ギャングを率いて街を制圧せよ
2015年8月5日~9日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2015が開催中だ。ここでは、『アサシン クリード シンジケート』のシニアプロデューサーであるジェフ・スカルスキ氏にお話を聞いた。まずは、そのやり取りをお届けしよう。
(※2015年8月8日14時半:初掲載時、ソフト名に誤記がありました。お詫びするとともに訂正致します。)
――『アサシン クリード シンジケート』でもっともアピールしたいポイントは?
ジェフ とにかくたくさんあるのですが、最大の特徴はエヴィーとジェイコブという双子のキャラクターが駆使できることです。あとは、新しくなったガジェットです。舞台が産業革命なので、かなりガジェットが増えています。たとえば、クルマが登場したことによって車道ができて、道幅がかなり広がったんですね。そのために、スムーズに移動できるためのロープランチャーなどを採用しています。あとは、本作ではとにかく乗り物が出てきます。馬車や電車や蒸気船など……。そういった乗り物が加わることで、プレイヤーさんはより探索を楽しめるようになると思います。あとは、ミッションをこなすことによって、自分のギャング(ルークス)を作れること。これにより、主人公は街を取り戻していくことになるんです。
――ギャングを作るというのは、具体的に仲間にして指示を出して……という感じなのですか?
ジェフ そうです。命令を出すことができますよ。たとえば、自分が乗っている馬車を走らせたりすることが可能です。自分は馬車の屋根の上に乗って戦う……といったことができるわけです。
――ルークスは、酒場とかでスカウトできる?
ジェフ 酒場はもちろんですが、いろいろなところに市民がいるのでリクリートできます。酒場はそのひとつですね。敵のギャングの本拠地を押さえると、そこでまたいろいろなルークスが集まってくるようになるわけです。
――ルークスには強さの違いはあるのですか?
ジェフ 何種類か用意されています。屈強な体格だったら、頑丈だったりしますね。そのほか、見た目はかなり違いますよ。
――なぜ、ギャングのシステムを取り入れようとしたのですか?
ジェフ 端的に言うと、時代性ですね。産業革命の時代が多くの人が貧困にあえいでいたので、それを打破するには組織を作るしかなかったんです。ジェイコブの最大の目的というのは、テンプラーたちを倒すことなので、その目的を達成するためには、とにかく味方を集めて、「大勢でテンプラーを倒そう!」ということになるわけです。それでルークスを集めるギャングになる。いわば、時代性に裏打ちされたストーリー上の要請ですね。
――なるほど。ちなみに、何人くらいルークスは率いることができるのですか?
ジェフ 人数は明確にはお伝えできないのですが、味方は緑色に、敵は赤にと、見た目でわかります。たとえば敵のグループに巻き込まれたら、味方に助けを求めるということも可能なわけです。10対10のギャングの抗争もありまして、最後にひとり立っていたチームの勝ちとフィーチャーもあります。
――ルークスを率いることができるのはジェイコブだけ?
ジェフ もちろん、エヴィーもルークスを率いることはできます。でもエヴィーは、ルークスを率いてテンプラーを大人数で叩くことが正しいことだとは思っていないです。彼女は緻密な計画を立てて、綿密に実行していくタイプなんですね。ただ、キャラクターをどう肉付けしていくかはプレイヤーさん次第なので、プレイヤーさんはエヴィーを使ってルークスを束ねていくこともできますし、そのへんはプレイヤーさんの自由に任されています。
――ジェイコブとエヴィーのゲームプレイは交互に?
ジェフ ジェイコブにはジェイコブの、エヴィーにはエヴィーのストーリーラインがあって、そのミッションはそれぞれのキャラクターでこなしていくことになります。エヴィーでジェイコブのミッションをスタートさせたら、自動でジェイコブに切り替わります。ただミッションが発生しないときであれば、オープンワールドの中ではスタートボタンを押して、キャラクターを切り替えてサイドミッションをどちらでもできるようになっています。
――ジェイコブが率いるルークスと、エヴィーが率いるルークスはシェアできる?
ジェフ そうです。
――ストーリーはジェイコブとエヴィーで別々のエンディングが用意されているのですか?
ジェフ ひとつの目的をふたりで達成するので……。最初は相当性格が両極端はふたりですが、自分が正しいと思う道を進むんですよ。でも、途中で気づくんです。ロンドンを救うためには、これは力をあわせないといけないと。ですので、最終的にはひとつの道につながります。
――ということは、最終的にはふたりでいっしょに戦うということになる?
ジェフ それは、プレイして確認していただきたいですね(笑)。
――ジェイコブとエヴィーの操作性の違いを教えてください。
ジェフ それぞれ固有のスキルがあります。たとえばエヴィーだったら、より隠密的な行動を取ります。ステルスに特化したスキルを持っているわけです。一方のジェイコブは、格闘に特化したスキルを持っているんです。固有のスキルは、お互いに取ることはできません。そういう明確な差別化はされていますね。ただ、アサシン共有のスキルはお互いに取ることができるんです。
――改めてのご質問になってしまうのですが、産業革命の時代を舞台にした理由を教えてください。そして、そのことが『アサシン クリード』シリーズにもたらしたものは?
ジェフ とにかく産業革命はいろいろなことが起こって、それによって現代にも影響を与えているような時代だとも言えます。技術が転換期を迎えたり、学問が変わったりと……。そういう変化があるので、それをプレイヤーさんに楽しんでいただきたかったんです。時代が変化することによって、道も広がれば、建物も高くなりますよね。それによってロープランチャーが必要になったりとか、馬車を利用して敵を馬車の中に隠して走らせたりとか、ルークスを馬車に乗せて指定の場所に向かわせたりたりとか……。ある意味で、カオスのようなことができるようになったわけです。
――それだけ魅力的な時代ということですね?
ジェフ そうですね。プレイヤーさんもいろいろなことが体験できるような時代になったのかなと。
――最後に、日本のファンに向けてひと言お願いします。
ジェフ 皆さんのおかげで、作品ができましたし、皆さんの反応をとても心待ちにしています。皆さんの『アサシン クリード』に対する熱気と情熱が、開発チームの原動力になりました。皆さんがホリデーシーズンにこのゲームを楽しんでくれることを、心待ちにしています。
18世紀、産業革命下のイギリスという魅力的な時代を舞台に、ジェイコブとエヴィーという双子を主人公に据えた本作。ギャング(ルークス)を率いて、街を制圧するフィーチャーがあるなど、これまでのシリーズ作よりも、さらにプレイの幅が広くなった印象だ。
なお、インタビューのあとに『アサシン クリード シンジケート』をプレイする機会に恵まれた。ミッションの名前はずばり“シンジケート”で、使用キャラクターはエヴィー。小型船からロンドンの街に降り立ったエヴィーが、ターゲットを仕留めるというもの(使用ソフトはプレイステーション版)。Xボタンを押してしゃがんで移動したり(Xボタンを押して動かないでいると、姿を完全に隠すことができる)、L2ボタンを押してターゲッティングして、△ボタンでナイフを放つといったアクションを確認できた。やはり楽しかったのがロープランチャー。狙った場所を目掛けてロープを打ち込んで、高速で移動するという新ガジェットだ。建物の屋上にロープを打ち込んで、一瞬にして移動というのはとても気持ちいい。操作になれればやみつきになりそうなアクションと言えるだろう。