『カオスチャイルド』に続き、Xbox Oneに大作アドベンチャーが登場する。5pb.の浅田誠氏が手がけるXbox One用タイトルは、異色とも言える2本のアドベンチャー。やや意外とも思える両者の組み合わせやXbox Oneについて、浅田誠氏本人に聞いた。

●“Xbox One×浅田P”プロジェクト始動!

 ケイブ時代、Xbox 360でさまざまなタイトルを手がけてきた浅田誠氏。Xbox Oneで開発を進めているタイトルは、異色のアドベンチャータイトルだった。1本は、故・菅野ひろゆき氏の“未完のアドベンチャー”『ミステリートF』! そしてもう1本は、人気テレビアニメ『サイコパス』のゲーム化。やや意外とも思える両者の組み合わせやXbox Oneについて、浅田誠氏本人に聞いた。

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MAGES. ゲーム事業部第1制作部 部長/Div.8 プロデューサー
浅田誠氏

--以前、ファミ通.comでは、ケイブ退社からMAGES.入社までのいきさつを語っていただいたことがありますが、まずは入社後から現在まで、どのような仕事をしてきたかを教えてください。
浅田誠氏(以下、浅田) 2013年7月にMAGES.に入社し、8つ目の開発室ということで“Division8”を立ち上げました。そのときには担当するタイトルも決まっていて、それが今回発表した『ミステリートF』です。自分は菅野(ひろゆき)さんの作品が大好きで、社内で「『ミステリート』という作品があるけど、どうか?」と聞かれた際に、「ぜひ、やらせてください」と手を挙げ、担当することになりました。
--では、浅田さんが入社する前から開発プロジェクトが動いていたと?
浅田 いや、動いてはいなかったんです。(開発元の)アーベルさんからMAGES.にお話しをいただいていたのですが、誰がやるのかで止まっていたんですね。そのタイミングと自分の入社が重なって、担当することになったわけです。入社初日から、すでにプロジェクトがスタートしたと(笑)。
--ケイブさんを退社して、土日休んでMAGES.に出社だったとか(笑)。
浅田 そうです(笑)。なんだかんだと、その後も自分が担当するプロジェクトが増えていき、いまは片手以上のプロジェクトを進めています。これまで、Xbox Oneで作っていますということしか言えなかったのですが、これからやっといろいろ発表できる時期に入りました。これまで温めてきたプロジェクトを、今年から来年、具現化する形で皆さんにお届けすることができると思います。
--「Xbox Oneで作っていた」というのが『ミステリートF』?
浅田 そうですね。それ以外にもいろいろと考えてはいますが、適宜お知らせできるようになればと思っています。タイトルは『ミステリートF 探偵たちのカーテンコール』です。
--そのXbox Oneの第一印象はいかがでしたか?
浅田 テカっているな~、と(笑)。悪い意味じゃなくて、形状もこれまでと全然違うじゃないですか。まずは、どうしてこうなったのだろうと思いました。海外も含め、発表時の盛り上がりはそれほどでもない気がしました。「やっぱり出るよね」という感じですか。でも、発売されると盛り上がりましたね。
--最初はどういった作業からだったのですか?
浅田 入社した直後は、まだ開発環境も整っていなかったので、まずはそれらを整備するところから始めました。やはり新ハードですから、これまでとは全然違うと感じる部分もたくさんあったので、最初は戸惑いました。しかし発表した2タイトルは、順調に実機で動いています。開発のノウハウがやっとでき始めたかなという段階ですね。

●“菅野ひろゆき”ファンとして『ミステリート』を完結させる

--その『ミステリートF』ですが、最初からXbox Oneで出そうと?
浅田 自分が担当する前は、まだハードは決まっていませんでした。ただ、入社してすぐマイクロソフトさんにお会いし、その時に今後の展望など諸々の打ち合わせする機会があり、Xbox Oneで進めようといった形になりました。
--今回の発表には驚いた方も多いでしょうね。
浅田 そうですね。自分もいちファンとして、どちらかというと待ちたい側だったんですよ。プレイヤーでいたかった反面、いまはプロデューサーとして、届ける側になりました。そういうギャップは少し感じますね。
 ただ引き受けるだけなら簡単かもしれませんが、「いま『ミステリート』はどんな状況なのか」とか、「菅野さんが生前どのくらいのものを残されているのか」といったことをアーベルさんに聞かせていただき、このくらいまでのものがあるなら、アーベルさんに開発をご協力いただけるのであれば、ある程度は菅野さんが目指したものを再現できるのでは、と思いました。プロットも7割くらいのものが残っていました。でもプロットが7割残っていても、もちろん足りない部分がありますから、シナリオは菅野さんが作ったアーベルのスタッフにおまかせしています。
--今回の『ミステリートF』は、完結編に当たるわけですね?
浅田 そうです。じつは、1作目も収録しているので、2タイトルがプレイできます。やはり10年前のゲームですから、いきなり『2』と言われても忘れている人もいるでしょうし。
--『1』というのは『ミステリート ~八十神かおるの挑戦!~』の移植。『2』というのが完全新作で、未完だった『ミステリート2 ~フェアウェル・エンカウンター~』のことですよね?
浅田 そうです。『1』も変更点がありまして、メインキャラクターの声優を一部変更しています。本作の主人公“八十神かおる”役の緒方恵美さんと、関連シリーズの『不確定世界の探偵紳士』の主人公で、『1』にも出ている“悪行双麻”役の子安武人さん以外は一新しました。
 発売に向けてですが、まず、4月に立ち上げた謎のプロジェクトサイトが、正式にDiv8のサイトとして立ち上がり、その中で『ミステリートF』の公式サイトも公開します。それから、Xbox One向けにリファインした『1』の第1話を、体験版として、Android/iPhoneで配信する予定があるんですよ。『1』の声優陣もけっこう変更しているので、それも楽しんでいただければ。本当は全キャラクターの声が聞けるまで入れたいんですけど、そうするとかなり長くなっちゃうので(笑)。恐らく第1話になると思います。『1』のほうはアフレコも終わっていて、移植作業も完了しています。
 『2』はもうすぐシナリオが完成するので、それからアフレコを開始……という感じですね。
--これから、ご自身の手で“完結”させるわけですが、どんな心境ですか?
浅田 いちファンとしてプレイしたかったという思いはありますが、逆に自分が担当したからこそ“完結”させられるのでは、という思いもありますね。

▲八十神かおる(CV:緒方恵美
▲悪行双麻(CV:子安武人)
▲七尾芹菜(CV:能登麻美子)
▲南条深雪(CV:三石琴乃)
▲氷川マイ(CV:花澤香菜)
▲舞ノ小路水陰(CV:小倉唯)
▲麻生優希(CV:平野綾)
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●Xbox Oneでしか表現できない『サイコパス』ワールドを

--『サイコパス』については、どういった経緯で作ることになったのですか?
浅田 『サイコパス』は、劇場版やテレビアニメ第2期の制作が決まり、それらを盛り上げるためにメディアミックスでゲームも出したいと検討されていて、MAGES.は『ロボティクス・ノーツ』のテレビアニメでフジテレビさんとごいっしょさせていただいた経験から、お話をいただきました。それは自分が入社する少し前のお話だったのですが、『サイコパス』という作品や世界観に興味があって、テレビアニメを見直すと「これはおもしろいことができそうだな」と思い、「自分が担当します」と名乗り出ました。入社してすぐにフジテレビさんとお話をし、その際に「どのハードで発売するか」という話もしました。自分としては『サイコパス』を制作するにあたり、Xbox SmartGlassとKinectを用いたゲームを作ってみたいと思っていて、そのアイデアをフジテレビのプロデューサーさんに伝えたところ、熱意が届いて「Xbox Oneでやりましょう」と言っていただきました。
--やってみたいアイデアとXbox Oneが合致したわけですね。
浅田 そうですね。以前作った『インスタントブレイン』(2011年11月にケイブから発売されたXbox 360用アドベンチャーソフト)では、Kinectで身振り手振りを使ってゲームを進められたのですが、今回はそういったものではありません。Kinectが人間の自然な動きにも反応するようになっているので、たとえば、ユーザーが休んでいると認識すれば「どうして休んでいるの!」とキャラクターが突っ込んだり、ゲーム側がプレイヤーの“何か”に反応するようにしたいんですよ。「え、ここでどうしてそんな反応があるの?」みたいな。
--Xbox SmartGlassは、どんな使いかたを?
浅田 ゲーム本編とリンクさせて、Xbox SmartGlass側でも何かが動いているとか……。なくても遊べますし、使うと家庭用ゲーム機の新しい可能性を感じてもらえるのではないかと思いますね。
--ゲームのストーリーはどういったものになるのですか?
浅田 今回は、テレビアニメ版の第1話~10話くらいまでの時系列を描きます。もちろん、ただアニメを追うわけではなく、オリジナルのストーリーが展開します。プレイヤーキャラはオリジナルで、しかもふたりから選択します。主人公の周りには、あの刑事課一係のおなじみのメンバーが登場します。現在はプロットが上がって、シナリオに取りかかる段階ですね。
--なるほど。虚淵玄さんは関わっているのですか?
浅田 本作には監修として入っていただいています。シナリオは、ニトロプラスさんが担当する形ですね。まさに『サイコパス』チームで作っていただいています。
--しかし、いまプロットということは……。
浅田 今回はシナリオにかなり時間を割いていますね。仕様部分の組み込み作業は順調に進んでいますので、いまのところスケジュール通りに進んでいます。
--発表以降、どんな予定ですか?
浅田 今後は、まず東京ゲームショウで皆さんにお見せできるかと思っています。それ以外にも、ストーリーやビジュアルイメージも随時公開したいですね。7月からテレビアニメ『サイコパス新編集版』が始まり、10月に『サイコパス2』、そして冬に『劇場版サイコパス』と続いていきます。その流れにうまく乗って、発売につなげていきたいと思います。

--『ミステリートF』も『サイコパス』も、クセがあるというか、一筋縄ではいかない印象があります。
浅田 そうですね。MAGES.がいままで発売してきたアドベンチャーゲームとはかなり違うと思います。
--どちらも、ある意味熱狂的な人気のあるタイトルですが、プレッシャーは?
浅田 まず、それぞれの“世界”を壊してはいけないという思いはありますね。また、どちらも熱心なファンがついている作品ですから、担当する人がタイトルを好きじゃないとダメですよね。そういう意味では、自分はどちらも好きなので問題ないです(笑)。とくに『ミステリート』は自分の大好きな作品だったので、自分がプレイヤーとして待っていたものを作るというプレッシャーはありますが、うれしい気持ちももちろんあります。まだ言えないんですが、いろいろなメディアさんにご協力いただいて立ち上げるタイトルが、来年発表を予定しています。これもかなりプレッシャーを感じるタイトルなので……がんばっていくしかないですね(笑)。
--今回は2本ともアドベンチャーゲームの発表となりましたが、今後作ってみたいゲームはありますか?
浅田 Xbox Oneで言うと、アプリが使えることで画面を分割して使えたり、そういった機能を活かした遊びを作ってみたいですね。『サイコパス』のXbox SmartGlassのように。
--最近のゲーム業界の印象はいかがですか?
浅田 ユーザーが、スマートフォンに移って……というより、スマートフォンがものすごく身近なものになり、そのなかでゲームもできるようになったという認識です。今後は、家庭用ゲーム機でしか味わえない楽しさのようなものを追求していかなければいけないですね。今回の『サイコパス』のように、KinectとXbox SmartGlassを使った遊びかたは家庭用ゲーム機でしかできないことじゃないかな、と思っています。ゲームで指示されて「何かをやる」ではなくて、「自分が何かやったことで、ゲーム中の何かが反応する」と驚きがあるじゃないですか。そうした使いかたをしてみたいと思いますね。無理に機能を使うのではなく、Kinectのほうが行動に反応したんだよね、という自然な流れを表現したいな、と。
--では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。
浅田 やっと皆さんに発表することができました。今後2年くらいはタイトルラッシュになると思いますけど(笑)。ここまでの約9ヵ月、仕込めるだけのことを仕込んだので、これからは発表、そしてソフトの発売というゴールに向かって走っていきます。いままでの自分からは全然想像つかないようなタイトルも出てくると思いますので、ぜひ楽しみに待っていただければと思います。Xbox One、買ってね!

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ミステリートF 探偵たちのカーテンコール
メーカー 5pb.
対応機種 XOneXbox One
発売日 未定
価格 未定
ジャンル アドベンチャー
備考 制作総指揮:浅田誠、企画・原案・シナリオ構成:菅野ひろゆき、シナリオ:Abel、キャラクターデザイン:七瀬葵


サイコパス
メーカー 5pb.
対応機種 XOneXbox One
発売日 未定
価格 未定
ジャンル アドベンチャー
備考 Kinect、SmartGlass対応