本業はカメラマンですが、想いはホンモノ!

 2014年6月26日に発売予定のプレイステーション Vita(以下、PS Vita)用ソフト『ロボティクス・ノーツ エリート』。プレイステーション3とXbox 360でリリースされた『ロボティクス・ノーツ』(以下、『ロボノ』)の物語を再構成し、PS Vitaで描かれる、科学アドベンチャーシリーズの第3弾です。今回、この作品のプレイインプレッションを掲載するに当たり、誰に原稿をお願いするのがいいかを検討に検討を重ねた結果、編集者でもなければ、ライターでもない、本職が“カメラマン”の小森氏にお願いすることにしました。というのも、同氏は『ロボノ』で初めてアドベンチャーゲームに触れ、ガッツリとハマッた結果、『ロボノ』のアニメはBlu-rayを全巻購入し、さらに前作に当たる『シュタインズ・ゲート』もアニメのBlu-rayを全巻揃え、劇場版の公開前にはBlu-rayを3周し、ゲームはもちろんすべてプレイするほど、科学アドベンチャーシリーズにどっぷりとハマッた人だったのです。そんな同氏のレンズに『ロボティクス・ノーツ エリート』がどう写ったのか? ぜひ、チェックしてください。

カメラマン・小森、たぎる!

『ロボティクス・ノーツ エリート』を『ロボノ』大好きカメラマンがプレイリポート!_04

 KADOKAWA エンターブレインブランドカンパニーでカメラマンをやっています、小森です。好きなゲームは『フロントミッション』、『エースコンバット』、『A列車でいこう』です。日常がゲーム関係の取材と写真撮影だらけなので、自分のプライベートな時間ぐらいは、それから逃れたいと思ってしまうため、ふだんはほとんどゲームをプレイしないです。そんな中、最近唯一クリアーしたタイトルが、『ロボノ』でした。

 正直、アドベンチャーゲームってプレイしたことがなかったので、ふつうにやっていれば終わると思っていたんです。しかし、甘かった……。どうしても“あやのん(※1)とキルバラ(※2)→あやのん(※1)の水着を眺める→榊原さんの歌(※3)」で終わってしまう(職業柄と年齢からか、中の人の名前でキャラを覚えることが多いんです。関係者の皆さんすみません……)。なんでだ! “君島レポート”(※4)もちゃんと探しているのに、なんでや! あやのん(※1)とゲーム(※2)も海岸デートをするのも楽しいけど、なんでやねん!! これを5回ぐらいくり返したころに、「これが“フラグが立っていない”ってことなのか!! うおっ」と気付いて、何が分岐点なのか考察開始。要因は“ツイぽ”(※5)の返信しかない!!(それしか選択するものがないんですけどね)ということに行き着きました。アドベンチャーゲーム自体、初プレイだったので、攻略法もよくわからないままにプレイしていたのですが、基本中の基本である“フラグ立て”に気づいてからは、右往左往しながらも、各キャラクターのルートをつぎつぎに攻略。もちろん、トゥルーエンドまでしっかりプレイして大満足。ロボットアニメの王道のようなラストエピソードには、すっかりやられてしまいました。

※1:声優の山本彩乃さん。ここでは彼女の演じる天王寺綯のことを指す。
※2:作中で流行しているゲーム“ガンヴァレル キルバラッドON-LINE”のこと。
※3:声優、アーティストとして活躍する榊原ゆいさん。ここでは彼女が演じるFESのバンド、ファンタズムが歌うエンディングテーマ『鋼の鎧纏う、三百の大司祭』を指す。
※4:ゲーム中、重要な役割を果たすARアノテーション(現実の映像や写真に合成提示される電子情報)。複数存在し、物語の流れの中で探すことになる。
※5:作中のデバイスでチェックできる、短文投稿サイト。つぶやきに対して、どう返信するかで物語分岐のフラグに影響を与える。

 クリアー後、しばらくは飲料水の“スコール”を見つけて喜んだり、ARアプリをダウンロードして写真を撮ってみたり。ファミ通.comの編集者に、Zweiさんのライブ取材に行こうと提案してみたり、取材の移動中のクルマで『拡張プレイス』と『空の下の相関図』を無限ループしたりと、あの夏は『ロボノ』一色でした。あのころ、取材がいっしょだった皆さん、すみませんでした。……あれから2年。あの夏の洗礼を浴びた編集者から、「『ロボティクス・ノーツ エリート』のプレイインプレッション記事を書いてみませんか?」という提案を持ちかけられたのです。最初は戸惑ったものの、「発売前にゲームが遊べますよ?」というひと言に、ふたつ返事で承諾。こうして原稿を書くことになったわけです。それでは前置きが長くなりましたが、ここからは2年ぶりにプレイしてみて“たぎった”ことを書いていきたいと思います。

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▲当時、小森氏から送られてきた画像の一部。ARアプリで遊びまくっていたようです。ちなみに、南條愛乃さんを取材した際にお願いして撮らせてもらった写真も! 完全に趣味じゃねーか!

※南條愛乃さん取材記事はこちら

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■「あの曲にたぎる!」

 まずは、新オープニング曲『約束のオーグメント』を堪能しなければと、画面を凝視。Zweiさん相変わらずカッコいい! ここにもテレビアニメの映像が効果的に使われていて、ロボットアニメ感とネタバレ感がアップしています。必見。しばらくオープニングの余韻に浸っていると、驚きの展開が! なんと、今度はプレイステーション3&Xbox 360版のオープニング『拡張プレイス』が始まったんです! 思わず「たぎる!」と心の中で叫んでしまった。ちなみに、冒頭で描かれる、学校のみんなが旗を振っているところが大好きなんです。

■「キャラクターの表情と動きにたぎる!」

 あき穂ちゃんの表情、動きが増えました。だいたい最初は、怒ってばかりのあき穂ちゃん。表情やモーションが増えたことで、その感情がより伝わりやすくなっています。もちろん、プレイステーション3版やXbox 360版に比べれば映像のグラフィックは劣るものの、それを補って余りあるほどに表情豊かになっているため、作品への感情移入度はPS Vita版のほうが高く感じます。ほかのキャラクターにも表情などが追加されているのですが、それぞれ対照的な表情が際立っていました。各キャラクターの心情描写も増えているため、キャラクターの表情と合わさることで、感情移入がしやすくなっています。

■「話の展開が早くてたぎる!」

 じつはプレイステーション3版を遊んだときには、“ROBO-ONE”(二足歩行ロボット競技の全国大会)に行く前に一度挫折しました。「話がなかなか進まないなー。オタクが世界を救うっていう展開はまだ先かなー?」と思いながらプレイしていたのですが、序盤の展開が長くてけっこう辛く、そうこうしているうちにロンドンオリンピックが始まり、1ヵ月ほど放置していたんです。オリンピックが終わり、すっかり夜型になった生活リズムにちょうどハマったのが『ロボノ』でした(週刊誌編集者ではないので、基本夜は寝ています)。今回のPS Vita版は、全体的にストーリーが凝縮されている印象。とくに展開が早くなっていると感じたのが、“ROBO-ONE”までのお話。自分と同様にこのあたりまでで挫折してしまった人はけっこういると思うのですが、そういった人たちに、「今回はサクサク進みますよ」ってことは伝えたいですね。

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▲左がプレイステーション3版で、右がPS Vita版。
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▲左がプレイステーション3版で、右がPS Vita版。
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▲左がプレイステーション3版で、右がPS Vita版。

■「ポケコンを操作している感覚にたぎる!」

 PS Vitaになったことで、インターフェイスが変わり、タッチパネルでの操作とモーションセンサーを使って“居ル夫。”(※6)の画面が動かせるようになりました。『ロボノ』のゲームとアニメの違いって、視点が主人公視点なのか、俯瞰視点なのかだと思うんですが、タッチパネルで“居ル夫。”や“ツイぽ”を起動して、ふだんスマホで操作するような感じでメールをチェックしたり、MAPを見たりできるのは、まさにゲームならでは。PS Vitaをかざして“君島レポート”を探したり、愛理たんを捜したり、組み立て場を見回したときに、“ARガンつく2”くんがいたときにはちょっと感動するほどでした。ポケコンを操作している自分と、海翔くんがシンクロしているように感じるので、主人公・海翔視点で楽しめるPS Vita版は没入感が違います。テレビアニメしか観ていない人には、そのあたりを体験してもらいたいです。ポケコンは、キルバラや猫耳ARで遊ぶだけのものじゃないんです! でも、手がつかれます……。

※6:海翔たちの持つデバイス“ポケコン”で操作できるARアプリ。

 改めて、『ロボティクス・ノーツ』をプレイしてみて、再確認しました。自分は、このお話が好きなんだと。新機能がスゴいとかいろいろと感想を述べさせていただきましたが、けっきょくイチバン“たぎる”のは “カッコいいオトナ”が、たくさん出てくるところですね。たとえるなら、らんばらるさん、どずるさん、まちるだ&うっでぃーさん、すれっがーさん、しーまさま、がとーさま、そして赤い“あのひと”のようなものです。本作では、若者たちを見守る“渋いオトナ”がたくさん出てきます。ロボクリニックの爺さん、漁師の親父、フラウの母ちゃん、豆知識教師、瑞榎さん、教頭せんせーい、そして澤田きゅん! みんなカッコよかった!! そして、あき穂の演説、改心(?)した海翔の熱血ぶり、加えてテレビアニメからのムービー追加で、物語の展開はより白熱しています。ラスト2章は、ハンカチなしには無理ですよ。……というか無理でした。この記事を読んでいる人の中には、「テレビアニメをもう観たからゲームをやらなくてもいいや」って思っている人もいるかと思います。でも、ゲームにはアニメの22話では収まりきらない何かがあるんです。ゲームだから味わえるシンクロ感もあります。

 というわけで、長々と書いてきましたが、巨大ロボットはロマンなんです。プレイすればわかります。ぜひ、ゲームで“彼らの夏”を体験してみてください。あー、種子島に取材に行きたいなー。

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■ロボティクス・ノーツ エリート
機種:プレイステーション Vita
メーカー:5pb.
発売日:2014年6月26日発売予定
価格:6800円[税抜](7344円[税込])/限定版:8800円[税抜](9504円[税込])