GDC開催最終日の3月6日に行われた、アークシステムワークスの3Dアーティストである本村純也氏によるセッション“GuiltyGearXrd's Art Style : The X Factor Between 2D and 3D”は、同社の最新作『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』のアートスタイルの秘密に迫るというもの。

●これが3Dグラフィックとは、まさに驚愕

 2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催された。

 開催最終日の3月6日に行われた、アークシステムワークスの3Dアーティストである本村純也氏によるセッション“GuiltyGearXrd's Art Style : The X Factor Between 2D and 3D”は、同社の最新作『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』のアートスタイルの秘密に迫るというもの。アークシステムワークスといえば、2D格闘ゲームの雄であり、『ギルティギア』シリーズと言えば、その代表格。最新作である『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』も当然2Dかと思いきや、じつはそうではないらしい。3Dグラフィックで、まったく2Dに見えるような処理を施しているというのだ。記者も冒頭で流された映像を見て改めて、「これが3Dかあ!?」と感動してしまった。なぜ3Dになったかというと、同社のもうひとつの人気格闘シリーズ『ブレイブルー』との兼ね合いもあり、必然の道だったという。3Dにすることで、よりダイナミックな演出ができるなど、メリットは大きかった。

 とはいえ、3Dを2Dそのままに見せるというのが、容易に実現するとも思えない。そこには、徹底的に2Dと3Dの技術の何が違うかを研究しての試行錯誤があったとのこと。ちなみに、3Dで2Dの表現を可能にしたのが、メインで使用したUnreal Engine3とAutodesk Softimageのふたつのツールだったそうだ。

 実際の開発にあたっては、3Dに見えるところをとにかく2Dにしまくったという本村氏。影にしても、2Dで見せる影と、3Dのシェーダーで出る影は異なるので、調整がけっこう難しかったとのことだ。さらには、光を制御する必要もあったとのこと。グローバルライティングだけだと暗いので、キャラクター別のライティングを用意し、2Dタッチになるように、キャラクターがはっきりと見えるようにする必要があったという。Autodesk Softimageには、ライティングを調整できるプラグイン(ソフトウェアに機能を追加するプログラム)があったので、たいへん助かったらしい。

 さらに2Dアニメでは、キャラクターの線がくっきりと描かれている。アウトラインはなんとかなるとして、問題はインターラインだったという。最初はテクスチャに直接書き込むことも考えたが、間近で見るとジャギって見えてしまう。そこで、UV(ポリゴンにテクスチャを貼るときの座標設定)で、コントロールすることで、縮小や拡大をしても自然に表現できるようになったという。

 アニメーション(動き)では、フレームレートを手書きアニメと同じくらいに少なくすることで、日本のアニメ表現を再現しているという。ご存じの通り、日本のアニメは“リミテッド・アニメーション”であり、セルの枚数が抑えられている。それが、逆にメリハリのある演出にもつながるわけだが、『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』では、それをしっかりと再現しているというのだ。講演では、従来のなめらかな3Dのモーションと、フレームが限定されたモーションの比較映像が流されたが、なるほど、日本のアニメらしいメリハリの効いた動きになっていた。

 さらに、2D表現には“デフォルメ”がある。大きくなったり、伸びたり、縮んだりなどの表現は通常の3Dではできないために、2D表現のためにキャラクターにボーンを追加。『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』では、1体につき400~600のボーンがあり、これはふつうの3Dでは考えられないほどの数とのことだ。

 「最初にあったのは、スタッフの“こうしたい”という意思だけでした。すべての技術は全部最初からあったもので、技術的に革新的ではまったくありません」と本村氏。「ただ、作りたいゲームを開発するために必要なスキルセットがすべて揃ったチーム存在したことが、3Dで2Dを表現できた最大の要因ではないでしょうか」と、開発チームが優れていたことを強調する。

 講演終了後、本村氏には惜しみない拍手が送られていた。それは、工夫とスキルで自分たちの“やりたいこと”を実現した『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-(ギルティギア イグザード サイン)』のスタッフに対する賛辞でもあったようだ。