『新生FFXIV』ラスベガス夜話……吉田氏、権代氏、祖堅氏に話を聞く【FFXIVファンフェスティバル】

 2014年10月18日(現地)、ファンフェスティバル 2014 ラスベガスの初日の講演を終えた『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』のコアメンバーに、北米ファンと交流した感想や、来春発売予定の拡張ディスク(バージョン3.0)『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』について詳細を尋ねた。

(収録:2014年10月18日深夜)

●吉田氏の部屋で

 2014年10月18日(現地)、ファンフェスティバル 2014 ラスベガスの初日の講演を終えた『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』(以下、『新生FFXIV』)のコアメンバーに、北米ファンと交流した感想や、来春発売予定の拡張ディスク『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』(以下、『蒼天のイシュガルド』)について詳細を尋ねた。
 インタビューに応じていただいたのは、ファンイベントで登壇した3名。プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏、バトルディレクターの権代光俊氏、サウンドディレクターの祖堅正慶氏だ。
 フェスティバル取材に参加したメディア各社が遠方より来たねぎらいとして、ホテルの吉田氏の部屋で行われたインタビュー兼慰労会は、終始和やかなムードで進んだ。話題はさまざまな方向へゆるやかに広がったが、もちろん、ファンフェスティバルへの思いや拡張ディスクの新情報もしっかり聞いてきたので、こちらをお見逃しなく。
 なお記事の読みやすさを確保するため、本稿では編集を行っている。実際にインタビューで行われたやり取りとは順番や言い回しが違う部分もあるので、あらかじめご了承願いたい。

▲左からバトルディレクターの権代氏、プロデューサー兼ディレクターの吉田氏、サウンドディレクターの祖堅氏。インタビューよりも雑談の時間のほうが長い、終始リラックスしたムードで取材が行われた。

●『新生FFXIV』と吉田氏はラスベガスでヒーローになった!

──前日のリハーサルを終えた吉田さんが通路を移動するときに、行列を作るファンから熱烈な歓迎を受けていました。その様子をすぐ後ろからカメラで追っていたんですが、吉田さんがカッコよすぎて感動すら覚えました。
吉田直樹氏(以下、吉田) 死ぬほど恥ずかしかったです……。ファミ通さんはサイトに動画<<こちら>>までアップしてしまうし(笑)。いま思えば、あのときはどう反応していいのか、妙な笑顔をしていたようで、あとで顎の部分が痛くなりました。

▲吉田氏はプールサイドに出たあと、VIP参加者としばし交流。

──そこは恥ずかしい、でなくて誇りに思うところですよ!
吉田 ふつうにカジノに来られている方々が「なんだこれ?」みたいな感じでこちらを眺めていたので、もう恥ずかしくて恥ずかしくて……(苦笑)。
権代光俊氏(以下、権代) ロックスターが歩いているみたいでしたね。
吉田 でも本当にありがたかったです。僕だけがそういう扱いみたいになっていますが、実際は開発スタッフ全員が力を合わせたおかげでここまで来られました。でも……一生忘れられない思い出ですね。
──おそらく国民性の違いから、日本ではああいう扱いにはならないでしょうね。
祖堅正慶氏(以下、祖堅) でも、「やべぇぇぇ、吉Pだ!」みたいな感じにはきっとなりますよ(笑)。

●ラスベガス初日を終えた祖堅氏と権代氏は

──これほど大規模にファンの方々と交流を持つ催しは、日本を含めていままでになかったことです。それを踏まえたうえで、初日の開催を終えたいまのお気持ちをお聞かせください。
祖堅 アメリカのファンの方は、反応がダイレクトに伝わってきてすごく楽しいと感じました。心の中で思っていることを言葉やジェスチャーでそのまま表現してくれるので、何を思っているのかがすぐにわかります。あと、僕といっしょに撮影した写真をツイッターにアップするときでも、日本とは違って顔を隠したりしませんね(笑)。そういう意味でもロールプレイに徹しているのかなと思ったりします。また、コスプレイヤーの皆さんが着ている衣装や造形物の出来栄えにも驚かされました。それらにサインを書くよう頼まれたりするのですが、ものすごく気が引けてしまって……。汚してしまうようで申し訳なく思いました。
──祖堅さんはステージイベントのミュージックパネルにも参加されていましたね。そちらを終えての感想は?
祖堅 いつもどおり散らかして帰ってきました(笑)。
──英語がわからない日本のファンからも「おもしろい」という声が挙がっていましたよ。
祖堅 適当に受け答えしているだけで、僕だって英語はよくわからないんです(笑)。明日のステージイベント(THE PRIMALSのスペシャルライブ)も盛り上がってくれればいいなと思っています。

▲ご本人は謙遜していたが、祖堅氏は北米のプレイヤーたちと英語でスムーズに会話していた。

──権代さんのご感想はいかがですか?
権代 人前に出ることがすごく苦手なので、これまで国内のイベントへの出演を拒み続けてきました。そんななか、先日の“新生FFXIV 1周年記念14時間生放送”で、これまで未登場だった春日(秀之氏/リードプログラマー)が出演し、ついに自分だけが取り残されて……。結果的に、海外で開催されるファンフェスティバルに自分が出演することになりました。担当者から「北米と欧州のどちらに出る?」と聞かれたときに、個人的に欧州を訪れたことがなかったので「北米に行きます」と返事をしました。ところが北米の会場はとてつもなく広く、かつ開催期間が2日もあるという衝撃の事実を、あとになって知ることになりました(笑)。
──でも大活躍でしたね(笑)。
権代 出演するのはせいぜいプロデューサーレターLIVEくらいだろうと思っていたのですが、自分専用のデベロッパーズパネルまで用意されていましたね(笑)。
祖堅 出演内容は、すべて直前になって初めて伝えられますから。ひどい話ですよね(笑)。
吉田 そういう展開はすでにわかっているのかなと。
権代 絶対にわかりません(笑)。
祖堅 本当に毎回そうですから……。「中身はわからないけど、とりあえず出ろ」みたいな感じです。
権代 こういう結末が待っていたのであれば、もっと小規模なイベントに早く出ておくべきでした(笑)。
──(笑)。とはいえ、イベントそのものはまったく滞りなく進んでいました。
権代 「とりあえず登壇して話を」と言われただけだったので、何をお話していいのかまったくわからない状態でした。しかたがないので、ほかのスタッフたちが帰ってから、会社に残って段取りをひとりでまとめました。時間の配分もまったくわからないので、これでいいのかなと本気で不安になりましたよ。
吉田 大丈夫、延びたら何とかするから(笑)。
祖堅 いつもそうなんですよ……。

●オーディンとの戦いは今後何らかの形で実装される予定

──今回のバトルチャレンジに、シヴァではなくオーディンを起用した理由は?
吉田 理由はシンプルで、ファンフェスティバルだからです。今回は3つのリージョンで開催し、その期間中にパッチ2.4がリリースされます。それぞれの会場を訪れる方々に“公平感”を感じてもらいたいと思ったのが、そもそものきっかけです。
──どういうことでしょうか?
吉田 たとえば日本での開催は12月なので、シヴァでバトルチャレンジを開催した場合、すでに遊び尽くしている状況になってしまいます。かといって日本でのみオーディンを起用してしまうと、ほかの地域で参加してくれた皆さんが「どうして?」と感じてしまうはずです。チケットを購入してスペシャルな場に来ていただいているので、我々の精一杯のおもてなしとして、まだ誰もプレイしたことのないコンテンツをいち早く楽しんでもらおうと思ったのです。

▲ファンフェスティバルのためだけに開発された、オーディンによるバトルチャレンジ。ボスは範囲攻撃を頻繁に発動するため、難度は高め。記者が見た限りでは、参加者の勝率は50%といったところだった。

──オーディンによるバトルチャレンジは、3つのリージョンでそれぞれ開催されるのですか?
吉田 そうです。
──日本の参加者は、インターネットにアップされた動画で研究したうえで挑戦できそうです。
権代 まだ時間があるので、それまでにギミックを変えておこうかな(笑)。
吉田 ものすごく予習してきたのに、「なんだこれ!」みたいな展開になるかもしれません(笑)。
──オーディンとの戦いを、イベント限定のコンテンツにしてしまうのはもったいない気もします。
吉田 ファンフェスティバルだけで終わらせるつもりはありません。会場に来られなかった皆さんにも、独自のシナリオを用意したうえで、いずれ遊んでもらおうと思っています。
──シヴァとオーディンが登場して、バージョン2.0シリーズの物語はひとつの区切りを迎えるのでしょうか?
吉田 シヴァは、しばらくのあいだ重要なカギを握ることになるので、まずはパッチ2.4のシナリオをご覧いただければと思います。
祖堅 パッチ2.4から物語がかなり動きますよね。
吉田 そのぶん、お話できないことが多すぎて……。
──『蒼天のイシュガルド』へと続くイシュガルドの物語も、パッチ2.4から見えてきそうです。
吉田 そうですね。『旧FFXIV』から遊んでくださっている方に喜んでもらえるような要素も多いです。
──たとえばどのような部分ですか?
吉田 「え? あそこに行けるのか!」といった感じです。とはいえ、「『旧FFXIV』から引っ張ってようやくか!」とも言われるかもしれません(笑)。
──拡張ディスクに登場する蛮神は、これまでとは違うテーマ性になるのでしょうか?
吉田 いいえ、『新生FFXIV』オリジナルの蛮神もそうですし、いろいろな意味で「そうきたか!」と思っていただけるはずです。現在は、「拡張ディスクのテーマ性を踏まえると、確かにコイツが登場してもおかしくはない」など、今後についていろいろ想像しているところです。とはいえ、それをバトルコンテンツとして実現させるのはすごく難しいという、お約束の展開が待ち受けています。
──では大迷宮バハムートに続く新たなレイドについて、何か教えてはいただけませんか?
吉田 ファンフェスティバルの日本会場で発表する予定なので、まだ申し上げられません(苦笑)。

●国内F.A.T.E.とファンフェスティバルは今後も展開

──ロンドンの会場も、現在のメンバーで臨まれるのですか?
吉田 権代と高井(浩氏/アシスタントディレクター)が入れ替わります。
──FINAL FANTASY XIV: Full Active Time Event in FUKUOKA(福岡F.A.T.E.)はどなたが参加されるのでしょう?
吉田 外部のコアメンバーとして、日野さん(晃博氏/レベルファイブ代表取締役社長・CEO)にお越しいただこうと思っています。でも、ただのプレイヤーの代表になってしまいそうな予感も(笑)。「蛮神ジバニャンがついに実装か!?」みたいな……。
祖堅 僕のところに発注書が届いたら、そのまま貼っておきます(笑)。
──各地のF.A.T.E.やファンフェスティバルは、今後も継続的に行われていくのですか?
吉田 福岡での開催を終えると、F.A.T.E.はひととおり日本を一周したことになります。おかげさまでお客様からのご要望も多いので、今後どういう形式で継続していくのかを話し合っていきたいと思っています。ファンフェスティバルについては、毎年開催するのはさすがに難しそうです。現時点では2年に1回くらいのペースで行えれば……という感じです。
──毎年開催したら、公開すべき情報も底を突いてしまいそうです(笑)。
吉田 来年も開催した場合、「もうバージョン4.0がリリースされるのか!?」というイメージを皆さんは当然抱かれますよね……。
祖堅 むりむりむりむり(笑)。開発にそんな力は残されていません。本当にきついですから……。
──スタッフの方々の仕事量がとてつもなく多いのは、我々から見ても容易に想像がつきます。
祖堅 仕事量がハンパでないうえに、作業期間がめちゃくちゃタイトなんですよ!
吉田 『新生FFXIV』は出演系の仕事も多いので、そちらの準備に時間を奪われるという部分もありますね。
祖堅 (宣伝チームのスタッフを指差して)あちらのほうからどんどん仕事を押し付けてくるんですよ。……とはいえ、僕らが作ったものを外へ発信することも重要な仕事だとわかっているので、もちろん全力でやっていますよ。

●“新生”の2文字を新タイトルロゴから外した狙いとは?

──『旧FFXIV』時代からタイトルロゴに使われていた、冒険者が集結しているイラストが『蒼天のイシュガルド』では外されています。この狙いは?

▲『蒼天のイシュガルド』のロゴには、冒険者たちの集合イラストと“新生”の2文字が見当たらない。

吉田 当初から決めていたことなので、とりわけ意図はありません。あえてそうしている意味ということであれば、タイトルロゴを全面リニューアルしたのは、新作というイメージを強く打ち出すためです。新しい『FF』であることがすぐにわかるので、以前から拡張ディスクを発売するタイミングごとに、ロゴデザインを変えるつもりでいました。
──タイトルロゴから“新生”の2文字が外されていることにも驚きを感じました。
吉田 新も旧もなくして、バージョン3.0からは『FFXIV』でいいと思っています。
宣伝チームスタッフ これは僕としてもすごく望んでいたことです。もう“新生”ではなく、純粋に『FFXIV』にしたいと以前から思っていました。
吉田 そしてそのつぎは“XIV”もなくすと……。
宣伝チームスタッフ そこまではちょっと……(笑)。
──ナンバーさえもタイトルから外すことで、本作が『FF』シリーズのMMORPGの決定版であることが強調できるわけですね。
吉田 漠然と考えていることですが、『World of Warcraft』がそうであるように、いつでも最新の世界が楽しめる作品であることをアピールできるタイトルでなければならないという思いはあります。『ファイナルファンタジー』のようにナンバリングを重ねるタイトルの場合、次回作がリリースされた時点で、ひとつ前のナンバーはどうしても古く感じられてしまう宿命があります。「いっしょに遊ぼうよ!」と友だちに誘われたときに「最新作が発売されたばかりなのに、どうしてひとつ前のナンバーを遊ぶの?」ということになってしまうからです。漫画でもコミックを14巻目から読み始める人はほとんどいません……ゲームでも、それに近いことが言えると思います。そう考えると、“XIV”という数字は一定の役目を終えた段階で、外すこともありなんじゃないか、とも考えているということです。とはいえ、これだけ世界中の方に応援していただいた”XIV”ですので、その部分に思い入れを感じている方も多いはずです。もし正式に決定したときには異論が噴出するかもしれませんが、もっと多くの方に長く遊んでもらうことこそ皆さんのご声援にお応えするすべだとも思うので、ひとつの覚悟として、それくらいの想いで運営しています、というくらいでいまは捉えていただきたいですね。

●開発者が登場する意図

──バトルのパネルで、開発担当者の仮名として用いられていた”ABCDα”に、権代さんは含まれていませんよね?
権代 はい。含まれていません。
吉田 権代は開発チームにおける唯一のシステム担当です。
権代 あくまでもバトルシステム担当のひとりという立場であって、本当に根幹のシステムについては、自分が作っている感じです。
吉田 デベロッパーズパネルで発表したとおり、根幹システムと計算式とジョブデザインの担当スタッフがひとりずついて、権代はバトルの根幹システム全体を受け持っている感じです。うーん、いくらなんでも少数精鋭すぎるよね……(苦笑)。
祖堅 「この人がブッ倒れたら開発はどうなるんだろう」というスタッフが、チーム内にはいろいろいますね(笑)。
──まず吉田さんがそうですね(笑)。このタイミングで権代さんが初登場することについて、吉田さんの中で何か意図があったのですか?
吉田 僕は、日本のオンラインゲームの歴史の中で、『FFXI』はとても大きな存在であると思っています。ですが、人々にMMORPGという存在を広められたのと同時に、「開発スタッフはプレイヤーの敵だ」という雰囲気もできてしまったような気がしています。僕はいろいろな国のプレイヤーと直接会って話をしてきましたが、実際にはそんなことはないと思うのです。でも、ネット上では人格否定に近いことも書かれてしまう場合もありますし、だから表に出たくなくなる開発者の気持ちもすごくよくわかります。ですので、そろそろそういうイメージは、きちんと改めておきたいと思ったのが、いまの『FFXIV』の「開発者はできるだけ皆さんと対話する」という方針の根幹でもあります。権代にはこれからも、『新生FFXIV』だけでなく、ほかのオリジナルタイトルでもディレクターを担当してほしいと願っています。そしていずれ、権代はおそらく“自分のゲームのディレクター”としてプレイヤーの方々と“どう向き合うのか”という部分を真剣に考える時期を迎えます。ですので、権代には余計なお世話だ! と言われるかもしれませんが、勝手な親心的な?(笑)
──河本(信昭)さんもある意味、似た状況なのですか?
吉田 『FFXI』だけでなく、皆さんの思い出になっているスクウェアのいろいろなRPGのすばらしいイベントの多くを作ってきたのが河本ですし、本当はイベントを作ってもらいたいのですが(笑)、現在の彼はまさしくMMORPGの “運営番長”でして。日々の運営中のバグを追い、それを解決し、経済や流通のほころびをしっかり調整していく日々を過ごしています。たしかに『旧FFXIV』の衝撃は大きいとは思うのですが、ちょっといくらなんでも……という思いもあります。僕が河本をネタにすることで、もう少しおもしろくいじりやすくなったほうがいいのかなと思う部分もあります。これも大きなお世話! かもしれませんが(笑)。