前年覇者の貫禄! チームGALLERIAの動きに注目
2016年9月15日(木)から9月18日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ 2016(15日・16日はビジネスデー)。9月16日にはWargaming Japanブースにて『World of Tanks』(以下、WoT)の対戦ステージ“第二次PCメーカー対抗トーナメント”が開催された。
こちらのトーナメントに出場したのは、PCメーカー各社が編成した6チーム(1社が都合により棄権)。推奨PCを発売するなどして、自社が自信をもって製品をオススメする『WoT』において、同じ立場の他社チームには意地でも負けたくないところだろう。
<<対抗戦出場メーカー>>
LEVEL∞
TSUKUMO
ALIENWARE
日本HP
日本エイサー
サードウェーブデジノス(ガレリア)
序盤から手に汗握る戦いがくり広げられた本トーナメント。トーナメントの終盤、シード枠で参加となる前年の覇者・サードウェーブデジノスのチームGALLERIAが登場したところから流れが一変した。前年の対抗戦で圧倒的な強さを見せただけでなく、今年はアニメ『ガールズ&パンツァー』のアンチョビ役でもおなじみの声優・吉岡麻耶さんもメンバーに加え、注目度は抜群に高い。
初陣の相手は、「ブースで弊社PCを使っていただいているので負けられない!」と気合を入れるチームALIENWARE。ここでいきなりチームGALLERIAの実力が存分に発揮されることとなった。
チームGALLERIAはチェコスロバキアのTier X中戦車TVP T 50/51を2両投入。1.5秒間隔で4連射が可能な砲を持つ、瞬間火力と機動力に優れた中戦車だ。この2両の連携で、チームALIENWAREが投入していた中戦車B-C 25 tをあっさり撃破。2両のTVP T 50/51が流れるような動きで孤立した敵戦車を挟み込み、合計8連射で仕留める。世界大会に出場するようなトッププレイヤーが見せる一斉連携挟撃を見事に再現し、1ラウンド先取した。
この試合は2ラウンド目もチームGALLERIAが勝利し、ストレートで2本先取。中でもTVP T 50/51の長いリロード時間を重戦車T110E5がカバーして撤退時間を稼ぐ連携が見事だった。
こうなるとチームALIENWAREの実力を疑う人もいるかも知れないが、続いての3位決定戦でチームALIENWAREは日本エイサーのチームPREDATORと対戦し、見事な連携を披露してくれた。
チームPREDATORは、2両の重戦車IS-7に加えて、とてつもない火力で“アルティメットロマン砲”と呼ばれる駆逐戦車FV215b (183)を投入した攻撃的なチーム編成。それでもチームALIENWAREは焦ることなく、孤立気味になったFV215b (183)と偵察役の軽戦車T-54 ltwt.を冷静に処理し、誘い出した相手を各個撃破したりと、対応力はかなりのものだったのだ。
決勝戦は世界レベル!? PCメーカーチームの今後に期待大!
そうして迎えた決勝戦は、チームGALLERIAとTSUKUMOのチームG-GEARの対決。声優の山下まみさんを軽戦車乗りのチームメンバーとして迎えて勝ち上がってきており、ある種の声優対決(?)と相成った。試合前には「お世話になってる先輩を撃っちゃっていいんですかね!?」とビクビクする山下さんに対し、「バンバン撃っちゃってください!」と吉岡さんが余裕を見せる一幕も。
第1ラウンドでは、チームG-GEARがIS-7を1両、T110E5を2両という重戦車多めの編成。チームGALLERIAはIS-7を1両、総合力は高いものの弱点も多く扱いが難しい中戦車STB-1を1両、TVP T 50/51を2両という、中戦車メインの高機動編成だ。序盤はお互いの偵察役がなかなか敵車輌に遭遇しない事態に陥った。それもそのはず。チームG-GEARは全車両をマップ南東に固めるという、徹底防御の布陣を選択したのだ。
一見すると北と西の2方向から攻め込まれそうだが、ここにはT110E5がハルダウン(丘陵を活用して、堅牢な砲塔部分だけが相手から見えるようにする戦法)を決めやすい丘陵があるため、2両のT110E5がまさに鉄壁と化す。マップ隅なので後ろから回り込まれず、チームGALLERIAが先の試合で見せた側面からの挟撃も決めにくい。
T110E5を中心に守りを固め、FV215b (183)などの大火力で着実に相手の車輌を倒していく作戦だったようだが、攻撃の要となるFV215b (183)が、わずかに見せた隙を突かれてしまった。チームGALLERIAのTVP T 50/51の必殺の4連射を浴びて、撃破寸前まで追い込まれてしまったのだ。
チームGALLERIAの攻めはうまく連携が取れていた。交互に前に出ることで受けるダメージをチーム全体で拡散し、車両数の優位を保ったまま相手を各個撃破。時間切れで残車輌数により勝利をもぎ取った。
第2ラウンドで使われるマップは、第1ラウンドの“ゴーストタウン”よりも広く、全プレイヤーに昔からなじみ深い“ルインベルク”。チームGALLERIAの高機動戦法が生きるマップだ。チームG-GEARはマップ北東に戦力を残し、主戦場となる西の市街地へ高機動車輌が裏回りし、挟撃を警戒する作戦に出た。読みは的中し、チームGALLERIAの中戦車2両が東のラインを駆け上っていく展開となる。
しかし、西の市街地での戦闘で、T110E5がTVP T 50/51の盾になる見事な連携でチームGALLERIAが優位に立ち始める。同時に、援護のために浮き足立った北東の防衛線を、もう1両のTVP T 50/51がヒットアンドアウェイで食い散らかし、市街地での包囲をほぼ完成させた。そのまま各個撃破の形に追い込んで、決勝戦でもチームGALLERIAがストレート2本先取で優勝、前年からの連覇を達成した。
その後、優勝したチームGALLERIAはエキシビションマッチでWargaming側が用意したチームWargaming Allianceと対戦。昨年はチームGALLERIAが勝利したが、アジア圏のイベントマネージャーであるJay Yang氏率いる今年のWargaming Allianceはかなりの精鋭揃いで、リベンジにかける意気込みが伝わってきた。
エキシビションマッチは終始、Wargaming Alliance優勢で進んだ。第1ラウンドでは偵察役・T-54 ltwt.が狙われるものの返り討ちにしたり、突出した高火力中戦車B-C 25 tを重戦車E100がしっかりカバーする動きに加え、敵の出現が予想される要所に照準を合わせて確実に耐久力を奪うなど、さらに上を行くプレイを見せてラウンド先取。
2ラウンド目で盛り返したいチームGALLERIAは、TVP T 50/51を2両編成にしてルインベルクに臨んだ。それでも勝利の女神はWargaming Allianceにほほ笑んだ。攻撃に出たところをIS-4などが的確に刈り取り、偵察役のT-54 ltwt.を落とされても数の優位を活かして冷静に包囲戦をくり広げたのが功を奏し、Wargaming Allianceがストレートで2本先取を決めた。
PCメーカー社員中心のチームでありながら、プロに迫る試合が見られたメーカー対抗戦。世界規模の大会のトッププレイヤーにばかり目が行きがちで、日本のプレイヤーは世界では通じないように見てしまう人も多いだろうが、日本のプレイヤーは順調に成長している。各チームの奮闘ぶりから、そんな実感を得られるようなステージだった。
連覇を達成しつつも今年はWargaming Allianceに苦渋をなめさせられることになったチームGALLERIA。ならびに、優勝コメントで「これでどこの推奨PCを買うのがいいのか分かったかと思います!」などと悔しい一言を言われてしまった他メーカー。今回の大会の悔しさをバネに、つぎの対抗戦があれば、さらに成長したテクニックとチームワークを見せていただきたい。