ゲーム音楽のオーケストラコンサート“PRESS START 2014”は『スマブラ』の楽曲尽くし! ファン歓喜の模様をリポート

ゲーム音楽のオーケストラコンサート“PRESS START 2014 -Symphony of Games-”が、2014年9月13日、東京・池袋の東京芸術劇場で開催された。偶然にもこの日はコンサートの企画者のひとり、桜井政博氏がディレクターを務める『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』の発売日。それもあって、演奏曲も、『スマブラ』尽くしとなった。

●ゲーム音楽の“祭り”開催!

 PRESS START 2014 -Symphony of Games-は、ゲームの名曲を選りすぐり、上質なオーケストラの演奏で届けるコンサート。2006年から毎年公演を重ね、今年で9年目となる人気の高いイベントだ。企画をしているのは、指揮者の竹本泰蔵氏、ゲームデザイナーの桜井政博氏、作曲家の植松伸夫氏、作・編曲家の酒井省吾氏、シナリオライターの野島一成氏の5人。コンサートが開催された2014年9月13日は、偶然にも桜井氏がディレクターを務める『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』(以下、『スマブラ3DS』)の発売日。同作は任天堂を中心とした人気作品のキャラクターが多数登場するため、ゲーム中に流れるBGMも関連作やゲームモードの名曲揃い。かつ、編曲者が多彩で豪華な顔ぶれというという点で、ゲーム音楽ファンからも一目置かれている。こうしたことから、コンサートの開催日とソフトの発売日が同じという偶然を活かして、プログラムの半数は『スマブラ』シリーズに収録されている楽曲が演奏されることになったという。

 今回の公演は、昼夜2回公演で行われた。会場周辺には、手に入れたばかりの『スマブラ3DS』に興じる来場者が数多く見受けられ、まるで『スマブラ3DS』発売のお祭りのよう。また物販コーナーでは関連するゲームのサントラやぬいぐるみなどが販売されて長蛇の列ができており、増田順一氏や景山将太氏、坂本英城氏らゲストが、ファンと談笑する姿も見られた。本記事では、昼公演の模様を中心にリポートする。

▲会場となった、東京芸術劇場。

▲リハーサルの様子。

▼<プログラム一覧>
【PRESS START 2014 プログラム】※昼公演、夜公演ともに同じ

<第1部>
大乱闘スマッシュブラザーズ』より
・メインテーマ(『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo Nintendo 3DS / Wii U』)
・スーパーマリオブラザーズ (地上BGM)(『スーパーマリオブラザーズ』)
・宇宙戦士サムス・アランのテーマ(『スーパーメトロイド』)
・惑星コーネリア(『スターフォックス』)
・JUNGLE LEVEL(『スーパードンキーコング』)
・コトブキランド メドレー(『とびだせ どうぶつの森』)
・グリーングリーンズ(『星のカービィ』)
・ブラックピットのテーマ(『新・光神話 パルテナの鏡』)
・ゲルドの谷『ゼルダの伝説 時のオカリナ
・ロックマン2 メドレー(『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』)
・ファイアーエムブレム(『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』)
・戦闘!トレーナー(『ポケットモンスター X・Y』)

<第2部>
・『ペルソナ4
全ての人の魂の詩/Reach Out To The Truth/記憶の片隅

・『悪魔城ドラキュラX ~月下の夜想曲~
ドラキュラ城/木彫パルティータ/失われた彩画/パール舞踏曲/死の詩曲

・『世界樹の迷宮
迷宮I 翠緑ノ樹海/鉄華 初太刀 【通常バトル 前編】/鉄華 討ち果て朽ち果て 【通常バトル 後編】/迷宮V 遺都シンジュク

・『幻想水滸伝
幻想の世界へ

・『討鬼伝』/『討鬼伝 極
鬼出ヅル刻(『討鬼伝』)/ウタカタ(『討鬼伝』)/英雄ノ進撃(『討鬼伝』)/ウタカタ・秋艶『討鬼伝 極』/千年ヲ駆ケシモノ『討鬼伝 極

・『ポケットモンスター X・Y
タイトル/カロスのテーマ/ミアレシティ/エイセツシティ/光射す日

・『ファイナルファンタジーXIII
ヴァニラのテーマ/閃光/FINAL FANTASY XIII ~誓い~

<アンコール>
大乱闘スマッシュブラザーズ』より
・時のオカリナメドレー(『ゼルダの伝説 時のオカリナ』)
・オネット(『MOTHER』)
・スタッフロール (スマブラ) : Ver.2(『大乱闘スマッシュブラザーズ』)

<第1部>

■『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U
メインテーマ
■『スーパーマリオブラザーズ
スーパーマリオブラザーズメドレー

 『スマブラ3DS』のメニュー画面やテレビCMでも流れる、華々しく力強いテーマ曲でコンサートがスタート。第1部は、『スマブラ』シリーズのステージ曲などをオーケストラアレンジした楽曲が選りすぐられている。2曲目は、軽快な地上BGM、優雅な水中ステージ、地下BGMという、作品を象徴する3曲で構成された『スーパーマリオブラザーズメドレー』。演奏が終わると企画者である桜井政博氏、酒井省吾氏、野島一成氏、竹本泰蔵氏が紹介され、それぞれ以下のように述べた。

酒井 「今日はたくさんの音楽を演奏します。その音楽がよくなるために100%の力を注ぎました」。

桜井 「今日は『スマブラ3DS』の発売日です(会場から温かい拍手)。こういう日にオーケストラコンサートが重なるのは幸せですが、これはまったくの偶然です。何しろ会場は1年前から押さえておかないといけないので……。今回はその偶然を活かして、1部は『スマブラ』尽くしとしました。1曲が短めですが、それだけにいろいろな世界設定の音楽をぜひお楽しみください」。

野島 「『スマブラ』ムード一色。『スマブラ』尽くしはめでたいけれど、俺はアンチだという方もいると思います。……あ、手は挙げなくていいですよ(笑)。そういった方々には2部もありますので、どうぞ楽しんでください」。

竹本 「今年で9年。キリが悪そうですが、野球は9回まででキリがいいじゃないですか。1部が9回の表、2部が9回の裏。その後、どうなるかわかりません。(「ゲームセットじゃないですか!?」と桜井氏。会場から笑い)……というわけで、最後までお楽しみください」。

 なお、いつもの顔ぶれである植松氏は、オーストリア・ウィーンでコンサートに出演中のため残念ながら参加が叶わず、代わりにビデオメッセージが映し出された。

▲左から酒井氏、桜井氏、野島氏、竹本氏。

▲「僕がいなくても野島君がいます! 今日は彼がギターを弾きます!」と冗談を言い、野島氏を驚かせる植松氏。そして、「日本とウィーンの2ヵ国で、同じ日にゲーム音楽のコンサートが開かれているというのはすごい。時代は変わったものだと思います」と語った。

■『スーパーメトロイド
宇宙戦士サムス・アランのテーマ
■『スターフォックス
惑星コーネリア

 宇宙が舞台である2作品の楽曲が連続して演奏された後、桜井氏と酒井氏が登場。この2曲は、2002年に東京・上野の東京文化会館で開かれた“大乱闘スマッシュブラザーズDX オーケストラコンサート”で演奏された当時と同じ形で演奏したという。『スマブラDX』はシリーズで初めてオーケストラの音を使用していたため、コンサートを行う運びとなったのだそうだ。

 夜の公演では、『スマブラDX』の音楽収録の際にオーケストラの指揮を担当したのは竹本氏で、3人は12年前からの付き合いになることが明かされた。竹本氏が「それ(『スマブラDX』コンサート)がきっかけで桜井さんや酒井さんと知り合いになったし、同じ年に開催された『ファイナルファンタジー』のコンサート(20020220ミュージック・フロム・ファイナルファンタジー)の指揮をして植松さんとも知り合った。そういうつながりがあってPRESS STARTが実現したんですよ」と述べた。酒井氏は、「ゲーム音楽のコンサートと言えば、『ドラクエ』と『FF』ぐらいしかなかったけれど、いまはたくさん増えましたね」と、ゲーム音楽というジャンルが浸透してきたことを感慨深げに語った。

■『スーパードンキーコング
JUNGLE LEVEL
■『とびだせ どうぶつの森
コトブキランドメドレー

 『スーパードンキーコング』と『とびだせ どうぶつの森』から演奏された2曲は、コンガなどの打楽器が印象的な、南国の雰囲気たっぷりの2曲。なお、耳に新しい“コトブキランドメドレー”は、ゲーム内にある南の島のレストハウスやアクティビティー(ミニゲーム)などで流れる曲で構成されている。原作版では緩やかなハワイアンなところが、『スマブラ』のステージ曲として、軽快なサンバ調にアレンジされているのだ。

■『星のカービィ
グリーングリーンズ

 かわいいカービィが元気にプププランドを駆け回る姿を想起させる、“グリーングリーンズ”が演奏された後は、カービィの声を担当する声優の大本眞基子さんがスペシャルゲストとして登場。大本氏はカービィのほか、『ダンガンロンパ』の舞園さやか、『戦国無双』の稲姫、『新・光神話 パルテナの鏡』の自然王ナチュレなどを担当している人気声優で、キャラクターになりきったセリフの数々は、ファンを大いに沸かせた。
 大本氏が初めてカービィの声を演じたのはニンテンドウ 64の『ニンテンドーオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』から。「おいくつになりました?」という桜井氏からの意地悪な質問に「当時6歳だったから、24歳になりました……そんなことはどうでもいいのじゃ!」とナチュレ風に答えるなど、付き合いが長いふたりならではの息の合ったトークを披露した。ちなみにこの「おいくつですか?」という質問は、PRESS STARTが9年という長きに渡って続いていることに端を発しており、この日のお約束ネタとして、さまざまな場面で使われた。

 『スマブラ』シリーズのカービィは、コピー能力を使ってほかのキャラクターの能力をコピーした際に、その技名をしゃべる特徴があるため、すべてのキャラクターのセリフが確定した後に収録が行われるという。英語版のセリフも収録したそうで、大本さんは「おーとれてぃこー!」とカービィ風に言ってみせた(ちなみに、「おーとれてぃこー!」こと“オート・レティクル”は、パルテナが使う“オート照準”の英語版の技名)。また、じつは桜井氏がデデデ大王の声を担当していることも明かされ、「エイ!」(カービィ)、「イヤッ!」(デデデ)などと、対戦を彷彿とさせるセリフのやり取りも行われた。

▲大本さん(写真左)と桜井氏。

■『新・光神話 パルテナの鏡
ブラックピットのテーマ
■『ゼルダの伝説 時のオカリナ
ゲルドの谷

 “ブラックピットのテーマ”と“ゲルドの谷”は、ともにアコースティクギターの音色が印象的な楽曲。ラテンを感じさせる情熱的な演奏は、会場の拍手を誘った。
 ここで桜井氏が登場し、『スマブラ3DS』について話を聞くコーナーがスタート。あまり『スマブラ』のことを知らないという司会の鷲野圭子氏に、桜井氏は「簡単に言うと、マリオとピカチュウが殴り合うゲームです!」とざっくり解説。続けてジョークを飛ばしていくが、「こんなにゲームを作るのがたいへんだと、このつぎは作れないんじゃないかな? って思うこともあります」と、真面目な表情で語り始める。「内容をギュウギュウに詰め込んでも、あのキャラがいないという声が世界中から来ますし(笑)。……だけれども、やっと完成しました。ただ、まだ半身なんですね。3DS版があって、Wii U版があって、両方で完成するものなので。いままさにWii U版を追い上げで作っている最中で、そちらのほうもぜひお買い上げいただけるとうれしいです」と、Wii U版制作の意気込みを述べた。MCの最後には、桜井氏が手に持っていたサイン入りの『スマブラ3DS』を、最前列の観客にプレゼント。これには、羨望のどよめきが起きた。

■『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎
ロックマン2メドレー
■『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣
ファイアーエムブレム
■『ポケットモンスター X・Y
戦闘!トレーナー

 第1部の締めくくりに、“ロックマン2メドレー”、“ファイアーエムブレム”、“戦闘!トレーナー”の3曲を一挙に演奏。いずれも人気が高いアップテンポな曲となっており、会場のテンションも一気にヒートアップしていた。

<第2部>

■『ペルソナ4
全ての人の魂の詩/Reach Out To The Truth/記憶の片隅
■『悪魔城ドラキュラX ~月下の夜想曲~
ドラキュラ城/木彫パルティータ/失われた彩画/パール舞踏曲/死の詩曲

 2009年からの再演となる3曲を演奏。心の力“ペルソナ”の合体などが行われるベルベットルームの楽曲“全ての人の魂の詩”は、ソプラノ歌手の高橋織子氏が歌い上げた。
 また、『悪魔城ドラキュラX ~月下の夜想曲~』からの5曲は、初めて演奏された楽曲。ゲームを象徴する、どこか怪しげでドラマティックなメロディー、流れるような美しいワルツ、熾烈な戦いを想像させる戦闘曲と、さまざまな表情を持つ楽曲に会場は魅了された。演奏後は桜井氏とともに、作曲者である山根ミチル氏が登壇。桜井氏に、「『悪魔城ドラキュラX ~月下の夜想曲~』は、1997年ころのゲームでしたよね?」と、当時の作曲環境について聞かれた山根氏は、「それまではメガドライブなどのゲームの作曲をしていましたが、プレイステーションが発売になって、ゲームでもふつうの音楽とほぼ変わらない表現ができるようになりました。『月下の夜想曲』では、それまでの音数や音色の表現の制限がなくなったので、オーケストラで録音したものをそのまま収録し、いろいろなタイプの曲を作りました」と回答。また、桜井氏は「わたしは『悪魔城ドラキュラX』の曲が大好きで、気がついたら再生数が200回を超えるくらい聴き込んでいました。『スマブラ』を作りながら聞くくらいです。『スマブラ』の曲を聴けよって話ですね(笑)」と、ファンぶりを打ち明けた。
 夜公演では、山根氏が『スマブラ Wii U』にも参加しており、編曲者として、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の“サリアの歌”と、『ファイアーエムブレム外伝』の敵のターンの曲を担当していることが明かされた。「曲の冒頭は『ファイアーエムブレム』なんですが、だんだん山根イズムが入ってきて『ドラキュラ』になっちゃうんですよ」と桜井氏。“山根イズム”のなんたるかについて聞かれた山根氏は、「ダークで耽美的な……、キャッスルな感じなんですけれども(笑)」と答え、“キャッスルな感じ”という独特の言い回しに、会場からは笑いが起きた。

▲海外のファンが多い『悪魔城ドラキュラ』シリーズ。山根氏(写真中央)は2~3年に1度、海外のファンに招かれているという。来る11月には、メキシコ・モントレーで行われる音楽フェスに出演し、現地のバンドとセッションをするそうだ。

■『世界樹の迷宮
迷宮I 翠緑ノ樹海/鉄華 初太刀 【通常バトル 前編】/鉄華 討ち果て朽ち果て 【通常バトル 後編】/迷宮V 遺都シンジュク

 『世界樹の迷宮』も、音楽に定評のある作品のひとつ。ダンジョンで流れる楽曲や、ロック調の戦闘曲などの全4曲が演奏された。演奏後は酒井氏とともに、作曲者である古代祐三氏が登場。今回、演奏された楽曲は、『世界樹の迷宮』のものだが、アレンジ自体は『新・世界樹の迷宮』をもとにしていると解説。また、楽曲にFM音源を使った意図を問われると「古典的なダンジョンゲームを彷彿させることをコンセプトにした作品で、楽曲も懐かしい感じが出せないかという話があった。そこで、過去に私が『イース』や『ソーサリアン』で使ったFM音源を使ってみたらいいんじゃないかと思い立ち、実際に使ってみたら、ピッタリはまりました」と答えていた。

▲古代氏(写真中央)が音楽を手掛ける新作ニンテンドー3DSソフト、『新・世界樹の迷宮2 ファフニールの騎士』は2014年11月27日に発売予定。また、ニンテンドーeショップにて『まもって騎士(ナイト)』がダウンロード販売中とのこと。古代氏ファンは2作品とも必見だ。

■『幻想水滸伝
幻想の世界へ

 2009年からの再演。数々の名曲を有する『幻想水滸伝』の中から、オープニング曲を演奏。この楽曲は故・羽田健太郎氏の編曲をもとに、山下康介氏がオーケストレーションしたもの。なお、山下氏は今回のコンサートで『スーパードンキーコング』、『とびだせ どうぶつの森』、『ファイナルファンタジーXIII』もオーケストレーションした。

■『討鬼伝』/『討鬼伝 極
鬼出ヅル刻(『討鬼伝』 /ウタカタ(『討鬼伝』)/英雄ノ進撃(『討鬼伝』 /ウタカタ・秋艶(『討鬼伝 極』)/千年ヲ駆ケシモノ(『討鬼伝 極』)

 『幻想水滸伝』の演奏が終わると、『討鬼伝』でディレクターを、『討鬼伝 極』ではプロデューサーを務めた森中隆氏と、この2作で作曲を担当した坂本英城氏が登場。鬼を討つ和風ハンティグアクションゲームの『討鬼伝』シリーズは2013年6月に1作目がリリースされ、2作目の『討鬼伝 極』が2014年8月27日に発売になったばかりだ。「今日は、すばらしい演奏を聴いて、ゲームに興味を持っていただければと思います」と森中氏。一方坂本氏は「作ってみてわかったんですが、僕は和風の曲に向いてないんですね」と暴露。和風を意識してもうまくいかず、いつも通り作って、あとは和楽器の演奏者にがんばってもらうというスタンスにしたところ、うまくいったと明かした。
 そんな坂本氏も、『スマブラ3DS / Wii U』に参加。通常の予算枠を超えて生演奏をバンバン使っていたことを桜井氏に言われ、「社員に黙っていたのに、いまここでバラされてしまいした」と苦笑い。坂本氏が担当したのは『ゼルダの伝説』と『星のカービィ』のメインテーマ。桜井氏は坂本氏について、「ふつうは恐れ多いと尻込みしてしまう『ゼルダの伝説』のメインテーマを、ズバッとやる強気の姿勢とサービス精神旺盛なところがすごい」と語っていた。

▲和楽器とオーケストラの競演。PRESS STARTではすでにおなじみとなった、尺八と中棹三味線のユニットHIDE+HIDEが参加し、重厚で勇壮な戦闘曲を含む5曲がメドレー形式で演奏された。

▲HIDE+HIDEのユニット名は尺八担当の石垣秀基氏、中棹三味線担当の尾上秀樹氏の名前に由来。坂本氏(写真左)は「自分も英城だから、今日は“HIDE+HIDE+HIDE”ですね」と言って笑っていた。写真右は森中氏。

■『ポケットモンスター X・Y
タイトル/カロスのテーマ/ミアレシティ/エイセツシティ/光射す日

 『ポケットモンスター X・Y』の物語冒頭で流れる“カロスのテーマ”や、街の楽曲などを演奏。ゲストとしてステージに招かれたのは、ビデオゲームディレクターの増田順一氏と、作・編曲家の景山将太氏。「ポケモーニング!」と、テレビ番組『ポケモンスマッシュ!』でおなじみの挨拶をすると、増田氏は「『ポケモン X・Y』の全世界での累計販売本数は1200万本ということで(シリーズ全体では1億8600万本)、音楽もそれだけ多くの方に知っていただいています。共通言語のように世界に広がっていくことをうれしく思っています」と語る。また、景山氏は2011年のPRESS START公演時にみずから編曲とオーケストレーションをした経験を活かし、今回も自身で編曲とオーケストレーションを担当した。

▲景山氏(写真右)は『スマブラ3DS』の編曲も担当。そして、楽曲を担当した最新作『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は2014年11月21日発売予定。そのサントラは2014年12月3日に発売予定とのこと。写真左は増田氏。

■『ファイナルファンタジーXIII
ヴァニラのテーマ / 閃光 / FINAL FANTASY XIII ~誓い~

 プログラム最後の演奏は、『ファイナルファンタジーXIII』を象徴する3曲。ピアノの美しい調べで綴られる“ヴァニラのテーマ”や、バイオリンの調べが特徴的な戦闘曲“閃光”、そして、タイトル画面や作中のさまざまな部分でアレンジされたメロディーを聴くことができる“FINAL FANTASY XIII ~誓い~”が演奏された。
 また、『ファイナルファンタジーXIII』の演奏前に企画者たちがステージに集まると、ふたたび植松氏からのビデオメッセージが放送され、2015年の4月11日にPRESS STARTのパリ公演が決定したことが発表された。PRESS STARTの海外進出は、2008年の上海公演に続き2回目。ゲストとして『キングダム ハーツ』シリーズなどの作曲を担当した下村陽子氏や、『クロノ・トリガー』や『クロノ・クロス』などを作曲した光田康典氏が参加する予定だという。演奏楽曲など、どんな公演になるか気になるところだ。

<アンコール>
■『ゼルダの伝説 時のオカリナ
時のオカリナメドレー
■『MOTHER
オネット
■『大乱闘スマッシュブラザーズ』 スタッフロール (スマブラ) : Ver.2

 『ファイナルファンタジーXIII』の演奏で正規のプログラムが終了し、拍手が鳴りやまない中、ふたたび指揮者の竹本氏が登場。アンコールとして演奏が始まったのは『スマブラ3DS / Wii U』に収録された3曲。トップバッターは、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』だ。これはリンクがオカリナで演奏する、ゲームでとても重要な意味を持つメロディーの詰め合わせ。“ゼルダの子守歌”から始まり、“嵐の歌”、“エポナの歌”、“時の歌”、“サリアの歌”で構成されていた。アンコール2曲目は、『MOTHER』のオネットのステージ曲。途中で挟まれる“エイトメロディーズ”のメロディーで涙腺が崩壊するファンもいたのではないだろうか。最後は、『大乱闘スマッシュブラザーズ』の“スタッフロール (スマブラ) : Ver.2”。演奏終了後、出演者全員が手をつなぎ、観客に向けて一礼すると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。

 『スマブラ3DS』に関係する楽曲が多かったが、それはおもに任天堂の名作ゲームの名曲を結び付けるひとつのくくりでしかないと気づかされた今回のPRESS START。過去の公演に比べても演奏曲数が多く、それだけに聴きどころも多かった。会場には日本人の観客に加え、外国人の観客の姿もちらほらと見受けられただけに、来年4月のパリ公演の成功が期待される。

(取材・文:奥村キスコ)