出荷は2016年春が目標。製品版より30%お得

 すでにキックオフイベントの模様をお伝えしている通り、視線トラッキング付きVRヘッドマウントディスプレイ“FOVE”のクラウドファンディングプロジェクトがKickStarterで開始された。期間は日本時間の7月4日午後3時59分までで、出資希望額は25万ドル。
 製品は、市販版が500ドルを予定しているところ、399ドル以上の出資から入手可能(執筆時点では375ドルで手に入る先着400名の枠もまだ残っている)で、出荷は2016年春を予定。日本への発送も対応している(そもそも東京発のベンチャー企業)。

 FOVEは基本的に、視野角100度以上をカバーするPC用VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)としての性能を持つ。Oculus RiftやProject MorpheusなどのVRHMDと大きく異なるのは、さらに使用者の視線を検出するアイトラッキングセンサーを内部に備えていることだ。

 これによりプレイヤーの視線をゲームやアプリケーション上の入力に使ったり、プレイヤーがどこを見ているかによってキャラクターの反応を変えるといったことができる。
 センサーなしでも似たようなことはできるが、より細やかな連動が可能で、わかりやすくぶっちゃけて言ってしまうと、“顔は正面向いてるけど視線だけつい胸の谷間に行っているプレイヤー”に「ドコ見とんじゃボケ!」と反応させることが可能になる(マイルドな例で言うと「FPSでプレイヤーが本当に注視した場所を正確に撃てる」)。

会話中にプレイヤーがどこを見てるかキャラにバレバレ! 使用者の視線を検出するVRHMD“FOVE”がクラウドファンディング開始_03
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会話中にプレイヤーがどこを見てるかキャラにバレバレ! 使用者の視線を検出するVRHMD“FOVE”がクラウドファンディング開始_05
▲視線トラッキングの具体的な応用例。FPSの狙いをつけるのに使ったり、プレイヤーがどこを見ているかに応じてキャラクターの反応を変えたり、視線入力でHMD内部からキーを打ったり。
会話中にプレイヤーがどこを見てるかキャラにバレバレ! 使用者の視線を検出するVRHMD“FOVE”がクラウドファンディング開始_01
▲概念図。VRヘッドマウントディスプレイに使用者の視線検出を加えることで、体験にさらなる可能性を与えたり、障害のある人のアクセシビリティ向上を狙う。

 スペック表と製品版での目標値なども公開されており、記者が1月に体験した段階ではついていなかったヘッドポジション(頭の位置)のトラッキングなども製品版では実装予定。ディスプレイのリフレッシュレートも業界が現在目指す基準値となっている90ヘルツを目標としていて、視線トラッキング以外の部分でも、VRHMDとしてのスタンダードな性能を満たす方向だ。

重量:400グラム(目標)
ディスプレイ:5.8インチ/2560×1440ピクセル/視野角100度以上/フレームレート60fps(90fps目標)/Low Persistence
ヘッドトラッキング:低遅延6/9 DOF IMU(6/9軸自由度)
ヘッドポジショントラッキング:低遅延のものを実装予定(目標)
接続:USB 3.0/ディスプレイポート/3.5ミリヘッドフォン端子(目標)
アイトラッキングセンサー:片目それぞれ120ヘルツで検出/誤差0.2度以下(目標)
推奨PC環境:ディスプレイポート付きのグラフィックカードを持ち、WQHD(2560×1440ピクセル)解像度の現代的な3Dゲームを100fps以上でプレイできること

会話中にプレイヤーがどこを見てるかキャラにバレバレ! 使用者の視線を検出するVRHMD“FOVE”がクラウドファンディング開始_02
▲公式のスペック表。“Projected”と書かれているのは製品版での目標値。ヘッドポジショントラッキングの実装なども予定している(頭の回転や移動だけでなく位置を検出することで、顔を近づけて覗き込むといった動作を表現できる)。