『メタルギア ソリッド V』はあれで終わりなのか? プレイヤーにはまだやるべきことが残されているのではないか【ネタバレ注意】

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』には、まだ何か仕掛けがあるに違いない。その根拠と、それを実現させるための仮説をファミ通編集部が解説。ネタバレ注意。

●小島監督は、まだ何かを隠している

【ネタバレ注意】
 本稿には、一部『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』に関するネタバレが含まれています。プレイ中の方は、エピソード46をクリアー後にお読みいただくのをオススメします。

 KONAMIの小島秀夫監督が渾身の力で創り上げた『メタルギア』シリーズ最新作、『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』(以下、『ファントムペイン』)。その『ファントムペイン』が発売されて、もうすぐ2ヵ月が経とうとしている。クリアーしたという人も多いだろうが、これまでの『メタルギア』シリーズと比べると幕切れがあっさりというか、「これで一応終わりなんだよね」みたいな感覚になった人も多いと思う。

 とはいえ、物語としては宿敵スカルフェイスの真意とその結末はきちんと描かれているし、クワイエットやヒューイ、そしてヴェノム・スネークについても一定の決着がついている。限定版等に同梱されていた特典映像Blu-rayでは、“幻のエピソード”としてイーライのその後を垣間見ることができるが、こうした本編に未収録のエピソードがあることから、「作品が未完である」という論調がネット界隈で吹き荒れた。しかし、初期構想がもれなく反映された作品なんて(商業ベースにおいては)そうそうないし、商品化する際の仕様の縮小(“編集”と言い換えてもいい)は、ビジネスである以上は避けて通れない。もちろん、いちファンの目線で語れば、イーライや第三の子供にまつわるその後のエピソード、そしてアウターヘブンにいたるまでの道のりなど、もう少し先の未来を見たかったという無念さもある。しかし、今回の“どうにもすっきりしない感じ”は、また別のところにあるようにも思える。

 ここで、数少ない小島監督による『ファントムペイン』についてのコメント(ツイート)を引用する。

 これに少し違和感を覚えた人もいると思う。テレビCMでは、宣伝用として用意された「メタルギア最大の謎に決着がつく。」という刺激的なキャッチコピーが踊り、これを見て何らかの結末を“与えてもらえる”と思った方々も多いだろう。しかし、小島監督のツイートには「メタルギアの謎が云々」というニュアンスはなく、むしろ“永遠の空白”という、およそ“謎が決着”とは真逆に近い表現を選んでいる。そして、そのツイートを反芻していくうち、空白の先をプレイヤー自身が埋めるのではないかとも思えてくる。

 この“空白”については、もう少しヒントがある。それは、野島一人氏によるノベライズ『メタルギア ソリッド ファントムペイン』だ。巻末の小島監督による解説を読むと、

空白であるが、埋まらない。その空白に英雄はいつもいる。空白があるから先に進める。この空白こそが「V」なのだ。

とある。

 『ファントムペイン』でプレイヤーはスネークと訣別し、そこから先の伝説は自分で紡げということなのだろうか。しかし、それはいくらなんでも難しすぎる。伝説の円環を完成させるためにバトンを渡された私たちは、これからどうすればいいのか。残された巨大なマザーベースとともにどこへ向かえばいいのか。小島監督のメッセージが、『ファントムペイン』にはまだ残されているのかもしれない。

 『メタルギア』シリーズは“反戦・反核”という通底のキーワードがあるが、『メタルギア ソリッド』以降、“次の世代に遺すもの”というテーマが設けられている。『メタルギア ソリッド』ではGene(遺伝子)、『メタルギア ソリッド 2』では遺伝子に載らないMeme(文化的遺伝子)、『メタルギア ソリッド 3』では遺伝子とミームの尺度となるScene(時代)、『メタルギア ソリッド 4』ではそれらでは伝わりきらない生身のSense(意志)、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』ではPeace(平和)だった。小島監督はこうしたテーマを、物語全体を通してプレイヤーたちに語りかける。『ファントムペイン』では、“報復”や“復讐”といった“表のテーマ”がセンセーショナルに映ったが、小島監督が伝えたいメッセージとは何だったのか。

 そう考えると、あの小島監督がエピソード46をもって第2章が、引いては『メタルギア ソリッド V』の物語を終わりとするのは、ちょっと違和感がある。

 小島監督は、まだ何かを隠している。

 そう確信するのは、いくつか理由がある。まずは、小島監督と親交も深い小説家、万城目学氏のTwitterでの発言だ。

 そしてもうひとつ、先日の東京ゲームショウ(2015年9月19日)のKONAMIブースにてMCを務めた森一丁氏のコメント。

「僕がひとつだけ言える情報としまして、FOBは必ずやっておいたほうがいいです。なぜかというと、言えません。が、本当に真実を知りたければ、FOBをやっておいたほうがいいと思います。」(動画の45分3秒ごろから)

 このふたりは、おそらく答えを知っていると思う。万城目氏は“オンラインの仕組み”と語っているが、『ファントムペイン』を試遊後にこのツイートを行っているので、『メタルギア オンライン』ではなく、本編に関わるオンライン要素と推測できる。ふたりが同じことを指して言っているのかは確証がないが、ふたりともFOBに関する何かを小島監督から聞かされているのだろう。そして、森一丁氏の「やっておいたほうがいい」という言葉からすれば、すでに現時点でも私たちの行動は有効であると汲み取れる。

 では、FOBでやれることといったら何だろう。明らかに怪しいのは、核兵器の開発だ。核兵器は開発するだけでなく、なぜか廃棄することもできる。FOBにおける核兵器は、ライバルへの抑止力として働くのみで、報復の手段としては使えない。つまり、直接的な害にはならないライバルの核兵器を奪い、身銭を切って廃棄するというのは、何らかの意図を感じるのだ。

 ここからは仮説になるが、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』をなぞるように、私たちも核兵器を持つべきではないか。そうすることでヴェノム・スネークに起こる変化と、世界に飽和する核兵器、激化する報復の連鎖を体験し、抑止力とは何なのかを考える。その後、私たちの選択として、世界中の核兵器を“廃棄する”という新たな未来(ステージ)に進む。

 なぜ、小島監督は核兵器を“廃棄する”という選択肢をプレイヤーに与えたのか。その理由は、核兵器を世界中から根絶することを私たちが実践できれば、わかるのかもしれない。

 最後に、以前小島監督にインタビューをした際、あまりにも作品の核心に触れているため、カットとなった発言を掘り起こしてみたいと思う。

小島監督 今回の『MGSV』で物語(伝説)をプレイヤーに渡します。これによって、MSX2版『メタルギア』のBIGBOSSにプレイヤーがなるわけです。そして、自分の意志でゲームを進め、マザーベースを育てていきます。ですので、プレイヤーはBIGBOSSとして“戦争”や“平和”というものを考えながら、新しい物語を自分で作ってほしいと。これまで、メタルギア・サーガをゲーム制作の中で紡いできましたが、これからはプレイヤーひとりひとりが考え、自分なりの物語(伝説)を考えていただければ、という思いがあります。

 話を伺った当時は、正直、内容をうまくのみ込めていなかったように思う。しかしいま、『ファントムペイン』をプレイしたことで、いろいろとつながり始めている。FOBには、私たちがつぎの物語を紡いでいくためのヒントが隠されているに違いない。

●10月30日配信の“朝までメタルギア”で、FOBの核兵器開発と廃棄を特集

 『ファントムペイン』の発売カウントダウン企画として、過去の『メタルギア』シリーズを振り返る生放送を行ったが、今回の仮説をきっかけに番組が一時的に復活! 2015年10月30日の配信では、FOBでの核兵器の開発のしかたや、FOBの攻略について解説していく。