あーくれぼ2015の『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』部門リポート

●アークシステムワークスが贈る対戦格闘ゲームの祭典

 2015年8月15日、アークシステムワークスの対戦格闘ゲームの祭典“ARC REVOLUTION CUP 2015”(あーくれぼ2015)が東京都の品川インターシティホールで開催された。本稿では、メイントーナメントの『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』部門の模様をリポートする。

●あーくれぼ2015とは?

 あーくれぼ2015は、今年で3回目を迎える対戦格闘ゲームの全国大会。今回は家庭用ゲームタイトルをメインにした賞金制の大会となっている。メイントーナメントとしてプレイステーション4用ソフト『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』(以下、『GGXrd』)と『ブレイブルー クロノファンタズマ エクステンド』(以下、『BBCPEX』)、サイドトーナメントとしてアーケード版『ペルソナ4 ジ・アルティマックス ウルトラスープレックスホールド』(以下、『P4U2』)と『アンダーナイト インヴァース エクセレイトエスト』(以下、『UNI st』)の計4タイトルで競われた。
 大会形式は、『GGXrd』と『BBCPEX』、『P4U2』が3ON3のチーム戦、『UNI st』がシングル戦で行われた。今回は予選を行わず出場希望者の中から抽選で参加者を選出。そのためか、さまざまな地域の混合チームも多く見受けられた。

●『GGXrd』部門 ベスト4では『ギルティ』界の顔が揃う!

 メイントーナメントのひとつとして開催された『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』(以下、『GGXrd』)は、プレイステーション4版を使用した3on3、1勝勝ち抜きによるルールで、32チームのトーナメントで競われた。
注目チームとしては、先日、2015年7月に開催された世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会“EVO”で優勝を果たしたおがわ(小川)選手が所属する“おがりんこ”、『ギルティギア』シリーズの実力派プレイヤー、ロイ選手、中村選手、ナゲ選手による“Team 撲”、アメリカの強豪プレイヤーLoad Knight選手も所属するEVO2015の北米予選を勝ち抜いた海外チーム“John Cena Cheerleading Squad”などが挙げられ、ほかにも歴史のある『ギルティギア』シリーズの大会でおなじみの顔ぶれが居並ぶ。開催前からかなりの激闘が予想された。

 ベスト8の闘いの時点で、“GODGARDEN”(ゴッズガーデン)の特別枠を突破した“出張のぶっぱ隊「YARINIKITATTA!」”(FAB選手、サミット選手、中洲ベッドマン選手)や、ベテランプレイヤー、シュウト選手の粘りの闘いが会場を沸かせたが惜しくも一歩及ばなかった“爆弾”チームなどの強豪も次々と敗退して、ベスト4に残ったのは以下のチーム。
 
・“Unusual”/Dogura(どぐら)選手、Machabo-(まちゃぼー)選手、Zeveron|Kazunoko(かずのこ)選手
・“アインパンマン”/しゃろん選手、長谷川選手、ザディ選手
・“おがりんこ”/コイチ選手、かりんちゅ選手、おがわ(小川)選手
・“DES Note”/でぃ選手、ekiちゃん選手、さばみそ選手

 EVO覇者、プロゲーマー、関東コミュニティの常連、関西勢チームなど非常に個性的な顔ぶれの4チームが揃った。

“Unusual”/Dogura(どぐら)選手、Machabo-(まちゃぼー)選手、Zeveron|Kazunoko(かずのこ)選手
“アインパンマン”/しゃろん選手、長谷川選手、ザディ選手
“おがりんこ”/コイチ選手、かりんちゅ選手、おがわ(小川)選手
“DES Note”/でぃ選手、ekiちゃん選手、さばみそ選手

 準決勝1戦目は“Unusual”と“アインパンマン”の闘い。“Unusual”はさまざまな対戦格闘ゲームで活躍するトップクラス選手が集まったいわばドリームチーム。どぐら選手は昨年の“あーくれぼ2014”『ブレイブルー クロノファンタズマ』部門の覇者、かずのこ選手とまちゃぼー選手は古参の『ギルティギア』シリーズ強豪として知られ、2010年の闘劇ではふたりは同じチームで準優勝という経歴も持つ。
 対するアインパンマン”は、現在『GGXrd』の対戦がもっとも盛んといわれるゲームセンター、東京都新宿区の“高田馬場ゲーセン・ミカド”の常連プレイヤーで結成されたチーム。格ゲーベテランの“センス”が優れるか? 日常的に『GGXrd』のハイレベルな対戦を重ねている“経験”が勝るか?……という構図にもなった。
 先鋒に“Unusual”は先鋒にまちゃぼー選手(カイ)を、“アインパンマン”ははせがわ選手(イノ)が登場。はせがわ選手のイノの空間を広く使った攻めに対し、まちゃぼー選手の驚異的な固いガードと反撃が冴え渡る。大舞台をものともしない驚異のセンスを発揮し、はせがわ選手を撃破した。まちゃぼー選手はここで大きく勢いがついたか、続くしゃろん選手(エルフェルト)戦、ザディ(シン=キスク)戦ではともに体力値が劣勢の状況から、相手のミスを確実に拾い一気に形勢逆転、勝利を収めるといった、ドラマチックな闘いを披露。会場を一気に沸かせた。まちゃぼー選手が鮮やかな3連撃で勝利!

 続く準決勝2戦目は優勝候補の筆頭“おがりんこ”と、関西の強豪によって結成された“DES Note”による東西対決。
 先鋒戦。“おがりんこ”はミリア=レイジ使いのかりんちゅ選手、“DES Note”は同じくミリア=レイジを使うekiちゃん選手が登場して、同じキャラクターによる対決に。かりんちゅ選手は、『GGXrd』ではもともと全国屈指のラムレザル使いとして知られているが、その後、メインキャラを変更。ミリア=レイジもかなり研究を重ねているようで、同キャラ対決の流れを支配。ekiちゃん選手を下して勝利した。その後、こちらの対戦でも先鋒の勝利が闘いの勢いを形作り、でぃ選手(エルフェルト)、さばみそ選手(ベッドマン)をつぎつぎと倒す。かりんちゅ選手は最後まで冷静なムーブで相手のラッシュに対しても動じず自分の闘いを維持、立て続けに勝利を奪い決勝戦進出へ。

●まちゃぼー選手の勢いを誰も止められない!?

 そして決勝戦。この日最後の決勝であるだけでなく、『ギルティギア』界の役者が揃った大トリにふさわしい舞台が整ったとあって、会場は最終決戦が始まる前から異様な盛り上がりに! この闘いでもっとも注目すべき点は名実ともに『GGXrd』の王者である小川選手に、“Unusual”の3人がどういった闘いを見せるのか?というところに集約されていた。“Unusual”は先鋒に、先ほどの準決勝で全観客の視線を集めたまちゃぼー選手をふたたび起用。“おがりんこ”は、コイチ選手(イノ)で勝負に挑む。アークシステムワークスのゲームを得意とするコイチ選手は先のEVO2015では『P4U2』部門で7位入賞も果たしている実力者。今回は「この大会のためにこれ(『GGXrd』)に絞って練習してきた」とあって気合いは十分。
 試合は開幕から両者の壮絶な打撃戦が展開。コイチ選手は果敢に動いて主導権を握ろうと試みるが、まちゃぼー選手のそれを上回る“超反応”によってことごとく潰される様相に。「まさか!?」という驚異のタイミングで空中投げや対空攻撃を決めていき、まちゃぼー選手が1戦目の星を獲得。
 続く2戦目は、こちらも先ほどの準決勝で勢いに乗るかりんちゅ選手の出番。
 開幕から両者がジャンプして空中投げを決めるなど、この闘いも異様に速いペースで進行。まちゃぼー選手は縦横無尽に空間を動いているように見えて、適切な間合いの管理も怠っていないクレバーな闘いを披露。相手のバーストを先に読んで距離を取り、きっちりその後に反撃を決めフィニッシュ……といったシーンは類まれなセンスの賜物といったところ。2戦目も勝利を奪い、“Unusual”は優勝に王手。最終決戦に!

 3戦目、“おがりんこ”は、満を持して小川選手が登場。常人離れした格ゲーセンスによって数々の『ギルティギア』の大会タイトルを保持する通称“暴君”、小川選手。あまりの強さに小川選手の操るザトー=ONEは「なにをやっているかわからない」とまで言われるほど。
 試合は、おおかたの予想どおり、小川選手のフィールドをめまぐるしく移動しまくる攻めが展開。空中投げを決めまくったり、分身を確実に使いこなして挟み撃ちにするなど小川選手らしさが光る獰猛な攻勢が会場を沸かせたが、まちゃぼー選手はその攻めをしのぎながらも着実にそのなかにスキを見つけて反撃。己のペースを失わない動きで小川選手にダメージを確実に与えていく。確実に普通のプレイヤーにはわからない何かが“見えて”いたようだ。そして、ついに小川選手も陥落。まちゃぼー選手が準決勝からまさかの6人抜きで“Unusual”チームが劇的な優勝を果たし、賞金50万円を手にした!

●『GGXrd』部門 優勝チーム“Unusual”インタビュー

――優勝おめでとうございます! いまの気持ちはいかがですか?

どぐら選手(以下、どぐら) 去年の『ブレイブルー クロノファンタズマ』に引き続き、今回も“あーくれぼ”で優勝ができました。優勝と準優勝は、形としてはひとつ位置が違うだけですが、価値が違いすぎます。「やっぱり優勝が大事!」ということは、実際にそれが果たせたときにこそ思えることです。本当によかった!

まちゃぼー選手(以下、まちゃぼー) じつはこれまで全国大会での優勝の経験がなかったんです。数カ月ほど格ゲーから離れていて、今回が復帰第1戦。それでこういう結果が残せたことがいちばんうれしいですね。

かずのこ選手(以下、かずのこ) 『ギルティギア』シリーズの大規模大会で優勝したことがなかったので、まず実現できたことがうれしいです。お互いに信頼できて、優勝したいと思うメンバーで優勝できたことも。

――みなさんそれぞれがさまざまな格闘ゲームで活躍する著名なプレイヤーです。今回のチームはその3人が組んだ“ドリームチーム”的な存在だと思います。結成の経緯をお聞かせください。

どぐら もともと僕らは『ギルティギア』シリーズの出身。3、4カ月ほどに海外の大会でかずのこに負けて、そこから『GGXrd』で勝ちたいという気持ちが湧いたんです。そこからやり込みを本格的に進めました。同じころ、まちゃぼーとはオンライン対戦でスパーリング相手になってもらっていたんですが、彼から本格的に格ゲーに復帰したいとの思いを聞きました。そこで“あーくれぼ”のチームに誘いました。残りのひとりはどうしよう、というときに、一番収まりのよかったプレイヤーが、かずのこだったんです(笑)。

――なるほど!

どぐら チームを組むうえでないがしろにしちゃいけないのは、ふだんの人付き合い。勝つためにはあまり仲良くないメンツとチームを組むこともあるのですが、その場合、やっぱり負けたときのしこりが残ってしまうことがあります。その点、このメンバーなら誰がどんな負けかたをしても一切文句がでません。そういう信頼関係があったんです。

――みなさんいろんな格闘ゲームに挑んで上位の結果を残していますが、今回『GGXrd』で優勝できたのはなぜだと思いますか?

どぐら 理由としてはまず「運が良かったこと」。相手チームとの先鋒の出し合いで“読み負け”がなかったはず。

かずのこ 決勝戦以外は概ねそうでしたね。

どぐら そう。じゃんけんで言うと、決勝戦以外はあいこ以上の手がだせたかな。あと、僕らがかつて盛んに『ギルティギア』シリーズをやっていたころ、例えば『アクセントコア』の時代と比べると、いまは正直言って競技のレベル自体は少し下がっているかなと思うんです。これはさっきみんなとも話していたことですが。

――それは、まだこのゲームの対戦が発展途上期だからということなのですか?

どぐら 『GGXrd』の歴史は始まったばかりだから、もちろんそれもあると思いますよ。でも、昔は僕らよりもずっと強いプレイヤーがいっぱいいました。

かずのこ みんな若かったということも大きいでしょう。

どぐら 当時の僕達はいまよりもっと厳しい対戦を経験していた。だから、この経験も今回勝てた要因のひとつですね。

かずのこ 『GGXrd』の対戦を本格的に始めたときに「意外といまの自分でも勝てる」と気付いたのです。それで、3人が調子づいて大会に出たらこういう結果に(笑)。

どぐら 最初は「俺、弱いんじゃないか?」と思っていたのですが、関東で最も対戦が盛んなゲーセンでもそこそこ勝てたので自信が付きましたね。

まちゃぼー 個人的には、僕以外のふたりは海外大会の経験が豊富で、場慣れの度合いがケタ違いなのも優勝できた大きな要因と思っています。普通なら本番で緊張しちゃって動きが鈍るのでしょうが、ふたりにはそれがありません。むしろ、上がっているんじゃないかと。かずのこなんて、前日にゲーセンで行われたファン有志の前夜祭では、ほかの出場者に叩きのめされていたくらいですから(笑)。

かずのこ 昨日は本当に全然勝てなかった。「ごめん、(練習が)間に合わなかった」と思ったほど(笑)。

まちゃぼー でも、今日の大会だと、3回戦で僕が負けてもちゃんと大将の役割で頼もしい闘いをしてくれました。

――まちゃぼーさんこそ、準決勝、決勝の活躍は素晴らしいものがありましたね。どうしてあの闘いができたと思いますか?

まちゃぼー 今日は3回戦で初めて試合に出たのですが、ひどい動きだったんですよ。100点中、50点ほどの出来でした。でも、そこからじょじょに相手が“見えてきた”んですよ。それまではココロの余裕がなかったみたいなんですね。準決勝あたりからは負ける気がしませんでした。

――最初から、ガンガン攻めているのが印象的でした。

まちゃぼー 自分が先鋒で出ても、後ろにふたりもいて何とかしてくれると思っていたんです。自分も復帰組なので、自力だけで闘ったらあぶないことはわかっていました。そこで、人の動きを読むことを重視しました。特に決勝戦、準決勝戦の相手は対戦したことのあるプレイヤーばかりということも大きかったですよ。例えば決勝戦で闘った小川さんはクセが強い動きをしますしね。

どぐら 試合の内容でいうと、まちゃぼーがやっていたことは、攻めながらも相手のミスを待ちがほとんどでした。結果、相手はそのミスがでていましたね。

まちゃぼー 本当はそんなことをするつもりはないのだけど、“脅し”を掛けてみたらそれに反応して……という感じでしたから、じつはあまりリスクを負って闘いっていたわけじゃありません。見かたを変えると、対戦相手は勝ちがたり過ぎちゃっているから、冷静に戦況が見えなくなっていたんじゃないでしょうか? “強い行動”を押し付けてくるのですが、それってバレちゃったら対策できることですから。