台湾のVOCALOIDファンが集結!

 2014年1月23日から27日にかけて台湾の台北で開催されている、2014台北ゲームショウ(TAIPEI GAME SHOW)。現地法人のSony Computer Entertainment Taiwan(以下、SCET)ブースでは、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(以下、SCEJA)関連や、サードパーティーのゲームにまつわるトークイベントを開催している。2014年1月25日のSCETブースでは、日本でセガから2014年3月6日に発売予定の、プレイステーション3(以下、PS3)、PS Vita用ソフト『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』のイベントが開催。プロジェクトマネージャーを務める内海洋氏が登壇し、本作の内容を解説するとともに、中文版の発売に関する発表を行った。

『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』中文版が発売決定! インタビューではPS4の話題も!【2014台北ゲームショウ】_01
『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』中文版が発売決定! インタビューではPS4の話題も!【2014台北ゲームショウ】_02
▲「大家好(ダージャ ハオ。皆さん、こんにちはの意味)」と、中国語で挨拶をする、セガの内海洋氏。

 登壇した内海氏は、2012年に台湾で開催された“ミクパ”以来、2回目の訪問だという。台湾の感想を聞かれると、「ご飯もおいしいし、皆さんやさしいですし、住んでもいいかなと思うくらい、いいところですね」と、かなりお気に入りの様子。この回答には、台湾のファンからも喜びの歓声が挙がっていた。

 そして、ステージでは、内海氏が『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』について解説。本作は、“これまでのディーヴァと、これからのディーヴァ”というテーマで、プレイステーション・ポータブル(PSP)のシリーズ作をこれまで楽しんできた人は、PS VitaとPS3のクオリティーで楽しめて、前作『初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- f/F』(PS Vita、PS3)をプレイした人も、さらに進化したものが見られる内容になっているという。本作には、従来作に収録された既存曲20曲と、新曲20曲の、合計40曲を収録。リズムゲームの部分も新システムを追加し(詳細は後述)、より新しく楽しくしているほか、映像のクオリティーも上がり、前作よりも表情が強化されているとのこと。内海氏は、「前作を遊んでいただいた方には、映像を見ていただければ、とくに進化した部分を感じてもらえるんじゃないかと思っています」と、本作を語る。

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 そのほか、シリーズで好評のモジュールは、新作が40種類、PSP版から40種類、前作から80種類が収録され、合計数は160種類。懐かしさも新しさも味わえるバリエーションになっている。そのほか、PS Vita版には現実の風景にミクなどを映し込むAR機能として“ARライブ”や“ARポートレート”を収録。PS3版には、ライブ空間を再現する“ライブスタジオ”モードが収録され、2013年8月30日に開催されたライブ“マジカルミライ2013”の音源や演出が楽しめるようになっている。ライブスタジオモードは、内海氏が「初めてご覧になる方はライブの雰囲気がそのまま味わえます」と言うほど。

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 従来シリーズから存在する、“リズムゲームと映像を作って遊べる”エディットモードは、データのやり取りが大幅にパワーアップ。「いろいろなところから入手するのがたいへんだったのが、クリプトン・フューチャー・メディアさんの“piapro(ピアプロ)”から楽曲をダウンロードできるようになった。ネットで作ったものを共有すると、みんなでいっしょにダウンロードできる。日本でも台湾でもアクセスできるように調整していますので、世界中の人が作ったエディットをみんなで楽しめるようになります」(内海氏)。

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 ここで、PS Vitaの実機によるプレイを見ながらシステム解説を行うことに。プレイするのは、コンパニオンの女性。プレイする楽曲は、Last Note.氏の『アカツキアライヴァル』だ。本作では、前作で加わったスクラッチ(タッチスクリーンをこする動作。PS3版ではフリップ)がパワーアップし、ラインでつながった☆アイコンに合わせてスクラッチする“リンクスクラッチ”や、2ヵ所を同時にスクラッチする“ダブルスクラッチ”などが登場。また、実機プレイに合わせて、内海氏は「演出面の進化点としては、遠近感を出してふたりの距離感などを意識して出せるようにしている。また、光の演出も強化されていて、LEDが光っているようなものなども表現できるようになった」と、進化した部分を解説していた。ちなみに、本作をプレイしたコンパニオンさんは、「緊張してできなかったんですが、遊びながら踊りたかったくらい楽しかったです!」と、かなり楽しんだ様子。

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 ひと通りの解説を終えたところで、内海氏から「皆さんにプレゼントを持ってきました」との発表。現在、本作の中文版(中国語版)が開発中であることが明かされると、会場に集まったファンから大きな大きな歓声が。発売時期は、「暖かいうちに。冬になる前に発売したいと思っています」(内海氏)とのことだ。

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 ステージのラストは、初音ミクグッズがもらえるクイズ大会。“初音ミクの年齢は?”といったクイズが出題され、熱心に手を挙げて選ばれた回答者の中には、鏡音リン・レンのコスプレイヤーもいた。

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 そして、締めとして、内海氏から会場のファンへ、「いま『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』を楽しんでもらえるように、鋭意開発中です。まず日本語版を楽しんでいただいて、中国語版を楽しみにしている方は、少しお待たせしてしまいますが、そちらに楽しんでいただければと思います」(内海氏)とメッセージが贈られ、大盛況のイベントは幕を閉じた。

アーケードのタッチスライダーはDUAL SHOCK 4で再現!?

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 ステージイベントの終了後に行われた、台湾メディア向けのメディアセッションの模様もお届けする。台湾でもVOCALOIDへの興味は高いようで、さまざまな質問が続出。『-プロジェクト ディーヴァ-』シリーズのPS4の展開の話題も……!?

――今回の『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』にも新曲が収録されていますが、『-プロジェクト ディーヴァ-』シリーズの収録曲を決めるときの選曲基準を教えてください。
内海洋氏(以下、内海) シリーズで言うと、今回で5作目になりますが、最初はまだ深い部分までわからなかったので、「人気のある曲ってこれだよね」とか、スタッフとの「これはいい曲なんで入れたいんです」とか、「リズムゲームに合う曲なんです」といった話し合いなどで選んでいました。それが、作品が増えていくうちに、全体のバランスを考えるようになりましたね。リズムゲームとしてノリがいい曲もあれば、スローな曲を選んだり、ロックなものもあれば、ポップなものもと、曲のバランスを考えたうえで、その中にキャラクターやデュエット曲のバランスを入れ込んで枠を作って、そこに当てはめていくようにしています。

――『-プロジェクト ディーヴァ- F』は、30フレームでしたが、本作のフレーム数を教えてください。
内海 『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』については、前作の『F』と同様のフレーム数になっていると思います。

――中文版の発表がありましたが、ローカライズは具体的にどういう部分を中文化する予定ですか?  歌詞、メニューなど、ローカライズする部分を教えてください。
内海 基本的にメニューまわりは、すべてローカライズする予定です。あと、歌詞については、どういったものがいちばんやりやすいのかを検討している最中です。完全に中文に訳すことで、歌詞の譜割りなど、ゲーム中に表示させてもプレイに影響がなければローカライズしたいですが、PS3の『-プロジェクト ディーヴァ- F』で英語版を出したときは、歌詞をローマ字表記にして、リズムがわかるようにしているので、もしかしらそうするかもしれません。検討中です。

――中文版ですが、VOCALOIDにも中国語のキャラクターが存在していまして、中文版にそのキャラクターなどを導入する予定はありますか?
内海 いまのところ、予定はないですね。『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』は、中文版を作るということが、開発終盤になって決まったので、アメリカ、ヨーロッパも含めた海外版は、日本語版を各国で遊びやすいようにさせていただくという方向で収めています。

――アーケード版に横のスクラッチというタッチスライダーがありましたが、PS3などでも同じようなものを導入する予定はありますか?
内海 予定はありませんが、PS4のDUALSHOCK 4にタッチパッドがありますので、おもしろいなと思っています。

――エディットモードで、piaproを通じてデータが簡単にダウンロードできるようになりましたが、そのシステムを導入したきっかけは?
内海 もともとエディットモードのデータをユーザーさんどうしで共有するときに、楽曲データをどうしようかと課題になっていまして。ひとつは権利、著作権の問題で、もうひとつがデータ量の問題。最低でも数十メガになるので、使いづらいだろうと諦めていたんですが、クリプトン・フューチャー・メディアさんとの話し合いで、piaproに上がっている曲はもっと広い意味で共有していいんじゃないかと、ご理解いただいて、ダウンロードが可能になりました。あと、機能的な部分で、それぞれが違う音源を用意すると、同じ曲でもゲームの起点が変わったりして、データによってコンディションが違って、同じ曲を落としても同じように遊べないという懸念点があったんですね。ですので、できるだけデータを統一したいということで、僕らのほうからご提案させていただいて、気持ちよくご協力いただいたという流れになります。

――先ほど、DUALSHOCK 4の話が出ましたが、『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』のPS4版を出す予定 はありますか? また、今後『-プロジェクト ディーヴァ-』シリーズをPS4で出す予定はありますか?
内海 とりあえず、続編を作れるかどうかは、今回の『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』の売れ行き次第なんですが、いろいろ準備は進めていまして、PS4も視野には入れています。どういった形で、PS3、PS Vita、PS4の3つのプラットフォームを差別化するかが課題ですね。『-プロジェクト ディーヴァ- F 2nd』の移植はするかもしれないし、しないかもしれないし、たとえばつぎの作品でPS4に対応するのかも含め、いまいろいろと検討しています。やっと開発が落ち着いてくるころなので、そこからスタートになるかなと。でも、昨日この台北ゲームショウでPS4のゲームをいろいろ拝見したんですが、……まだ日本で売っていないので(苦笑)。すごくいいハードだなと思って、やる気が出ました。

――今回シリーズ5作品目で、これまで新キャラクターの登場などがありましたが、次回作でGUMIなどの別キャラクターを登場させる予定はありますか?
内海 まだ新作の中身を考えていないのでわかりませんが、ユーザーからそういったご意見をいただきます。一方で、新しいキャラクターが増えると、自分の好きなキャラクターの歌が減っちゃうのでイヤだという意見もあるので、難しいなと思っています。今後、VOCALOIDのムーブメントもどうなるのかわからないので、臨機応変に考えていきたいと思っていますが、いまのところ決まっていることはないということですね。

――最後に、台湾の皆さんにメッセージを。
内海 台湾の皆さんは、先ほどのステージもそうですが、ものすごくこのタイトルを愛してくれいているんだなというのが、強く伝わりました。いままで日本のお客さんばかりを見てきた部分もありましたが、ワールドワイドのいろいろなファンの方に楽しんでもらえるゲームを作っていけるようにがんばっていきたいと思います。応援をよろしくお願いします。