歴史イベントを作ろう!
コーエーテクモゲームスより2017年2月16日に発売される(Nintendo Switch版は2017年3月30日発売予定)、『三國志13 with パワーアップキット』。数多くの追加機能を搭載した本作の中でも、目玉と言える新要素が“イベント編集”だ。その名の通り、プレイヤーみずからゲーム中で発生するオリジナルイベントを作成・編集できるというもので、ソフト発売と同時に“イベント編集コンテスト”なるキャンペーンも開催予定となっている。優秀作品には、“川本喜八郎賞”を始めとしたさまざまな賞が授与されるとのこと。
本記事では、この機能を使って制作されたイベントで、『三國志13 with パワーアップキット』の追加特典としてDLC配信が予定されているファミ通オリジナルイベント“裏三國志”の作成の模様をお届けする。ぜひ、キャンペーン応募の参考にしてほしい。
イベント作りの手順とアドバイス
イベント編集機能では、特定の条件を満たすと発生する“歴史イベント”と、達成すると“絆”を結ぶことができるようになる“絆依頼”という、2種類のイベントを作ることができる。ファミ通オリジナルイベント“裏三國志”は、“歴史イベント”だ。
歴史イベントでは、じつにさまざまな設定が行える。大きくまとめると、以下の6つが設定可能。
■イベント編集機能で設定できる項目
・イベント名
・発生条件(特定の日付、場所や武将の生死、所属なども設定可)
・登場人物(最大で5人まで)
・会話や地の文
・結果の分岐の有無(2択の選択肢を設定できる)
・結果
まずは発生条件。ここでは、特定の年、日付、勢力の存亡や武将の生死、婚姻状態など細かい条件を設定できる。最初に“発生契機”を“ゲーム開始”にすれば、シナリオの開始と同時にイベントを発生させることもできるぞ。今回は、シナリオ“出師の表”が始まると同時に発生させたかったので、以下の条件を設定した。
■“裏三國志”の発生条件
・227年1月以降
・公孫淵、士壱、孟獲が健在
・曹操系、孫堅系、劉備系の各勢力が健在
・後漢皇帝が存在しない
続いては登場人物。最大で5人まで登場させられるので、たくさん出して賑やかな会話を演出しよう(ただし、会話文はすべて自分で入力しなければならないが……)。登場人物は、特定の個人にすることもできるし、勢力や身分などを指定して状況に応じた人選を任せることも可能なのだ。
先ほどの発生条件と同じく、登場人物である公孫淵、士壱、孟獲の3人をここに登録。
ここからが、イベント作りでメインとなる内容設定。イベント中に流れるメッセージ(会話や地の文=説明文、ナレーションなど)を入力したり、その背景CGやBGM、効果音(SE)などが設定できる。メッセージは、ひとつにつき3行まで入力でき、イベント全体では最初のシーンで200個+分岐の選択肢後のシーン×2で400個、合計800個まで入れられるようになっている。と言っても、あまり長くなりすぎると読むほうもたいへんなので、個人的には長くても前半50個、後半30個くらいがいいのではないかと思う。ちなみに、ゲーム全体で最大4000個保存可能だ。
“裏・三國志”では、背景CGは“酒場”と“星空”の2種類、BGMには“陰謀”と“軍議”、“新しき時代へ”の3種類を、シーンに合わせて切り換えて使っている。あまり細かく切り換えるとわかりづらいので、ここぞというときのみ変えるようにするといいかもしれない。また、今回ピエロ役を演じてもらった公孫淵が」ガクッ」となったときには“不幸音”の効果音を入れたりしている。こうすることで、より“ズッコケ感”が出るのだ。演出を凝るなら、効果音で工夫してみるのも手だ。
王道パターンとしては、以下の感じで、“起承転結”を意識するとスムーズにまとまりやすくなるぞ。
■イベントの構造の例
起:最初に地の文で状況説明
承:会話シーン始まる。場面切り替え時には、切り替える前に地の文で場面転換の説明を入れる
転:選択肢
結:選択肢後の会話は短めに
なお、イベント中には1回だけ、分岐(選択肢)も入れられる。これを入れると結果も2通り設定できるのだ。ただし、分岐後の会話展開なども考えなければならないため、賞狙いでシナリオを作るなら、かなりの手間を覚悟しなければならないだろう。
ここまで、内容制作ばかりに触れてきたが、イベント編集機能では結果も自由に設定できる。武将を特定の勢力に移籍させたり、親近感を増やして絆を結ばせることも可能。都市のパラメーターや勢力の滅亡までも行えるのである。まさに神様プレイ! 本編が難しいと思ったら、イベント編集で開始とともに絆武将がたくさんできるようにしたり、敵対勢力を弱体化させたりするのもありだ。
“裏・三國志”では、シナリオ“出師の表”開始まもなく、魏の北東にある独立勢力の配下だった公孫淵が君主に昇格し、その配下に呉の有力な地方領主の士氏や蜀の孟獲夫妻が加わる……という展開が用意されている。“弱小勢力で一矢報いる”というテーマで作ったものなので、下克上を愛するファンの皆さんに使ってもらえたら幸いだ。
一方の“絆依頼”も、基本的な作りかたは同じ。ただし、こちらでは選択肢の代わりに“一騎討ち”か“舌戦”を行うことになり、その相手は絆依頼の依頼主か、武将ではない一般市民や兵士、賊たちとなる。
結果エディットでは、絆を結ばせたり、能力経験値を大きく増加させるといった内容を設定できる。
今回、ゲーム中の一要素として収録されたイベント編集機能。システムこそシンプルながら、項目数も多く、かなり多様なイベントが作成できるようになっている。ただし、メッセージ入力は手作業となるため、PC以外のプレイヤーはできればキーボードを用意しておいたほうがいいだろう。
また、自分で作ったBGMなどが入れられるようになったら、よりすばらしいと思うのだが、それは今後のアップデートに期待するとして、まずはこれだけのモノを用意してくれた開発陣に感謝したい。