『FFXIV』ギャザクラ、WXHB……いま聞けることを吉田氏にすべて聞いた in ソウル【プレゼントあり】

2015年8月12日にソウルにて催された韓国メディア向け懇親会後に、『FFXIV』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏を訪ね、韓国サービスの動向と、グローバル版の気になるさまざまな情報を聞いた。

●ドイツgamescomで聞けなかったことを尋ねる

▲世界各地を飛び回る吉田氏は、多忙ながら正式サービスから1週間ほどで黒魔道士のレベルが60に到達。出張先でも禁書を欠かさず集めつつ、最近はもっぱら暗黒騎士の育成に励んでいるとのこと。前夜もソウルからログイン。

 2013年のリリース以来、世界中のプレイヤーを魅了している『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)は、8月下旬から韓国でも正式サービス開始を迎える。これに先立ち、ソウルにて2015年8月12日に催されたメディア向け懇親会<<詳細はこちら>>の後、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏に単独でインタビューを申し入れた。韓国のサービス開始の手応えを聞くとともに、現在のエオルゼアでホットな話題のうち、ドイツgamescomで聞けなかったギャザラー&クラフターの今後などについて尋ねたのだ。

●まずは韓国での現状から

──先刻の懇親会など『FFXIV』のサービス開始を前にして、韓国のプレイヤーの反応はいかがですか?

吉田直樹氏(以下、吉田) 韓国はもともとオンラインゲームのリリースが多い国なので、プレイヤーも、たとえば日本のように何ヵ月も前から積極的に情報を集めたりなどあまりしないようです。また、他のタイトルの数字も拝見していますが、データワイプ(削除)のあるβにもさほど参加しないようです。そのせいか、サービス開始直前になって一気に盛り上がりを見せている印象を受けます。

──昨年のG-STARも盛り上がっているように感じました。

吉田 韓国のプレイヤーの熱い期待を最初に感じたのは、その昨年のG-STAR 2014です。もともとの『FF』ファンの方、そしてグローバル版の情報を追っている方、そのときに『FFXIV』を気に入ってくださった方々が、現在のコミュニティのコアとして、さまざまな情報を韓国内に発信してくださっています。そうした情報に触れた方たちが現在集まりつつあるうえに、いままで『FF』シリーズを知らなかった方たちも巻き込んで、徐々に大きな盛り上がりを見せ始めています。

──二次的、三次的に情報が拡散しているいまがホットなんですね。

吉田 先ほど開催させていただいたメディア懇親会の様子も、現在すさまじい勢いで韓国メディアを通じて紹介されているので、8月9日から始まった事前キャラクター作成サービスの効果も相まって、オープンβテスト以降、今後ももっと加速度的に盛り上がっていくと思います。

──今日の懇親会には、どれくらいの数のメディアが訪れたのでしょうか?

吉田 100組くらいとのことなので、韓国国内のほとんどのメディアさんが来場されたと思います。異例の数であると現地スタッフから聞いています。

▲単独タイトルで行われるオンラインゲームの懇親会としては、韓国でも異例の盛況ぶりとなったのだ。

──アイテム課金制の多い韓国のオンラインゲーム市場において、『FFXIV』の定額課金システムはひとつの挑戦のようにも思えます。

吉田 日本の方の反応を見ても、その点を指摘される方もいらっしゃいますが、実態はちょっと違います。韓国でも大型MMORPGについては、サブスクリプション(定額課金制)とマイクロトランザクション(少額課金制)を併用しているタイトルが多いので、それほど異例というわけではありません。中国と韓国の市場性は異なり、韓国はまだ、何でもフリートゥプレイ(基本プレイ料金無料)というわけではないのです。仮に『FFXIV』でフリートゥプレイを取り入れるとしたら、ゲームデザインを根本から変えねばならなくなりますので、その選択肢は検討していないのです。

──サブスクリプションのビジネスモデルで問題ないと。

吉田 韓国版のサービスの窓口となるEYEDENTITY MOBILE(旧Actoz Soft)の皆さんが『FFXIV』のよさをわかったうえで「これで勝負できる」とお考えなのです。サブスクリプションとオプションサービス、強さに関わるアイテム販売は行わない、という現状のポリシーで、じっくりゲームを広めていきたいと言ってくださっています。

──時間当たりで料金を支払う定量課金システムも、韓国ではふつうのことなのですか?

吉田 はい。韓国にはインターネットカフェでオンラインゲームを楽しむ文化が非常に強い市場です。そのためにも3~5時間単位でプレイ料金を支払えるシステムも今回ご用意しています。

──吉田さんから見た韓国の方々のプレイスタイルはどのようなものですか?

吉田 韓国のプレイヤーの皆さんには、サブクエストのアイコンをすべて消さないと気が済まない、という方が多いようです。ゲームに対して真摯な姿勢で臨むのと同時に、スポーツライクに楽しんでいらっしゃるのだと思います。eスポーツ(ビデオゲームで行われる競技)で強い選手が多いというのも、このことからよくわかります。

──韓国版オリジナルの要素も発表されていましたね。グローバル版のパッチ2.2が公開された時点では、マスタールートはありませんでした。

吉田 マスタールートはもともと、韓国プレイヤーのあいだで昔から用いられているルートシステムだということで、韓国版向けに開発したものです。現在はすでにグローバル版にも実装されています。韓国版はグローバル版のパッチ2.2の状態からスタートするのですが、そのマスタールートの仕組みを独自に組み込んだうえで、いわば韓国専用パッチ2.2となっています。細かく言えば、週制限やコンテンツの開放条件なども変えてあります。2.4くらいまでは韓国カスタムが続く予定です。また、21:9のウルトラワイドモニターへの対応は、韓国内でのモニター協業もあり、韓国版のほうが先行対応となりますが、こちらもグローバル版ではパッチ3.1くらいから利用可能になる予定です。

──協業があったために、21:9は韓国版が先になったと。

吉田 韓国内で大きなモニター協業のお話をいただいたので、それに合わせての実装となりました。グローバル版3.0では検証が間に合わなかったので、検証を行ったうえでグローバル版もパッチ3.1から対応します。21:9の画面でプレイすると楽しいですよ。ディスプレイの左右幅が広いため、水しぶきの出現位置がすべて見渡せて、韓国版2.2のテストの際、リヴァイアサン討滅戦がすごく楽でした(笑)。

──自分のような、避けが苦手なプレイヤーにいいかもですね(笑)。シーズナルイベントにオリジナル要素を取り入れた理由についてはいかがですか?

吉田 中国と韓国には旧正月の概念があるので、グローバル版のままではシーズナル対応できないため、地域特性に合わせる必要があると判断しました。

▲翌13日に催された韓国版プロデューサーレターLIVEでは、民族衣装をモチーフにした韓国版オリジナル装備デザインをポロリと見せていた。世界中でポロリだ。

──韓国版のパッチのバージョンは、将来的にグローバル版と並ぶのでしょうか?

吉田 “できるだけ近づけたい”が本音ではあります。古いバージョンを維持するのがとてもキツいのがその理由です。そもそも皆さんに公開しているバージョンと開発用の非公開のバージョンそれぞれに、サーバー群をふたつ用意しなげればなりませんので……。たとえばグローバル版のラインだけでもパッチ3.1の開発作業に加えて、最新公開サーバーの運営状況確認用、PS4版/PS3版/PC版/Mac版というように、それぞれにパッチバージョンを保持しています。それに加えて中国版、韓国版のラインがあるので、中国版と韓国版をできるだけグローバルに近づけて、古いバージョンを消して、最新のものだけを残していきたいのです。

──グローバル版と韓国版のバージョンに開きがあると、そのぶん開発の手間が増える?

吉田 たとえばグローバル版で導入したシステムなどを中国や韓国版に早めに入れようとした場合、バージョン間の距離が遠いほど、マージ(組み込み)作業が大変になってしまうのです。マージは開発全員が嫌う作業ですね(苦笑)。

──韓国のプレイヤーの側からも、バージョンを近づけてほしいという声が上がりそうです。

吉田 先ほど現地のメディアさんから、「ワールドファーストを狙うためにも、パッチのバージョンをグローバル版と揃えてほしい」という趣旨のご意見をいただいたのですが、翻訳やQA(品質チェック)のスピードによっても公開時期に差が出てきますし、もし今後、韓国版だけのバランス調整を仮に行った場合、かなり似ているけど違うバージョンになってしまいます。その場合、似てはいるものの、デバッグは別で行う必要があるため、リリース時期はどうしてもズレます。韓国版とグローバル版の公開時期を可能な限り近づけたい、という思いはありますが、さすがにピッタリ合わせるのは理想的すぎるかなとも考えています。