とても近い
もはや、バージョンアップ直前の“儀式”となりつつあるパッチノート朗読会。これは、ゲームの変更・追加箇所をまとめた“パッチノート”を、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターと、“モルボル”の愛称でおなじみの室内さんが読み上げ、さらに内容を補足してくれるというWeb配信番組だ。
じつは、今回のE3では、日本のメディア取材はあまりない。それというのも、拡張パッケージ『蒼天のイシュガルド』発売直前のインタビューは、すでに国内で済ませてしまったからだ。
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うーん、でもせっかく同じロサンゼルスに行くんだし、何かないすかね? と宣伝担当の方に図々しくおねだりしたところ、「じゃ、じゃあパッチノート朗読会来ます……?」と話が進み、取材できることになった。それが本記事である。
すでに照明が落ちたE3会場を歩くという貴重な体験をしながら、スクウェア・エニックスのブースを目指す。配信スタジオには、すでに吉田さんと室内さんがスタンバイ。そろりそろりとスタジオに入ると、吉田さんは読み上げる原稿を確かめながら、「元気ですかー! エノキがあればファイジャが撃てる」とつぶやき出す。この時点で、放送時のネタにすることは決まっていたようだ。
さて、ここでひとつ問題が発生する。私の座り位置である。配信カメラの画角の問題もあり、候補としては、吉田さんの真正面か真横の二択。今回のパッチノート朗読会は、予定でも2時間の長丁場。お互い正面だと、不意に目があったりしていたたまれないですよね……となり、吉田さんの真横に座ることに。これが、本当に真横。超近い。映り込むんじゃないかというくらい近い。
ときおり撮影をしながら(ありがとう電子シャッター!)パッチノート朗読会を見守ったわけですが、妙な緊張感で、終始もじもじしていました。
さて、取材の取れ高としてはこれでも十分なわけですが、せっかく目の前に吉田さんがいることだし、15分だけ質問させてもらうことに(強欲)。どうせなら、ふだんあまり聞かない(聞けない)ことにしようと、わりと偏った内容になっております。予めご了承ください。
――吉田さんはアーリーアクセスはどうされるのですか?
吉田直樹氏(以下、吉田) 飛行機に乗ってしまうとフライト中は現場に指示が出せないので、日曜までこっち(LA)に残ってます。ホテルに缶詰です。おもに緊急告知まわりに張り付いてると思います。
――ほほう、ニュースやトピックスですか?
吉田 サーバーの状態はつねにステータス監視をしていますから、何かトラブルが発生すれば即時分かります。ですが、ゲーム内の不具合の場合、プレイヤーのみなさんのほうが反応が早いんです。となると、僕がいろいろなサイトやTwitterをチェックして、何かあればすぐに日本に連絡を取って対応を検討。告知などが必要になれば、僕がそのままテキストを書いています。
――なるほど。恐ろしいほど最適化されていますね。ぶっちゃけ、アーリーアクセスにどのくらいの人が来ると見込んでいるのでしょうか。
吉田 ひとつの指針として、パッチ2.55のメインクエストのクリア率を見ています。クエストを完了しているプレイヤー数を出して、その何割がアーリーに入ってくるだろうという予測ですね。
――ちなみに、クリア率ってどれくらいなのですか?
吉田 日本がぶっちぎりで高くて、(アクティブの)80%を超えています。
――え! 8割のプレイヤーがクエストを終えている……? で、その何割がアーリーに来ると予測しているのですか?
吉田 8割くらいでしょうか……(笑)。
――日本すげええ(笑)。
吉田 北米のプレイヤー数がいま加速度的に伸びていて、それでもクリア率は60%くらいですね。
――そんな3.0が開幕するところで気が早い質問ですが、4.0はいつごろでしょうか?
吉田 いまのビジネスシーンを考えると、今回よりももう少し早いペースで出したほうがいいとは思っています。ですが、『FFXIV』はアップデートの物量も世界的に見てもかなり多いので、なかなかペースは上げられないのが現実です。やはり、『新生』から『蒼天のイシュガルド』くらいまでの期間は必要かなとは思っています。あ、でも先日ビジュアルワークス(スクウェア・エニックスの映像制作部門)と4.0のオープニングトレーラーのざっくりとした話はしましたよ(笑)。
――なかば冗談でお聞きしたのですが、何か恐縮です(苦笑)。
吉田 オープニングトレーラーは年単位で作るものなので、イメージくらいは共有しておこうと。
――あと、個人的に気になっていることとして、機工城アレキサンダーにはノーマルと零式がありますが、これらの難度が緩和(超える力などで)される際、両方同時に行われるのでしょうか? たとえば、零式は緩和しない、といったことはあるのでしょうか?
吉田 すべてはクリア率を見て判断ですね。零式だから緩和しないとか、そういう考えはないです。
――時間的に最後なので思い切ってお伺いしますが、侍ってまだですか?
吉田 侍に限ったことではないですが、3.xシリーズのあいだにジョブを増やす計画はいまのところはありません。以前もお話しましたが、忍者が加わって、すぐ侍となると、どうしても和のイメージが色濃く出てしまうので、『蒼天のイシュガルド』ではしっかりとハイファンタジーの世界を描きます。それからどのジョブをつぎに実装するか検討に入りますので、いまのところ「入ります!」とも「入りません!」とも言えないのです。ちょっと話題は変わりますが、侍って、甲冑を着ているイメージの方も多いと思うんです。でも、僕からすると甲冑を着ているのは大名とか将軍で、侍とはどうしても違うと感じてしまって……。僕の中での侍は、着流しでどっちかというと浪人のイメージですね。近接DPSなのに布しか着られない、みたいな。剣豪とか剣聖とか、まさに黒澤明(監督作品)の世界です。もし今後、侍が実装されるとしても、そういう侍になるような気がします。ウェポンスキルは全部居合い斬りからの派生とか(笑)
――たいへん興味深いお話、ありがとうございました!(もっと聞きたい……)