新コンテンツ“天廊遠征録”は12月17日より配信開始
カプコンの『モンスターハンター フロンティアG』(以下、『MHF-G』)で、2014年11月19日に大型アップデート“G6”が実施された。
新たな大型コンテンツ“天廊遠征録”のほか、新モンスター“ポボルバルム”、各種リファインなど、アップデートの見どころをプロデューサー兼運営ディレクター・宮下輝樹氏と、運営プロデューサー・関野亮央氏のふたりに伺った。
(右)『MHF-G』運営プロデューサー・関野亮央氏
――宮下さんが『MHF-G』開発運営チームに戻って来られました。現在はどういった業務をされているのでしょうか?
宮下 プロデューサー兼運営ディレクターになります。G6アップデートより、これまで杉浦(杉浦一徳氏)がやっていた全体的な進行やアップデートの方針の決定を私がプロデューサーとして担当します。運営ディレクターの業務として、ゲーム内イベントやゲーム内コンテンツの制作にも携わっていきます。
――『MHF-G』開発運営チームに戻るまでは、どのような業務をされていたのでしょうか?
宮下 『deep dowm』の運営プロデューサーを2年近くやっていました。引き続きこちらも兼任し、開発を進めます。『MHF-G』を離れていた期間は、G1アップデート直前くらいからG5まで、ということになりますね。
天廊遠征録について
――では、『MHF-G』開発運営チームに帰ってきてからの1発目のアップデートとなるG6についてうかがいます。まずは、メインビジュアルにも描かれている“天廊遠征録”とは、どのようなコンテンツなのでしょうか?
宮下 天廊のイメージイラスト自体は1年ほど前から公開して、これまで開発していました。天廊遠征録は“狩りだけではない遊びを提供したい”ということがコンセプトになっています。現在、極限征伐戦、狩人祭、パローネ大航祭の3つの大型イベントがありますが、それに続く4つ目の大型イベントとして、天廊を探索する“天廊遠征録”を実装しました。
関野 天廊遠征録に関しては、背景となる設定やストーリーにも力を入れています。そもそも、こんな巨大な塔があることにメゼポルタの人は気づかなかったのか?っていうつっこみはいただいてますが(笑)。なぜ、この塔に行けるようになったのかなど、天廊を進めることで徐々に明らかになっていくよう、こだわって作っています。
――前任のギルドマスターがここで出てくるんですね。
関野 実は彼は天廊の調査に行っていた、という不在理由がありました。そしてこの天廊の秘密を明らかにするため、ハンターに依頼が舞い込みます。
――狩りだけではない遊びというのはどのようなことでしょうか?
宮下 天廊の内部にはさまざまな仕掛けや謎解き要素があります。突然炎が噴出したり、矢がいっぱい飛んできたりする罠があったりしますので、狩りの腕前だけではクリアーすることは難しいです。
――厄介な(笑)。
関野 罠はハンターだけではなく、モンスターに影響を与えるものもあります。うまく罠のほうにモンスターを誘い出して狩猟したり、足止めしているうちに謎を解くといった遊びかたもできます。
宮下 複数人で遊んでほしいコンテンツですね。、
――ハンターランクはいくつから挑めるのでしょうか?
関野 HR1から遊べます。幅広いランクの人たちがいっしょに遊んでほしいと思い、
間口を広げています。
宮下 制限時間内に目標を達成すれば、次の階へ進めます。天廊の中では、何度力尽きてもクエスト失敗になりませんが、フロアの出発地点に戻されたり、制限時間ゼロで失敗になります。
また、天廊はアイテムの持ち込みができず、出発時に配布されるGm(ジェム)というものを使って大型探査船や天廊内部にいるノンプレイヤーキャラクター(NPC)から必要なアイテムを購入することになります。
――なるほど。モンスターから受けるダメージは防御力の差である程度ありそうですが、低いランク帯のハンターでも挑戦できそうですね。
宮下 天廊は入るたびに、たくさんのパターンの中からランダムで構造が変化するので、そのたびに違った楽しみがあります。1フロアが複数の部屋で構成されていて、2~4フロアほど突破すればクエストクリアという感じです。
――1クエストが2~4フロアほどで構成されている、と。クエストクリアにはどの程度の時間がかかるのでしょうか?
宮下 ひとつのクエスト(探索)で15~20分程度を想定しています。
――いったい何階まであるのでしょうか?
宮下 天廊全体を特定の階ごとに区切って、いくつかの区に分けていまして、G6アップデートではいちばん最初の区を“第一区”として実装しています。
――そのいちばん最初の区だけで、どれくらいの階数がありますか?
宮下 500階くらいですね。これまで、極限征伐戦などでは進行度の異なるハンター同士がいっしょに遊びづらい状況があったのですが、天廊ではその経験を踏まえ、進行度に差があるハンター同士でも一緒に遊びやすい仕組みにしています。
関野 たとえば、100階まで進めたハンターと1階も進んでいないハンター同士がいっしょに組んで3階ぶん進めた場合、次に挑むときにはそれぞれ104階からと、4階からになります。同じぶんだけ加算されていく、ということですね。
宮下 また、一定の階数に達するごとに報酬が得られるようになっています。
――天廊は定期開催型のイベントですが、次回開催の際には前回の踏破階数からのスタートになるのでしょうか?
宮下 開催ごとに1階からのスタートになります。極限征伐戦と同様ですね。開催期間も同じく、1週間の開催となります。
――これだけ高い塔ですから、やり込み要素もかなりあるのでしょうか。
宮下 まず、天廊専用のランクとしてTR(タワーランク)がありまして、TRでTSP(タワースキルポイント)を得て、TRを上げていくことで、天廊で効果を発揮する“タワースキル”を解放していけます。タワースキルには、天廊を進めていくうえで有利になるような効果があります。また、天廊では“天廊武器”が手に入ります。天廊で手に入る素材で強化することができ、、天廊以外の狩猟でも使用できます。
――天廊武器はどのような特徴があるのでしょうか?
宮下 天廊武器は、ハンターが自由に性能をカスタマイズできる武器です。たとえば、攻撃力や会心率を上げたり、属性を付与したり。さらに、狩猟笛の音色を決めたり、ガンランスの砲撃タイプや弓の矢のタイプをカスタマイズすることもできます。
関野 属性ごとに武器の色が違ったりオーラを発したりと、見た目の変化もありますね。
――かなり自由度が高いですね。
宮下 天廊武器にはコスト上限が設定されていて、そのコスト内で好きな性能を選んでいくという形になります。また、武器自体の性能のカスタマイズに加えて、天廊で手に入る素材を使うことで、武器にスキルをセットすることもできます。
――何でもありな感じですね(笑)。天廊武器に付けられるスキルと、タワースキルとは別物なのでしょうか?
宮下 天廊武器に付けられるスキルは、通常の防具で発動するスキルと同じものになりますね。既存のスキルの中から代表的なものを付けられます。ですので、天廊以外でもセットしたスキルの効果は発揮されます。
――天廊武器は最終的にはどのくらいの強さになるのでしょうか?
宮下 本当に突き詰めて強化すれば、G級武器よりも上の性能になります……が、ここは慎重にバランスを調整しているところです。
関野 全部が全部、既存の武器より強くなるというよりは、ある部分では性能が高いけど、ある部分では劣る、という感じで棲み分けができるかな、と。攻撃力が高い代わりに斬れ味ゲージが劣るとか。
――属性は現在あるものすべてを設定できるのでしょうか?
宮下 G6では、基本の属性である火・水・雷・氷・龍の5属性と、毒・麻痺・睡眠の3種の状態異常が設定できます。複属性は設定できません。
――素材集めが気になるところですが、定期開催型イベントということなので、だいたい月に1回程度の開催になるのでしょうか?
宮下 まずは、そのくらいのペースで、天廊遠征録、極限征伐戦、狩人祭(入魂祭)、パローネ大航祭を順番に実施していこうと思っています。その後、皆さんの要望や意見を反映してリファインしつつ、入魂祭や極限征伐戦などとの同時開催ということもあるかもしれません。大型イベントの開催を互いに絡めることで、相乗効果を期待するとともに、開催ペースも月2回とか増やしていければと考えています。
関野 ただ、同時開催によってデメリットが生じない形にはしたいですね。
創音竜ポボルバルムについて
――どのようなコンセプトや特徴を持つモンスターでしょうか
関野 音をテーマにしたモンスターで、高地に出現する飛竜種になります。ハンターが使う狩猟笛のように、ポボルバルム自身が音楽を奏でて自身を強化する点が大きな特徴ですね。上顎がアコーディオンのように、翼は弦楽器、尻尾はドラムのような形状になっていて、それぞれ別の音を出して、攻撃力や防御力を上げたり、体力を回復したりします。また、同時にすべての器官を使って、すべての効果を発動させることもあります。
――強化されるとハンターはつらそうですね。
関野 モンスターが演奏している際にハンターが近くにいると、演奏の効果を受けてハンターも少し強化されます。また、剛種とG級で登場しますが動きはゆっくりとしており、同ランクのモンスターとくらべて狩りやすい部類に入るのではないでしょうか。
――サイズがとても大きそうですが。
関野 大きさも特徴のひとつで、オディバトラスと通常のモンスターのあいだくらいですね。
――なるほど。それほどの大きさだと各部位を狙いやすそうです。
関野 ポボルバルムは部位破壊も特徴的で、破壊された部位を自ら修復してしまいます……が、それほど鬱陶しくは感じないくらいに調整してはいます
――ポボルバルムの素材からどのような武具が生産できるのでしょうか
宮下 剛種武具とG級武具があります。防具はどちらも鼓笛隊のようなデザインになっています。G級防具には新スキルの“属性特効”が付属しています。このスキルは、属性が効きやすい部位に対する属性ダメージが上昇する効果があります。
――“痛撃”の属性版といった感じでしょうか。
関野 そうですね。既存の“火属性強化”スキルなどや“属性強化”スキルとも効果が重複します。
――片手剣や手数の多い武器種によさそうですね。ほかにG6で新スキルは追加されますか?
関野 “属性特効”のほかに、“反動軽減+3”と“穏射”を追加しました。“反動軽減+3”は“+2”よりも反動を軽減する効果があり、“穏射+3”は“反動軽減+3”と“装填数UP”の効果をあわせ持つ複合スキルです。
特異個体・G級個体について
――追加されるモンスターと特徴を教えてください
関野 特異個体は新たにナナ・テスカトリとクアルセプスを追加しました。リオレウス亜種とリオレイア亜種がG級に登場します。
――ナナ・テスカトリは剛種が実装されたときに苦労しました。特異個体も手強そうですね。
関野 ひとりで討伐することになりますからね。剛種はおぞましい記憶がある方もいるのでは……。特異個体は新たな攻撃が加わって、さらに凶悪になっています。
――クアルセプスも証が複数あってたいへんだった思い出があります。
宮下 すみません。それ実装したの僕でした……。
――反省しろー!(笑)。
関野 (笑)。クアルセプスは光線攻撃が特徴のモンスターですが、それがまた強化されています。
武器バランスの調整について
――G6では片手剣とランスの調整が行われましたが、それぞれについてお聞かせください
関野 片手剣は、攻撃全般の威力を上昇させ、一部の攻撃動作にスーパーアーマー(怯まなくなる効果)を追加しました。また、嵐ノ型の突きでは属性ダメージが上昇するようになっています。
宮下 ランスも同様に、攻撃全般の威力を上昇させて、一部の攻撃動作にスーパーアーマーを追加しています。片手剣、ランスともに火力面での底上げは、けっこう体感していただけると思います。
関野 今回、調整する片手剣とランスはもちろん、武器種の調整は今後も皆さんの反応を見つつ今後も調整は続けていきます。ほかの武器種についてもアップデートごとに2~3種を調整していきたいと思います。
――ちなみに、次のアップデートでの調整対象の武器種は?
宮下 うーん。まだちょっと悩んでいるところです。何がいいですか?
――ライトボウガンと狩猟笛ですかね……。
宮下 やっぱりライトボウガンですか。
パートニャーのリファインについて
――パートニャーには追加要素やリファインはありますでしょうか?
宮下 パートニャーといっしょに挑戦する公式狩猟大会も検討しています。あとは、パートニャーを連れていくと、パートニャー武具の素材が手に入るイベントクエストなども予定しています。
関野 天廊に連れて行くといいことがあったりもします。天廊にはラスタやレジェンドラスタを連れて行くことができません。パートニャーがいると、解きやすくなるギミックなども……とは言ってもパートニャー必須というわけではありませんが。
トライアルコース(無料コース)のリファインについて
――HR99まで引き上げるとのことですが、どのような経緯でリファインを実施することになったのでしょうか
宮下 現状ではチュートリアルで1回クエストに行くだけでトライアルコース上限のHR2に達してしまいます。サービスも長く続けさせていただいていますし、SR、GRとゲーム全体の縦軸のラインがかなり伸びてきていますので、HR99までは誰でも無料で遊んでいただき、より多くの人がMHF-Gに触れて頂ける機会を増やすことができれば、と。
関野 現在、リファインは12月10日より実施を予定しています。
――HR99までの期間で、ハンターライフコースと比べ、トライアルコースでは何か制限があるのでしょうか
宮下 剛種やG級を除く『MHF-G』のほとんどのオリジナルモンスターが狩猟できることになりますが、一部ランキングや競争要素のあるコンテンツは、トライアルコースでは遊べません。詳細は、追ってお知らせしたいと思います。
High Grade Editionについて
――パソコン版でのグラフィック向上版となる“High Grade Edition”ですが、実装日時は決まっていますでしょうか
宮下 12月10日の実装を予定しています。
――どの程度のスペックを必要とするのでしょうか
宮下 現在まだ調整をしている最中ですが、だいたい2年くらい前の高スペックパソコンならキレイに動くと思います。
関野 グラフィックの向上度合を段階的にカスタマイズできますので、自分のパソコンに合った設定を選んでいただければと思います。
※下の特設サイトで動作環境を確認できます
→High Grade Edition特設サイト
――どのような仕組みで高グラフィックを実現しているのでしょうか
宮下 モンスターのテクスチャーをすべて取り替え、光の射しかたや反射、影のつきかたなどをすべてプログラムで制御しています。
――新モンスターを追加する際は、通常のものとHigh Grade Editionの2種類のテクスチャーを用意するということですよね?
宮下 そうなります。ただ、最初はハンターや武具すべてのグラフィックを直す予定でしたが、膨大な作業量とコストがかかるため、モンスターのみということになりました。
――ハンターの見た目も変化しているような感じがしました。
宮下 テクスチャーを替えているのはモンスターのみですが、光の加減などを変えたり影をつけることでハンターもキレイに見えますね。グラフィックの向上はだいぶ感じていただけると思います。
関野 同じモンスターでも昼と夜とでは光の計算が変わるため、だいぶ印象が変わると思います。ぜひいろいろなモンスターを見にフィールドに出かけてほしいですね。
――他機種版での実装は予定されていますでしょうか
宮下 申し訳ありませんが、High Grade Editionはパソコン版のみとなります。
最後に
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
宮下 G6アップデートより『MHF-G』に戻ってまいりました。前任の杉浦とはまた違った形での、ユーザーの皆さんへのアプローチやサービス、コンテンツなどに挑戦していきたいです。12月にはHR99までの無料化やHigh Grade Editionの実装などがあります。『MHF-G』をお休みしていた方や、新規の方にも興味を持っていただくとともに、サポートやサービスを充実させていきますので、よろしくお願いします。
関野 G6アップデートの天廊は、かなり大きなチャレンジになっていますので、楽しんでいただき、意見や要望をいただければと思います。もちろん、新モンスターについても手は抜いていませんので、こちらもお楽しみください。
フロンティア通信.comの特別企画もチェック
宮下氏と関野氏には今回のG6インタビューとは別に、G1~G5までを振り返って、ユーザーから寄せられた意見や要望をぶつけるフロンティア通信.comの特別企画“MHF-Gに一言いいたい”にも協力いただいた。ふだん我々が知り得ないゲームの安全性の確保や、水面下で動いているリファイン作業など、開発・運営面での貴重なお話をうかがえたので、ぜひこちらも一読いただきたい。