15周年を迎える古参タイトルは、2017年にどんな歩みを見せるのか

 2002年2月12日、PC用で、さらにMMORPGという、日本ではまだなじみが薄かった新ジャンルのタイトルとして登場したエヌ・シー・ジャパンの『リネージュ』。

 いまやMMORPGは一般的なジャンルになったが、その土台を築き上げたMMORPG黎明期のタイトルの中でも、『リネージュ』はもっとも早い時期に日本で正式サービスを開始したタイトルだ。そして15年経ったいまもなお、多くのプレイヤーに愛され、大型アップデートで進化し続けている稀有なタイトルでもある。

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 今回は15周年を迎える2017年2月を機に、『リネージュ』がどのような展開を見せるのか、日本運営プロデューサー・川南巌氏(文中では川南。敬称略)に展望を訊いた。

 アップデートの情報のみならず、日本における『リネージュ』の「顔」ともいえる同氏の、ゲーマーとしての人となりにも少し触れることができた。とくに古参の『リネージュ』プレイヤーには、同じプレイヤーの視点に立つ川南氏の言葉に共感できる部分が多いかと思う。じっくりご一読あれ。

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▲『リネージュ』がもう15年も稼働していると聞いて驚くゲーマーも多いことだろう。その『リネージュ』を15年間プレイしてきた一プレイヤーでもあるのが、こちらの川南氏である。

気付けばあの日から15年……15周年キャンペーンの詳細は?

――いよいよ『リネージュ』が正式サービス開始(2002年2月12日)から15周年を迎えます。まずはユーザーの皆さんにご挨拶も兼ねたメッセージをお願いできますか?

川南 今年も無事2月を迎えられたことについて、日ごろよりご愛顧いただいております『リネージュ』プレイヤーの皆さまに御礼を申し上げます。
 毎年2月~3月には“周年イベント”としてさまざまなイベント、キャンペーンを実施させていただいておりますが、本年も2月1日の“15周年前夜祭”からキャンペーンを開始させていただいております。詳しくは公式特設ページにてご確認ください!

――恒例とはいえ、15回目の周年となると感慨深いものがありますね。川南さんご自身は、『リネージュ』に関わり始めてからどれくらいになるのでしょうか。

川南 お仕事で関わらせていただいたのは10年ほど前からですが、プレイヤーとしては15年前からずっとプレイしていました。
 この仕事に就いたきっかけとしては、大学に行っていたころ、別の大学に行こうかと思い、受験し直して受かったんです。しかし当時付き合っていた彼女に「そんなことしているヒマがあったらさっさと働いて」と言われまして……。

――その時点でもうだいぶ波乱万丈ですね(笑)。

川南 そのとき、ちょうどプレイしていた『リネージュ』でスタッフを募集していまして。ゲーム業界に興味があったので、受けるだけ受けてみようかと行ってみたら受かりまして。ふと気が付くと、そこから10余年経っていました。

――いまなおアップデートを続け、稼働しているMMORPG黎明期のタイトルとしては、『リネージュ』は最古参ですよね。本当にすごいことかと。

川南 15年というキリのいい周年に加え、今年は(エヌ・シー・ジャパンが)3月には新社屋に移転したりと、会社全体も大きな節目を迎えることになります。『リネージュ』でもそれに見合うよう、いままでとはさらに毛色の異なる、新たなキャンペーンやアップデートをご提供できればと思っております。

――そのキャンペーンについてですが、今年の目玉はどういった要素ですか。

川南 今回は新規・休眠ユーザー向けのキャンペーンもございます。また、後ほどご説明しますが、ハイレベルプレイヤー向けのコンテンツアップデートも予定されておりますので、その実装までにキャラを強化できるようなキャンペーンを複数ご用意しております。是非この機会から、キャラクターのレベルアップを図っていただければ、と。

――具体的には、新規・休眠ユーザーへのサポートはどのようなものが用意されるのでしょうか。

川南 まずは2月のキャンペーンで、期間限定の“アークパス”というレベリングサポートのシステムをご提供いたします。これでレベル70くらいまで快適にキャラクターを育成できるようになります。
 その後は追って序盤導線の改善を行ないまして、レベル80くらいまでは、導線に従ってゲームをスムーズに進められるようにしていく予定です。

――夏以降に、そうして育てたキャラクターで参加できるハイレベルコンテンツが用意されていくわけですね。

川南 夏以降に実装されていくハイレベルコンテンツもそうですが、現在のハイレベルコンテンツである“忘れられた島”も80レベル以上のキャラクターが対象になっています。
 ここまで来れれば、経験値効率やレアアイテムなどもかなり美味しいマップになっていますので、パーティーや血盟の募集もさかんで参加しやすくなっています。序盤はソロメインでも育成できるようになるかと思いますので、ここからぜひパーティープレイを楽しんでいただければと。

“インターサーバー”とは一体? 2017年アップデート情報

――では続いて、2017年度のアップデートの予定について伺っていきたいのですが。

川南 まずは春ごろに“インターサーバー”という基幹システムのアップデート、ならびに追加のアップデートを行います。続いて初夏ごろには、大規模アップデート“ドラゴンレイドリニューアル”の実装を予定しております。

――インターサーバーというのは聞き慣れない単語ですが、それは一体どのような……?

川南 各ワールド間でゲームデータを利用できるようになる設備です。データの蓄積や反映を、ワールド間で垣根を越えて行なうことができます。
 これまでのコンテンツには影響はないのですが、今後のコンテンツではこのインターサーバーを利用したものが多くなり、重要なサーバーシステムになるかと思います。

――MMORPGでよく聞くビッグサーバーなどとは、また違ったものなんでしょうか。

川南 既存のサーバーとは別の、ワールド間のやり取りや膨大な蓄積データの保存などが可能になる、中間的存在のサーバーになります。具体的にどのようなものになるか分かりやすいのが、春ごろに実装を予定している“テーベラス支配戦”と“ランキングシステム”のふたつです。
 テーベラス支配戦は各ワールド間でポイント制のマッチを行う期間限定イベントです。PvPやPvEでポイントを集める前半戦と、テーベラスの砂漠のピラミッドを舞台にしたPvPでの直接対決となる後半戦で決着をつけることになります。

――プレイヤー側からは、支配戦に参加するのに何か特殊な手続きなどは必要になるのでしょうか。

川南 プレイヤーの皆さんには、このマップにテレポートするだけですぐに参加していただけます。競い合う3つのワールドが選ばれた後は、インターサーバーにあるこのテーベラスのマップに、各ワールドからいつものキャラクターでテレポートしてこれるわけです。

――なるほど、ほかのサーバーのプレイヤーと対戦できる貴重な機会になるわけですね。ちなみに個人戦とチーム戦のどちらになるのでしょうか?

川南 チーム戦ですね。同じワールドのプレイヤーと協力して、別ワールドの勢力と競う形になります。
 これまではワールド間の交流の機会はほとんどなかったかと思いますので、この機会に「あのワールドにはムチャクチャ強いプレイヤーがいるらしい」と言われるような伝説の存在を目指してみたり、同じワールドの見知らぬプレイヤーと出会ってパーティーや血盟への参加のきっかけにしていただいたりと、これまでにない楽しみかたができるかと思います。

――日本ですと小規模のPvPには抵抗を感じるプレイヤーも多いですしね。その入り口としても、テーベラス支配戦は適していそうに思えますが。

川南 大規模な戦争コンテンツとは異なり、消耗品が安価だったりとかなりハードルが低くなっているのも魅力かと思います。対戦要素だけでなく、同ワールドのプレイヤーとの協力要素も楽しめますので、気軽に体験してみていただければと。

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▲おなじみの砂漠マップ・テーベラスが、新たなコンテンツの舞台となる。装備やアイテムをリアルタイムで即座に反映できるインターサーバーを活用すれば、かつてない形態のワールド間イベント開催が可能になるかも?

――では続いて、もうひとつのインターサーバーの活用例として先述されていた“ランキングシステム”についても教えてください。

川南 こちらは同一ワールド内のキャラクターの“経験値の量”を、毎日定時にクラス別に集計していくランキングシステムです。その記録に、インターサーバーのシステムの一部を利用していきます。
 上位ランカーのキャラクターには、“ランカー変身”という非常に強力な変身が報酬として付与されます。こちらは現在の最高の変身である85レベル変身を凌駕するスペックを持ち、韓国の血盟戦では、この変身を持つキャラクターの数が血盟の強さに直結する、とまで言われています。

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▲こちらがランカー変身の、男女それぞれのグラフィックだ。左上から君主、ナイト、ウィザード、エルフ、ダークエルフ、ドラゴンナイト、イリュージョニスト、ウォリアー。今後はこの姿こそが、各クラスの上位者の証になる。

川南 ただし、ランカー変身を獲得して血盟戦で活躍している間は狩りに行けず、当然経験値はもらえません。すると翌日のランキングで順位が下がって、ランカー変身ができなくなったりもします。
 韓国の血盟だと、普段の小競り合いなどは2軍のプレイヤーが担当し、その間に1軍のエースは経験値を稼いで変身を保有し続けるなど、役割分担が行なわれています。

――ちなみに、ランキングの何位くらいまでに入れば報酬が得られるのでしょうか。

川南 韓国ですと100位までに入れば何らかの報酬が得られましたが、日本でどうするかは調整中です。プレイヤー人数に対し、ランカー変身が特別なもの、憧れの存在になるような割合に調整できればと思っています。

――PvPがメインとなる韓国と狩りがメインとなる日本の違いで、ランキング自体がどうなるかちょっと予想ができないですね。

川南 ランキングに挑むモチベーションを高めていただくためにも、開発の許可がもらえれば、ランカー変身の強さを体験できるお試しイベントなども開催してみたいところですね。

15年目にして伝説の武器が登場!? 今夏、四大竜が集結!

――春ごろのインターサーバー関連のアップデートに続いて、夏以降のアップデートの予定も伺えますでしょうか。

川南 初夏ごろには“ドラゴンレイドリニューアル”と“エピソード:ヴァラカス(仮)”という、ふたつのハイレベルプレイヤー向けアップデートを予定しています。
 なお、このアップデートでは実装スケジュールの形態がこれまでとは少し変わる予定です。最初の週にシステム的なアップデートをすべて実装し、そこからは週単位で既存のドラゴン“アンタラス”、“パプリオン”、“リンドビオル”のリニューアルを段階を追って実装していきます。
 そして最終段階で、最後にして最強のドラゴン“ヴァラカス”が登場します。予定では10週間にわたり、各ドラゴンのレイドが非常に高難度のレイドへと、ひとつずつ生まれ変わっていくことになります。

――するとドラゴンレイドは、まさにエンドコンテンツといった難易度になると。

川南 そうなりますね。さらにヴァラカスは既存3種のドラゴンを超えるドラゴンとして物語上でも語られていますので、さらに難しいレイドになります。
 それだけ高難度のレイドになりますので、一度に実装するのではなく段階的に実装し、各レイドにじっくり向き合っていただく時間を設けたいと考えまして。ただ、開発の状況次第では全部まとめて実装ということもあり得ますので、あくまで現段階の展望ということで……。

――今週はこのドラゴンの討伐期間、などと区切りがいいと、キャンペーンやサポートもしやすそうですしね。新ドラゴンとなるヴァラカスは、どういった強さを誇るドラゴンになるのでしょうか?

川南 ギミックなどに頼らない、シンプルに強いパワータイプです。被ダメージの量などを見て唖然としつつ、よくわからないうちにほかのプレイヤーがいっぱい倒れている……といった光景がくり広げられるかと思います。

――なるほど、最強レイドコンテンツではおなじみの光景ですね(笑)。

川南 韓国では、去年の夏ごろに実装されたレイドです。そこで今年1月に討伐状況を聞いてみたところ、「安定して倒せる血盟はまだひとつしかない」という答えが返ってきました。ちなみにそこは、ランカーキャラクターも韓国で一番多く保有している、最強の血盟として有名なところだそうです。

――え、夏から半年近く経ってもですか? それは相当ヤバい強さなのでは……?

川南 日本ではどうなるかは、まだ分かりませんけどね。
 過去にテーベラスのマップで登場したテーベ アヌビスやテーベ ホルスといった非常に強いボスについても、韓国では当初「倒せない!」と言われていたものが、あとから実装された日本の方で先に討伐されるようになりましたから。

――たしかに、PvPでは韓国プレイヤーに譲りますが、PvEの攻略や研究については日本のプレイヤーは底知れないものを持っていますね。

川南 テーベ アヌビスやテーベ ホルスについては、開発側も「すぐには倒せるように作っていない」と言っていたほどだったんですけどね(笑)。今回のヴァラカス戦でも、日本ならではのハイスピード攻略が達成されるかもしれないと期待しています。

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▲炎の属性を持つ最強のドラゴンとして、新たに登場するヴァラカス。手強いレイドボスとして、すでに戦ったことがあるハイレベルプレイヤーも多いだろう。だがこのリニューアルで、さらにケタ違いの強さになるようだ。

――ちなみにヴァラカスで4種のドラゴンがいよいよ出そろうということで、討伐時には特別な報酬なども用意されているのでしょうか。

川南 これまでは4種のドラゴンが同時に存在していたことはなかったため、15年目にして初めて同時期に登場することになります。そこで報酬として、ヴァラカスの素材で製作できる上位の鎧だけでなく、この4種のドラゴンの素材を利用して作る伝説の剣“ドラゴンスレイヤー”が登場します。

――15年目にして、ついにファンタジーの王道ともいえる剣が……。ものすごくカリスマのある武器になっていそうですね。

川南 韓国でのみですが、昔はドラゴンスレイヤーを製作できるイベントもあったらしいんです。そのときのドラゴンスレイヤーはふつうの武器と同じく、ドラゴンを攻撃していくと破損してボロボロになっていく残念な武器でした(笑)。
 今回実装されるドラゴンスレイヤーは破損もしない、世界設定でも語られている、名実ともに最強の武器となります! 15年目にして登場する、この象徴的な武器の作成を目指していただければと思います。

雑談などしつつ、『リネージュ』のさらなる進化と課題にも迫ってみた!

――大型アップデートについてのお話をここまで伺ってきましたが、続いて2017年の日本での運営方針についてもお聞きしてよろしいでしょうか。

川南 2017年は“改善”をテーマとし、ならびに“とっつきづらさ”からの脱却を目指していければと思っております。

――それは先ほどお話に出ていた、序盤の導線の改善といった部分に関するところでしょうか。

川南 『リネージュ』はMMORPG黎明期から続く古いタイトルということもあり、グラフィックについては2Dグラフィックが逆に珍しく、気に入っていただける場合も多いのですが、いざ始まってみると「はいどうぞ!」と放り出される、昔のMMORPGならではの放置感が強いタイトルでもありました。
 ただ、お恥ずかしながら私自身がその「はいどうぞ!」の時代をずっと過ごしてきたプレイヤーであるため、その問題に気付きにくいところがありまして……。

――その最序盤の導線については、昨年夏の初心者用エリア“クラウディア”の実装でかなり改善されたと思いますが。

川南 そのクラウディア以降から如実になってしまったことなのですが……。レベル55まで数時間で到達できるものの、その後に“話せる島”という通常マップに移動しますよね。すると、それまで懇切丁寧に「この敵を倒すんだ!」などと教えてもらえていたガイドが一切なくなってしまうんです。
 そして何より問題なのが、その“話せる島”の敵が強く、クラウディアから来たばかりのキャラクターではポーション代で赤字になってしまうんです。昔と同じように「はいどうぞ!」と放り出される状況であっても、探せば弱い敵がいました。しかし現状では“話せる島”の敵より弱い敵が、通常マップには存在しないんですよ。

――たしかに初心者にはきついですね……。古株プレイヤーならその状況すら楽しめますが、最近の状況だとモチベーションが即座に尽きてしまうこともあるかと。

川南 これは古参の価値観からしてもさすがに問題だろうと開発に掛け合いまして、通常エリア到達後の導線の形成と、チュートリアルゾーンと通常ゾーンの難度の隔絶に関する改善をしてもらうことになりました。
 マップのバランスを調整していくのか、サポートのシステムを充実させていくのか、どのような形になるかは調整中です。しかしどのような形であれ、新規ユーザーの方でもレベル80まで、安心してプレイしていただけるようになるかと思います。

――こうしたインタビューの場などでお話を聞くと、各社のプロデューサーさんともに古株プレイヤーのことが多いので、そうしたハードな難度の方が好みだったりしますね……。

川南 私もそのひとりですが、現状のレベル55の状況はそんな私から見ても相当厳しいと思いましたので。ただ、既存の『リネージュ』プレイヤーの中でも、私の価値観が異端だと思っていますが……。

――それはやはり、昔の「自分で何とかする」くらいの難易度のコンテンツの方が好きだったりするということでしょうか?

川南 そもそも私は『リネージュ』をRPGだと思っていないところがありまして。ゲーム性でいうと、考え抜いて行動に移す、ユニットで有利になるセルを確保していくシミュレーションゲームに近いものじゃないかと。
 また、RPGといえば自分が主人公で、自分の周りで話が進んでいくものですが、『リネージュ』は必ずしも主人公が自分ではなく、物語上では血盟主になれる君主くらいしか、主人公としては振る舞えないんですよ。ほかのプレイヤーキャラクターは、物語の上ではあくまで1ユニットとも考えられます。

――各1ユニット、一兵士としての役割を楽しむという視点で見れば、RPGと言えなくもないですね。そしてそういう一市民になれるゲームに興奮する人も、少なからずいます。

川南 『リネージュ』でしたら税収や戦争の上がりなどもありますので、本当に一兵士、一市民のロールプレイを楽しむこともできるかと思います。
 ただ、私のこうした価値観でハイレベルコンテンツを作ったりすると、日本で3人くらいしか熱狂してくれない、なんてことになってしまうんじゃないかと(笑)。

――「昔ながらの難易度や感覚のイベントはぜひ実装してみたい。でも、できない」と言う運営・開発者さんも、じつは多いですからね。そういうプロデューサーの皆さんを各社から集めて、座談会とか開催してみたいですね。

川南 それはもう、ぜひやってみたいですね! 意外と横のつながりが少ない業界ですし、お互いにいろいろな発見がありそうです。

――10年来のタイトルを抱えているメーカーさんは、どこも同じような悩みを抱えているでしょうしね。話をすると「わかる!」とすごい勢いで同意される場になると思いますよ。

川南 いや、それでいいんですよ。プロデューサーの立場は叩かれてナンボみたいなところがありますので、ふだん優しくされていないんです。だからこう、そういう場で優しくしたりされたりしたいですよ(笑)。「頑張った! 10年よく頑張った!」って。

――そこはもう、個室の飲み屋で割り勘でやってください(笑)。

川南 あと個人的には、「こんな敵いたよねー」、「あー、覚えてる覚えてる!」などといった、古株プレイヤー同士で思い出話ができる場なども設けてみたいんですけどね。

――それはゲーム内でもできそうな気がしますが……。

川南 1プレイヤーとして、生の声での談話に混ざりたいんですよ。生で話してこそ出てくる話題もあると思いますので。
 ただ、皆さんにヘタに顔を知られている身としては、そういった場に自然と混ざることができないのが残念です……。

――そういう「あるある話」、たしかに長く遊んでいるゲームでは無性にやりたくなりますよね。

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▲川南プロデューサーご自身も含め、15年プレイしているプレイヤーがかなりいるという点も、『リネージュ』のすごいところ。それだけ長く愛される良さがあり、それを身をもって知っているプロデューサーがいるという点からも、今後の展開に安心感と期待感が持てる。

――運営プロデューサーとして、ひとりのプレイヤーとして、『リネージュ』のどういう部分を伝えていきたいと考えていますか?

川南 リネージュは古いタイトルであり、最新のゲームを体験したプレイヤーの皆さまにとっては足りない部分が目立つタイトルかもしれません。
 しかし、私自身は「『リネージュ』は独特のいい部分を持つ素晴らしいタイトル」であると思って担当させていただいています。これからも、ひとりでも多くのプレイヤーの皆さまに『リネージュ』というゲームをお伝えし、プレイされた皆さまに「いいゲームだな」と思っていただけるようなゲームにできるよう、私をはじめとしたサービスチーム一同鋭意努力させていただきます。皆さま、これからもリネージュをよろしくお願いいたします!

――いかにいいゲームかは、プロデューサーご自身が15年プレイし続けているという時点で、十分にアピールできていますね。

川南 もう何年かプレイすれば、人生のちょうど半分くらい『リネージュ』をプレイし続けたことになりますからね(笑)。さらに人生の半分以上、このゲームをプレイしたプレイヤーとして誇れるように、今後も改善に努めていきます!