、あのねぇ……」と、挨拶の段階からロレツが回っておらず、「本当にこの人があの『SIREN』や『GRAVITY DAZE』を作った人なんですか!?(笑)」と田浦氏もツッコミを入れるほど、すでにデキあがってた様子。
外山氏を迎えての最初のトークテーマは、1970年生まれにクリエイターが多いという点。ヨコオ流相関図も披露されたが、ここでは割愛。ただ、なぜ1970年生まれに優秀なクリエイターが多いのか、という点について、外山氏は「1970年生まれは、プレイステーションが登場して、2Dから3Dの時代に入り、業界が変わる、ゲームの作りかたが変わる、というときに会社に入った世代なんです。その新しい流れに乗り、いろいろ新しいものに挑戦できたことが、1970年生まれに優秀なクリエイターが多い理由のひとつだと思います」と持論を披露した。
『GRAVITY DAZE 2』に2Bのコスチュームが配信決定!?
最後のトークテーマは事前に来場者から寄せられた質問に答えるQ&Aのコーナー。こちらも一問一答形式でお伝えします。
――2Bちゃんのスリーサイズは?
ヨコオ スリーサイズは決めたのは田浦さんが決めました。
田浦 そちらに関しては、ソフトと同日(2月23日)にスクウェア・エニックスさんから発売される『NieR:Automata World Guide ニーア オートマタ 美術記録集 ≪廃墟都市調査報告書≫』に載っているので、知りたいという方は、その本をご購入ください。
――ファミ通にひと言。
外山 言わせてもらっていいですか? この前、ファミ通さんのインタビューを受けていて、わりと一生懸命マジメに答えたんですよ。でも、「もっとおもしろい話、ないんですか?」って言われちゃってさー。
ヨコオ なんのインタビューですか?
外山 主人公についての特集のインタビューなんだけど。
ヨコオ ああ、僕もインタビューに答えましたよ?
外山 そう、ヨコオさんと小高さんには先にインタビューしたって言っていて、「そのふたりはムチャクチャおもしろい話をしてくれたのに」って(笑)。
ヨコオ ヒロインであるキトゥンに彼氏ができちゃう展開がスゴイ! 外山さんの狂気を感じるって話しはしました。
外山 彼氏じゃない!(笑)
ヨコオ でも、田浦さんもショックを受けてましたよ? キトゥンのまわりにイケメンの悪い虫がチラチラとして。
田浦 そうなんですよ、僕、あのデートイベントがショックで。急に失恋したみたいになって。
外山 でも、彼氏じゃない!(笑)
ヨコオ じゃあ、あのイベントは何なんですか! 大人の付き合いとか、そういうヤツですか!
※話題に出た主人公特集は、本日2月23日発売の週刊ファミ通に掲載されています。外山さんのおもしろインタビューが載っているに違いない! 必読。
――はい、つぎの質問いきます(笑)。新ハードの発売日が決まりましたが、いまの感想を教えてください。
ヨコオ 『NieR』ってある意味『ゼルダの伝説』のパクリゲーなんで(『ゼルダ』に失礼だ! という齊藤さんのツッコミ)、本家が一週間後に出るなんて「ふざけんな!」と思っているんですが、それよりもむしろ、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア(SIEJA)さんがなんで『NieR:Automata』の一週間後に『Horizon』を出すのかに、いちばんイライラしています! しかも、『NieR:Automata』の前に発売された『仁王』パイセンの評判もイイ! イライラするわぁ(会場爆笑)。
――でも予約は好調みたいですよ?
齊藤 お陰様で、amazon.co.jpのゲームの売れ筋ランキングで1位になりました(2月13日現在)。SIEJAさん、『●●●●●●●●●ダ●ル●●ス』を超えましたよ!(会場に来ていたSIEJAの方も苦笑い)
――いままででいちばん困ったムチャ振りは?
田浦 ヨコオさんから「脱げ」と言わたことです(苦笑)。
齊藤 脱いだうえに、サラダ油を浴びて「滑れ! 滑ってステージの右から左に抜けろ」とも言ってたよね。そのあと、オイル相撲をしろ、と(笑)。
ヨコオ 田浦さんには、ありとあらゆるオイルプレイをお願いしたんですけど、何ひとつやってくれませんでした。
北尾 ムチャ振りと言えば、『GRAVITY DAZE 2』でコスチュームの配信をやっているんですが、それがけっこう好評なんですよ。なので……2Bちゃんのコスチュームも出させてもらえないかなぁ(チラッ)。
齊藤 逆にキトゥンちゃんに着てもらえるなら喜んで!
外山 本当ですか? やったー。
ヨコオ 制作費はどちらが持つんですか? あ、御社で? じゃあ、いくらでも!
――『NieR:Automata』はどれくらいハッピーエンドですか? トゥルーエンドなどはありますか?
ヨコオ これまで、ハッピーエンドだと言い続けてきたんですけど、「ヨコオはそんなことしない」と延々言われ続けて、もしかしたらハッピーエンドじゃないかもしれないと思い始めています。僕はウルトラハッピーエンドだと思っているんですけど……違うかもしれない。自分自身が信用できなくなってきました。
齊藤 何を持ってハッピーエンドかという定義も難しいよね。自分の中では『ドラッグ オン ドラグーン』はグジャグジャに終わればいいと思っているけど(笑)、『NieR』シリーズはキレイに終わりたい作品だね。
――体の一部を機械にできるならどこにしますか?
ヨコオ 腰です。理由は……(割愛)。
そしてクリエイターらしい受け答えがほぼないまま、イベントも終了の時間に。最後は、『NieR:Automata』発売に向け、ひと言ずつコメントして、本イベントは終了した。
・齊藤陽介プロデューサー
『NieR:Automata』は、作ってる立場を抜きに、いちプレイヤーとして、本当にいいゲームになったと思いますので、ヨコオタロウワールドとプラチナゲームズの圧倒的なゲーム力を楽しんでいただければと思います。
・田浦貴久ゲームデザイナー
プラチナゲームズとしては、かなり毛色が違う作品になりまして、『NieR』ファンの方にとっては、懐かしくもあり、新しくもある『NieR』になったと思います。ぜひ、期待はあまりせず(笑)、気楽な気持ちで楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願いします!
・『GRAVITY DAZE 2』外山圭一郎ディレクター
国産タイトルとしてがんばっている『NieR:Automata』を僕も楽しみしていますし、同じ国産タイトルである『GRAVITY DAZE 2』も手に取っていただけるとうれしいです。
・『GRAVITY DAZE 2』宣伝担当 北尾泰大氏
#重力猫動画というのを作っていて、これは本山さんの弟子的な方に作っていただいているPVで、おもしろいものになっているので、ぜひご覧になってください。
・ヨコオタロウ ディレクター
最後の締めということで、下ネタを期待されていると思うんですけど、今日、この場に来てくだらない話をいっぱい聞かされたなかで、ひとつだけ覚えて帰ってほしいのは、僕は●●●●●のことはよく知らない、ということです。ありがとうございました!