日本マイクロソフト、グリー、ディー・エヌ・エーのセッションをお届け

 2014年11月21日(金)、22日(土)の両日、TKP 札幌カンファレンスセンターにて、SAPPORO CEDEC 2014が開催。ここでは、その開催2日目に行われた、日本マイクロソフトとグリー、そしてディー・エヌ・エーの講演の模様をお届けする。

複数のプラットフォームでの開発を容易に

【講演名】Microsoft×Unity-Visual Studio Tools for Unityを使った開発-デバッグ、Unityによるユニバーサル Windows アプリ開発
【講演者】日本マイクロソフト デベロッパーエクスペリエンス&エバンジェリズム統括本部 エバンジェリスト 大西彰氏

日本マイクロソフト、グリー、ディー・エヌ・エーの気鋭たちが語る プラットフォーマーとしての責務【SAPPORO CEDEC 2014】_01
▲マイクロソフトでは、オープンソース化にあわせて、Open Technologysのサイトを展開している。

 サティア・ナデラ氏が社長に就任し、「変革のときを迎えている」というマイクロソフト。オープンソースプロジェクトに力を入れているというのはその一端だが、講演で多くの時間が割かれたのが、Visual Studio。言わずと知れた、マイクロソフトが提供する開発環境だ。Visual Studioといえば、個人の開発者であれば、Visual Studio Community 2013が無償で利用になったばかり。これにより、Visual Studio Professional 2013相当の機能が無償で使用できるということで、かなり利便性が高まったと言える。さらに、最新のVisual Studioでは、Androidのエミュレータにも対応しているとのことで、「マイクロソフトはプラットフォームニュートラルです」(大西氏)という。

おつぎに紹介されたのが、Visual Studio Tools for Unity(旧UnityVS)。Unityの利用者が多い昨今、重宝しそうだ。こちらも無償で提供されているとのことだ。

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 さらに、マイクロソフトが推し進めているのが、PCやモバイル、タブレット、Xbox Oneなど、複数のプラットフォームをひとつのOSにまとめるという動き。ひとつのコードを書けば、複数のデバイスに出力できるので、極めて利便性が高い。実際のところ、Windows 8.1とWindows Phoneは90%統一が図られているという。

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 最後に紹介されたのが、Xbox OneのUnityへの対応。インディーゲームを支援するプログラムID@Xboxでは、審査を通ることによって、2台のXbox One開発者キットなどを無償で与えられるほかに、Xbox One用 Unity Proラインセンスの供与も受けられる。Unityで作ったゲームを、Xbox Oneに出力することもできるのだ。会場では、ゼンリンがUnityアセットストアで無償公開している、秋葉原の3D都市データ“Japanese Otaku City”をアレンジしたデモが公開された。大西氏は、「マイクロソフトのプラットフォームも視野に入れてみてください」と講演を締めくくった。

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 ちなみに、今回の講演にあたっては、最後にXbox Oneでデモをする兼ね合いなどもあり、PCのプレゼンデータをXbox OneのMDMIパススルー機能を使って、Xbox Oneに出力し、それを会場で表示させていたようだ。ふだんはあまり使う機会はないかもしれないが、「Xbox OneのHDMIパススルーにはこんな活用方法もあるんだなあ」と、感動したり。最後に、大西氏にSAPPORO CEDEC開催の意義などをうかがったので、紹介しよう。

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 「CEDECに関しては、地方で開催してほしいという声もあるのですが、私の視点で見ると、首都圏の開発者の方って元気がないなあと。札幌だったらどうなんだろう?との思いもありました。札幌は、もともとハドソンさんがあったこともあり、ゲーム開発者のコミュニティーが存在しているハズなので、そこに情報を出すことによって、新たな刺激が生まれて、業界全体も変わるのではないかと期待しています。開発者がいることで、ソフトウェアすべてに関するいろいろなものが生まれると思っているんです。一般の企業アプリもそうですし、ソフトウェアの最高峰のゲームもそうです。開発者がすべてだと思うんですね。なので、マイクロソフトの視点でいうと、開発者にいろいろな最新情報をお届けして、刺激を与えて、何かを始めてほしいんです。そのきっかけになれば……と。
 SAPPORO CEDECでの講演を終えて実感したことは、まずは参加者の方が基本的に若い人が多い。若いということはこれからの可能性が高いということを感じています。今回、講演をやることを決めてから弊社側もいろいろな発表があったので、そのへんの最新情報をいろいろと散りばめながら、もともとのセッションのコンテンツをあまり変えてしまうと、“こいつは言っていることが違う”ということになってしまうので、Visual StudioとUnityを軸として、前半はVisual StudioとUnityを使うと生産性が上がりますよということを紹介しつつ、WindowsもWindowsPhoneやXbox Oneを含めて、Unityで展開できるという状態になっているということを知ってほしいとの思いから講演をしました」

サーバー運用はゲームプレイの縁の下の力持ち

【講演者】サービスの効率を高めるグリー内製ツールの技術と紹介
【講演名】グリー 開発統括本部 インフラストラクチャ本部 堀口真司氏

 言うまでもなくグリーは、GREEプラットフォームをベースに、多数のソーシャルゲームを運用している会社である。運用にあたって絶対的に欠かせないのがサーバー。サーバーがダウンすることはソーシャルゲームにとって死活問題であり、ある意味でもっとも注力しなければならないポイントと言える。堀口氏の講演で紹介されたのは、グリーのサーバー管理にあたってのノウハウ。素人意見でまったく恐縮だが、「私たちがソーシャルゲームを何気なく遊んでいる裏では、多大な努力が払われているんだなあ」と思った次第。

 サーバー構築にあたっては、“冗長性”、“柔軟性”、“高更新頻度”、“拡張性”、“手軽さ”などに注力しているという堀口氏。LVSは2台用意しており、1台は何かあったときのための予備……という説明などを聞いたりすると、「それは万全を期しているよなあ」という感じだ。

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 最後に、堀口氏にSAPPORO CEDEC開催の意義などをうかがったので、紹介しよう。

「グリーでは、東京では勉強会を実施したり、ほかの会社さんと合同でカンファレンスを開いているのですが、そういう機会に参加するとすごく刺激を受けるんですね。いろいろな知見が貯まるということもありますが、発表する側も下準備が必要になって勉強になるんです。北海道だと、そういう機会があまりなかったのかな……ということで、SAPPORO CEDECでは、そういう機会を創出できてよかったです。
 あとは、弊社はパブリッシャーをやっていて、開発会社は各地に広がっているのですが、北海道の開発会社さんと触れ合えて、開発の現場の声を聞けてよかったです。講演を通して、弊社の内部の事情をちょっとでも説明できて、いろいろと理解していただけたのではないか……と思っています」