『ペルソナ5』が到達せんとする境地とは

 2016年9月15日発売予定のプレイステーション4&プレイステーション3用ソフト『ペルソナ5』。週刊ファミ通2016年5月12日発売号では、クリエイティブプロデューサー&ディレクターの橋野桂氏にインタビューを行い、本作が帯びる“意味”に迫った。当記事では、インタビューの内容を再編集してお届けする。新たなスクリーンショット&情報もあるので、最後までお見逃しなく!

▲橋野桂氏
(アトラス・ペルソナチーム
クリエイティブプロデューサー&ディレクター)

 
──まずは、『ペルソナ5』に込めている思いについて、改めてお聞かせください。

橋野 映画や小説などにおけるピカレスク・ロマン(罪を犯す側に焦点を当てた物語)は、自分ではない誰かのアウトローな生きざまを眺め、あるいは活字から想像して楽しむものですよね。それに対して『ペルソナ5』が目指したのは、自分自身がアウトローになって、大胆不敵に世間を騒がせるスリルとカタルシスをお届けすること。なおかつ、プレイヤーがよく知っている現代の日本を舞台に、ふだんの生活でも感じうる葛藤、ぶつかりうる問題と価値観を物語に盛り込み、自分自身が主人公となって感情移入できるジュブナイルに仕上げることです。ピカレスク・ヒーローの波乱に満ちた活躍を体験して、「あぁ楽しかった!」、「アウトローは自由でいいよな」などと思うだけではなく、本作をプレイしたことによって、実生活の景色が以前とは違って見えてきたり、自分や他人のために何かをしようと思い立つようなことがあったとすれば、この作品が世に出た意味も深まるのではないかと。そこに到達するための最大限の工夫を、本作に詰め込んでいます。

──主人公たちの活躍が、一般の人々にはほとんど知られることのない『ペルソナ3』や『ペルソナ4』に対して、『ペルソナ5』の怪盗たちがまさしく一世を風靡するのであれば、本作ならではの展開になりそうですね。

橋野 はい、よくぞ訊いてくださいました。本作は、高校生としての日常と、ペルソナ使いとしての非日常がこれまで以上に密接で、非常に濃密な二重生活が楽しめます。怪盗団が世間の話題をさらう中で、主人公は高校生らしい日々を過ごしたり、オムニバス形式で起こる数々の事件にも挑み、積み重なる事実と出来事はやがてひとつの大きな物語へと収束していく。このような多重構造のRPGは、なかなか類を見ないのではと思います。

──本作の主人公たちが召喚するペルソナも、『ペルソナ3』や『ペルソナ4』のそれと比べると、ストレートにピカレスク・ヒーロー的な存在をモチーフにしていて独特です。

橋野 各キャラクターの専用初期ペルソナに関しては、その姿形やモチーフの逸話からもキャラクターのことがいろいろと想像できるデザインになっていますね。主人公たちがもともとそういったピカレスク・ヒーローを愛好している背景があるわけではなく、しかし彼らの内面を映し出すかのようなアウトロー然としたペルソナが発現するのは、パレスという心の異世界の特殊なところです。また、主人公たちが精神的な成長や絆の深まりを見せていく中で、彼らのペルソナもまた進化し、まったく別の姿へと生まれ変わっていくようなこともあるでしょう。このあたりはぜひ、ゲームをプレイされる中で皆さん自身が目にしてほしいです。