初音ミク、DCコミックス、海外版『モンスターハンター4G』など、10月にニューヨークで発表された野村哲也氏に関する驚きのコラボの数々。それらコラボの経緯などについて、野村氏に話を訊いた。

●ディズニーに続き、DCコミックス、初音ミク……世界的なビッグコンテンツが求める野村哲也氏のアートワーク

 既報の通り、2014年10月8日(現地時間)、アメリカ・ニューヨークで開催されたHATSUNE MIKU EXPO 2014 in New York Art Exhibition “Universal Positivity”に先駆け、スクウェア・エニックス所属のクリエイター、野村哲也氏のデザインによる、電子の歌姫“初音ミク”がお披露目された。

 2014年10月9日~12日(現地時間)開催のNew York Comic-Con(ニューヨーク・コミコン)では、バットマンに続き、野村氏デザインによるキャットウーマンのPLAY ARTS改がお披露目。さらに、同イベントでは、カプコンの『MONSTER HUNTER 4 ULTIMATE』(北米・欧州版『モンスターハンター4G』)向けに、野村氏デザインの武具とオトモアイルーの装備、そしてギルドカードが公開された(※日本での配信予定はありません)。

 驚きのコラボが続々と発表された野村氏に、その経緯など話を訊いた。

[関連記事]【速報】SQEX野村哲也氏が電子の歌姫・初音ミクとコラボレーション!【海外ニュース】
[関連記事]これがSQEX野村哲也氏が描いた初音ミクのイラスト! ヴィジュアルワークスが制作したムービーも公開【海外ニュース】
[関連記事]SQEX野村哲也氏がデザインした、キャットウーマンと初音ミクの新作フィギュアがお披露目【海外ニュース】
[関連記事]北米・欧州版『モンスターハンター4G』のコラボ情報発表! SQEX野村哲也氏デザインの装備や、オトモアイルーのロックマン風衣装が登場【海外ニュース】

▼野村氏サイン入りのステッカー&カードを、合計12名様にプレゼント応募記事はこちら

※本稿で掲載している情報は、海外向けのものです。日本での展開はとくに記載がない限り、未定です。
※本インタビューは、週刊ファミ通2014年10月30日号に掲載されたものです。

■「皆さんに受け入れていただけたなら、先々、さまざまなプランも動くと思います」

 野村哲也氏が描く初音ミクは、彼女のワールドツアー、HATSUNE MIKU EXPOに合わせて発表された。初音ミクが世界展開を行っていくにあたり、その試みのひとつとして、野村氏とのコラボレーションが実現した形だ。日本における初音ミクの公式イラストレーター、KEI氏のデザインをもとに、野村氏らしい、細やかなアレンジが加えられている。

――“野村さんが初音ミクを描いた”とうかがって、とても驚きました!

野村哲也氏(以下、野村) 「ミクを描いてほしい」とお話をいただいたときは、自分も驚きました。「なんで自分が?」って。

――クリプトン・フューチャー・メディア(以下、クリプトン)側から、野村さんにオファーがあったのですね。

野村 はい。以前、クリプトンさんが、海外のファンの方々にアンケートを行ったそうなんです。そこでライトニング(『ファイナルファンタジー 』の主人公)のデザインが好評だったと聞いているので、その影響があるのかなと思います。

――クリプトンさんからは、ミクを描くにあたって、何かリクエストはありましたか?

野村 最初は、衣装込みで新しくデザインするのだと思っていたんです。ですが、お話をよく聞くと、「衣装は変えないでほしい」と。それで、「自分のテイストで、ミクを描いてほしいということなんだな」と理解しました。

――実際にミクを描かれるとき、意識したことはありますか?

野村 クリプトンさんからもご要望があったのですが、リアル寄りのテイストのほうがいいだろうなというのはありました。海外市場的にもそうですし、ライトニングもテイストとしてはそちら寄りでした。今回は、既存のミクにはないものが求められているんだろうと。

――イラストだけでなく、ヴィジュアルワークス(スクウェア・エニックスの、高品質なムービーを制作する部署)が映像化までしているんですよね。

野村 自分はイラストレーターではなくデザイナーなので、“何かを作るためのデザイン”をしています。今回も絵だけで完結させるのではなく、動かして見せないと伝わらない、と思っていました。そこで、描いた絵を橋本(スクウェア・エニックス 第3ビジネス・ディビジョン ディビジョン・エグゼクティブ 橋本真司氏)に見せて、「CGにしましょう」と。橋本は、ミクの絵を見た瞬間に気に入ったようで(笑)、多くを語らずとも、CG化に対して自分以上に意欲的になってくれました。

――野村さんが描いたミクが、橋本さんを一瞬で虜にしたわけですか(笑)。では、CG化するうえで、こだわったポイントを教えてください。

野村 口と目ですね。自分の中で、「こういう顔にしたい」というのは初めから決まっていました。ただ、リアルにすれば、いちばん皆さんの印象にあるミクより大人っぽくなるのは予想できていたので、口元付近の頬に少し膨らみを持たせたうえで、口元が幼く見えるようにし、いわゆる“アヒル口”も特徴として持たせました。色気と幼さが同居する落としどころです。

――目のデザインも独特です。

野村 それは、瞳孔が人間とは違うからですね。ネコの瞳孔のような、水晶のような、透明感のあるものになっています。さらに、カラーコンタクトを装着した際の人工的な目の輝きを、裸眼に持たせたりもしています。ミクは、人ではなく“VOCALOID”ですので、意図的にそのような形にしました。こういった部分も、やはり動きのある中で見ていただくことを想定してデザインしているので、動画だとまた印象が違ってくるんじゃないかと思います。

――ちなみに野村さんは、これまでにミクの曲を聴いたり、動画を観たりしたことは?

野村 もちろん、あります。流行り出したころに、『ワールドイズマイン』や『メルト』など、初期の名作はよく耳にしました。最近は、BUMP OF CHICKENさんとコラボレーションした映像も拝見しましたよ。あの融合は、聴いていても心地よかったですね。ただ、そのコラボが発表されたころには、デザインも進んでいたので、タイミングさえ合っていれば、映像に使うCGモデルの候補に加えていただきたかったです(笑)。

――ということは、今後は野村さんが描いたミクが、アーティストとコラボレーションすることもあるということでしょうか?

野村 それはクリプトンさんが決めることなので、自分は何とも言えません。まずは海外に向けての発信となりますし。ですが、今回の絵とCGを皆さんに受け入れていただけたなら、先々さまざまなプランも動くと思っています。

――そういったお話を聞くと、ゲーム化にも期待してしまいます。

野村 もちろん可能性はあります。いろいろな展開をしたいと、橋本も考えているようですし。これまでのミクファンの方々にはなじみのない、新たなミクになりますが、逆にリアルに寄ったテイストが好きな方などには、新たな入り口になるといいかなと思っています。当然、その入り口の中身となる新たなコンテンツも用意できれば、日本発信のこのキャラクターが、さらに懐の深いものになるのではないでしょうか。

(C)SQUARE ENIX CO., LTD. / Crypton Future Media, INC.
DESIGNED BY TETSUYA NOMURA
※記載の商品名および社名は各社の登録商標です。