“Xbox FanFest: Sydney 2016”で直撃!
2016年9月27日~29日(現地時間)、オーストラリア・シドニーにて開催された、Xboxユーザーのための集い、“Xbox FanFest: Sydney 2016”。3日間にわたるイベントの詳細はファミ通ドットコムでリポートした通り。
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会期中には、オーストラリアに訪れたXbox ヘッド、フィル・スペンサー氏に久しぶりにお話をうかがえたりと、まさに充実の取材となったわけだが、取材最終日に、“Xbox FanFest: Sydney 2016”に合わせてオーストラリアに訪れた、『Forza Horizon 3』と『Dead Rising 4』のクリエイターさんにインタビューする機会を得た。以下に、その模様をお届けしよう。
『Forza Horizon 3』開発元 プレイグラウンド シニアデザイナー、マイク・ブラウン氏
地元のオーストラリア人も太鼓判を押すほどの再現度
――せっかくのオーストラリアということで、オーストラリアにフォーカスした質問をいくつかさせてください。まずは、『Forza Horizon 3』で、オーストラリアを舞台にした理由を教えてください。
マイク 候補となる場所をいくつか見たのですが、オーストラリアの土地の多様性に惹かれました。海岸線もあるし、モダンな都市もある。森林もあるし、砂漠もある。「これはドライブするのにクールな場所だ!」と思いました。あとは、カーカルチャー。オーストラリアはクルマに関する文化がリッチなんです。クラッシックカーが好きな人もいれば、ドラッグカーが好きな人もいます。地理的に日本に近いので、日本車のファンもたくさんいますよ。
――ロケーションをして、とくに印象的だった場所は?
マイク 自然ですね。峻厳な岩や、切り立った崖、高い山も印象的です。クルマで運転しているときに、そういうものが目に入るとスケールの大きさを感じます。そのへんが刺激になっていますね。
――そういう自然をゲームに落とし込むのはたいへんですか?
マイク そのへんは、Forza Techエンジンのフォトグラメトリーというツールを駆使しています。あらゆる角度から写真を撮って、システムに落とし込んで、ゲーム中で再現するようにしているんです。
――ああ、Forza Techエンジンは、クルマだけではなくて、環境もサポートしているんですね?
マイク そうです。『Forza』シリーズでは、クルマやサーキットなど、クルマに関するすべてを再現することを心掛けています。それを実現するために長けているのが、Forza Techエンジンなんです。最初は、クルマの操作性の再現から始まって、ゲームが大きくなるにつれて、いろいろな要素を盛り込まないといけなくなったんですね。それに対して柔軟性を持たせるようにした。それが、Forza Techエンジンです。ちなみに、オーストラリアをロケーションするにあたっては、専門のスタッフ30人が3ヵ月間継続的に写真を撮影しました。植物、岩からロードサインまで、それこそあらゆるものを撮影しましたよ。
――オーストラリアというと相当広大ですが、スケール感をゲームに落とし込むのはたいへんだったのでは?
マイク そうですね。オーストラリアは広いので、その広さをゲームに取り入れたいとは思っていました。とはいえ、のんべんだらりと走っていても飽きてしまうので、「いっぱい走ったな」という気持ちにさせるけど、じつはそれほどでもないという感覚を実現できるようにしています。
――たとえば、どんな手法を使っているのですか?
マイク 密集させました。たとえば、100キロある場所だったら、15キロくらいに縮めるんです。ちゃんとランドマークは押さえているので、そのあいだを縮めても、「ここまで来たなあ」という感じがするんですよ。さらに言えば、景色が変わって環境が変わると、「ずいぶん来たな」という感じになるんです。人間の心理をついた感じですね。
――オーストラリアが舞台になるということで、オーストラリアの人も相当喜んだのでは?
マイク はい。かなり喜んでいただいていますよ。「本物のオーストラリアっぽい」と言っていただいています。オーストラリアのカーカルチャーを盛り込んでいる点も、高い評価をいただいていますよ。
――“Xbox FanFest”に関してはいかがですか?
マイク ファンの皆さんに会えるのは、楽しいですね。さらにすばらしいのは、自分たちが作ったゲームだけではなくて、Xboxファンと話ができることです。Xbox Oneの話もできるし、私の好きな『Halo』の話もできますし、それがすごく楽しかったですね。
――ああ、クリエイターさんも楽しまれたということですね。そういえば、『Halo』と言えば、『Forza Horizon 3』に『Halo』シリーズのワートホグが登場すると発表されてびっくりしました。世界観を損ない兼ねないのでは……という危惧はなかったのですか?
マイク ああ(笑)。ワートホグの収録は、プレイグラウンドに入社したときから長いことずっと考えていました。私は『Halo』ファンなので、入れたいと思っていたんですよ。
――ああ、マイクさんが言い出しっぺだったのですか。
マイク たしかに、時代設定も違うので、違和感も抱かれ兼ねないのですが、そこは整合性が取れるように343 Industriesのほうでちゃんとストーリーを考えてくれました。ワートホグが現在にいる理由をしっかりと説明できるようにしておかないと、あとで辻褄が合わなくなりますからね。
――それは凝っていますね。ふつうに考えたら、ワートホグがダントツで速いのでは……との印象を受けますが。
マイク (笑)。今回『Forza Horizon 3』に登場するのは、戦争用ではなくて、市民用なんです。そこまでパワフルではないので。
――なるほど。ところで、『Forza Horizon 3』では、『Halo』以外にもコラボを予定していたりするのですか? たとえば、『Gears of War』シリーズとか……。
マイク 現状は予定していないですね。
――では、最後に日本のファンに向けて、ひと言お願いします。
マイク 『Forza Horizon 3』は前作に比べて、格段に“できること”の幅が広がっています。日本車もたくさん入っていますので、日本のファンの皆さんにも楽しんでいただけるのではないかと。ぜひ、プレイしてみてください。
『Dead Rising 4』開発元 カプコンバンクーバー スタジオディレクター、ジョー・ニコルズ氏
どんなくだらない要素でも入れる。それが『Dead Rising』だから
――『Dead Rising 3』を経て『Dead Rising 4』を開発するにあたって、キモとなった部分はなんですか?
ジョー フランクが帰ってきたこと! これに尽きますね。『1』の主人公だったフランク・ウェストが戻ってきたのです。舞台もオリジナルと同じコロラド州ウィラメッテです。
――フランクが戻ってきた理由は?
ジョー ファンの人気がとくに高かったんですね。さらに言えば、1作目の『Dead Rising』がリリースされてから今年でちょうど10周年ということで、タイミングとしてはよかったです。
――『Dead Rising 4』で、とくに注目してほしいポイントは?
ジョー コンボウェポンです! コンボビークルは前からありますが、今度は自分自身をコンボできるんです。フランクが装着できるEXO スーツがさらにパワーアップしました。“スローピー”という飲み物を装着することによって、アイスグレネードを作れたりもするんですよ。
――そういった、おもしろい要素は、どうやって思いつくのですか?
ジョー まずは、ゾンビにどういう効果を与えたいのかを考えます。そこから辿って考えていくのですが、たとえば“ゾンビを凍らせたい”と思ったら、何を使ったらいいのか……ということで、冷たい飲み物を使ってグレネードにしたりするわけです。これで4作目なので、やりかたも尽きてきてたいへんですが(笑)、とにかくいちばんおもしろいものを選びますね。
――あまりにくだらなくて、ボツにしたアイデアとかはあります?
ジョー ありません(笑)。基本は、しょうもないアイデアもすべてゲームに盛り込んでいますよ。『Dead Rising』シリーズとは、そういうものですから。どんな要素でも入れます。
――それが『Dead Rising』シリーズの真骨頂ということですね。となると、本作においてもっともしょうもないと思うアイデアは?
ジョー うーん……。“ガンドエルフ”かなあ。打つとノームで攻撃できる杖があるんです。
――なんか、某ファンタジーを彷彿とさせますね(笑)。
ジョー そうですね。ふと思いついたんですよ(笑)。
――ところで、フランクはなぜ人気があるのでしょうか?
ジョー フランクは典型的なヒーローというわけではありません。かっこよくもないし、体もシェイプされていないし、セクシーでもない。でも、自分でサバイブする。自分を守ることはできるので、偶然ヒーローになってしまったんですね。『ダイ・ハード』のジョン・マクレーンに近いかな。
――ブルース・ウィリスはフランクのイメージに近いですね。
ジョー そうですね。あとはジェイソン・ステイサムとか。タフだけど磨かれていない(not polished)。そういうヒーローがほしかったんです。ブルース・リーは“polished”だけど、ジャッキー・チェンは“not polished”。そんな違いかな。もちろん、それぞれ好みの違いがあって、作品によって適性が異なります。フランクは“not polished”なキャラクターだということです。
――ああ、わかります。フランクは、どんな層に人気があるのですか?
ジョー 基本的に、彼のことを好きになる層は幅広いです。開発中はフォーカステストをしたりもしているのですが、女性も“polished”されていない男性に惹かれますし、もちろん男性も“polished”されていないキャラクターは好きですよね。若い人もフランクはへんなことをするのでおもしろいと思っているようで……。みんなフランクが好きなんです。
――万人受けするキャラクターということですね。ところで、10年以上に渡ってゾンビゲームを作り続けられたモチベーションってなんですか?
ジョー モチベーションかあ……。カプコンバンクーバーでは、“ブランドを作っている”という思いがあるからかもしれませんね。自由にワールドが構築できる。好きにできるんですよ。たとえば、時代設定ひとつとっても、いきなり10年飛んでも構わない。いろいろなキャラクターが出てきてもいいし……ということで、それが続いてきた秘訣かもしれませんね。
――ゲームに限らず、ユニバースを広げていきたいということですか?
ジョー そうですね。『Dead Rising』は映画化もしましたし、今後もいろいろとやっていきたいです。
――『Dead Rising』を『Dead Rising』足らしめている、核となる要素はなんですか?
ジョー フランクにしても、ほかのキャラクターにしても、つねに正しいことをしようと思っているところかな。正しいことをして世界を救おうとするんだけど、どこかでおかしなことが起こる。それがエッセンスですね。
――少し好奇心から聞いてしまうのですが、“この要素を入れたらおもしろくなりそうだけど、『Dead Rising』の世界観にそぐわないからボツにした……”なんてアイデアもあるということですか?
ジョー それはありますよ。基準となるのは、やはりキャラクターですね。『Dead Rising 4』の場合は、「フランクだったらこれをするかな?」とか、「フランクならこれはしないだろうな」というふうに、“フランク”という物差しを基準にして考えています。「将来ほかに出てくるかもしれないキャラクターだったら、それでいいかもしれないけど、フランクにはあっていないかも」ということで取捨選択していますね。
――つまり、『Dead Rising 4』の場合はストーリーの要請からフランクが主人公になったという一面もあって、違うストーリーだったら違うヒーローが出てくるかもしれない?
ジョー そうですね。『Dead Rising』というブランドの中での自由さがあるので、つぎは違うキャラクターが出て来るかもしれませんね。
――開発の皆さんは、ゾンビに対する思い入れも深いと思うのですが、ゾンビのどんなところに惹かれるのですか?
ジョー おお(笑)。なぜ人はゾンビが好きなんでしょうね……それは、ゾンビがリアルだからかもしれないですね。“現実”として容易に想像できる。たとえば、私が「外にドラゴンがいて、火を吐いている」と言っても誰も信用しないですよね。でも、「外にゾンビがいる」と言えば、「もしかして……」と思うかもしれない。そのうえで、あまり賢くないのですぐにやっつけられるところかな。しかも、数が多いので、一網打尽にできる。いずれにせよ、ゾンビっておもしろいじゃないですか!
――とはいえ、長きにわたってゾンビゲームを作り続けることは苦しくはないのですか?
ジョー ぜんぜん! 私はスタジオ全体を見ているので、必ずしも毎日ゾンビに接しているというわけではないのですが、開発陣はみんなゾンビが大好きで、疲れを知りません。RPGが好きな人はRPGをずっと作り続けるわけで、それといっしょです。ゾンビゲームをずっと作り続けたいという人がいるわけで……。
――ひとつのゲームジャンルといっしょですかね。
ジョー そうですね。あるいは食べ物といっしょですよ。好きな食べ物は飽きないでしょう?
――個人的な趣味でうかがうのですが、ここ10年くらいで刺激を受けたゾンビコンテンツはなんですか?
ジョー たくさんありますよ。『プリースト』、『アイ・アム・レジェンド』、『ショーン・オブ・ザ・デッド』などなど。ああ、あと『ゾンビランド』もありましたね。『ゾンビランド』は『Dead Rising』と近しいですね。
――最後に、『Dead Rising 4』の日本での発売を心待ちにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
ジョー 日本の皆さん、いつも『Dead Rising』シリーズをプレイしてくださってありがとうございます。最新作の『Dead Rising 4』を皆さんにお届けできることを楽しみにしています。きっと気に入っていただけると思います。