韓国でも“すべてはお客さまのために”
韓国・釜山BEXCOにて2015年11月12日より開催された韓国版ゲームショウ“G-STAR 2015”に『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)が出展。韓国のLGと手を組み、同社のブースで積極的なプロモーションを展開した。
同作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏も現地を訪れ、『FFXIV』を積極的にアピール。会場に詰めかけたプレイヤーと交流を重ねるなど、“すべてはお客さまのために”の姿勢を韓国でも身をもって示していた。
多忙な日程をこなす吉田氏に “G-STAR 2015”を含めた韓国サービスの成果や、先日公開されたばかりのグローバル版パッチ3.1の手応えをうかがった。余すところなくお伝えしよう。(2015年11月14日収録)
韓国の『FFXIV』ファンは今年も熱い!
──8月の韓国メディア懇親会で取材したときに、「韓国プレイヤーの方々の熱量が高いというようなお話(※関連記事)をされていましたが、今回はいかがですか?
吉田直樹氏(以下、吉田) やっぱり熱いですね。声を出すことに何の抵抗もないのは、アメリカっぽいなととても思いました。会場のスタッフが発声を促すと、すごい勢いで「『FF』!」とみなさん叫んでくれますし。声量が大きすぎて近隣の出展者の方にご迷惑がかかるほどで……すみません(苦笑)。G-STARとしては、昨年はまだローンチ前だったせいか、『FF』のプロデューサーだからと写真をいっしょに撮りたいという方が多かったのですが、正式サービスを開始した今回は『FFXIV』のプロデューサーということでサインを求められることが多かったように思います。また、日本でグローバル版をプレイされている韓国の方が釜山まできてくださったり、韓国では未発売のグッズにサインを求められる方もいらして熱量を感じました。
──昨日(2015年11月13日)は韓国の一般プレイヤーの方々といっしょに、極タイタン討滅戦に挑戦していましたね。
吉田 現地の運営プロデューサーであるチェさんとともに、僕が韓国の公開ワールドにログイン。コンテンツファインダーでマッチングした方たちと、極タイタン、極ガルーダ、極リヴァイアサンなどの討滅戦をいっしょにプレイしました。マッチングしたプレイヤーは、ストリーミング中継を観て知っていた方と、そうでない方とが混じっていて、観ていなかった方は「え? え?」という感じで戸惑ってらっしゃいましたね(笑)。でも戦いが実際に始まると、チェさんが崖から転落して負けたりして……。プレイヤーの皆さんは、チェさんをからかってギブアップ投票していて、盛り上がってましたね(笑)。ちなみに1回目は、ジェイルを壊すタイミングが早くて、避けられないランドスライドでチェさんが転落したのですが……あれ、僕(黒魔道士)のブリザガがほんの少し早くて……ごめんなさい(笑)。
──最終的に勝てたのでしょうか?
吉田 2回目の挑戦で、タイタンの残りHPがあと1%くらいのところまで追い詰めたのですが、僕と竜騎士さん以外がすべて倒されてしまって。その後竜騎士さんがグラナイト・ジェイルで閉じ込められたのが見えたので、猛者の撃を使ったうえでタイタンを巻き込む形で迅速フレアを詠唱したのですが、それでも壊せなくて負けてしまいました……。惜しかったですね。ウォールのリキャストが戻っていれば、ウォールで一発耐えているあいだに、コラプスで竜騎士さんを開放して……とか考えると悔しいですね(笑)。
──それを観た現地のプレイヤーの反応はどうでしたか?
吉田 ゲームパッドでのガチプレイが新鮮に映ったらしく、「ゲームパッドであそこまで動けるのか」と感心していただけたようです。ただ、いわゆる“子タコ”が2体出現した直後のランドスライドを、僕はウォールで対応するのですが、会場からは僕がランドスライドを避けないので、ちょっと悲鳴が上がっていましたね。上級者の方がウォールに気づいてくれて、ストリーミングの方でも盛り上がっていたそうです。ほかにも、移動するのが面倒くさいので、エーテリアルステップを多用していました(笑)。
──魅せるプレイを心掛けたんですね(笑)。
吉田 ドイツのgamescomのときもそうでしたが、そういうプレイの方が、お客さまが盛り上がってくださるので、余裕があるときはできるだけそうするようにしています。
──韓国ではマウス&キーボードによる操作が主流ですが、そのトレンドに一石を投じるためにあえてゲームパッドでプレイをしたのですか?
吉田 今回はPC版のみサービスをしている韓国ということで、当初はゲーミングデバイスでプレイするつもりだったのですが、ドライバの設定がうまくいかなかったので、それならばパッドでいこうと(苦笑)。
──一方、今日はゲーミングデバイスで挑むのは、「突き詰めればここまで動ける」という部分をアピールことにもなりそうな。
吉田 韓国の多くのプレイヤーの方は、オンラインゲームの発展的に、素直にマウス&キーボードを使って操作している方が多いです。ゲーミングデバイスがあれば、選択肢も増えますので、そういった提案もしてみようかなと思っています。
北米版の昔のオルシュファンはふつうの青年騎士だった
──11月15日にオンエアされる韓国版プロデューサーLIVEは、どんな内容になりそうでしょうか。
吉田 韓国の運営チームが韓国版のいまの状況を説明したり、韓国版のパッチ2.4の公開タイミングを発表したりします。あとはプレイヤーの方から僕に宛てた質問があるそうなので、それにお答えしていく感じです。ほかにも、韓国版ならではのイベントや装備などを開発しているので、それらの進捗についても発表します。あとは、オルシュファンの表現方法が、日本と北米で差があることに起因して、韓国版で少し問題になっているので、そのお話もするつもりです。
──え? そんな違いがあるんですか?。
吉田 いや、我々のミスなので、意図したものではないのです……。オルシュファンというキャラクターは、一見するとエレゼンの青年騎士ですが、非常に“濃い”キャラクターになっています。これは日本語版では『新生エオルゼア』での初登場時からそうなっています。しかし、「この微妙なニュアンスが北米プレイヤーにはウケないかもしれない」と、ローカライズチームがオルシュファンの表現を“抑えて”しまいました。結果的に、パッチ2.1、2.2とキャラクターの表現に差が開いてしまって……。
──ギャップが、目に見える形で表れ始めたのですね。
吉田 グローバル版のパッチ2.2のころだったでしょうか、日本版と北米版のあいだでオルシュファンのカットシーンが微妙に違うと、北米フォーラムにプレイヤーの方から比較動画が寄せられて。恥ずかしいことに、僕もそれでその事実を知ったのです。チームに確認したら「よかれと思って変えたら、差が広がってしまいました……申し訳ありません」と。
──なるほど。
吉田 英語チームは、当時の性格のままでは、「性差別的な問題に影響するかもしれない」と、考えた結果とのことで、決して悪気があったわけではありませんでした。ですが、それを相談なくやっていたのは問題で、事実、日本版をオリジナルとしてリスペクトしてくださる海外のプレイヤーには、不評でした。それらの事情をフォーラムにて回答したのち、パッチ2.3以降、英語版もジリジリと日本版の性格に寄せていく措置が取られました。ところが、今度は韓国版を制作する際に、カットシーンだけ英語版をベースにしてしまったため、やはり日本語版と微妙にズレが生じてしまいました。チーム内での情報共有不足が原因で、申し訳ありませんでした、と明日のライブでお伝えするつもりです。
──ゲーム内で具体的にどう対応するのですか?
吉田 韓国版パッチ2.4にて、オルシュファンに関連するカットシーンを、すべて日本語版ベースに制作しなおしました。すでに通り過ぎてしまった方にもご覧いただけるように、愛用の紀行録もすべて日本版をベースにしたものに作り直しました。