ゆるいながらもプログラムがぎっしり!
2014年8月23日、『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』の正式サービス1周年を祝うお祭りとして、タイトルにちなんだ14時間にわたるストリーミング生放送が敢行された。放送はスクウェア・エニックス本社の高層フロアで、23日の正午からスタート。これは、第17回プロデューサーレターLIVEを含む数々のメインプログラムのほか、アシスタントディレクターの高井浩氏による運がすべての14時間耐久アートマチャレンジ、バトルチームが一般プレイヤーのプレイをお手伝いする超“超える力”&サウンドディレクター祖堅正慶氏の挑戦企画、など3チャンネルを使っての放送だ。当日は、事前に募集をかけて当選した一般のTwitter特派員が14名臨席して視聴。#XIV14のハッシュタグとともに、絶えず情報を発信していた。
※第17回プロデューサーレターLIVEのまとめ記事は、<<<こちら>>>。
オープニングはコアメンバー勢揃い
お祝いの花に囲まれるなか、オープニングには、これまでのプロデューサーレターLIVEなどで紹介されている開発のコアメンバーがところ狭しとそろい踏み。それぞれの個性がにじみ出た挨拶となった。
並行して、周囲に促されて高井氏が14時間耐久アートマチャレンジを北部森林からスタート。高井氏は「たったの14時間だから(アートマを)全部集めましょう! お任せください!」と決意を表明。アートマ集めとは、F.A.T.E.と呼ばれるフィールドで突発的に発生するイベントバトルに参加し、最高評価を得たときに、手に入る可能性があるアイテムの収集を指す。ひとりで戦うより、パーティを組んで戦ったほうが最高評価を得やすいという法則はあるものの、後は明らかにされていないことだらけ。ほぼ運頼みのチャレンジだ。
目標は12エリアで各1個のアートマを手に入れること。ひとつ入手するたびにひとつ、そのアートマの名前にちなんだ何かが高井氏にプレゼントされる趣向だ。それまで高井氏は飲まず食わずを強いられる。
一方のメイン放送では、ゲストを呼んであれこれ話を聞く“直樹の部屋”がスタート。ここにスクウェア・エニックス松田洋祐社長が登場。吉田氏が体制を引き継いだ当時の思い出話などを語った。先日の中国のイベントの話から、話題は今後の世界展開に移り、ロシアや新たな地域の名前と「世界制覇」という言葉が飛び出した。予算ももちろん出すという言質を取った吉田氏は、「ドバイでファンフェスやりたいなあ」と迫るが、松田氏は、銃術士の実装はまだなのかと質問で切り返す。現場にいた河本氏が「すいません」と詫びるひと幕も。
そのころ高井氏が集めたアートマはというと、まだ0個。そもそもF.A.T.E.で最高評価が取れていない。ここでパーティを組んでいいという許可が下り、その直後の12時50分前後、人馬のアートマを手に入れた。
ようやくのドロップに「パッチ2.4で実装予定の“勝ちどき”で祝っちゃう?」と浮かれる高井氏に、ご褒美が届く。これが人馬にちなんだロデオマシーン。「……水が飲みたい」とつぶやく高井氏は、続いて高地ラノシアで宝瓶のアートマを目指すことになった。
プロデューサーレターLIVEの休憩寸前に……
続いて第17回プロデューサーレターLIVEが始まった。内容については、<<<こちら>>>の記事を参照のこと。
その前半終了の瞬間、14時20分前後に宝瓶のアートマがドロップ。ご褒美は推測どおり飲み物だったが、水、コーヒー、青汁、激辛ドリンクの四択から視聴者にアンケートで中身を決めてもらうことに。結果、0.2%の僅差で激辛ドリンクを抑え、高井氏はようやく水を手に入れた。
3個目のドロップは西ラノシアで15時10分前後。巨蟹のアートマだ。「ロデオマシーンには乗り続けるべきか?」のアンケートに、視聴者は66.3%で「はい」の声。
エオルゼアカフェの紹介~直樹の部屋 part 2
メイン放送は、宣伝チームによるエオルゼアカフェの紹介に移行。現状は、混雑のあまり入店が抽選になっているお詫びをしたのち、9月の中旬には予約できるようになる予定と語った。
直樹の部屋 part 2には、和田洋一前社長がゲストとして登場。やはり吉田氏が引き継いだころの話になり、「開示した情報がチームからまったくもれなかったのを見て『新生FFXIV』は成功すると思った」との想いを語った。
真面目な話がメイン放送で続くなか、16時15分ごろに高井氏が4個目にあたる金牛のアートマを東ザナラーンでドロップさせる。ご褒美はステーキ定食だ。
その後、中央森林で延々と処女のアートマを狙う高井氏。だが出ない。入れ替わり立ち代わり、コアメンバーが応援に来る。
“超”超える力は本当にスゴかった!
この前後、さらに裏放送としてバトルチームの猛者たちが、プレイヤーがどうしても超えられないコンテンツをいっしょにクリアするという企画、“超”超える力がスタートしていた。
当初10名の手助けの予定だったが、さすがはバトルチーム。そつなく予定を終え、その後は延長して手伝うこととなった。
続いてスペシャルゲストとして、カヌ・エ・センナやガルーダ役の声優、田中理恵さんがメイン放送に登場。高井氏に差し入れをしたカヌ・エ様だ。この1年ではバハムート邂逅編2の攻略が苦しかったこと、現在は侵攻編4を攻略中であることなどを語った。真剣なプレイヤーであることでも有名な田中さんは、吉田氏に本気の質問をつぎつぎ投げかけた。
Q.ソロ用のインスタンスダンジョンの実装は?
A.お客様の前で言うのは失礼かもしれないが、一定のコストをかけて作ったコンテンツを何人がプレイするかという費用対効果を考えた場合、効率があまりよくない。専用のインスタンスダンジョンを作ることは可能だが、ロールごとに難度を調整するのがとても難しい。かといって、ロールに関係なくクリアできる難度にすると、今度は豪華な報酬が出せなくなる。たとえばヒーラー向けのインスタンスダンジョンを作ることは可能だが、そのコンテンツはヒーラーのみがプレイできる要素になってしまう。逆にアーマリーシステムを活用して、インスタンスダンジョン内で自由にクラスチェンジができる代わりに、難度が高いというコンテンツならば作れる。
Q.忍者が装備する防具は専用のもの? アタッカー系の汎用のもの?
A.メインパラメータが合致する装備は汎用のものでも着られる。ただし、具体的なメインパラメータが何になるのかはまだ秘密。ミラージュプリズムがあるので、それほど多くの専用装備が入るわけではないはず。
Q.ヌシを分解すると得られるアイテムを材料にした装備は、今後も追加される?
A.オシャレ系の装備は順番に開発しているので、今後も公開される。ヌシから取れる素材でしか作り出せない新作オシャレ装備というのは、難度が高すぎたと反省している。オシャレなものは、もっと手に入りやすくしていこうと思う。
Q.ハウジングの個人部屋の訪問設定に、フレンドやフリーカンパニーメンバーに限定して開放できる項目を作ってほしい。
A.対応予定リストには記載されているので、いずれは実現するはず。
Q.ケット・シーやモーグリをフィーチャーした、個人ルームに配置できるアイテムをもっと増やしてほしい。
A.家具はパッチごとに追加することになっているので、好みのタイプのものをたくさんリクエストいただければ、そのぶん実現性が高まる。
Q.ハウジングの中だけで実行できるエモートアクションを追加してほしい。
A.生活系のエモートアクションは随時開発を進めていて、現在のところ“抱き合う”や“ひっぱたく”といったものを作っている。これらはパッチ2.38くらいで実装予定。
Q.個人宅が開放されるまでの救済措置として、宿屋に家具を置いたりチョコボを育成できるようにしてほしい。
A.各都市のチョコボポーターで、チョコボ厩舎の簡易版サービスが受けられるようにする計画がある。ほかのプレイヤーとの交流もMMOの魅力であるので、フリーカンパニーに所属するメリットは少ないながらも残していく。今後はメンバーが力を合わせて何かを成し遂げようという遊びを追加したい。パッチ2.38で個人ハウジングが追加される予定。土地の価格はまだ秘密。
Q.ドランゴン系や鳥系の飛行型マウントの追加は?
A.今後をお楽しみに。“ドラゴンマウント”はあまり連呼しないでいただければ……(笑)。
Q.新たな蛮神は?
A.パッチ2.4でシヴァと戦える。
Q.極ラムウが使用するの範囲技の予兆の色をオレンジや赤に変更してほしい。
A.色も含めて難度を設定しているので、変更する予定はない。誰が何をするのかというコミュニケーションをテーマにしたバトルになっている。
その後、PvPフロントラインを吉田氏といっしょにプレイしたが、ふたりはホルムギャングなどによる集中攻撃に遭い、通常とは違った状況下でのプレイとなった。
ゲーム内では異変が、ゲーム外では異臭が
気付くと高井氏はひとりぼっち。背後では、吉田氏が楽しそうに田中さんとフロントラインをプレイ中。
ほどなく18時45分ごろ、5個目の双魚のアートマが、低地ラノシアでドロップ。立て続けに19時10分ごろ、6個目の白羊のアートマが、中央ラノシアでドロップ。2時間以上出なかった反動か。
つぎは獅子のアートマ。外地ラノシアだ。じつはこのころ、高井氏のキャラクターの周辺では異変が起きていた。ユーザーが白一色で身を固めたルガディンを作成し、ゲーム内から高井氏を応援。このルガディンたちは瞬く間に増殖し、踊っていたり、たたずんでいるだけで何をするでもない。彼らを高井氏は妖精さんと呼び、心の支えにしてアートマ集めは続いていく。
当日もっともこの催しを楽しんでいたと言われたのがじつは前廣氏。前夜に通販で取り寄せたTシャツに、自分でアイロンプリントをしたという数々の作品をご覧あれ。
そのころメインチャンネルは、女性タレントたちが『新生FFXIV』について学んでいく企画や、サンクレット役の声優中村悠一氏が登場し、前廣氏と極タイタン討滅戦に挑むなどの企画が進んでいた。その中村氏の放映中の21時42分ごろ、獅子のアートマをあきらめて南ザナラーンに来ていた高井氏が、天蠍のアートマを手に入れる。これで7個目だ。
食べることをためらう高井氏の背中を押すため、望月氏やコーナーディレクターがいっしょに食べると約束。高井氏はアニー先輩こと宣伝チームの白杉氏を巻き込んで、皆で食べることに。
突然忍者の映像が!
ここで“超”超える力を終えたバトルチームからサプライズ映像が届いた。
テストのモンスター相手に、縦に横に斜めに軽快に切りつける忍者の映像だ。印を結んだエフェクトの後は、遁術か、属性系の技が飛び出し、敵との距離もあっという間に詰める移動位置指定のようなアクションも。パッチ2.4の早い公開が渇望される内容だった。
メイン放送は、続いて“サウンドディレクターが○○に挑戦!”のコーナーへ。白杉氏がアニー先輩として登場。祖堅氏を呼び込み、見せたいものがあると言って、激しくアレンジした“過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~”のPVを流した。
●I BEAT TITAN!!!
映像と曲のシンクロぶりが心地よいこのPVを鑑賞後、流れで祖堅氏が3時間でシリウス大灯台のメインテーマをアレンジすることになり、そのまま別チャンネルに。
ほっこりしたり、爆発を祈ったり
メイン放送は、ここで“もしもし、私○○よ”と名づけられたコーナーに転換。これは事前にプレイヤーに、ゲーム中で経験したエピソードを募集。放送中にskypeを通じてエピソードを語ってもらい、その内容に応じて、吉田氏がステッカー、クリアファイル、Tシャツからひとつをプレゼントとして贈るという企画。
ゲームが本当に楽しいという話、skypeを使ったプレイをきっかけに彼氏ができ、いまは同棲しているという話、イベントで吉田氏と握手をしそびれた話などさまざま。皆一様にゲームを楽しんでいる様子を聞いて、吉田氏はTシャツプレゼントを連発していた。
日付が変わったころアートマ集めのブースが突然盛り上がる。およそ2時間半ぶりの0時10分ごろに、東部森林で8個目になる磨羯のアートマがドロップしたのだ。
と言ったほどなく後の0時45分ごろ、再チャレンジ中だった中央森林で処女のアートマをゲット。高井氏、何か持っている。
ご褒美は、夢乙女という名前の焼酎だ。待望のお酒を口にしようとした瞬間、ここでハプニング。しばらく前から額に貼っていた冷えピタが剥がれ、飲む寸前グラスに落下。ひと口飲んだ高井氏は「……マジックくさい」とひと言。高井氏、何か持っている。
気を取り直してもう1杯注ぎ直し、再度乾杯。
高井氏の快進撃はまだまだ続く。メイン放送でPVコンテストが行われているあいだの1時10分ごろ、西ザナラーンで双子のアートマを、1時20分ごろ、外地ラノシアで獅子のアートマをゲット。ひとつひとつの入手間隔が、30分未満は驚異のスピードだ。
最後は恒例の対談。アートマ企画の行方は……
残り30分のタイミングで、恒例の“ひろゆき×吉P対談”が始まった。プレイヤーでもある“ひろゆき”こと西村博之氏と吉田氏は、ロンチ時のログイン制限の話や若き日の吉田氏が怒りのあまりにボールペンをへし折った話など、あちこちに話題を移す軽妙なトークをくり広げた。
話が盛り上がるなか、時刻は2時、当初の予定だった14時間を突破。会場は拍手に包まれた。高井氏のアートマ集めのチャレンジは、14時間の記録としては11個。だがメインの対談、祖堅氏の楽曲製作、そして一度は終了が宣言されたアートマ集め、これらすべてのコンテンツが続行された。
なかでも驚きだったのは、吉田氏みずからがモーションキャプチャーのモデルとなって、異邦の詩人の動きを収録したというエピソード。プレイヤーに感謝の気持ちをお辞儀のモーションで伝えてほしい、と伝えられた吉田氏は、全身タイツに身を包み、プロデューサー兼ディレクターながら熱演。その模様が放送されたのだ。
さらに続いて流されたビデオでは、吉田氏がI BEAT YOSHIDAと書かれたTシャツで登場。いま話題のアイスバケツチャレンジに挑んだ。これはALSと呼ばれる筋萎縮性側索硬化症の研究支援を目的に、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、100ドルを寄付するリレー運動。氷水をかぶった挑戦者は次に3名の相手に同じチャレンジをリクエストできる。じつは吉田氏がこの指名を、『Warhammer Online』プロデューサー、『Ultima Online』総合プロデューサーなどを歴任している、吉田氏の旧友Jeff Skalski氏から受けており、その模様をビデオに収めていたのだ。
ビデオの後、吉田氏は次の相手に、gamescomの期間にバカンスに行っていたというスクウェア・エニックス・ヨーロッパの社長、そしてなんとゲーム業界の重鎮として浜村通信、さらに隣に座っているひろゆき氏を指名。ひろゆき氏には、その場での挑戦を願い出た。
そしてグランドフィナーレへ
16時間続いた放送の最後の最後は、登場者居並んでの挨拶に。吉田氏をはじめ、皆口々にプレイヤーへの感謝、視聴者への感謝、Twitter特派員の皆さんへの感謝を述べていた。印象深いのは、「パッチ2.4のロゴを作りに自分の机まで戻ったが、アートマが最後のひとつと聞いて堪えきれず放送会場まで戻ってきた」という皆川氏と、望月氏の「僕らは外側を作るけど、ゲームを魅力的にするのは遊んでくださる皆さんなんだとあらためて思い知りました」という発言。妖精さんに助けられ、高井氏がアートマ集めを乗り越えてきた様子をすぐ横で見続けていたから出た言葉だろう。
一方14時間以上モニターを見続けた高井氏は、F.A.T.E.に300回参加し、アートマを11個入手したという結果に。次回の挑戦を問われると「前廣が引き継ぐ」と語っていた。
完成した祖堅氏の曲をバックにこの1年の『新生FFXIV』の歩みをスライドで流しつつエンディングを迎え、放送終了後、ねぎらいの言葉を掛け合いながら、登場者とTwitter特派員で記念撮影をしたのだ。
引き上げ始めるスタッフたちのなかから高井氏をつかまえ、放送前に尋ねたように心持ちを尋ねると「……いい勉強になりました」と高井節を披露。時間は午前4時前。長くも充足感に包まれたイベントは終わった。