化学反応を期待したキャスティング
東京ゲームショウ 2014の一般公開初日となる、2014年9月20日。KONAMIブースの特設ステージにて、『メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ(以下、『グラウンド・ゼロズ』)』およびその続編である『メタルギア ソリッド V ファントムペイン(以下、『ファントムペイン』)』のステージイベント“METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES Special Stage Vehement”が開催された。
このイベントには、スネーク(BIGBOSS)役を演じる大塚明夫氏、『ファントムペイン』よりオセロット役を演じる三上哲氏、そして『ファントムペイン』に登場する謎の美女、クワイエットを演じるステファニー・ヨーステン氏がゲストに登場。現在制作中の『ファントムペイン』に関するトークや、ユーザーより投稿された『グラウンド・ゼロズ』の“魅せプレ”動画の結果発表などが展開されており、この記事ではその模様をお届けする。
(一部記事を訂正いたしました。2014年9月21日 8:40)

まずは、司会の森一丁氏と小島秀夫監督が登壇。この日はすでに5時間もステージに立ちっぱなしとあって、始めからかなりテンションが上った状態になっていた。そして早速、ゲストの大塚明夫氏と三上哲氏が壇上へ上がり、『ファントムペイン』について森一丁氏からのさまざまな質問に答えていった。

前作から境遇を大きく変えてしまったスネークだが、大塚氏に“役を演じるときに気をつけたこと”を聞くと、「たとえ作品が変わっても、人物は変わらない。大事なのは、“いつものスネークの状態”で挑むこと。だから、どういう点に気をつけるかはあまり考えなかった。あえて言えば、『グラウンド・ゼロズ』ですべてを失った状態のスネークを意識したくらいかな」という答えが。そんな大塚氏には、小島監督も収録現場であれこれ指示を出すことはほとんどないのだという。逆に、大塚氏から「こうしたらどうか」と提案されることもあるそうだ。長年演じてきて、すでに役と一体化した大塚氏だからこそのエピソードだと言える。
一方、『ファントムペイン』が初参加となる三上氏は「これまで、オセロットという役はいろいろな方が演じてきたのでプレッシャーはあるが、自分は明夫さんについていくだけ」と笑いながら語っていた。『ファントムペイン』でのオセロットは、「いつも冷静で、何でもわかっているような」(三上氏)カッコイイ人物で、とくに誰を恨んでいるということもなく、復讐に燃えるスネークやカズ(カズヒラ・ミラー)とは立ち位置を異にする。そのため、同じスネークの補佐役であるカズとは意見が対立することも多々あるようだ。
そんな彼らの関係は、小島監督によると「スネークを巡って三角関係のような雰囲気に」なるのだそうだ。さらに、その後クワイエットが入ってくることで“四角関係”にも発展するとか……。

また、三上氏を抜擢した理由について、小島監督は「僕が“大好き”だったから」とみずから暴露。イギリスのテレビドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』で、シャーロック・ホームズの吹き替え役を演じていた三上氏の演技に惚れ込み、オファーを出したのだという。
長年続いてきたシリーズに、三上氏のような“新しい血”を入れることについて、小島監督は「新しい人を入れることで、従来の出演陣とのあいだに化学反応が起こる」ことを期待するからこそのキャスティングだと語る。もちろん、これまで演じてきた気心知れたキャストもいてこその采配であり、今回も彼らの名演技が堪能できるようだ。
“リアル”クワイエットはオランダ生まれの美女優!
そして、TGS 2014で初公開された、クワイエットがマザーベースにやってくるシーンを使って、大塚氏と三上氏による生アテレコが行われた。

さらに、アテレコが終わるとステージが開き、3人目の特別ゲスト、ステファニー・ヨーステン氏が登場。もともと、各キャラクターのアクションを演じる“3Dキャプチャ”のオーディションに来ていたという彼女だが、その演技を小島監督が高く評価し、彼女をクワイエット役として起用することを決めたのだそうだ。

オランダに生まれ育ったステファニー氏だが、日本のゲームが好きで日本語を勉強して来日したということもあって、出演が決まったときは「こんな形で出演できるようになるとは夢にも思わなかった」という。また、彼女が収録に参加したことで、それまで男性一色だった現場の雰囲気も大きく変わったようで「それまでがウソのように明るくなった」(大塚氏)、「オッサンばかりだったので(うれしい)」(三上氏)、共演者からも喜びの声が続出していた。
クワイエットは“言葉を持たない狙撃手”なので、アフレコで長いセリフをしゃべることはないようだが、コミュニケーション手段のひとつである“鼻歌”やうめき声という形で声を発することがあり、それらはステファニー氏の声で収録されているとのこと。

ユニークな着想やテクニックに脱帽!
ゲストが勢揃いしたところで、このステージでのメインイベント“『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』魅せプレ”の結果発表が行われた。
この企画は、『グラウンド・ゼロズ』を使ったユーザーの自慢のプレイ動画を投稿してもらい、そのおもしろさを競うもので、小島プロダクションより事前に募集されていた。
講評担当として、小島プロダクションの是角有二クリエイティブプロデューサーが加わり、“クワイエット賞”、“オセロット賞”、“スネーク賞”、そして“小島監督賞”がそれぞれ発表された。見た目やアクションによる演出を凝ったもの、装甲車を爆風で打ち上げて、こちらに向かってくる別の装甲車に当てるといったトリッキーなものなど、いずれも力作揃い。

そして、小島監督賞を受賞した作品は、なんと“完全ステルス”での本編クリア―! 麻酔銃やホールドアップさえも禁止したうえで、敵に一度も気付かれずに進むという、気の遠くなりそうな超難関だ。技術とともに忍耐力も要求されるテーマを完遂したこの動画、小島プロダクションでもスタッフの誰もが賞賛していたそうだ。

これらの動画のように、まだまだ『グラウンド・ゼロズ』にはさまざまな楽しみかたがある。しかも、ここで小島監督から「『ファントムペイン』には『グラウンド・ゼロズ』をクリアーした人だけにイイことがあるんですよ」と、耳寄りな情報も……。2015年発売に向け、着々と開発が進められている『ファントムペイン』だが、それまでに『グラウンド・ゼロズ』をもう一度味わい尽くすという手もありそうだ。
最後に、出演者たちからひと言ずつコメントが寄せられた。
とくに秀逸だったのは、大塚氏のコメント。「今日ここに来てステファニーを見た人たちは、ゲームでも彼女(クワイエット)を選んで“俺の嫁”とか言いながらプレイをすると思う。でも、画面をよく見てほしい。彼女は俺(スネーク)のパートナーなんだ!」。
プレイヤー諸君は、その言葉を肝に銘じてプレイしたほうがよさそうだ。
ちなみに、最終日である2014年9月21日にも、『ファントムペイン』のステージイベントが開催され、こちらでもまた新たな情報が公開されるとのこと。ファミ通.comでも紹介予定なので、ぜひ楽しみにしていてほしい。
