須田剛一氏x小高和剛氏による夢の対談が実現 日本一ソフトウェア米国支社のイベントでギリギリトークが炸裂

2017年2月17日、日本一ソフトウェアアメリカが現地アメリカで主催したプレス向けイベントで、スパイク・チュンソフトの小高和剛氏とグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏による対談が行われた。ここでは、その概要を紹介する。

●イベント前半はステージで最新作をアピール

 既報の通り、2017年2月17日、カリフォルニア州サンフランシスコで、日本一ソフトウェアの米子会社NIS Americaがプレスイベントを開催。同イベントで、スパイク・チュンソフトの小高和剛氏とグラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏による対談が行われた。

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▲MCがPVとともに、各タイトルを紹介。

 イベントでは、NIS Americaからパブリッシングされる数々のタイトルがアピール。続いてゲストコーナーとなり、まずはスパイク・チュンソフトの小高和剛氏が、モノクマとともにステージに登場。最新作となる『ニューダンガンロンパV3』のセールスポイントをアピールした。
 ここでは小高氏が、“新章開幕ということで舞台やキャラクターを一新”、“学級裁判などの特徴的なシステム”、“充実のオマケモード”などといったゲームの特徴を解説。前作よりパワーアップしたことを強調し、「マストバイです。最悪、遊ばなくてもいいので買ってください!」と語り、会場を笑わせた。
 そして最後に「発売日は9月26日になりました! また体験版の配信も決定しました!」との報告がなされ、会場からは大きな歓声が上がった。なお、小高氏によると北米や欧州などでも順調にヒットすれば、シリーズ累計で200万本を突破する見通しだという。

▲モノクマとともに登場した小高氏は、『ニューダンガンロンパV3』を紹介。

 ふたり目のゲストは、グラスホッパー・マニファクチュアの須田剛一氏。須田氏は、プロレスラーばりに「イヤー!」とポーズをとって登壇し、大きな拍手で迎えられた。須田氏がアピールするのは、プレイステーション4版『シルバー事件』。同作は、PC版の移植作となるが、シナリオ・イラスト・曲などが追加され、進化している内容であることが説明された。
 最後に須田氏は「『ニューダンガンロンパV3』、『シルバー事件』、そしてたくさんのNISAのタイトルをぜひ応援してください!」と締めのコメント。続けて「みなさん今日はこのあと、飲んで食べて、大騒ぎをしていってください。イッツ、パーティタイム!」と会場をあおって、ステージをあとにした。

▲気合十分のポーズで登場し、『シルバー事件』をアピールした須田氏。

●多彩な話題が飛び交ったクロストーク

 ここで少しインターバルがあったのち、ステージから場所を移して、別室にて小高和剛氏と須田剛一氏の特別対談がスタートした。以下、トークの内容をダイジェストでお届けしよう。

▲対談は乾杯から和やかにスタート。

▲ファン注目のコメントをいろいろと語ってくれた、須田氏(左)と小高氏(右)

Q.お互いの存在は?

小高 業界の大先輩であり、トップクリエイター。こういう場でお話できて光栄です。

須田 若いクリエイターといっしょに、こういう場に呼んでいただいてうれしいですね。僕は昔ヒューマンにいて、ヒューマンがつぶれたときに、いろんなものを背負ってくれたのがスパイクなので、ちょっと親戚みたいな存在なんです。『ダンガンロンパ』のプロデューサーはヒューマン時代の後輩なんです。彼が手掛けた作品で、小高さんという若いクリエイターが注目されてうれしいですね。間接的ですが、後輩のように感じています。

Q.ストレス発散法は?

小高 人と話したあとのストレスの発散法は、ひとりでシナリオを書くことで、ひとりでシナリオを書くことのストレス発散は、人と話すこと。あとは、お酒ですね。

須田 ドライブ。夜の街をのんびり運転したり、高速で走ったりすることが好きです。

Q.お互いに質問してください。

小高 『キラー7』や『ノーモアヒーローズ』あたりから、急にゲーム性が増してきた気がします。何か要因があったのですか?

須田 徐々にアクションゲームに行きたいな、という意識はありました。チームサイズが大きくなり、ノウハウも積んできて、そっちの方向に持っていけたという感じです。

小高 このあともアクション主体か、または『シルバー事件』みたいな作品もまた手掛けるのですか?

須田 久々に『シルバー事件』の世界に入り込んで、新しいものを生み出したので、このIPを復活させていきたいなと思っています。いちクリエイターとして、ビジュアルノベルの世界に戻りたいという気持ちはすごくありますね。
 逆に質問ですが、なんで『ダンガンロンパ』というタイトルを付けたのかが、興味深いです。

小高 仮題のままでゲーム制作がスタートしたのですが、人の意見を弾丸で打ち抜くシステムはできていました。恥ずかしい話ですが、僕が付けたタイトルではないんです。社内のチームで公募をかけたところ、キャラクターデザインを担当した小松崎が、「弾丸だし論破してるし、『ダンガンロンパ』でいいんじゃないか」と、ロゴまで作っていたんですよ。ある意味『ガンダム』とか、ロボットものっぽいですよね。それで決定して。僕のアイデアはボツになりました(笑)。
 逆に須田さんのタイトルは、どこから発想を得ているんですか? それがわかれば、つぎは僕がIPの名付け親になれるかも(笑)。

須田 記憶に残るタイトルにしたいというのは毎回あります。『キラー7』に関しては、殺し屋が7人だったら『キラー7』でいいんじゃないかって。『ノーモアヒーローズ』は、もともと『ヒーローズ』だったのですが、それじゃ商標が取れなかったんです。であれば、ストラングラーズの『ノーモアヒーローズ』が、意味合いもすごく合っていたので、それでいこうと思いました。好きな曲名からのインスピレーションは、すごくありますよね。『花と太陽と雨と』は、PYGという日本のバンドに『花、太陽、雨』という曲があって、そこから取っています。

小高 今回の『ニューダンガンロンパV3』の英語版の副題は、“キリングハーモニー”というのですが、これも日本語タイトルと違うんですよ。だから、僕がつけたタイトルは全然ダメなんです。でもめっちゃカッコいいと思ったから、OKです。

須田 僕ももうひとつ質問です。『ダンガンロンパ』のよさのひとつはやっぱりキャラクターだと思うのですが、誰も見たことがないキャラクター設定で、誰の影響も受けてないような絵のタッチですよね。ビジュアルの方向性も、小高さんが指示なされているのですか?

小高 担当の小松崎は、『ダンガンロンパ』までに、キャラクターデザインの経験はまったくなかったんです。それまでは『ドラゴンボール』のゲームのエフェクトをやっていたんです。じつはアニメもそんなに見ないんですよ。

須田 影響を受けていないんですね。

小高 そうです。だから独自のキャラクターデザインです。

須田 だから魅力あるんですね。

小高 直しのやり取りはけっこうしていて、10回くらいのときもあります。でも経験や嗜好で、お互いが知っている作品がけっこう似ているので、「あれっぽく」といったらわかってくれるのが、けっこう大きいですね。要は、共通言語が多いんですよ。

Q.作品の成り立ち&制作にかける思いを。

小高 オリジナルをどうしても作りたいというメンバーが、ゲリラ的に集まりました。小松崎も、オリジナルをやってみたいと言っていて、絵がちょっとうまかったので、「じゃあキャラクターデザインをやってよ」と。学生のサークルのノリで集まったようなメンツではありますね。むしろキャラクターものや原作もののゲームで力を発揮できない落ちこぼれたちが集まって、『ダンガンロンパ』ができたというのはありますね。須田さんのゲームも、とくに初期のものはカルトゲームと呼ばれていたじゃないですか。僕らはけっこう、それがカッコいいと思ってたんですよ。作れることが決まったあとで、チームのみんなで話していたのは、「ここまで好き勝手やったら売れないかもしれないけど、10年後に語り継がれるようなカルトゲームだったり、誇れる傑作にはしようね」って。たまたま『ダンガンロンパ』は売れたんですけど、そんなに売ることに熱心ではないというか……。まず自分たちがやりたい作品、刺さる人には刺さる悪品を作りたいと、いまでもそれは思っています。

須田 作っている本人はもっと売れると思って作っていて、日本でいえばSMAP、アメリカならボン・ジョヴィくらい売れるイメージで作っているのですが、じつはそうならない(笑)。デビッド・リンチのムービーとか、タランティーノのムービーと比較されるので……。「やはり僕はカルトなんだな」と、あとで痛感する感じなんですよ。

小高 僕は大学のときに映画をやっていて、デビッド・リンチの映画などは見てました。須田さんのゲームを遊んだときに、その感触に近いものを感じましたよ。

須田 ボン・ジョヴィ感は、なかったですか?

小高 それはちょっとなかったかな(笑)。

Q.最新作について教えてください。

須田 もともとは、1990年に発売されたゲームなのですが、日本だけど日本じゃない場所、新しい街だからこそ起こり得る犯罪を描いていますし、どこの国でも起こる物語だと思っています。犯罪は人が生むのか、社会が生むのか、場所が生むのか? など、そういうことを突き詰めて考えたのが『シルバー事件』です。いまの時代にも合うんじゃないかとも思っていますし、とくに若い世代のゲーマーのみなさんに、この世界に潜ってほしいと思っています。

小高 『ニューダンガンロンパV3』は売れたほうが誰もがみんな喜びますし、僕もボーナスがもらえるかもしれませんから(笑)、ぜひ多くの方に遊んでほしいと思います。そうなるとつぎに、また自分が好き勝手できるということも大きいので。

Q.もし、『コール オブ デューティ』規模の開発予算があったらどうされたいですか?

須田 いまや海外の大作は、製作費は数百億レベルですよね。それだったら僕は、ソラの桜井さんを大金で雇って、“スマッシュ・グラスホッパー大乱闘”みたいなゲームを作ってほしいなと思っています(笑)。つぎの『大乱闘スマッシュブラザーズ』の新作を桜井さんが作るなら、「トラヴィスを入れてください」と、本気でお願いしたいですし。じつはいままで何回もお願いしているのですが、いつも笑ってごまかされているんです。つぎは逃がさないですよ。そして来年はグラスホッパーが20周年なので、各メーカーに、「キャラクターをタダで貸してください」という話をしにいこうと思っています。日本一さんなら、あのペンギンですね。お祝いやお花はいらないので、ただただキャラクターを借りたい(笑)。

小高 エンターテインメントをやっている会社なら、協力したいところですね。

須田 日野さんに絶対に言いますよ、「ジバニャンをお願いします」と。ロイヤリティーはタダでね(笑)。カプコンさんなら……、成歩堂龍一かな。

小高 僕は、いちばんそのキャラクターが死んでほしくない死にかたで死ぬというフェイタリティ(不幸、運命。必然性)を、考えてみたいですね。

須田 そんな『ダンガンロンパ』を作ったら、本当にファンに殺されちゃいますよ(笑)。

[2017年2月22日午後17時]質問内容を修正させていただきました。

Q.お互いへメッセージを

小高 いちファンとして思うのは、『ノーモアヒーローズ』のような明るい作品もいいのですが、僕はやっぱり、須田さんの陰鬱としたシナリオを見たいですね。

須田 小高さんには『ダンガンロンパ』を生み出した男として、シリーズでも新作でもいいので、とにかく作り続けてほしいんですよね。お金持ちになって引退するような人生を歩んでほしくはないし、死ぬまで作り続けてほしい。僕も作り続けているからこそ、いろんな出会いもあるし、チャンスも巡ってくるので。今後もとにかく、小高さんの作品をたくさん見たいです。

▲最後は視聴者に手を振って対談はフィナーレ。イベントも無事に終了となった。

※写真は配信放送をキャプチャーしたものです。