置鮎さん(テラ)中原さん(ナミネ)、野村哲也氏がゲストに登場
スクウェア・エニックスの人気RPG『キングダム ハーツ』シリーズ初のオフィシャルブラスバンドコンサート“KINGDOM HEARTS Concert -First Breath-”が2016年8月11日(木・祝)から8月28日(日)にかけて開催される。その初日となる東京公演が8月11日、東京・池袋にある東京芸術劇場で上演。本稿では、その夜の部の模様をリポートします。
※ネタバレには配慮していますが、それでも気になる方はご注意ください。
コンサートは二部構成で、第一部は『Destati』からスタート。『Destati』はゲーム中ではチュートリアルを兼ねる“めざめの園”で流れる曲で、コンサートのオープニングを飾るに相応しい曲。
『Destati』の演奏が終わるとステージが暗転。上手からシリーズでナミネ役を演じてきた中原郁さんが登場し、ゲーム中のあるシーンのセリフを朗読するというサプライズ! 本コンサートでは、要所で朗読が演出として入り、『キングダム ハーツ』の世界によりいっそうドラマチックに浸れる構成に。生演奏と朗読――。ファンにはもう歓喜としか言えない内容です。
2曲目の『Dearly Beloved』が終わると、ステージに『キングダム ハーツ』の作曲家、下村陽子さんが登場。「一作目の作品の作曲から15年くらい経つんですが、こんな晴れやかな日を迎えることができて、感極まる、という感じです」とまずは感謝の言葉を述べた。今回のコンサートの指揮と編曲を担当した和田薫氏は、『キングダム ハーツ』シリーズのオーケストラアレンジも手掛け、それ以来、下村さんとは長い付き合い。だが、下村さんは和田さんと『キングダム ハーツ』シリーズで関わり合いになる以前、高校時代の吹奏楽部時代から和田さんが作曲した『土俗的舞曲』がテープが擦り切れるほど聴き込んだほど大好きだったと“告白”。下村さんを虜にした和田さんが得意とする吹奏楽で、『キングダム ハーツ』の楽曲がどんなアレンジで演奏されるのか。ここもコンサートの聴きどころのひとつとなっていた。
3曲目以降は『「キングダム ハーツ」フィールドメドレー』などのメドレー曲も演奏。テンポのいい曲は、吹奏楽ならでのはパワフルさがより強く感じられ、音に圧倒されるほど。
そして第一部の最後は、『The Other Promise』と『Another Side』という、シリーズの中でも屈指の人気を誇る2曲。しかも『Another Side』では、置鮎龍太郎さんが登場し、“留まりし思念”のセリフを朗読。『キングダム ハーツII ファイナルミックス』に登場した留まりし思念は、声があたっていなかったので、留まりし思念としてのボイスの披露は今回が初。しかも、朗読の最後の言葉は新たに追加されたもの。
休憩を挟んで第二部は『Gearing Up~Shipmeisters' Shanty~Blast Off!』から。『Destiny's Union』へ続き、その後、置鮎さん(テラ)と中原さん(ナミネ)による朗読。でも、テラとナミネはゲーム中では出会っていなかったような……。という疑問は『The Unknown』を含むメドレーの後、置鮎さん、中原さん、そしてシリーズのディレクターを務める野村哲也氏も参加したトークコーナーで解決。じつは、テラとナミネの会話エピソードは、本コンサートツアー用に書き下ろされたもので、『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』に収録される『キングダム ハーツ 0.2 バース バイ スリープ -フラグメンタリー パッセージ-』に繋がるエピソードになっているという。コンサートに参加した人だけが知り得る、ちょっとした前日譚といったところ。気になる人は、参加者のTwitterなどの書き込みを検索してください。そしてトークコーナーは下記のコメントで締め括られ、いよいよコンサートも終盤に。
「皆さんの記憶の中にあるナミネに少しでも近づけたらと思って演じました。吹奏楽の演奏とともに、最後まで楽しんでください」(中原さん)
「最後にいつものやらせてください。アクアーーー! ヴェーーーン!!(叫び。会場大拍手)」(置鮎さん)
「来年、『キングダム ハーツ』は15周年を迎えます。このコンサートを始め、イベントが目白押しです。『キングダム ハーツ HD 2.8 ファイナル チャプター プロローグ』ももう少しで発売されます(12月発売予定)ので、皆さんも15周年に向けて、いっしょに盛り上がっていただければ、ありがたいなと思っています。今日はありがとうございました」(野村氏)。
トークコーナー後、『Musique pour la Tristesse de Xion』、『The Power of Darkness』を含むボスバトルメドレー、そして本編の最後は、締め括りに相応しい曲『March Caprice For Piano & Orchestra』。ああ、もうエンドクレジットが目に浮かぶようですよ……。
万雷の拍手に迎えられて始まったアンコールでは、下村さんもピアノ演奏で参加。観客からは手拍子も起こり、会場が一体に。そして最後のアンコール曲が終わると、スタンディングオベーション。これまで、何度もゲームコンサートを取材してきましたが、拍手のテンポというか密度というか、「本当にすばらしかった!」という気持ちが滲み出ているかのような観客の反応。興奮冷めやらぬなか、シリーズ初のオフィシャルブラスバンドコンサートの初日は終了した。
まるで、ゲームを最初から最後まで体験したかのような曲構成と、中身の濃い内容、そして吹奏楽の生の迫力。これから参加される方はぜひお楽しみに! 参加できなかった方は、来年のオーケストラコンサートに参加しましょう!
セットリスト
<第一部>
1.Destati
2.Dearly Beloved
3.Traverse Town
4.Hand in Hand
5.Journey of KINGDOM HEARTS ※KINGDOM HEARTS フィールドメドレー
6.Lazy Afternoons
7.The Other Promise
8.Another Side
<第二部>
9.Gearing Up~Shipmeisters' Shanty~Blast Off!
10.Destiny's Union
11.The Unknown ※メドレー
12.Musique pour la Tristesse de Xion
13.The Power of Darkness ※ボスバトルメドレー
14.March Caprice For Piano & Orchestra
<アンコール>