拡張現実がゲームにもたらすものとは?

 2015年6月16日~18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015が開催中だ。Xbox E3 2015 Briefingひいては、今年のE3全体においても注目を集めるトピックのひとつとなったMicrosoft HoloLens。ホログラムを駆使して、現実世界にオブジェクトを出現させるというAR(拡張現実)にあたるMicrosoft HoloLensは、Xbox E3 2015 Briefingでは『Minecraft』のデモが披露され、その映像が来場者を多いに驚かせた。

Microsoft HoloLensが『Halo 5: Guardians』の試遊で隠し出展 AR(拡張現実)のリアリティーにゲームの未来を見た【E3 2015】_01
▲『Halo 5: Guardians』の試遊で遊べたMicrosoft HoloLens。残念ながら撮影は全面的に禁止。

 で、いざE3が開幕して、マイクロソフトブースでのMicrosoft HoloLensの出展は……と思いきや、これがブースを見回してみても一切ない。モックの出展すらしていない。「ああ、近未来の体験ができないのか」と残念に思っていると、「『Halo 5: Guardians』の“Warzone”の試遊でMicrosoft HoloLensが体験できる……」というウワサが……。取るものもとりあえず『Halo 5: Guardians』の試遊の列に並んでしばらく待機していると、コンパニオンの女性がおもむろに先が細くなった双眼鏡のような機器を取り出して「これで目の位置を測定します」とひと言。あとで聞いたのだが、どうやらMicrosoft HoloLensでは、目の位置によって、個々に機器を調整する必要があるらしい。

 というわけで、おもむろに参加者が別室に通されると、そこは軍隊の施設のような場所。そして目の前にはMicrosoft HoloLensがずらり。そう、Microsoft HoloLensを最新兵器に見立てつつ、 “Warzone”のルールを説明するという主旨のようだ。その世界観の構築ぶりは、まるで大型テーマパークのアミューズ施設のようで、何やらワクワク。施設の研究員(に扮したマイクロソフトのスタッフ)に、Microsoft HoloLensを装着してもらうと、目の前にはホログラムによる案内が……。通路の数メートル先にマークが表示され、マークの下には数字が。数字はどうやら目的地までの距離を表しているらしい。で、マークが表示された地点まで近づくと、矢印が表示。その指示に従い右に曲がると、壁にある窓を見るようにと指示される。窓の外には、出撃の準備をしているスパルタンの姿が……(まあ、Microsoft HoloLensをつけていない人には、何もない壁に向かっているようにしか見えないのでしょうが……)。

 で、おつぎは六角形の作戦卓に移動。メンバーが揃うと作戦卓の上に出現したのは、スパルタンの指揮官。ついでフィールド全体を3Dで表示しつつ、作戦の目的やクリアー条件などを説明していったのだ。実際のところホログラムによる3Dの映像は、まさに、そこにあるかのようなリアリティーで、「将来的には軍隊でもこういうふうになるんだろなあ」と思わせるほど。そう、SF映画で見るワンシーンが実現したかのような体験だった。

Microsoft HoloLensが『Halo 5: Guardians』の試遊で隠し出展 AR(拡張現実)のリアリティーにゲームの未来を見た【E3 2015】_03
Microsoft HoloLensが『Halo 5: Guardians』の試遊で隠し出展 AR(拡張現実)のリアリティーにゲームの未来を見た【E3 2015】_02
Microsoft HoloLensが『Halo 5: Guardians』の試遊で隠し出展 AR(拡張現実)のリアリティーにゲームの未来を見た【E3 2015】_04

 昨今ゲーム業界ではProject MorpheusやOculus Riftに代表されるVR(仮想現実)が注目を集めているが、現実に仮想の情報を付加したAR(拡張現実)は、それとはまったく異なるもの。マイクロソフトがOculus RiftやValve VRと積極的に提携を推し進める背景には、VRとARはまったく別のものと判断したうえで、VRは他社と提携して、ARは自社で……との方針が見える。ゲームという切り口では、VRのほうが若干ゲームとの親和性が高いようにも思われるが、ARには現実と融合したうえでの大きな可能性があるように見える。

 ヘッドマウントディスプレイそのものの装着感や快適にホログラムが見えるための設定など、まだまだこれからの部分もあるように思えるMicrosoft HoloLensだが、今後マイクロソフトがどのようなビジョンを見せてくれるのか、ワクワクしながら心待ちにしたい。

 あ! そういえばMicrosoft HoloLens体験のあとにプレイできた、肝心の『Halo 5: Guardians』の“Warzone”プレイインプレッションのことを忘れていました。この“Warzone”、全世界『Halo』ファンの期待に違わぬ楽しい出来栄え! 詳細は追ってリポートする予定なので、お楽しみに。

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