『穢翼のユースティア』がプレイステーション Vitaでリリース決定――イベントCGやキャラクターをまとめて公開

PCで人気を博したアドベンチャーゲーム『穢翼(あいよく)のユースティア』がプレイステーション Vitaでリリースされることが決定した。

●プレイステーション Vitaに最適化されて登場

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 PCで人気を博したアドベンチャーゲーム『穢翼(あいよく)のユースティア』がプレイステーション Vitaでリリースされることが決定した。

 『穢翼のユースティア』は、絶大な人気を誇るPC美少女ゲームブランド・オーガストから2011年4月に発売された選択分岐アドベンチャーゲーム。退廃的な世界設定をベースに、シリアスかつハードなストーリーを盛り込んだオーガスト渾身の意欲作だ。物語は、“牢獄” と呼ばれる隔離地域で殺しを生業としていた主人公が、背中に羽が生える謎の病気にかかった少女と出会うことから始まる。

■プレイステーション Vita版の特徴
・タッチスクリーン操作などプレイステーション Vitaならではの独自機能を搭載


■物語

悲劇は往々にして不条理なものだが、これほど不条理という形容がしっくりくる悲劇もなかった。

その日、この都市の一角が多くの人命とともに大地へと崩落した。
性別、年齢、人間性、地位、経済力……
犠牲者に一切の区別はなく、ただそこにいたという一事だけが、彼らの命を奪った。
なぜ死なねばならなかったのか。
無数の死に何の意味があったのか。
答えはなく、残された人々に与えられたのは、輪郭のない茫洋たる喪失感だけだった。
後に<大崩落>“グラン・フォルテ”と呼ばれる悲劇だ。
あれからずっと、この都市“ノーヴァス・アイテル”には不条理の雨が降り烟っている。
上層から下層へと、都市を濡らした水は低きへ流れ、やがて牢獄に聚まり澱む。
嵩を増す汚水を取り除く術もないまま、囚人たちはただ喘ぐ。

いつの日か、この都市に陽が差すときが来るのだろうか。


■はじまり

遥か昔のこと。
世界は、神の御遣いである天使によって創造されたという。
祈りの言葉を持つ唯一の生物「人類」は、天使の力を借り、大いなる進歩を遂げた。

だが、豊かさに満ちた時の中で、人々は祈りを忘れてしまう。

最初の悲劇は、約500年前。
人類の傲慢さに激怒した神は、天使を世界から引き上げさせた。
秩序を失った大地は、瞬く間に混沌の濁流に飲み込まれていく。
無数の都市が崩壊していく中、世界でただひとり
祈りを忘れていなかった聖女が、神に許しを請うたという。
神は聖女の祈りを聞き入れた。
最後に残った都市を空に浮かせ、人類を滅亡から救う。
それが、この都市。
浮遊する人類最後の都市、ノーヴァス・アイテルである。

以来、聖女は贖罪の祈りを代々引き継ぐことで巨大な都市を空に留めてきた。
平穏な時代が続き、かつての繁栄には及ばぬものの、都市は漸進的に発展する。
しかし、聖女の代を重ねること二十と八。
再び悲劇が起こる。
突如として、都市の一角が浮力を失ったのだ。
崩落する岩盤とともに、数千とも言われる人々が大地の混沌へと吸いこまれていった。
<大崩落>“グラン・フォルテ”として記憶される未曾有の大災害がこれである。

大崩落は都市の姿も一変させる。
もともと、この都市には、貴族が住む上層と一般民が住む下層というふたつのエリアしかなかった。

崩落直後の牢獄は、控えめに見ても地獄だった。
路地は遺体と負傷者で溢れ、物資の不足はさらなる死者を生む。
何とか秩序を取り戻すまでの数年で、牢獄はまるで新しい社会となっていた。
牢獄の隅々にまで貧しさが充満し、わずかな金のために人命が失われる。
盗みや暴力はもはや話のネタにもならない。
苦痛が苦痛を呼び、悲劇が悲劇を呼ぶ。
積もる絶望の澱は人々から光を奪い、多くの者は沈むに身を任す。
だが、誰が彼らを責められようか。
それこそが、牢獄の日常=“生きかた”なのだから。


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■ティア(ユースティア・アストレア)
血液型:A
身長:149.6センチ
体重:39.1キロ
牢獄に運ばれる際に謎の怪物に襲われ、倒れていたところを、カイムによって救われた少女。その後、カイムに“アストレア”という姓をもらい、表向きは彼の妹としていっしょに暮らすようになる。背中に羽が生える羽化病に冒されているが、ほかの羽化病患者とは違った反応を見せることも多い。かつては上層にある貴族の家で下級の召使いとして暮らしていたため、料理や掃除など家事全般は得意。そのせいか、基本的に明るくほがらかな性格だが、ときに「自分には価値がない」と言うことも。

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■エリス(エリス・フローラリア)
血液型:B
身長:158.8センチ
体重:46.3キロ
牢獄の歓楽街で働いているところを、カイムに引き取られた女性。現在は医師として活動し、周囲からの信頼はとても厚い。しかしカイムのこと以外に執着しないドライな性格で、基本的に面倒くさがり。家事も得意ではなく、生活能力はかなり低い。その分カイムへの執着は異常なまでに強く、彼の周辺の女性に毒を吐き、対立することもしばしば。

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■聖女イレーヌ
血液型:A
身長:155.3センチ
体重:42.7キロ
第29代の聖女。歴代の聖女と同じく、祈ることでノーヴァス・アイテルを空に留めている。上層に位置する、聖堂の奥にある聖域で毎日祈りを捧げており、民衆の前に姿を現すことは少ないが、盲目の聖女と呼ばれて人気は高い。非常に信仰心が強く、天使を冒涜する者にはきびしく、ときにはシニカルに接する。またカイムも驚くほど負けん気が強い。

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■リシア(リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ)
血液型:AB
身長:146.0センチ
体重:37.7キロ
ノーヴァス・アイテルを治める王家の第一王女。現国王が病に臥せっているため、本来なら唯一の血縁者として代理で政務を行わなければならない立場である。しかしその多くを執政公ギルバルトに任せ、自分は世俗への興味を満たすため、召使いの真似や料理などをして城内の人々を困らせている。性格は明瞭かつ快活。王女として大切に育てられたため自然と気位は高い。

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■フィオネ(フィオネ・シルヴァリア)
血液型:O
身長:162.6センチ
体重:48.9キロ
羽化病が発症した人間=羽つきを治癒院へと連れて行く組織・羽狩りの中で、牢獄地域を担当する部隊の隊長を務める。まだ若いが、立場にふさわしい統率力と剣の腕前を持つ。ただし正義感が強過ぎるあまり、自分たちの活動の意義を理解しない牢獄民や、職務に不真面目な一部の部下に苛立ちを感じている。潔癖な性格のため、自由な気風のカイムたちとは衝突することも。

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■カイム (カイム・アストレア)
牢獄の何でも屋として働く、本編の主人公。幼少時には下層に住んでいたが、大崩落によって家族を失う。そして牢獄へ売られ下僕として酷使されていたところを、彼の運動神経を見込んだ不蝕金鎖の先代頭に救われた。その後は暗殺者として生きていたが、あるときから殺しの仕事は辞め、おもにリリウムの用心棒をしている。大崩落以降の数奇な運命によって、性格はシニカルで冷静沈着。他人と積極的に関わろうとはしないが、ジークやメルトなど、昔から付き合いのある人々には心を許して交流している。

■ジーク(ジークフリード・グラード)
牢獄を影から支配する不蝕金鎖の頭。組織を立ち上げた先代の息子で、カイムとはその先代の下でともに働いた昔なじみ。カイムが部外者となった現在も信頼を置き、重要な仕事を依頼する。ふだんは組織の頭として堂々としているが、軽妙な振る舞いを見せることもある。

■メルト(メルト・ログティエ)
酒場・ヴィノレタの店主。不蝕金鎖の先代頭に請われて以来、酒場をひとりで切り盛りしている。酒場の店主らしくいつも明るく、荒くれ者を恐れない度胸もある。

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■クローディア
不蝕金鎖が運営するリリウムの稼ぎ頭。ほかの娘たちを妹のように面倒を見ており、周囲の人間からとても信頼されている。ふだんは牢獄では珍しい優雅な言葉遣いをしているが、彼女の口からその過去が語られることはない。

■リサ
リリウムで働く娘で、クローディアやアイリスと行動をともにすることが多い。ただしほかのふたりに比べると、仕事の成績は芳しくない。牢獄での辛さを忘れるためか、とにかくお気楽で明るく振る舞っており、カイムにもしばしば呆れられる。

■アイリス
クローディアらと同じく、リリウムで働く娘。愛想が悪く、口を開けば毒を吐いてばかりだが、そんなところが好きな客も意外と多く人気は高い。いつも片手に人形を持っている。

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■ルキウス(ルキウス・ディス・ミレイユ)
改革派の中でも特に有力な若い貴族。民衆のことを考えた施策や、防疫局局長としての仕事を進め、周辺の貴族からの信望が厚いだけでなく、民衆からの評判も高い。彼の生家であるミレイユ家は先代を始め、多くの執政公を輩出してきた名家で、ルキウスも政治家となるための英才教育を受けてきた。そのためか温厚で上下関係にも寛大なように見えるが、つねに思慮深く、本音を悟らせない。また牢獄のことにも通じており、最大勢力であるジーク率いる不蝕金鎖に、なにかと協力をする。

■システィナ(システィナ・アイル)
ルキウスの副官として、いつも付き従っている女性。ルキウスへの忠誠心は高く、彼にとって利益があるかどうかで物事の判断をする。性格はとても事務的で、感情を出すことはほとんどない。氷のように冷たい雰囲気をまとっており、気に入らない相手とは世間話もしないほど。その一方でカイムが感心するほどの剣技を持っている。彼女の出自や、ルキウスとの付き合いの経緯を知るものはいないが、話しかたから漂う気品と物腰から、彼と同じく上層の貴族出身ではないかと噂されている。

■ラング(ラング・スクロープ)
牢獄担当の羽狩り部隊の一員で、副隊長を務める。羽つきを害悪と考えており、多少の無理や非道を通してでも職務を忠実にこなす。同じく羽狩りとして優秀な隊長のフィオネには付き従うが、つねに香水をつける気障な皮肉屋のためか、部下からの信頼は薄い。

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■ギルバルト(ギルバルト・ディス・バルシュタイン)
王の執務を支える役職・執政に就き、貴族たちからは執政公と呼ばれている。病に伏せたゲオルグに代わり、経験の浅いリシアを支えながら、実質的に国政を取り仕切っている。また、羽狩りが保護した羽つきを連れていく施設である、治癒院の監督でもある。

■ヴァリアス(ヴァリアス・メイスナー)
近衛兵を統率し、王城内の警備を行なっている近衛兵騎士団長。若いころに王に見出されて騎士となった。国に対する忠誠心はとても厚く、真面目な堅物で、剣技に関しては強者揃いの近衛兵の中でも随一の腕前。現王が病に伏してからは、王の快復を祈りながら城内の秩序維持に力を尽くしている。

■ラヴィリア
聖女イレーヌの世話役として、聖域で暮らしている女性。イレーヌ(コレット)とは彼女が聖女の地位に就く前からの知り合いで、現在は都市を支える彼女を信じ、食事の支度や儀式の手伝いなど、あらゆる面で支えている。ほかの聖職者と聖女の連絡役も務めるが、押しが弱いため板挟み状態になることも。献身的な性格で、カイムやティアに対しても懇切丁寧に接する。

■ナダル (ナダル・アトレイド)
聖女を中心とした聖教会のシステムの中で、すべての業務を仕切っている神官の長。教会内部の統率だけでなく、王家や貴族などとの折衝も行なっており、その政治的手腕は高い。しかし聖教会の維持を重視するあまり、聖女と対立をすることもしばしば。

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▲カイムは惨劇の現場で、大崩落のときに街を覆った“トラジェディア”(終わりの夕焼け)と同じ輝きを発する少女を発見する。光はやがて弱まり、少女の小さな羽となった。

▲カイムの部屋にやってきて、同じ部屋で寝たいとお願いするティア。カイムに聞き入れてもらい、同じベッドに入った彼女は、牢獄での話をするうち、安心して眠りにつくのだった。「もう、目をつぶっても天使さんの顔は見えません」。

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▲カイムは路地裏でティアを見つけるが、彼女は致命傷を負っていた。だが、カイムの腕の中でティアの身体が光り始め……。それは事件の夜に見た光と同じものだった。「……イム、さ……ん……」。

▲崩落現場で夜を過ごすカイムとティア。ふたりで取り留めのない話をするうちに、ティアはカイムが自分のことをどう思っているのかを確かめようとする。「わ、わたしも、カイムさんといると、何だか安心します」。

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▲エリスとの関係を改善するためいっしょに住むことを決めたカイムは、ティアを酒場ヴィノレタに預ける。ティアは元上層の召使いらしく、家事を黙々とこなし、すっかりヴィノレタを気に入っていた。「あ、カイムさん、いらっしゃい」。

▲羽つきの少女を連れ帰ったカイムは大きな傷を負っていた。それを見てエリスは早速治療を開始。いつもどおりの軽口を叩き合いながらも、その表情はどこかうれしそうだった。「何のために医者やってると思ってるの? すぐ終わるから、余計なこと言わないで」。

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▲カイムに頼まれ、牢獄の研究施設で見つけた黒い薬を調査するエリス。それは彼女にとっては未知のもの。カイムがジークに聞いても、結局その正体は不明のままだった。「私は見たことない。一般に流通してる薬じゃないと思う」。

▲リリウムのトラブルを片づけたつぎの日、カイムが目覚めると、家に押しかけてきたエリスが料理をしていた。しかし、エリスに自由に生きてほしいカイムは、好意を拒絶する。「黙ってて。今日から私が家事するから」。

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▲ティアを酒場ヴィノレタに預かってもらい、エリスとカイムはふたり暮らしを再開。その夜、エリスは何かカイムに奉仕しようと思い、彼のリクエストに応えて指圧を始める。「けっこう歩いた足してる。こことか気持ちいいはず」。

▲牢獄にやってきた盲目の聖女イレーヌは、牢獄民に、より深い信仰を促す言葉を投げかける。するとノーヴァス・アイテルを浮かせ続ける彼女の言葉に、人々は大きな歓声をあげた。「感謝と祈りを忘れぬ限り、神は我々をお救い下さいます。私とともに、祈りを捧げましょう」。

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▲聖女に会いに大聖堂まで来たが、肝心の聖女は行方不明。そこでカイムは周辺を勝手に探し始め、草地で竪琴を奏でる少女を発見する。彼女こそが聖女だった。「……どなたですか?」。

▲貴族から捧げられた大量の供物ひとつひとつに、聖女イレーヌは祈りを捧げる。そして彼女は朗々と祝詞を紡いでいき、大崩落を防ぐための長大な儀式は粛々と進行していた。「我ら神の御子なれば祈りは絶やさず、明日も安らかなる一日を与え給え」。

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▲ティアとともに大聖堂に逗留する名目として、カイムはイレーヌのチェスの相手を務めることに。当初はカイムの相手ではなかったが、持ち前の賢さと負けず嫌いで力をつけていく。「口を動かす暇があるのでしたら、早く駒を並べ直してください」。

▲牢獄とはまったく違う世界の王城で、王女リシアは世間的に評判のよくない防疫局のことを憂えていた。そんなリシアに、防疫局を監督するルキウスは現地の様子を伝える。「牢獄というのは、いつも靄がかかってよく見えん。あそこは、どのようになっておるのだ?」。

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▲偶然知り合ったカイムに、戯れで召使いの格好をしていたリシアは自分の身分を偽る。そして牢獄出身だというカイムに興味を持ち、さまざまな話を聞こうとするのだった。「くっ……くくく、いや、そうか。ああそうだ、私は召使いだ」。

▲カイムに促され、国のために立つことを決めたリシア。そして、城内の謁見の間で貴族と私兵たちに、逆臣の討伐を命ずる。「ノーヴァス王家第一王女、リシアの名において命ずる!」。

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▲国王として生きる覚悟を決めたリシア。劣勢に陥った味方の兵たちを救うため、みずから傷つくことも厭わず戦いに参じる。「指の一本や二本、お前にくれてやる。だが、この体はすべての国民のものだ」。

▲新たな国王リシアの戴冠式。受け継いだ王冠は、実際の重さよりもずっと重みがある。すべての国民たちに希望を与えられるようリシアは心に誓う。「代々の王がそうであったように、私はすべての国民の父となろう」。

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▲激しい雨の中ティアを探すカイムは、彼女を保護しようとする羽狩りと戦闘に。荒事を生業とするカイムのナイフ捌きは、次第に羽狩りの隊長であるフィオネを追い詰めていく。「規則に基づき……排除するっ!」。

▲フィオネの振る舞いを受け入れられないカイムと、論争になる。話は互いの倫理観へと展開、カイムはフィオネに羽狩りのやり方について問い、彼女は悔しそうな顔で答えた。「私は暴力を振るわずとも住民が協力してくれる社会になるよう、日々努力しているつもりだ」。

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▲カイムが見繕った私服に着替えるため、フィオネは詰め所の中へ。しかし一向に出てこない彼女が気になり、中に入るカイム。その一室で着替え中のフィオネと出くわして……「いつまで見ているんだっ!!」。

▲不審者の情報を確かめるため、カイムはフィオネの家を訪れて話を聞く。そして防疫局内に裏切り者がいるかもしれないという話になったとき、フィオネはそれを強く否定する。「カイムのような合理主義者にはわからないかもしれないが、部下を信じずに組織をまとめることはできない」。

■世界設定

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■ノーヴァス・アイテル

 遥か昔、この世界は神の遣わした天使が作ったという。人類は天使の力を借り、ほかの動物が持たぬ知恵や技術を獲得し栄華を極めた。しかし繁栄は長く続かない。人々はいつしか感謝の祈りを忘れ、それに怒った神は、天使たちを天上へと引き上げさせたのだ。世界の礎たる天使を失った大地は瞬く間に混沌の濁流に呑み込まれる。都市がつぎつぎと滅亡していく中、聖女が神に許しを請うた。神は、聖女の必死の祈りに心を打たれ、彼女と彼女の敬虔な信者を許し、都市を天空へと浮かせることで人類を滅亡から救ったという。その都市こそが、浮遊都市“ノーヴァス・アイテル”だ。この街は、聖女に祈りを捧げる者のみが乗ることを許された、聖なる方舟なのである。


■政治形態

 ノーヴァス・アイテルが大地を離れたときから、この都市はノーヴァス家から輩出される国王が支配しており、今日に至るまでその血統は途絶えていない。国王には数多くの貴族が仕え政務を補佐しているが、地理的条件から領土が拡大できないため、貴族に目立った恩賞が与えられることは少ない。したがって貴族の国政や地位に対する意欲は低く、政変はおろか権力争いもほとんどない。よく言えば安定した治世が続いている。国民の王家や政治に対する関心も低く、現国王が病に伏していることを知っている者は多くないだろう。次期国王となる第一王女はまだ若く、執政と呼ばれる地位の貴族が彼女を支えながら政務を執っている。


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■貴族と上層

 国王や貴族など地位の高い人間が住むのが、俗に“上層”と呼ばれている区域である。一般民衆が住む“下層”に比べて起伏が激しく急峻な斜面も多い。住宅地として適した地域ではないが、伝統的に貴族たちはこの地を選んで住んでおり、頂には都市を睥睨するように王城が聳えている。その高さゆえに王城はいつも霞の彼方にあり、王家の有り様と同じく澄明にうかがい知ることはできない。聖女が祈りを捧げている聖堂も上層にあるため、ここはノーヴァス・アイテルに住む者にとってまさに高き場所であり、憧れの対象でもある。そのぶん警戒は厳重で、牢獄では稀にしか見ることができない衛兵も、上層ではいたるところで見ることができる。


■ノーヴァス・アイテルの信仰

 ノーヴァス・アイテルに存在する宗教組織は“聖イレーヌ教会”ただひとつである。この組織は、信仰の頂点に聖女を置き、彼女へ祈りを捧げることが日々の平穏な生活につながると説く。民衆はほぼ例外なくこの教えを受け入れており、人々が就寝時や食事の前に聖女に祈りを捧げる姿はごく当たり前に見受けられるものだ。その日の糧を得るために人道に外れた行為を続ける牢獄民であっても、聖女への祈りだけは純粋で偽りがない。宗教施設としては、上層に教会の総本山としての大聖堂、下層や牢獄には一定の地域ごとに教会施設が配置されており、祈りや布教の場として利用されると同時に、集会場や簡単な医療施設として、また災害時の避難所としても利用されている。


■大聖堂と聖域

 大聖堂は上層にある建造物で、聖教会で最も格式の高い祈りの場だ。多くの尖塔を持つその荘厳な姿は都市の各所から見ることができ、人々の無意識下に見上げるものの象徴として存在している。ここでは多くの聖職者が居住し、日々の祈りを捧げると同時に、聖職者としての訓練も行われているが、その実態はほとんど知られていない。一部の区域は住民に開放されているものの、警備がきびしく、入ることができる時間は限られている。また、入るにはそれ相応の寄付が必要となるようだ。大聖堂の奥には聖域と呼ばれる区域があり、聖女が不断の祈りを捧げている。大聖堂と聖域を繋ぐのはただ一本の橋のみで、聖域へ入ることが許されるのは聖職者の中でも最高位に近い者に限られているという。


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■聖女の島

 ノーヴァス・アイテルの浮遊から約500年。聖女イレーヌはその敬虔な祈りの力で、巨大な都市を空中に留め、下界の混沌から人々を守ってきた。祈り、都市を浮かせ続けること。これこそが代々の聖女に課せられた最も重要な役割である。大崩落発生後、時の聖女イレーヌは信仰の不純さを疑われ処刑されることになった。聖女はまさに命を賭して都市を浮かせ続けているのである。初代から数えて29代目に当たる現在の聖女イレーヌは、盲目の聖女と呼ばれ、これまでの聖女たちの中でもとくに強い尊崇を集めている存在だ。彼女は今日も、神聖な聖堂の奥でノーヴァス・アイテルと住民たちの平和のために不断の祈りを捧げている。


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■大崩落

 十数年前、この都市を大規模な崩落が襲った。“下層”と呼ばれていた一般民衆の居住区の一部が、突如として崩れ落ちたのだ。岩盤とともに下界へ落ちていった人間は数千とも言われ、生き残った人間も家族や財産を失った。火災や地震といった災害と違い、崩落事故はなんの痕跡も残さない。まるで初めから何もなかったように、すべてが一瞬にして消失するのだ。犠牲者を弔うこともできず、被災した人々の胸にはいまなお癒えることのない喪失感が拡がっている。そして何より、防ぐことができないこの災害は、都市に住むすべての人々に“都市は墜ちる”という強烈な恐怖を刻みつけた。都市の浮上から500年以上続いた安寧の時代は、もう戻って来ない。


■牢獄の成立

 “大崩落”により、大地の一部をそこに住んでいる者ごと喪失したノーヴァス・アイテル。その際、崩落こそせずに踏みとどまったものの、下層と切り離され一段低い大地と化したのが“牢獄”である。下層とのあいだは高い崖(断層)で隔てられ、大崩落直後は行き来すらままならない状態が続いた。そのころの牢獄は、難民が多数存在した上に食料供給も途絶えていたことから、一時は完全な無秩序状態に陥っていた。にもかかわらず衛兵などによる秩序回復が行われなかったため、牢獄の住民は国に見捨てられたという印象を未だに持っている(その際に牢獄で秩序を構築したのが“不蝕金鎖”である)。いまでも月に一度は地震が起き、いつまた崩落が発生するかわからない。高度が一段低いというだけでも住人にはたいへんな恐怖感を呼び起こしており、そのためか牢獄の人心は乱れ、回復の見込みすら立っていない。


■牢獄の生活

 牢獄と下層のあいだに関所が作られ、人や物の流れは再開されているものの、基本的に牢獄の生活は大崩落直後から変化してはいない。即ち、堅苦しい法律などもない代わりに、貧困と暴力の街であるということだ。牢獄に物資が入ってくる関所前広場と対をなす街の中心部が歓楽街である。上層や下層からも客を集めるこの大歓楽街の派手で下品な賑わいと、裏路地に入ればそこら中に広がっているスラムの混沌が、牢獄の両面の象徴だ。だがいずれにせよ住民の大部分は貧しく、一日一日を生き延びるのが精一杯である。なお、下層住民が牢獄に来て帰ることはできても、牢獄住民が用もなく下層に行くことはできず、関所を通り抜けることはできない。貧しい者や犯罪者などの都市の澱みは、牢獄に流入することはあっても流出することなく溜まり続ける。


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■酒場“ヴィレノタ”

 “ヴィレノタ”は歓楽街の入り口に位置する酒場。夜の帳が下りるころ、人々は光を求める羽虫のようにここへと足を運ぶ。そして、薄暗い店内でひたすらに酒を煽り、混濁した意識の奔流に身を任せる。ある者は、未来への恐怖から逃れるために、ある者は、失った家族を忘却するために。


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■不蝕金鎖

 牢獄の裏社会を握り、実質牢獄の法を司っているとも言えるのが“不蝕金鎖”(ふしょくきんさ)である。もとは、大崩落直後の無秩序・食糧不足状態の中で、崖の上の下層から買い入れる物資を仕切る集団だった。その後、国から半ば見捨てられた牢獄の秩序回復を担ったことから、住人からは一定の信頼を得ている。いまでは国から治安維持のために派遣されている衛兵も形ばかり存在するものの、実力も住民からの信頼も不蝕金鎖には遠く及ばず、いくらかの賄賂によって骨抜きにされているようだ。なお、数年前に初代の頭が亡くなり息子であるジークが正式に跡目を継いだが、その際に副頭派が組織を割って独立し、現在も縄張りや商売の上での衝突が絶えない。本拠地は、歓楽街で最も大きな店“リリウム”の上階。


■羽つき

 大崩落以降に発生が確認された、背中に羽が生える病気である“羽化病”。その患者が、一般的に“羽つき”と呼ばれている。羽化病は伝染するとされており、また老若男女を問わず発症するため、羽つきはほぼすべての住人に忌避されてきた。しかし、羽つきが現れてから十数年を経たいまでも、患者を全員隔離するには至っていない。発症すると最初は背中に小さい羽が生え、それが徐々に育ち、最終的には大きな羽となる。大きく育った羽は服などで隠せる大きさではなく、家族などに匿われている場合でも表を出歩くことは不可能だ。なお、その羽によって飛ぶことができた羽つきはいない。


■羽狩り

 “羽化病”の患者である“羽つき”を捜し出して保護し、治癒院へと連行・隔離することを任務とする組織が“羽狩り”である。正式名称は“防疫局”だが、その強制的な手法を揶揄して“羽狩り”と呼ぶのが一般的だ。なお、伝染病である羽化病の患者を隔離することは国としても喫緊の課題であるため、羽狩りには“羽化病患者の保護を妨害するものの強制排除権”が認められている。この“強制排除”には鍵の掛かった扉を蹴破ることから悪質な妨害者の斬り捨てまでが含まれるが、強制的な隔離への反発もとくに牢獄では大きいことから、隊員には荒くれ者が多い。防疫局の責任者は、最近頭角を現してきた若手貴族のルキウス卿、牢獄隊の隊長はフィオネが務めている。


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穢翼のユースティア Angel’s blessing
メーカー dramatic create
対応機種 PlayStation Vita
発売日 2014年発売予定
価格 6900円[税別](7245円[税込])
ジャンル アドベンチャー / ファンタジー・恋愛
備考 原作・監修:オーガスト

(C)AUGUST/dramatic create