●宇宙を舞台にした壮大なシミュレーションの詳細に迫る

▲エグゼクティブプロデューサー、ランディ・キング氏。

 2015年8月5日~9日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2015が開催。ここでは、Wargaming.netによる新作『Master of Orion』のプレゼンの模様をお届けしよう。取材に対応してくれたのは、同作のエグゼクティブプロデューサー、ランディ・キング氏だ。

 ふた月前に発表されたばかりの『Master of Orion』は、宇宙を舞台にしたターン制のシミュレーションゲーム。地上(『World of Tanks』)、空(『World of Warplanes』)、海(『World of Warships』)と来て、「今度は宇宙か!?」と衝撃を受けた方もいるかもしれないが、本作のベースになっているのは、1993年にリリースされるや高い評価を受けた同名作。同作は、宇宙を題材にした世界で初めてのターンベースのストラテジーゲームで、『Master of Orion』を子どものころにプレイしたWargaming.netのCEO、ビクター・キスリー氏は、本作のことが大好きで、「アタリからオークションでIPが売りに出されたときは、“どうしても買わなければ!”ということで、購入したんです」とキング氏は率直に語ってくれた。それが2年半前のことだという。なるほど、そういう事情があって、Wargaming.netが宇宙を舞台にしたシミュレーションゲームを発売することになったわけだ。何となく、キスリー氏の気持ちもわかるような気もする。で、Wargaming.netが『Master of Orion』のIPを獲得したときに、キング氏がキスリー氏から「我々の子どもたちに、『Master of Orion』を遊んでほしいので、作り直してほしい」と言われたところから、今回のプロジェクトがスタートしたのだという。

 『Master of Orion』を現在に蘇らせるにあたって、キング氏が方針として据えたのが、「オリジナルのコンセプトを崩さないこと」。基本的にオリジナルにあったものはすべて受け継ぐつもりだという。もともと世界的に評価の高い同作だけに、当時のままのゲーム性を活かしつつ、それを現在の技術で蘇らせるのだと、キング氏は言う。その一例としてキング氏が挙げてくれたのが、グラフィックの一新やフルボイスの対応など。詳細は明かしてくれなかったが、『Master of Orion』では、声優に有名な俳優などを起用しているという。

 というわけで、プレゼンの後半では、キング氏は実機デモを交えながら、ゲームの概要を説明してくれた。キング氏の話を聞いて改めてしみじみと思うのは、とにかく構成要素が多過ぎて、これだけの短い時間では到底語り尽くせるゲームではないということ。本作の大まかなガイドラインは、“宇宙を探索して、みずからの種族の勢力を拡大する”ということになると思うのだが、とにかくスケールが大きい。そして、“宇宙探索”という言葉から容易に想像がつくとおり、こなすべきタスクが多岐に渡っている。以下、キング氏の説明に準拠しつつ、誌上リプレイをお届けしよう。

 『Master of Orion』では、まず所属種族を選ぶ。オリジナル種族は10だが、今回ビジュアルが解禁された種族は4つ、鳥型の種族でとても誇り高いAlkari(アルカリ)、スパイ系で相手の技術を盗むのが得意なDarlock(ダーロック)、猫系の種族で性格も猫に似て気まぐれなMrrshan(マーシャン)、そして高い技術力を持った種族で、さまざまな物を作れるPsilon(サイロン)だ。当然のこと、選んだ種族は1回のゲームプレイで変更はできない。10種族ごとにそれぞれ特徴が異なるので、いずれを選択するか熟考が迫られそう。ちなみに、今回キング氏はPsilon(サイロン)を選んだ。それぞれの種族には、それぞれ異なる“アドバイザー”がおり、つぎに何をしたらいいかをアドバイスしてくれることになる。

▲Alkari(アルカリ)
▲Darlock(ダーロック)
▲Mrrshan(マーシャン)
▲Psilon(サイロン)
▲アドバイザーのアクションは100種類以上用意されているとのこと。見ているとだんだんかわいくなってくるから不思議。

 ゲームプレイの前に、キング氏より本作に固有の“ビッグバンシート”の説明があった。こちらは5桁の数字をランダムに入力することで、惑星の配列など、違うマップの組み合わせを可能にしたシート。5桁の数字ということで、当然のことその組み合わせは何万通り以上にも及ぶ。数字により配列は共通なので、同じ数字を友だちとシェアすることが可能だ。

 初期段階でプレイヤーに用意されている宇宙船は3隻。コロニー艦、戦闘が行えるフリゲート艦、探索が行えるスカウト艦だ。本作では、宇宙船を飛ばすことで、探索されていない惑星を探すことになるのだが、プレイ後、さっそく“アドバイザー”から、「移住できそうな惑星を発見しました」との報告が。ちなみに、『Master of Orion』の惑星はランダムに生成されることになっているようで、緑が少ない惑星、水が多い惑星など14種類が用意。さらに大きさも4種類あり、鉱石資源も7種類違うものがある。さらに重力も3種類あり、それらの組み合わせで惑星の種類が決まることになる。ちなみに、重力に関しては低重力だと生産に対してボーナスがあり、人口も増加しやすいというメリットが、一方低重力だと生産効率が落ちるという。

 というわけで、さっそく見つけた惑星に移住。宇宙船が惑星に着陸するカットインが流され気分を盛り上げる。なお、映像は移住する惑星によって変化するとのことで、今回は荒野の惑星に降り立つ映像となった。惑星に降りたら“惑星管理スクリーン”で、どんな指令を出すか決定する。食べ物を生産する、施設を建築するなど、さまざまなものを選択できるようになっているのだ。ちなみに、テクノロジー系にはスキルツリーが用意されており、ひとつの技術をアンロックすることで、さらに高度な技術が使用可能になる。現時点ではその種類は75程度だという。

 ここでキング氏は、新作『Master of Orion』ならではの追加要素を教えてくれた。それは“指令の自動化”。本作では指令を自動的に選べるようになっているのだ。これに関してキング氏は、「昔は手動でやるのが好きだった人が多かったが、煩雑に感じられる人のために……」とのこと。適した建物を優先的に立てていく“自動建造”も実装されているそうで、簡単にプレイしたいユーザーのためのアシスト機能は充実しているようだ。まあ、このへんは時代の流れなのかもしれない。

 本作では、1ターンは1年という宇宙スケール。数年経つと、スカウト艦がほかの太陽系に到着することに。そこで遭遇したのが、独立した種族のコロニー。今回のプレゼンでは、あまり詳細な説明はされなかったが、宇宙にはそれぞれ種族がおり、その宇宙を取り仕切っている種族とは敵対関係になるようだ。おそらく、その宇宙の最大勢力である種族と立場を逆転させることが本作の目的であると思われるが、一方で、今回のゲームプレイでキング氏が遭遇したような独立系の種族も存在。独立系の種族は、ときにクエストをお願いしてくることがあり、それを達成するといわゆる“友好度”が上がるという。ちなみに、己の生産ラインを重視するか、独立系種族がもたらしたクエストを優先するか……もけっこうな悩みどころとなるようだ。なお、さきほど“自動建造”と書いたが、本作では、探索にも“自動探索”機能が実装されているとのことだ。

 別の太陽系では、派遣していたフリゲート艦が宇宙海賊の惑星を発見した。宇宙海賊はユーザーに不利なことをしてくるので、可能な限り早く対処しないといけない。とはいえ、フリゲート艦は艦船どうしの対戦しかできなくて、惑星にいる宇宙海賊を退治することができない。そこでキング氏は、さきほど移住した惑星で開発していたデストロイヤー艦を投入。宇宙海賊と対決することに。宇宙海賊は基地にお金やアイテム、奴隷などの“資源”を持っており、戦いに勝利することでそれらを入手できる。今回はあっさりと戦闘に勝利して、奴隷を得た。戦闘に関しては、ソフトのリリース時の段階ではシミュレーターバトルしかないらしいが、いずれはタクティカルバトルも導入するという。

 ということで、デモは時間切れ。相当歯応えはありそうだが、宇宙を探索できるというスケールの大きさには相当ワクワク。とくに、SF好きの記者にとってはなおさらだ。いったい『Master of Orion』はオリジナル版からどの程度のボリュームが追加されたのか? 気になった記者は無茶ぶりを承知で、「オリジナル版が100%だとすると、新作のボリュームは何パーセントになります?」と聞いてみた。すると答えは「125%くらい」という、いささか意外なお答え。冒頭では、「オリジナルのコンセプトを崩さないこと」というキング氏が掲げた新作の方針をご紹介したが、まさにそちらを貫いているようなのだ。もともとオリジナルのゲーム要素がてんこ盛りということもあり、本作では「基本的に新しいコンテンツを大量に入れたわけではなくて、グラフィックの進化だったり、音声だったり、プレイヤーの皆さんが遊びやすくなるためのプラスアルファに特化しています」(キング氏)とのこと。今後の展開次第では、コンテンツが増えていくとのことだ。本作は、基本ひとりで遊ぶゲームとなるようだが、後々はダウンロードコンテンツを追加していく……というスタイルを考えているようだ。

 壮大なスケールの『Master of Orion』ワールドが、今後どこまで広がりを見せていくのか……大いに楽しみだ。なお、本作のリリース時期は「現状は言えません」(キング氏)とのことで、なかなかに待ち遠しい状況ではある。

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