好きこそクラフトの上手なれ! “マイクラ部ワークショップ@GAME ON”レッドストーンワークショップリポート

2016年5月3日・4日、『Minecraft』を使ってスキルアップを目指す小学生を対象にした特別イベントが、東京都江東区・日本科学未来館にて開催された。ここでは、3日に行われた“赤石先生のレッドストーンワークショップ”の様子をリポートする。

●大人気テレビゲームを使った参加型学習イベントが開催

 2016年3月2日から同5月30日まで日本科学未来館で開催中の企画展“GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~”の特別イベントとなる、“マイクラ部 ワークショップ”。“自由度の高いオープンワールドゲーム”の枠組みにとどまらない世界的大ヒットゲーム『Minecraft』を、さまざまな分野の基礎を理解するための“知育コンテンツ”として活用するという、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)主催のワークショップである。3日は、プログラミングや半導体設計を学習するエンジニア向けの“レッドストーンワークショップ”、4日は、建築の基本を学べる“建築ワークショップ”が、それぞれ3講座ぶん(※1講座100分)行われた。

▲ ワークショップの参加対象は、『Minecraft』の基本的な遊びかた・操作方法を理解している小学生(12歳以下)。参加費無料ということもあって、ネットワークリンクされたコンシューマ版『Minecraft』が設置された10席ぶんの募集に、非常に多くの親子連れが申し込んでいた。抽選に外れても、観覧席でワークショップを見ることができるため、『Minecraft』を遊べる携帯ゲーム機やタブレット端末を持っている子どもたちが、講義内容に合わせて操作している姿も、多く見受けられた。

●基本的なレッドストーン回路をわかりやすく指導

 “レッドストーンワークショップ”の教壇に立ったのは、古くからレッドストーンの使いかたをわかりやすく教える動画をニコニコ動画に公開している赤石先生。“基礎編”では、『Minecraft』の世界で動力や制御信号を伝達する物質であるレッドストーンの基本的な性質をおさらいした後、4つの基本的な回路を、順を追って作った。レッドストーンをある程度使ったことがあるユーザーを対象とした“応用編”では、RSフリップフロップ(状態保存)、パルサー(一瞬だけ信号を送る)、XOR(片方がオン状態であれば信号を発信)といった、より高度な制御が可能な回路を作成。単に最適解を一方的に紹介するだけでなく、工数が多い回路や、正しく動作しない回路をあえて組ませ、「なぜこのままでは問題があるか?」といったことを参加者に考えさせる余地を設けるなど、子どもの自主性を尊重した進めかたが印象的だった。

▲プレイステーション版『Minecraft』をもっと楽しむための実況動画を提供するSIE公式“マイクラ部”にも出演中の赤石先生。動画でおなじみの軽快なトークで、子どもたちに語りかけていた。

▲赤石先生が教えた回路は、自動ドアや仕掛けの起動スイッチ、イルミネーションといったギミックの作成に応用できる、実践的なものばかり。リピーター(反復装置)を使った、信号の伝達タイミングの調整についてもわかりやすく説明していた。

●自由課題の作成とプレゼンも!

 基礎編、応用編ともに、回路の学習が終わった後は、それぞれ割り当てられたフィールド内で、自由にクラフトする時間が設けられた。教わったばかりの回路を使いつつ、各自のスキルに合わせた仕掛けや建物を作成した。

▲自由課題の時間では、赤石先生が参加者のテーブルを回り、必要に応じてアドバイスしていた。意図したように動かない、と作者が訴える回路を少し見ただけで、どこを手直しすればいいか即座に判断し、わかりやすく教える赤石先生の姿は、さながら本職の教師のようだった。

 “自由課題”を完成させた参加者は、ひとりずつ檀上にあがって、赤石先生らスタッフにフォローされながら、作品をみずから紹介することに。自分が何を作り、どこが見どころであるかを、目の前の大勢の人々に向けて発表……という行為は、まさに “プレゼンテーション”。参加者たちにとっては、思わぬ貴重な経験となった。

▲作品を紹介するゲーム画面は会場前方の大型モニターに映し出され、発表が終わるごとに、場内からは拍手がわき上がった。

■レッドストーンワークショップ講師・赤石先生インタビュー

──レッドストーンの回路作成に興味を持ったきっかけは?

赤石先生 ただのゲーマーとして『Minecraft』が好きだったというのも、もちろんあります。あとは、大学で論理回路の勉強をしていて、個人でプログラミングを組んでいたこともあって、ごく自然にハマりました。

──個人で楽しむだけでなく、あえてビギナー向けのレッドストーン講座を動画で発表したのはなぜでしょうか。
赤石先生 始めたのは5年くらい前ですけど、当時はレッドストーンの解説って、まったくなかったんです。あったとしても、もともとわかる人しかわからない、難しい解説しかなかったんです。それを、自分が理解する過程でわかりやすく解釈した状態のものを世に出せば、多少は人の役に立つかなという気持ちから、動画を作りました。思った以上に反響があったので、うれしかったですね。

──動画を作るにあたって、大事にしていることは?
赤石先生 「わからない」と思わせないことです。一度、難しいという先入観ができてしまうと、そのあとどんなにわかりやすく教えても、頭に入っていかないので、最初の入り口は「これだけできれば完璧です!」と、達成条件を低く設定しています。

──今回のワークショップなどで、子どもたちと直に接する機会も多いと思います。『Minecraft』を遊んでいる子どもたちを見ての、率直な感想は?
赤石先生 吸収がものすごく速いですね。前提条件がないからだと思うんですけど。

──前提条件、というのは?
赤石先生 大学生になってから論理回路を勉強すると、「大学の授業で習うのだから難しいことなんだろう」と思って始めちゃうんですよね。実際、NOT回路やAND回路について、教科書にはものすごく難しく書かれています。でも『Minecraft』だと、それらが簡単そうに見えるんです。実際簡単なんですけど(笑)、子供はゲームの延長でそうした概念に触れているので、はなから難しいと思っていない。僕の動画を見ている小学生は、当然のようにフリップ回路が何たるかを知っている子が多いですよ(笑)。

──『Minecraft』でレッドストーン回路を覚えた子どもたちに、将来的にはどうなってほしいと思いますか?
赤石先生 もちろん、プログラミング言語学習につないでいくのもそうなんですけど、そこでの経験を、論理的な思考や応用力が必要なあらゆる場面で活かしてくれるといいですね。今日のワークショップ(基礎編)では、入力・出力についての話をしましたが、「入力装置をボタンではなくボリュームつまみに変えたらどうだろう?」といったことは、現実でもできると思います。

──会場では、付き添いで来たと思われる親御さんの反応も、思いのほか良好に見受けられました。『Minecraft』を遊んでいる子どもを持つ親御さんに伝えたいことは?
赤石先生 子どもが勉強するようになるいちばんのきっかけって、親が勉強している姿を見ることだと思います。『Minecraft』には、レッドストーンという、親子でいっしょに勉強できるものがあるので、ぜひ自分でも楽しみながら接してください!

[“GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~”関連リポート記事]
※“GAME ON”の特別シンポジウムで、SIE WWS吉田修平氏、水口哲也氏、石黒浩氏がVRやアンドロイドのスリリングな未来を語る
※“GAME ON ゲームってなんでおもしろい?” PlayStation VRも試遊できるゲームの展覧会が開催! オープニングセレモニー&プレス内覧会の模様をお届け!