名作が10年ぶりに蘇る

『Gears of War: Ultimate Edition』のパネルディスカッションをお届け 『Gears of War 4』に関する気になる発言も【SDCC 2015】_03
▲司会役のジョン・ディマジオ氏。ときにマーカスの声音を使い、パネルディスカッションを盛り上げた。

 2015年7月9日~7月12日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて、エンターテイメントコンテンツの祭典、Comic-Con International 2015(通称:コミコン)が開催。会期初日にあたる7月9日には、『Gears of War: Ultimate Edition』の開発を担当したThe Coalitionのスタッフが参加してのパネルディスカッション“Gears of War: Ultimate Edition: The Art of Improving on an Xbox Classic”が行われた。こちらは、北米では2015年8月25日に発売予定の『Gears of War: Ultimate Edition』を、いかにXbox One向けのビジュアルに変更したかを中心に紹介する内容。マーカス役の声優さんジョン・ディマジオ氏を進行役に、スタジオヘッドのロッド・ファーガソン氏、リードデザイナーのピーター・スカルド氏、シネマティック・ディレクターのキール・グリン氏、ナラティブ・プロデューサーのボニー・ジーン・マー氏が参加した。

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▲スタジオヘッドのロッド・ファーガソン氏。
▲リードデザイナーのピーター・スカルド氏。
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▲シネマティック・ディレクターのキール・グリン氏。
▲ナラティブ・プロデューサーのボニー・ジーン・マー氏。

 まずは、ディマジオ氏の「クラシック(Xbox 360版)をモダン(Xbox One版)にするにはどうすればよいのか?」という質問に対しては、ファーガソン氏は「クラシックに対して、ファンにはそれぞれの記憶があり、懐かしさを感じています。それをリマスター前から崩してはならないと思いました」と説明。そのうえで、「愛するものをどうモダンにするのか?」という命題に辿り着いたときに、ただペンキを塗り替えたり、テクスチャーを貼り替えたりするのではなく、“すべてに手を入れたかった”と、『Gears of War: Ultimate Edition』開発スタート時の方針を語った。とはいえ、開発の初期段階でゲームをコミュニティのプレイヤーに遊んでもらい、元のままにしておいたほうがいい部分と、変えたほうがよい部分のフィードバックをもらって参考にしたという。

 興味深かったのは、ファーガソン氏の「キャンペーンは懐かしさを感じる部分であり、マルチプレイはプレイヤーがゲームの進化を期待している部分」との発言。“モダン化”という意味では、おもにマルチプレイに注力したようだ。

 キャンペーンをモダン化するにあたり、大きな変更点になったのがシネマティック、いわゆるムービーの再構築。ご存じの通りThe Coalitionは、ロッド・ファーガソン氏が『Gears of War』シリーズを開発するために設立した新会社だが、「新しいスタジオで、チームは『Gears』の作りかたを勉強しました」とマー氏。会場にて、ゲームプレイやアートなど、Xbox 360版からXbox One版に移植するにあたり、どの点を変更したかを比較するビデオを紹介した。

 シネマティックパートに関しては、「ヘリなどの乗物や顔の表情など、すべてどこまで改善できるか検討しました。つぎのレベルに上げるいい機会だと思ったんです」とキール・グリン氏。きちんとつながりができてないなと気になるところは。すべて手を入れたという。たとえば、Xbox 360版では、後ろから迫って来る巨大なローカストを見たときの表情や反応、マーカスが何かがおかしいと感じている場面がそうだったという。こういう細かい部分を改善することで、「恐怖感や緊張感を高めて、プレイヤーに緊迫感を抱いてほしかった」とファーガソン氏は語る。

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▲同じ画面が用意できず、直説比較できないのが申し訳ないのですが、雰囲気だけでも変化を感じとっていただければ……。こちらはXbox 360版。
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▲こちらの4点はXbox One版のプロトタイプ。
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▲こちらがXbox One版。

 ちなみに、『Gears of War: Ultimate Edition』では、モーションキャプチャーも適宜撮り直すというこだわりだったようだが、もともとある音声を聴きながらの作業なので、ペースがよくなったという。また、「リマスターで有利なのは、3部作を通して全体がフィットするように作れることです」とグリン氏。今回の『Gears of War: Ultimate Edition』には、コミックやノベルで、後に加えられた設定なども足されているという。『Gears of War 3』のプレイアブルキャラクターも出てくるのだとか。

 なお、パネルディスカッションの最後に行われた質疑応答では、「『Halo: Master Chief Collection』のように、『1』~『3』まで全部入れる予定はなかったのか?」との質問も飛び出したが、「新しいスタジオを立ち上げたばかりで、チームが『Gears』を学習する必要があった。『Gears of War 4』を視野に置いて、今回は『1』をやり直すのがいいと思った」とファーガソン氏。せっかくだから、『2』と『3』もXbox Oneでリマスターしてほしいところだ。いずれにせよ、『Gears of War: Ultimate Edition』は単なる移植というわけではなく、相当な手間暇をかけていることがわかる。

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▲『Gears』のタトゥーコンテストも開催された模様。ロッド・ファーガソン氏の腕にもタトゥーが。にしても、かっこいい。

 パネルディスカッションの最後には、ファーガソン氏から『Gears of War: Ultimate Edition』には、2007年に発売されたPC版に入っていた5つのチャプチャーが収録されることや、PC版は4Kのハイレゾリューションであることが紹介された。“4Kハイレゾ”とファーガソン氏が口にしたときは、会場から小さなどよめきが起こっていたので、4Kで『Gears of War: Ultimate Edition』を遊びたいと思っているファンもけっこういそうだ。そして、北米では『Gears of War: Ultimate Edition』を同梱したXbox Oneが、ソフトの発売日と同日の8月25日に発売されることがアナウンス。いよいよ発売に向けて盛り上がってきたとの印象だ。

 そこでふと気がついたのだが、この『Gears of War: Ultimate Edition』現時点では国内での発売は予定されていない。ぜひとも遊びたいと思っている日本のゲームファンも多いことと思われるが……。日本マイクロソフトからの吉報を待ちたいところ。

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 そんなわけで、『Gears of War: Ultimate Edition』のパネルディスカッションは終了。とはいえ、これだけでは少し物足りない……と思う方もいるはず。そう、『Gears of War』シリーズといえば、当然のことE3でお披露目されたばかりの最新作『Gears of War 4』が気になるからだ。「『Gears of War 4』の新情報がありますか?」とのディマジオ氏の問いかけには、ファーガソン氏は「ない!」と即答し、会場を笑わせたが、「E3で緊張に震える手で7分間デモプレイをできたことはすばらしかったです。あのデモプレイからムードやトーンを感じとってほしいです。ミステリー感や暗闇への恐怖感を再び味わってほしい」とコメント。さらに、質疑応答での「ノベルの内容は『Gears of War 4』には組み込まれているのか?」とのユーザーからの質問には、ファーガソン氏からは「自由さと柔軟さを保ちたいのでディテールは埋めていません。前作までは自分たちもわかっていない部分を書いてもらっていました。ボニー(ナラティブ・プロデューサーのボニー・ジーン・マー氏)は、これまでに書かれた『Gears of War』関連の書物をすべて読んで『Gears of War』ワールドを把握しているので、チームからの質問に答えられるようになりました。『Gears of War 4』は、三部作とつなげて固定したくないと考えています」との気になる発言も聞かれた。

 『Gears of War』のフランチャイズは、再出発したので、これからグッズ展開やゲーム以外のフィクションも控えているというファーガソン氏。今後の『Gears of War』ワールドの広がりに期待したい。

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▲会場には早くも『Gears of War 4』のケイトのコスプレが! 本当に早いなあ。