1/1スケールIV号戦車に秘められた『ガルパン』の魅力を語る、『World of Tanks』Meets ガールズ&パンツァー戦車トークステージ in TGS【TGS2015】

ウォーゲーミングジャパンのブースにて、アニメ『ガールズ&パンツァー』のプロデューサー・杉山氏が登場。1/1模型も会場に運び込まれたIV号戦車と、11月の公開が迫る『ガルパン』新作映画について熱く語ってくれた。

●1/1スケールIV号戦車、誕生までの経緯

 2015年9月17日~20日、千葉・幕張メッセにて開催中の“東京ゲームショウ 2015”。最終日の9月20日、ウォーゲーミングジャパンのブースにて“World of Tanks Meets ガールズ&パンツァー 戦車トークステージ in TGS”が開催された。


ph01.jpg ph02.jpg
ph03.jpg ph04.jpg

▲アニメ『ガールズ&パンツァー』プロデューサーの杉山潔氏(左写真)と、ウォーゲーミングジャパンのミリタリーアドバイザー宮永忠将氏(右写真)。

 『ガールズ&バンツァー』(以下、『ガルパン』)は、武道として“戦車道”が存在する現代日本が舞台のアニメ。学園どうしが戦車道で切磋琢磨する中、奮闘する少女たちの成長を描き、少女たちが駆る現代によみがえった名戦車のリアリティー、「馬鹿な!?」と驚かされるバトルが人気を博している。

 これまでもウォーゲーミングの『World of Tanks』(以下、『WoT』)とのコラボを重ねてきた『ガルパン』。今回のTGS 2015でも、試遊でもらえるノベルティーグッズのほか、『ガルパン』登場人物のように実際の戦車に乗り込んだ気分で『WoT』がプレイできる特別試遊台や、戦車バトルパートを『WoT』のハイクオリティーモデルで再現してアニメとつなぎ合わせた『ガルパン』の名場面の特別PVが用意された。

 PVでは『ガルパン』12話の、マウスに89式が飛び乗って砲塔を車体で止める驚愕のシーンまで『WoT』の美麗グラフィックで完全再現されており、脱帽ものの完成度だった。


ph05.jpg ph06.jpg

▲戦車内部を再現したブースと、戦車内部の視点に近付けたレイアウトの座席。一人称視点でプレイすれば、気分はまさに車長や砲撃手。

 そしてもうひとつのコラボ企画として、TGS 2015会場入り口前には、先日の秋葉原のイベントで初披露となった『ガルパン』主人公・西住みほが率いるあんこうチームの愛車、IV号戦車H型の1/1模型が特別に展示されていた。

 今回のステージではまず、このIV号戦車が作られるまでの経緯について、宮永氏が杉山氏にたずねた。


ph07.jpg
ph08.jpg ph09.jpg

▲このIV号戦車が展示されるのは、今回が2度目。『WoT』の“Pz.Kpfw. IV Ausf. H”と比べてみると、そのリアルさがよりわかってもらえるかと思う。

 杉山氏によれば、かなり以前からインパクトのあるプロデュースのために、「戦車の1/1模型が欲しい」とは言っていたそうだ。しかしどこに話を持っていけば作ってもらえるのかわからないまま時間が過ぎ、いろいろな人脈も広がったところで、ついに人づてにニュージーランドの制作会社、WETA WORKSHOPに依頼ができたとのこと。

 こちらの会社は『アベンジャーズ』や『ホビット』など、さまざまなハリウッド映画のVFX(特殊効果)に携わる会社で、CGでは表現できない撮影に使用する、動かせる大道具の製作も受け持っている。実際に走る戦車も作成した実績があるこの会社に話を持ち込むと、「おもしろそうだ」と、製作期間3ヵ月もないタイトな依頼にもかかわらず、契約を進めている段階から着工して対応してくれたそうだ。


ph10.jpg

▲こちらは運搬時の様子。フレームは鋼材だが全体の素材はFRP(強化プラスチック)なので、足回りを含めて脆い箇所が多く、上に乗れる場所は限られる。

 ニュージーランドから日本に持ってくる際にも、海路では日本への直通便がないため、3つに分割して空輸するという大掛かりな手段が取られた。さらに、形状的に「武器になりうるもの」を国内外で運ぶには、さまざまな税関規制や手続きが立ちはだかるため、作ることはできても運ぶことが非常にたいへんとなる。

 展示のために国内で運ぶ際にも、高速道路は使えないため、手続きを行なって先導車をつけ、深夜の一般道で運搬しなくてはならないらしい。


ph11.jpg

▲杉山氏はこのIV号戦車の製作や運搬に限らず、『ガルパン』はさまざまな人の協力のおかげで成り立っているとてもラッキーな作品だ、と力説した。

●IV号戦車が『ガルパン』の主役にふさわしい理由

 続いて、話題は『WoT』でもTier3~5のドイツ中戦車として重要な存在となっている、IV号戦車そのものの歴史に移行。『WoT』で見てもわかるとおり、A、B、C型から始まり『ガルパン』でもおなじみのH型と、進化を続けていることがIV号戦車最大の特徴だ。

 宮永氏によれば、何百もある戦車の中でIV号戦車は、唯一、第二次世界大戦前から完成しており、ドイツ敗戦まで進化しつつ製造が続けられた戦車であるという。


ph12.jpg

▲IV号戦車について熱く語り合う両氏。『ガルパン』でもIV号戦車はD型から始まり、主人公たちの成長や物語とともに、F2型、H型と改良されていく。

 しかし杉山氏としては当初、好きな戦車であったシャーマンを『ガルパン』の主役車輌にと考えていたという。

 最終的には水島努監督の案でIV号戦車が主役となったが、主人公たちが成長するとともに改良型になっていく点について、「メタなキャラクターとして成長性を表現できる」と杉山氏も後から気がついたといい、当初からそこまで考えてIV号戦車を主役に認めたわけではなかったとのこと。いまでは作品の主軸になりうる要素と考えており、水島監督のインスピレーションには感心するばかりだという。

 ちなみにシャーマンもさまざまなバリエーションがあったが、すべてのタイプをほぼいっせいに作り始めた戦車であったため、「こうした成長の要素は得られなかっただろう」とも杉山氏は語った。


●11月公開となる映画の情報も! IV号戦車ももちろん活躍

 また杉山氏からは、2015年11月21日公開予定の映画『ガールズ&パンツァー 劇場版』について「作っています!」とのひと言が。

 さすがにそれだけではということで、その内容がかなりすごいことを確約していた。とくにクライマックスのバトルについては、戦う場所も変わった場所で、「本当にこれをやるんですか?」とスタッフが天を仰ぐ内容が水島監督から出されたものの、現場のスタッフはがんばっているという。映画と言うことで「5.1chの音楽と、TVとは異なる劇場用レイアウトの広い映像、そして新たに登場する戦車の数々にも期待してほしい」とのことだ。

 また、IV号戦車H型はもちろん活躍するとのことで、「主人公あるところにIV号戦車も必ずあり」と最後まで状況を打破していくそうだ。宮永氏は「IV号戦車は戦車の歴史そのもの」と言い、杉山氏も「『ガルパン』における成長の象徴となったIV号戦車の活躍をぜひ楽しみにしておいてほしい」と結んだ。


ph13.jpg

▲その後トークステージは、フリートークに。先日の水害に出動したヘリコプターについて拡散された誤情報(おもにUH-60ブラックホークや報道ヘリについて)を丁寧に訂正してくれたが、戦車の話題はどこへ!?

 なお、映画公開までの『ガルパン』関連の予定としては、杉山氏は9月26日、27日に東京ビックサイトで開催となる“全日本模型ホビーショー”でも戦車について語るとのこと。

 そして1/1スケールIV号戦車は、ケーズデンキスタジアム水戸で9月27日に行なわれる、アニメとサッカーのコラボによる地域振興企画“アニ×サカ!!”の水戸vs岐阜のイベントに登場するらしいので、ファンはお見逃しなく。

 また、11月3日によこすか芸術劇場で、世界的指揮者の栗田博文氏が指揮するフルオーケストラと、主人公の西住みほを演じる渕上舞さんの朗読で『ガルパン』の物語を音楽で追体験できるという“ガールズ&パンツァー オーケストラ・コンサート ~Herbst Musik Fest 2015~”が、11月15日には『ガルパン』ファンにはおなじみ、大洗町の大洗あんこう祭りも控えている。

 この勢いで『WoT』とのさらなるコラボが進むことにも期待しつつ、映画公開までイベント目白押しの『ガルパン』にも、これからも要注目だ。


ph15.jpg

▲あんこう祭りにIV号戦車を出撃させるかは検討中とのこと。構造的には素材さえ強化すれば自走も可能だと、杉山氏からウォーゲーミングに対しての無茶振りも……?