次回作は……
2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催された。ファミ通.comでも順次関連記事をお届けしてきたわけであるけれど、日本のファンにとって印象深かったのではないかと思われるのが、3月4日に行われた『ダンガンロンパ』シリーズの企画/シナリオを担当する、スパイク・チュンソフトの小高和剛氏による講演ではなかったろうか。個性的なキャラクターで知られる『ダンガンロンパ』シリーズだが、講演ではキャラクター作りの自身の方法論を紹介し、聴講していた開発者たちを唸らせた。
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そんな小高氏に対して、ファミ通.comでは講演前日の3月3日にインタビューをする機会を得た。北米でも熱心なファンが多いらしい『ダンガンロンパ』シリーズ。小高氏が訪米するということで、北米メディアからの取材依頼が殺到し、2日間で北米・日本を含む16社のインタビューに応じたというから、その注目度たるやすさまじい。ファミ通.comでは「なるべくかぶらない話を……」と思いつつも、講演のことや小高氏のモノ作りへのこだわり、そして次回作のことまで、サンフランシスコの空の下で聞いてみた。
――GDCでの講演は?
小高 今回が初めてですね。
――どのような経緯から講演をすることになったのですか?
小高 今回は、GDCのほうから「講演をしませんか?」という依頼があったんです。僕はもともと飛行機が苦手で(笑)、10数時間のフライトは嫌だなあ~って思っていたんです。昨年は、『ダンガンロンパ』のイベントで香港に行ったりしているのですが、10数時間も飛行機に乗ることを考えると気が重い。とはいえ、ウチからは一昨年に打越(打越鋼太郎氏)が行っていて、昨年は知り合いのヨコオタロウさんが行っている。そういうGDC経験者に聞いたら、「絶対にやったほうがいいよ!」っていうんです。会社的にも「やったほうがいい」ということで、今回僕の飛行機嫌いを考慮して、特別にビジネスを手配してくれるというんです。「ちょっとビジネスは乗ってみたいな」という色気も湧いて(笑)、ここ(サンフランシスコ)まで出てきました。
――長時間のフライトはどうでした?
小高 意外と慣れてきました(笑)。でも、仕事でなれけばこうして海外にはなかなか来ないので、ありがたい機会ではありますね。こうして単純に街並みだけを見ていても、クリエイターとして刺激されるところが多い。「ああ、こういう街があるんだ」とかすごく参考になります。そういう意味では、「やっぱりいろいろなところに行かないとだめだなあ」とは思いましたね。
――ああー。クリエイターさんは街並みひとつでも参考になったりするんですね。
小高 ついこのあいだ、『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』という3Dアクションゲームで、街並みを作ったりしたのですが、「あの街並みは日本的だったんだなあ」と思いましたね。こっちは全部が広いじゃないですか。昨日は、螺旋階段のあるデパートを見たのですが、日本にはなかなかないものなので、「なるほどなあ~」と感心しました。
――日ごろ見ないものを見て、クリエイティビティーが刺激されたということですね?
小高 そうですね。しかも僕は、もともと海外とかはぜんぜん知らないので、見るものすべてが目新しく見えるので、新鮮ですね。螺旋階段のあるデパートを見なかったら、誰かがマップにそれを作っても、「そんなのあるわけないじゃん」って言っていたかもしれないです。
――百聞は一見に如かずといったところですかね。
小高 そうですね。後は、サンフランシスコならではのすごい坂ですね。「ああ、こういうふうに見えるとおもしろいなあ」とか。いろいろと参考になりますね。
――初めて来たサンフランシスコはどんな感じでしたか?
小高 『クレイジータクシー』ですかねえ(笑)。街を疾走しているタクシーのイメージです(笑)。
――今回のGDCでは、日本人のスピーカーがとても少なくて、寂しい思いをしているのですが、数少ない中から選ばれた要因というのは、どのように分析されていますか?
小高 何でしょうね。別に『ダンガンロンパ』がそこまで知名度があるかというとそうでもないので……。小島秀夫監督や須田剛一さん、三上真司さんなど、ある意味“レジェンド”な方たちはさんざんGDCにいらっしゃっているかと思いますが、そうじゃない若い人に来てほしいと思ったときに、日本で最近出てくるようになった人は、なかなかそんなにいなかったのかなあ……というのもあるかもしれませんね。
――日本の若手で、日本のゲームのいまを伝えようと思ったら、小高さんに白羽の矢が立ったと?
小高 そうですね。こっちに来る前は、『ダンガンロンパ』の海外版って、10000本くらいのセールスかなと思っていたのですが、こっちで聞いたら10万本売れているらしいですね。意外と売れているんだな~とびっくりしました。海外のメディアさんからも、「こちらでも『ダンガンロンパ』は大成功しています」って、おっしゃっていただきましたね。
――日本も含め、16社のメディアの取材を受けられたとのことですが、海外メディア陣でも熱烈なファンが多そうですね。
小高 インタビューしてくださった方は、(『ダンガンロンパ』が)好きだからきてくださったと思うんですけど、相当詳しいですね。昔、僕とプロデューサーの寺澤(寺澤善徳氏)で、CEDECで講演をしたことがあるのですが、その英語訳の資料とかをもってきているんですね。で、「このときはこういう企画でしたけど、実際にはどうでしたか?」みたいなことを聞かれて、けっこう深いところまで聞くなあ~と。
――海外メディアの人って、すごくゲーム好きが多い印象がありますよね。やっぱりサインを求められたりも?
小高 何人かには求められましたね。
――ある意味、微笑ましくはありますよね。
小高 ファミ通さんでは、まずないですもんね(笑)。
――いやあー(笑)。心の中ではほしいと思っている人は多いと思いますが、さすがに抑えているんじゃないかと(笑)。ところで、海外メディアからはどんな質問が多かったのですか?
小高 先ほども言いましたが、僕がアメリカに来るのが初めてで、それまでは寺澤が取材を受けていたんですね。「深い話は小高じゃないとわからない」みたいな感じだったので、そういう意味では、わりと聞きたいことはあったみたいですね。
――「おお!?」と思った質問なんてあります?
小高 なんとなく話が長くなったのは、『ダンガンロンパ』に登場する不二咲千尋ですね。女の子のようでありながら、じつは男の子だったというキャラクターなんですけど、アメリカだとわりとセンシティブに捉えているのかな……という気がしましたね。「なんであんなに女の子っぽい格好の男の子なんだ?」、「彼は、本当は男なのか、女なのか?」、「男が好きなのか、女が好きなのか?」……とか、ものすごく具体的に質問されてきましたね。日本だと、そこを深く突っ込んでも他人の秘密だし……みたいな扱いになるかと思うのですが、こっちでは“性別”みたいな感じのイメージかもしれないですね。
――やっぱり、日本とアメリカとでは人気キャラクターも違ったりします?
小高 そうですね。こっちは、ジェノサイダー翔がけっこう人気らしいですね。
――日本でも人気なのでは?
小高 これがアンケートを取ると、意外とそうでもないんですよ。
――あら。『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の主役でもあるので、けっこう人気があるかと思っていました。
小高 そうでもないんです。クリエイターさんたちからは、「好きです」ってけっこう言われるんですけどね。一般のファンの皆さんからは、そんなに支持率が高くなくて。こっちでは大人気ですね。まあ、でも、ほとんどは、モノクマが好きなんだろなあ~って感じがしますけど(笑)。
――『ダンガンロンパ』は、海外とかはあまり意識せずにお作りになったかとは思うのですが、実際に海外で大ヒットして、どのへんが評価されたと思われます?
小高 そうそう、日本・北米のメディアさんを問わず、そういうご質問が多かったです(笑)。
――ああ、流れに乗ってしまった(笑)。
小高 何が売れるか、売れないかということは、いろいろな要因があって、僕はちょっとわからないのですが、もともと『ダンガンロンパ』は、日本でもそんなに売れるとは思っていなかったんですね。「とりあえず後悔しないように、自分たちがおもしろいと思うものをやり切ろう」という決意で作ったので、そういうところが海外にも届いたのかなと。こっちがおもしろいと思うものを作れば、ユーザーの皆さんには届くんだという。それがワールドワイドでもそうだったという。僕は、むしろそれを信じたい気持ちがありますね。
――おもしろいモノを作れば、それは洋の東西を問わないと?
小高 そうですね。マーケティングとかいろいろとあるのでしょうが、作り手が本当に魂を込めて作ったものは、届いてほしいと思っています。
――講演はどんな感じになりますか? インタビュー記事がファミ通.comに載るのは講演の後になってしまうでしょうから、あまり意味のある質問かどうかわかりませんが……。
小高 講演は、やっぱりストーリーメインで、「『ダンガンロンパ』のキャラクターは、どうやって作ったのか?」という点をメインに予定しています。
――講演の前にTwitterで、「日本では話さない(話したくない)話をするよ」とつぶやかれていますが……。
もう来週だ!日本では話さない(話したくない)話をするよ。主にキャラの作り方!"My Ordinary Process for Crafting Extra-Ordinary Stories" #GDC15 http://t.co/hItaPM8P04
— 小高和剛 (@kazkodaka)
2015-02-25 14:40:00
小高 ああ、そうですね。日本のファンは熱心な方が多いので、“このキャラクターの作りかた”みたいなところで言うと、元も子もないというか……。やっぱりファンの皆さんは、キャラクターを“人間”として見てくださっているので、「このキャラクターは、こういう理論で作りました」というふうに分析してほどいてしまうと、「やっぱりキャラクターなのか」ということで、ちょっと冷めてしまうかもしれないというのがあって。
――それは、夢を壊したくないというか?
小高 そうですね。はい。
――ファミ通.comでもあまり詳しくはご紹介しないほうがいいかな(笑)。
小高 まあ、パワーポイントは英語のテキストなので、大丈夫かなという気はするんですけどね。
――いずれにせよ、『ダンガンロンパ』のキャラクターはすごく個性的なので、どういうふうに出来上がったのかは、ファンの皆さんも知りたいところだとは思いますけどね。
小高 極論を言うと、デザインというのは、モデリングやプログラミングと違って、理論があるわけではないですよね。最終的に行き着くところは、「とにかくおもしろいと思ったから」という、それだけ。プランニングやシナリオもそうですが、最後は感性になっちゃうので。ノウハウを説明しても、それがみんなに使えるかと言えば、必ずしもそうではないので……難しいですよね。
――武器はあっても、使う人次第ですかね。
小高 まあ、そうですね。その中でも、キャラクター作りだったら、ある程度はプロセスを踏んで作っているので、それだったら説明できるかなと。これがストーリーだと、“こういう展開をここで起こすべき”とか、なかなか理論的には言えない。“ここは、こういうことが起こったら、なんとなくやっちゃう”みたいなことばかりなので、そうなると人に話しづらいのですけれど。その点、キャラクターは毎回同じプロセスを使って考えていますからね。毎回いつも、スタートは同じやりかたです。
――それは、明日の講演でもお話になります?
小高 それはもちろん。
――じゃあ、いまはあえて、そのへんの秘訣はうかがわないことにします(笑)。
小高 (笑)。いずれにせよ、ある程度感性のゾーンが、ほとんどを占めているので、どこまで参考になるかはわからないんですけど。一応、“こういうプロセスを経ています”ということは、お話しできるかなとは思いますね。
――ふうむ。感性ってユーザーさんの好みに寄り添ったものですか? それとも、クリエイターとして突き抜けた感性?
小高 それは、自分の感性ですね。けっきょく人や時代の感性というのはわからないですよね。ゲームを作っても、発売は2年後とかだし、そのときのユーザーさんの気持ちなんて、到底わからない。さらに言えば、そのときに何があるかによって、影響されてしまうでしょうし。けっきょく信じられるのは、自分が“これがいいから!”っていうところしかないので、だから講演でも結論として言ってしまうのですが、けっきょくは“愛”しかないので。主観的な愛というか。
――キャラクターに対する愛ということですか?
小高 自分自身に問われる愛ですね。こういうキャラクターを作ってみたけれど、これがオーケーかどうかは、自分で判断するしかないというか。「これは愛せる」、「これは愛せない」とか。けっきょくは、それしかない。
――つまり、ご自身が愛せないキャラクターは生み出さない?
小高 そうですね。僕はそうです。
――こんなにイヤなキャラクターでも、自分が愛せるんだったら、生み出してしまうという?
小高 そうですね。
――どんなにイヤなキャラクターでも愛せるというのは、僕なんかだと、なかなか想像しづらいかもなあ。
小高 そこは“悪のカリスマ”的なところもあるし、“セコ過ぎておもしろい”みたいな、ねずみ男みたいなキャラクターもいるでしょうし。これも講演で言うつもりなんですけど、愛を広げるためには、いろいろなものを好きになっていなければいけないなあ~と思っているんです。あるひとつのことにこだわっていると、いろいろなパターンを作れなくなってしまうので。とことん悪いヤツを作りたいとなったときに、その悪いヤツに対する愛の気持ちがないと、うわべだけ悪いヤツになっちゃうかなと思って。
――それは、深いですね。物語で悪を輝かせるためには、その悪をとことん愛さないといけないという……。GDCでは、こちらの開発者に、そんなキャラクター作りの真髄の一端を知ってほしいということですね?
小高 そうですね。プランニングだから難しいですよね。基本的にGDCは、技術系のノウハウをシェアできる講演がメインになっているように思いますので……。
――講演では、開発者でありつつも、『ダンガンロンパ』の熱心なファンみたいな人が、自分の気持ちを確認しに来るなんて人も多いかもしれませんね。意外とファン目線で聴講する開発者の方も多いみたいです。海外にはファンイベントもたくさんありますし、飛行機に慣れたということであれば、今後はファンの皆さんに直接話しをする機会も増えそうですね。
小高 今回こっちに来てみて、その熱をものすごく感じたというか、『ダンガンロンパ』が好きだという人がすごくいてくれることがわかったので、こっちでもちょっとがんばらなくっちゃ!とは思いましたね。それが作品作りに影響するかというと、そんなことはないんですが、できるときにできることはしておきたいという気持ちはありますね。今回のメディアさんによるインタビューも、お受けできるところはお受けして、少しでもソフトの認知度が上がるようにしたいという気持ちはあります。
――それで16社も!
小高 あと、日本にいると、基本はゲーム発売前のインタビューがほとんどじゃないですか。だから、微妙に言えないことばかりで、後は商品紹介みたいになってしまうことが多いので、逆にぜんぜん関係ないときにインタビューされたりすると、いろいろとおもしろいですね。全部ちゃんと言えるので(笑)。
――おお、では今回16社のインタビューではけっこう自由に?
小高 そうですね。けっこうやりやすかったです。ファミ通さんとかのインタビューでも、「つぎに出るゲームはこういうシステムで」なんていう説明とかもしないといけなくって。でも、今回はそういうのもぜんぜんなくて、「どういう感じで作ったんですか?」といった質問に、思ったまま答えればいいので。
――日本のメディアさんともけっこう自由に?
小高 そうですね。GDCの話とか。ナラティブのことを聞かれる方もいらっしゃいましたね。ナラティブに関しては、僕もいろいろと思うところがありまして。
――ああ! ナラティブか! それは非常に興味深いですね。着眼点が鋭いなあ。とはいえ、先を越されたのは悔しいので、今回は伺いません! 今度改めて日本でインタビューさせてください。そのほか、GDCで気になったトピックなどあります?
小高 こっちもスマホなんだなっていう気がしましたね。スマホの市場がすごく大きくなっているんだなと。子どもたちも、スマホでゲームを遊ぶほうが多いと言っていたので。エンターテインメントが身近になったと言えば聞こえはいいのですが、お手軽になったという。
――それは、小高さんの中でも、スマホが大きなテーマになっているということですか?
小高 テーマというわけでもないですね。ゲームユーザーが増えてくれれば、それはそれでうれしいですし。ただ、少し抵抗があるとしたら、みんながスマホ、スマホって言い過ぎるところですかね。エンターテインメントを作っている以上、やっぱり熱狂的な渦を巻き出したいと思っているんですね。これは本当に理想になってしまいますが、僕は『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』とか、ああいうコンテンツを作って、熱狂的なサブカルチャーの渦を巻き起こしたい。それができたら最高だとずっと思っているんです。いまのスマホからは、それは感じられない。スマホで作りたいというよりも、その熱狂を作ることを目指す人が、いいのになって思います。
――なるほど。GDCでの小高さんの講演のテーマを考え合わせると、その“熱狂”の真髄はキャラクターにあると?
小高 そこは難しいところですよね。時代によって変わるのかもしれないですけど。『エヴァンゲリオン』とか『ガンダム』を見ていると、“心をかき乱す”ということは、まず絶対に必要だなとは思うんですよね。それがプラスになるにせよ、マイナスになるにせよ。『エヴァンゲリオン』のコアなんて、明らかにマイナスのほうに揺さぶられますけど。ただ、あの揺さぶりというのは、絶対に必要なんだなっていうのは思います。僕がスマホにそれほどやる気がないのは、そこですよね。ゲームの売上ではスマホのタイトルがトップだったりしますが、僕がやりたいのは商売ではなくて、人の心をかき乱すことなので……。課金ではかき乱されますけれど(笑)。
――スマホでは、人の心をかき乱すコンテンツは、ずっと出てこないと思われている?
小高 いや、今後は変わってくると思いますね。ただ、現時点ですよね。僕は、“いま”熱狂を作りたいんです。“いま”を選ぶとしたら、コンソールのほうなんですよね。「10年後にスマホが変わります」と言われれば、10年後にやりますと。
――いまのスマホだとかき乱すことができないから、あまりやる気は起きないと?
小高 そうですね。ビジュアルもどんどん進化していますし、すごいタイトルもどんどん出てきていますけどね。ただ、いまあえてスマホをやらなくてもいいのかな……と。それが逆転する日は、きっと来ると思うんですけどね。そしたら、そのときに考えます。僕はハード屋じゃなくて、ソフト屋なんで、人の心にどう届くのかを、やっぱりいちばんに考えますね。
――作品を作る上では、あまりハードのことは考えずに、心をかき乱すものを作りたい……ということですか?
小高 そうですね。考えるのは、自分のやりたいことにマッチしたハードというところですね。プレイステーション3やプレイステーション4のような、ある程度大きいバジェットだったら、自分がいま考えているものだと大きすぎるかなとか。だったら、やっぱりプレイステーション Vitaかなとか、そういうところは意識しますね。あくまで自分のアウトプットをどこまでできるかを見据えたうえで選ぶというか。
――いろいろな角度から考えているんですね。
小高 いえいえ。単純にプレイステーション3やプレイステーション4だとできないし、スマホだとやりきれない……という考えですよね。逆に新しいものを切り開こうというクリエイターさんは、スマホのほうに行くのかもしれないですけど、僕はそんなにITとかに詳しいわけでもないですし。単純に文学的というか、考えかたが文系寄りなのかもしれないですね。
――ちなみに、小高さんの“つぎ”の話は、海外メディアの皆さんも聞かれていたりします?
小高 だいたい聞かれますね(笑)。昨年、ソニー・コンピュータエンタテインメントさんのカンファレンスで『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』の映像を流したときに、“3”という数字を1回出したりしているので、皆さんだいたい想像はつくだろうなあとは思いつつ、作っているか、作っていないかで言われると、あまり嘘はつきたくないので、ここはごにょごにょさせてください。
――今度はどんな驚きがあるんだろう? という感じで期待しております。
小高 そこは、驚きはあると思いますよ。まあ、“驚きがあるんだ”と思い込んでいるところに驚きを出しても、そんなに驚きにはならないとかもしれないですけれど……。まあ、驚きは作りたいですね。
――シリーズの特徴として、“驚き”がないわけにはいかないですものね。
小高 そうですね。「あります」というよりは、「驚きを作りたいと思っています」ということで。意気込みとして捉えていただければ。
――先ほどおっしゃった“心をかき乱す”作品を?
小高 そうですね。それはずっと目指しているところなので、ただ安直に続編を作るだけではないですね。もしやるとしたら、ハードも変わるわけで。いままではPSPだったのですが、さすがにいまPSPということもないので、ハードが変わるだけでも変わるところは大きく変わると思うし。
――それだけでも大きいですよね。最後に、サンフランシスコの空の下から、日本のファンに向けてのメッセージをお願いします。
小高 日ごろ日本にいるのですが、こっちに来て新しい刺激を受けました。こっちでも『ダンガンロンパ』が好きな人がたくさんいることがわかって、モチベーションもさらにアップしました。この気持を、日本でクリエイティブのほうにぶつけて、さらにいいものを出せるように、身を削っていきたいと思います。